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役員の金融取引等に関する特則

施行
2006年7月21日
改正
  • 2007年9月30日

1.趣旨

本特則は、「服務に関する準則」第9条第2項の適用に関して、日本銀行の「役員」(総裁、副総裁、審議委員、理事および監事をいう。以下同じ。)による職務遂行の公正性を確保するため、その金融取引等について、個人の財産権、プライバシーおよび安全の確保にも配慮しつつ、具体的な措置を定めるものである。

2.定義

本特則で使用する用語の定義は、次のとおりとする。

  1. (1)金融商品 預貯金、有価証券、投資信託、保険、年金など、金融機関等が販売している資産運用商品一般をいう。
  2. (2)投資目的不動産 不動産のうち、自家用目的以外で保有するものをいう。
  3. (3)金融商品等 金融商品および投資目的不動産をいう。

3.取引可能な金融商品

役員は、在任中、次の金融商品(以下「取引可能金融商品」という。)に限り、取引(役員による取得、売買、解約などの行為をいう。以下同じ。)を行うことができる。

  1. (1)流動性預貯金(全ての外貨建てのものを合算した米国ドル換算残高が概ね5万ドル以下となる外貨預金を含む。以下同じ。)
  2. (2)定期性預貯金
  3. (3)個人向け国債
  4. (4)年金および保険(いわゆる変額保険、変額個人年金、外貨建保険など投資目的のものを除く。)
  5. (5)マネー・リザーブ・ファンド(MRF)などその他投資目的ではなく、かつ、一般に取引可能な前各号に掲げるものに相当する金融商品

4.取引を禁止する金融商品等

  1. (1)役員は、在任中、本人または第三者の名義を用いて、金融商品のうち取引可能金融商品以外のものおよび投資目的不動産(以下「取引禁止金融商品等」という。)の取引を行ってはならない。
  2. (2)役員は、その就任前から保有する取引禁止金融商品等が満期到来等によりその契約が終了した場合には、再度、取引禁止金融商品等を取得してはならない。
  3. (3)(1)および(2)の定めに拘らず、役員は、相続または贈与その他のやむを得ない事情により取引禁止金融商品等の取引を行う場合には、11.に定める「金融取引等審査会」に報告するものとする。
  4. (4)(3)において金融取引等審査会は、取引禁止金融商品等の取引を行うやむを得ない事情があると認められるか否かを確認の上、当該役員に回答する。

5.金融政策決定会合直前の取引の禁止

役員(監事を除く。)は、金融政策決定会合開始日の7日前からその終了日まで、3.ならびに4.(3)および(4)の定めにかかわらず、金融商品等の取引(流動性預貯金の取引ならびに定期性預貯金の解約および引出しを除く。)を行ってはならない。

6.保有を禁止する金融商品

  1. (1)総裁、副総裁および理事は、在任中、やむを得ない場合を除き、取引禁止金融商品等のうち、次のもの(以下「保有禁止金融商品」という。)を保有してはならない。
    1. イ、日本銀行の当座預金取引の相手方(以下「当座預金取引先」という。)の株式、新株引受権、新株予約権、新株予約権付社債、社債、金融債(以下「株式等」という。)
    2. ロ、私募ファンド等(いわゆる私募ファンドおよび上場手続を開始しまたは上場が見込まれている未公開株式をいう。)
  2. (2)総裁、副総裁および理事は、原則としてその就任後3か月以内に保有禁止金融商品を売却、解約その他の方法により処分するものとする。就任後にやむを得ない事情により保有禁止金融商品を取得した場合も、原則としてその取得後3か月以内に処分するものとする。
  3. (3)審議委員は、就任時に保有する当座預金取引先の株式等を、12.に定めるところに従ってその保有状況を公開することを条件に、原則として信託することによりその取引を凍結したうえで、継続して保有することができる。他方、私募ファンド等については保有してはならず、原則としてその就任後3か月以内に売却、解約その他の方法により処分するものとする。就任後にやむを得ない事情により取得した場合も、原則としてその取得後3か月以内に処分するものとする。
  4. (4)監事は、私募ファンド等を保有してはならず、原則としてその就任後3か月以内に売却、解約その他の方法により処分するものとする。就任後にやむを得ない事情により取得した場合も、原則としてその取得後3か月以内に処分するものとする。
  5. (5)役員は、金融商品取引法第166条に定めるインサイダー取引規制その他の法令、契約上の制約により就任後3か月以内に保有禁止金融商品を処分できない場合、就任後に相続等により保有禁止金融商品を取得する場合など、(1)から(4)までの定めにより難い事情がある場合には、金融取引等審査会に報告するものとする。
  6. (6)(5)において金融取引等審査会は、保有禁止金融商品の保有にやむを得ない事情があると認められるか否かを確認の上、当該役員に回答する。

7.取引禁止金融商品等の取引の凍結

  1. (1)総裁、副総裁および審議委員は、取引禁止金融商品等の取引を凍結するため、その就任時に保有していた、または、4.(4)もしくは6.(6)の定めに基づき保有することが認められた取引禁止金融商品等のうち、上場株式、国債その他公社債を原則として信託銀行等に速やかに信託することとし、在任中に信託契約の解約または変更を行ってはならない。
  2. (2)役員は、信託を行わない取引禁止金融商品等については、その事由とともに保有状況を金融取引等審査会に報告するものとする。

8.役員退任後の取扱い

役員は、退任後1年間は、取引禁止金融商品等の取引を自粛するものとする。

9.資産内容の金融取引等審査会への報告

  1. (1)役員は、就任時および退任時に、次の各号に定める区分に従い、金融商品等の保有状況(信託されているものは信託契約における取引凍結の内容等)を、原則として就任時および退任時から3か月以内に、金融取引等審査会に報告するものとする。
    1. イ、総裁および副総裁 取引禁止金融商品等、取引可能金融商品ならびに借入金および貸付金
    2. ロ、審議委員 取引禁止金融商品等ならびに借入金および貸付金
    3. ハ、理事および監事 取引禁止金融商品等
  2. (2)役員は、在任中、4.(4)または6.(6)の定めに基づきやむを得ない事情があると認められた場合その他取引禁止金融商品等の取引を行った場合は、その都度その内容を、金融取引等審査会に報告するものとする。
  3. (3)役員は、扶養親族が取引禁止金融商品等の取引を行った場合にも、その都度その内容を金融取引等審査会に報告するよう努めなければならない。

10.金融取引等審査会による報告内容の確認

  1. (1)金融取引等審査会は、9.による役員からの報告に基づき、次の点を確認する。
    1. イ、保有禁止金融商品を保有していないか(保有している場合に本特則の定めに照らして問題がないか)。
    2. ロ、就任時以降、本特則の定めに反して取引禁止金融商品等を取引していないか。
    3. ハ、9.(3)で定める扶養親族による取引禁止金融商品等の取引状況に関して問題がないか。
    4. 二、取引禁止金融商品等を信託する場合、在任期間中取引を禁止する信託契約が行われているか。
  2. (2)金融取引等審査会は、12.による役員の就任時と退任時の公開内容と9.による役員からの報告との整合性を確認する。
  3. (3)金融取引等審査会は、必要に応じて役員本人に報告の内容を確認の上、確認の結果について日本銀行に回答し、役員本人に伝達する。

11.金融取引等審査会

(1)目的

本特則の実効性を担保するため、弁護士、公認会計士等の外部有識者5名をもって、役員から本特則の遵守状況に関する報告を受けてその内容を確認し、また本特則の運用に関し諮問を受けて必要な意見を表明することを目的とする第三者機関として「金融取引等審査会」(以下「審査会」という。)を設置する。

(2)職務の独立とその範囲

審査会は独立して職務を行い、その範囲は4.(4)、6.(6)および10.に定めるもののほか、次のとおりとする。

  1. イ、本特則の解釈・運用に関する日本銀行への意見の提出
  2. ロ、13.(1)に定める特則の見直し要否に関する日本銀行への意見の提出

(3)組織、委員の任期

  1. イ、審査会は5人の委員をもって組織する。
  2. ロ、委員は政策委員会が選任する。
  3. ハ、委員の任期は2年とし、非常勤とする。
  4. ニ、審査会に会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
  5. ホ、会長は会務を総理し、審査会を代表する。
  6. へ、会長に事故があるときは、予めその指名する委員が、その職務を代理する。
  7. ト、審査会に事務局を置く。

(4)秘密保持義務および報酬

  1. イ、委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。審査会の事務に従事する者についても、同様とする。
  2. ロ、委員の報酬は別に定める。

(5)議事の手続等

審査会の議事の手続、活動内容の報告その他審査会の運営に関し必要な事項は、審査会が定める。

12.資産状況の公開

  1. (1)総裁および副総裁は、就任時または退任時に、その時点を基準とする取引禁止金融商品等、取引可能金融商品ならびに借入金および貸付金の状況を、別紙1 [PDF 85KB]の書式により、原則として就任時および退任時から3か月以内に公開するものとする。
  2. (2)審議委員は、就任時または退任時に、その時点を基準とする取引禁止金融商品等ならびに借入金および貸付金の状況を、別紙2 [PDF 42KB]の書式により、原則として就任時および退任時から3か月以内に公開するものとする。
  3. (3)(1)および(2)に定める資産状況の公開において、総裁、副総裁および審議委員が就任時に保有していたものの公開までに処分が終了した保有禁止金融商品は、公開の対象としない。ただし、処分をした旨を公開において付記する。
  4. (4)総裁、副総裁および審議委員は、6.(6)の定めに基づき、保有禁止金融商品を保有することが認められた場合には、取得時を基準とする当該保有禁止金融商品の保有状況を、別紙1 [PDF 85KB]別紙2 [PDF 42KB]の書式中該当部分により、原則として取得時から3か月以内に公開するものとする。

13.その他

  1. (1)本特則の諸規定は、金融環境の変化ならびに個人の財産権、プライバシーおよび安全の保護についての考え方の変化を踏まえて、金融取引等審査会の意見に基づき、適切な時期に見直しを検討する。
  2. (2)本特則の軽微な改正または実施に必要な細目は、総裁がこれを定め得るものとする。