このページの本文へ移動

第18代総裁:一萬田尚登(いちまだひさと)

第18代総裁 一萬田尚登の写真

就任
昭和21年6月1日
退任
昭和29年12月10日
出身地
大分県

一萬田尚登が18代目の日本銀行総裁に就任したのは、第二次世界大戦におけるわが国の敗戦の翌年(昭和21年)6月のことです。就任後直ちに連合国最高司令官マッカーサーに会見を申し入れ、「日本経済の実情を知って欲しい。ありのままのことを話し、私の意見を言うから、気に入らないことは聞き流しても結構だ」と率直に伝え、信頼関係を築いたとされます。

戦争によって国富の約4分の1を失ったわが国の復興資金を賄うべく、通貨安定と貯蓄推進のための国民運動を熱心に推進するとともに、かつてベルリン駐在時代に体験した第一次世界大戦敗戦国ドイツにおけるハイパーインフレーションの教訓を踏まえ、引き締め基調を堅持した金融政策を展開して経済の安定化に努めました。他方で、昭和24年にGHQ特別顧問として来日したジョセフ・ドッジが強度の緊縮政策を実施すると、そのデフレ的な影響を緩和すべく、市中銀行に対する貸出や買いオペレーションなどを駆使して財政収支の黒字分を民間に還元し、産業の復興を支えました。

昭和29年に総裁を辞任した後、鳩山、岸内閣の大蔵大臣を務め、この間に衆議院議員選挙に立候補し当選しました。昭和44年に引退し、昭和59年、90歳で亡くなっています。

(出典:広報誌『にちぎんクオータリー(2001年春季号)』)