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【総合職】金融市場局 H.T. さん

金融政策の最前線で、日々、日銀のあるべき姿を考える

H.T. さん

総合職
金融市場局 市場調節課
市場調節グループ
企画役補佐
(現 内閣官房)

金融政策の実行

日本銀行に入行して12年が経つ現在、金融市場局市場調節課の市場調節担当として、日々、兆円規模で実施している金融市場調節の企画・立案および実施に携わっています。金融市場調節とは、金融政策決定会合で決定された方針に基づき、金融市場において国債の買入等のオペレーションを行うことにより、資金の供給や吸収を行う金融政策の実行プロセスです。日本銀行は2013年4月、従来とは量・質ともに次元の異なる「量的・質的金融緩和政策」を導入し、巨額の国債買入などを通じて金融市場に大量の資金を供給しています。この大胆な政策の下、日本銀行の金融市場調節はマーケットに大きな影響を及ぼしており、日々、責任の重大さを痛感しながら、緊張感を持って仕事に取り組んでいます。

金融市場調節の現場

市場調節担当の一日はその日のオペレーション方針案(国債買入の買入額など)を固めることから始まります。早朝、金融市場のモニタリング担当者から、前日の海外市場の動向や発表された経済指標、朝方の短期金融市場の状況などについて報告を受けます。これらの情報を踏まえ、上司と相談のうえ、当日のオペレーション方針を決定します。

方針が決まると、オペレーションの実務を担う担当者が、早速日銀ネットで準備に取り掛かります。その後、債券市場や株式市場が開き始め、オペレーションが次々と実行されます。この間、モニタリング担当者からは、オペレーション後の市場の状況や金融機関からのヒアリング情報が逐次、報告されます。このように、金融市場調節の現場では、オペレーションの企画・立案を行う市場調節担当が、市場モニタリングを担うグループやオペレーションの実務を担うグループとチームになって日々の仕事を進めていきます。「量的・質的金融緩和政策」の導入によってオペレーションの回数が大幅に増加する中、皆、分刻みのスケジュールで動いているため、チームがそれぞれの役割に従って緊密に連携していくことが重要になります。

午後は、翌日のオペレーション方針の検討を行うほか、先々の市場見通しを踏まえたより長期的な金融市場調節のあり方や課題について、議論や分析を行います。夕方には、その日の金融市場の動きや、オペレーションに対する市場参加者の応札状況などについて上司や同僚と意見交換し、1日を終えます。こうした市場調節担当の仕事は、金融市場の中に身を置き、また自らの判断が金融市場の反応としてリアルタイムで直接返ってくる、まさに金融政策の最前線です。

市場調節担当の役割

金融市場調節の使命は金融政策の忠実な実行であり、長い年月に亘って培われた知見と多様な手段の下、今も昔もその基本的な役割は変わりません。もっとも、課せられている課題はその時々の金融政策や金融市場の状況によって大きく異なります。

「量的・質的金融緩和政策」は、世界のいずれの主要中央銀行も経験したことのない大規模な金融緩和です。かつて日本銀行が無担保コールレートを誘導目標としていた時は、短い期間の資金供給・吸収が金融市場調節の主要な手段であり、直接影響を及ぼす対象は短期金融市場が中心でした。現在は国債の買入が主軸となっており、例えば、国債の買入額の変更は長期金利を含めたイールドカーブ全体に直接影響を及ぼします。そのため、ここ数年は、債券市場のモニタリングや市場参加者との日々の対話、市場の変化に応じた制度の拡充などが適切な金融市場調節の実現のために必要不可欠となっています。

市場調節担当には、チームのメンバーとともに金融市場の動向を見極め、先行き起こり得ることを想像力豊かに思い描きながら、「いま日本銀行に求められていること」を実行に移していく役割が期待されています。

これまでの経験の延長線上

入行後1年間、支店で産業調査を経験した後、本店において、日本銀行が保有する外貨資産の運用方法やリスク管理のあり方の見直しを担当しました。一見、金融市場調節とは遠い印象がありますが、海外の中央銀行の運用方法を調査する過程で得た知識は、海外投資家の日本国債への投資動向の把握など、現在の仕事に役立っています。その後、ケンブリッジ大学の経営学修士課程に留学し、40を超える国・地域からの多様なバックグラウンドの仲間とともに、ファイナンスを中心に経営に関わる様々な分野を学びました。

リーマン・ショックの直前に帰国し、「物価の安定」とともに日本銀行の目的のひとつである「金融システムの安定」に関する仕事に携わりました。金融機関モニタリングを行う部署では、大手銀行、証券会社、地域金融機関のモニタリングを通じて金融機関の経営やリスクの状況の把握に努めました。特に金融危機の直後は、刻一刻と事態が変化し、直面したことのない多くの「応用問題」を解かなければならない状態でしたが、危機に立ち向かう金融機関の方々と直接議論をした経験はかけがえのない財産になりました。

また、プルーデンス政策を企画・立案する部署では、リーマン・ショックを経験して金融規制が厳格になる流れの中、日本銀行と取引を行う金融機関に求める様々な基準に関する検討を行いました。そこでは、公的機関である日本銀行の公正・中立な立場を念頭に置きながら、「最後の貸し手」として資金を貸し出す相手先はどうあるべきかを真剣に考える貴重な機会を得ました。金融政策はマクロ政策ですが、それを実現するための日々のオペレーションは金融機関との取引というミクロの積み上げで成り立っています。金融機構局での経験は、日々、マーケットで金融市場調節を行う現在の仕事に大きく役立っています。

その後、わが国の資金・国債決済の根幹である日銀ネットの機能を抜本的に見直す「新日銀ネット構築プロジェクト」に参画しました。ここで学んだ決済の仕組みや市場慣行などに関する知識は、金融市場調節に関する制度設計をする上でのベースとなっています。

このように日本銀行の仕事は、広く相互に関係し合っており、現在の仕事はこれまでの経験の延長線上に存在することに気づかされます。

中央銀行員としての心構え

日本銀行で仕事をするにあたり、常に意識していることが3つあります。1つ目は公正・中立な姿勢です。中央銀行の他の政策・業務と同様、金融政策は広く人々の生活に影響を及ぼすものであるがゆえに、日々のオペレーションを実行するにあたっては、このことを常に意識しています。2つ目は論理的な考え方です。日本銀行の政策・業務は、行政と異なり、法律などに直接基づいて権限を発動しているものとは限らないため、国民に説得力を持って説明できることが重要です。どんなに小さな決定であっても、ほかのあらゆる選択肢と比較してその選択が論理的に最も正しいといえるまで考え抜くように心掛けています。3つ目は決断力です。金融市場はいわば「生き物」で、刻一刻と状況が変化しています。必要なことを適切なタイミングで実行しなければ、手遅れとなり、金融政策の効果が大きく低下する可能性があります。金融市場の状況を丹念に観察しながら、変化に柔軟に対応するため、時には思い切った決断をすることが必要です。

日本銀行はどうあるべきか

日本銀行では「物価の安定」と「金融システムの安定」を実現するために、企画・立案から最前線で実務を担う部署まで多くの人々が、それぞれの立場で「日本銀行はどうあるべきか」という問いに向き合っています。これからもこれまでに得た知識や経験を活かし、仲間と協力し合いながら、日本銀行としての正しい答えを導き出して行きたいと考えています。

H.T. さんのあゆみ

2004年4月 業務局 入行
2004年7月 福島支店
2005年9月 国際局
2007年8月 英国ケンブリッジ大学大学院留学
2008年9月 金融機構局
2012年7月 業務局
2014年6月 金融市場局

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