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【総合職】調査統計局 Y.H. さん

経済学のツールを磨いて金融政策の課題に挑む

Y.H. さん

総合職
調査統計局 経済調査課
景気動向グループ 主査
(現 企画局 政策調査課 企画役補佐)

マクロ経済学の実践的な現場

現在私は、調査統計局経済調査課の景気動向グループに所属しています。当グループでは、日本経済の「現在」の状態を評価するとともに、四半期に一度、経済・物価の「先行き」についての見通しを作成しています。これらはいずれも金融政策の決定プロセスにおいて重要なインプットとなるため、いつ何どきにおいても景気を的確に判断していくことが求められます。「的確に」と言いましても、我々の住む世の中は、経済学でいう完全予見な世の中とは違い、常に不確実性に直面していますので、言い換えるとそれは、手に入る情報(best available information)をフル活用して、最も蓋然性の高い足もとの評価および先行きのシナリオを提示していくことになります。景気動向グループでは、この目標達成のために、経済を構成する各コンポーネント(輸出入、財政、設備投資、個人消費、雇用、企業収益、物価、生産等)ごとに担当が配置されており、以下では我々の日々の具体的な仕事について紹介したいと思います。

私は現在、主として日本経済の中期的な見通しを取り纏める仕事をしています。見通し作業において各コンポーネント担当は、タイムリーな分析を実行しながら、best available informationに基づき見通しを作成します。ただ、これらを単に集計しても、マクロ経済学の理論やデータの長期的傾向から大きく乖離することがあります。そこで、私の具体的な役割は、経済見通しとマクロ経済理論等との整合性を調整しながら、目先3年程度の経済の見通しの姿を仕上げていくことおよび見通しの考え方を支える分析を各担当と一緒に示していくことです。分析においては、テーマ選びの段階から各担当とアイデアを出し合い、方向性が決まってからは直接分析に加わることもあります。最近では、インフレ指標と景気循環の関係や、原油安が実体経済に及ぼす影響といったテーマを扱う機会があり、これらの成果は、各種リサーチペーパーで公表したり、金融政策決定会合での決定を経て公表される「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の背景となる分析として活かされています。経済学を専攻し、これらのツールを使いながら日本のために働きたいと、就職活動の時点から考えてきた私にとって、今の仕事は、大変刺激的で充実感を伴うものとなっています。

景気の「現在」を知るという点については、その第一歩は、日々公表される統計の分析から始まります。当グループがフォローしている統計は、ほぼ毎日何かしら公表されておりますが、各担当はそれらが出るや否や、詳細な分析に追われます。私が以前担当していた物価担当を例にとりますと、消費者物価が発表される日は、発表直後から物価の基調に大きな変化がないか、個別の品目にわたって入念に点検していきます。担当したての頃は「なんで自分はうなぎの蒲焼のような細かい価格動向についてここまで考えなくてはならないのか」と思ったこともありました。ただ、日々の統計には、全体の傾向とは異なる個別の要因が含まれているため、「現在」を的確に評価するためには、それらの要因を除いた所謂「実勢」に変化が生じていないか見極めていく必要があります。こうした短期的な情勢判断には、個別品目の価格動向は有効ですが、物価の中期的な見通しになりますと、マクロ的な視点に切り替えてその背後にあるメカニズムを考えていくことが欠かせません。経済学の教科書の域を超えて、このような生きた実感を持てるのも、中央銀行に注がれる視線のもと、物価を担当してきたからだと感じています。

このような分析中心の仕事をしていますと、中央銀行エコノミストにとっては何が重要か考えることがあります。中銀エコノミストの分析は、政策的な含意を有していることが求められるため、我々は時宜を得た分析を積極的に発信していく必要があります。守りの姿勢では何も生まれず、攻めの姿勢が肝要です。多少「肉食系」エコノミストの方がちょうどいいのかもしれません。また、マクロ経済理論や実証のツールについて腕を磨き続けることも重要となります。この点、エコノミストはシェフと似ているところもあり、腕を上げようと思っても、それは一夜にして達成されません。試行錯誤の連続です。例えば、面白い論文などに触発され、「こういう推計を今すぐやりたい!」と思い至っても既製のパッケージソフトが推計方法に十分対応していないことがあります。私の場合、こういう状況に直面したときには、入行後に留学したミシガン大学でマクロ計量経済を学んだ経験を活かして、自分自身でプログラムを書いて思い描いた分析を極力追及するようにしています。その過程でうまくいかないこともたくさんありますが、粘り強く続けることで、ツールの拡充につながりますし、ペーパーの執筆などに活かされたときには粘った甲斐が実感できるので一石二鳥です。大事なことは、一見無理そうでもまずはやってみることだと思います。

日本銀行におけるキャリアディベロップメントという点では、現在の調査統計局に配属される前は、新人時代の青森支店、金融機構局、ミシガン大学への留学、企画局で仕事をしてきました。いずれも、現在の仕事をしていく上では欠かせない経験だったと実感しています。

基礎から確りと考える思考力

企画局では、金融政策決定会合の関連事務や、金融政策に関するリサーチをしていました。金融政策関連事務の内容は多岐にわたりますが、私の場合は、在籍した3年間の間に、政府主催会議の関連事務、日本銀行の幹部による各種講演の準備、国会対応、展望レポートの作成などを担当しました。これらの経験は、日本の社会システムがどのように機能しているかを知る上でも、大変有益でしたし、日本経済の重要な意思決定に関わっているという充実感もありました。また、この時に一緒に働いた諸先輩からも多くの刺激を受けました。留学直後で完全に「経済学モード」に浸っていた私にとって、政策実務と経済学がどのように繋がっているのか分からないことがたくさんありましたが、先輩達は折をみて真摯に議論に付き合ってくれました。彼らと一緒に働くことを通じて、日本銀行職員は「どんな考え方も一旦受け入れて、基礎から確りと考える思考力」を有した職員が多いと実感し、自分もそういう人間を目指していきたいと思いました。

企画局におけるリサーチ活動も今の分析力に繋がっていると実感しています。当時の私は、ほとんど実務上のリサーチ経験がない状態でしたが、諸先輩の徹底的な指導のもと、国債買入れが長期金利に与える効果についての分析や、国債買入れに伴う金融機関のポートフォリオ・リバランスについて論文を執筆するなど、政策効果に関する分析を多く扱うことができました。この点については、これまで学んできた経済学のツールや金融機構局での経験が直接活かせたという点で、大変実りのある期間となりました。

日本のために

日本経済という巨大な経済が抱える課題は、金融政策上の課題のみならず、財政のプライマリーバランス改善や、成長力強化などたくさんありますが、金融政策でこれらの問題を全て解決することはできません。こうした中で、自分のできることは、大好きなこの日本のために、経済学のツールを磨き続けて、それらを活かしながら、金融政策はもはや日本の課題ではない、といわれる日に向けて邁進していくことだと思っています。

Y.H. さんのあゆみ

2006年4月 総務人事局 入行
2006年4月 青森支店
2007年9月 金融機構局
2009年7月 米国ミシガン大学大学院留学
2011年5月 企画局
2014年6月 調査統計局

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