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【総合職】金融機構局 A.M. さん

リーガルマインドを駆使して社会の基盤整備に取り組む

A.M. さん

総合職
金融機構局 総務課
信用政策企画グループ
(現 企画局 企画調整課 主査)

時代の形に合った中央銀行の機能について考える

金融機構局の信用政策企画グループで、金融システムの安定を確保するための制度整備に携わっています。日米のロースクールで培った法知識や比較法的観点、法的分析力を総動員させながら日々の仕事に取り組んでいます。以下では、私が取り組んでいる仕事の内容と、仕事を通じて感じてきたことをお話したいと思います。

皆さん、「最後の貸し手」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本銀行は、一時的な資金不足に陥った金融機関に対して、他に資金の供給を行う主体がいないような状況で、金融システム全体への危機の連鎖を回避するために、文字通り「最後の貸し手」として資金を供給することがあります。これは、中央銀行の歴史の中で昔からみられる機能です。近年、リーマン・ショックを契機とする国際金融危機以降、再び危機を起こさないという観点から、様々な国際金融規制が強化されました。その一環として、国際的に活動する金融機関(G-SIFI)が危機に直面した際に、各国の関係当局が連携し、金融システムの混乱を回避しながら再建・破綻処理を行うための国際的な指針が策定されました。日本でも預金保険法が改正され、秩序ある処理を行うための新しい制度が導入されました。このように国際基準や法制度が時代とともに変化していくのに合わせて、「最後の貸し手」として日本銀行が発揮すべき機能を整理し、実務面での対応に繋げていくことが私の仕事です。

実際の仕事は、まず、日本銀行が資金の供給を行う際の実務面での課題を点検することから始まります。日本銀行は、通常、取引先の金融機関から担保を徴求して資金を供給しています。しかし、金融システムの安定を確保するために「最後の貸し手」として資金供給を行う場合には、担保の要件を緩和したり、無担保で資金を供給したりすることがあります。万が一、金融機関が破綻した場合には、必要に応じて、破綻処理業務を担う預金保険機構に対して資金の貸付けを行うこともあります。また、近年、日本の金融機関は海外の活動を拡大させており、外貨の確保も課題となっています。このように、日本銀行はストレスの深度に応じて様々な形で資金を供給することで、金融システムを支えています。それには様々な実務が絡むため、資金供給を行うためのスキームは、金融ビジネスの環境変化に対応し、いざという時に「使える」仕組みとなるよう、常にアップデートされている必要があります。私自身、「金融機関や金融市場がどのような状態であればどのような形で資金の供給を行うことが可能か」、「新しい破綻処理スキームが発動された場合に新たに問題となる点は何か」といった点を自問自答しながら関連する国際基準や法律の内容を確認し、丹念に整理しています。

次に、国内外の関係当局との連携体制についても検討します。国内では、政府や預金保険機構との連携が重要になります。金融機関が危機に直面した際に、金融システムの混乱を回避しながら対応策を講ずるためには、それぞれの役割を繋ぎ合わせながら資金の供給を行ったり、行政措置を発動したりする必要があります。スムーズな連携を可能とするために、政府や預金保険機構の担当者とは日ごろから頻繁に議論し、検討を重ねています。また、日本の金融機関が拠点を有する外国の当局と、危機時の対応や連携の図り方について事前に確認しておくことも重要です。各種の国際会議の場で討議したり、クロスボーダーでの当局間の協力のあり方について取極めを締結したりするなど、様々な取り組みを行っています。破綻処理制度や中央銀行の機能の違いを越えて目線を揃えることは容易ではありませんが、相違点をしっかり踏まえた上で、日本の制度や日本銀行の施策について丁寧に説明することを心がけています。

このような危機対応策に関する自分の検討結果が、危機を未然に防止するための具体的な方策に繋がることもあります。例えば、新しい再建・破綻処理スキームと日本銀行の資金供給機能の関係について整理した結果が、日本銀行が行っている金融機関のオフサイト・モニタリングや考査を担当する部署に還元され、潜在リスクを特定するための新たなアプローチの導入に繋がりました。また、危機対応策の検討を通じて浮き彫りとなったリスク管理上の課題を金融機関と共有することで、平時におけるリスク管理体制の向上に繋がることもあります。現在進行形で金融システムの安定に貢献しているとの実感が得られ、大きなやりがいを感じる瞬間です。

初心を軸に、想いを形にしていくこと

過去に遡ると、法律の知識を活かしながら、社会を支えるための仕組みづくりに携わりたいという想いを胸に、日本銀行を志望しました。6年目となった現在、まさに原点とも言える業務に従事できる環境を有難く思っています。

入行後は、決済機構局、那覇支店、発券局での業務を経験し、米国ハーバード大学ロースクールで1年間学んだ後、現在の部署に配属されました。各部署での業務経験は、いずれも現在の仕事に役立っています。

発券局では、偽造券の流通防止や日本銀行券の利便性を高めるための仕組みづくりに携わりました。日常生活で「仕事の成果物(=綺麗な状態で流通するお札)」を手にする度に、人々の生活の基盤となる社会的インフラの整備に携わっているとの実感を得られる点で非常に新鮮でした。いずれの仕組みも、行内外の様々な関係者の知識や経験なくしては成り立たないものであり、発券局での業務を通じて、良い制度をつくるためには立場の異なる関係者と信頼関係を構築し、様々な切り口から検証することの重要性を学びました。

留学先では、米国の金融規制・監督法制や国際的な金融制度を学びました。個々の制度の内容だけでなく、英米法の基本的な思考プロセスや米国金融システムが形成された法的・政治的バックグラウンド、国際金融規制に対する多様な視点を学んだ経験は、国際的な議論における海外当局の立場を理解する上で重要な基礎となっています。また、日本の制度について説明する機会も多く、国際的な文脈で日本を捉える良い機会となりました。

知を結集しながら、社会のためにできることを考える

日本銀行での仕事の醍醐味は、金融経済、法律、会計、統計、IT等、全く異なる専門性を有する同僚達と知を結集しながら、金融機関との取引や制度設計等を通じて目的を実現していく過程にあると思います。現在の職場でも様々なバックグラウンドの人がいます。それぞれ持ち味は異なりますが、社会の仕組みを支えるという共通の目標の下で、強い結束力が生まれていると感じています。まだまだ勉強を重ねる日々ですが、上司や同僚と率直な意見を交わす中で、大局的な物の見方や議論の整理の仕方、物事の伝え方等を学べることは、日本銀行という職場の魅力のひとつです。

また、世界レベルで見た場合にも、「セントラルバンカー」としての使命感は各国の中央銀行の職員が共通して持っているものであり、こうした広い意味での同僚達とともに、よりよい社会の実現に貢献していくことが今後の大きな目標です。

A.M. さんのあゆみ

2010年4月 決済機構局 入行
2010年11月 那覇支店
2012年4月 発券局
2013年6月 米国ハーバード大学大学院留学
2014年8月 金融機構局

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