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【総合職】ニューヨーク事務所 T.K. さん

南北アメリカ発ダイナミズムの日本への含意を読み解く

T.K. さん

総合職
ニューヨーク事務所

世界の投資家が息を呑む「米国東部時間14:00」

──午後2時。「The FOMC kept its monetary policy unchanged...」とのレポーターの声を耳に入れながら、情報端末に表示される株・債券・為替・コモディティ関連のチャートの動きにも目を通しつつ、米国連邦準備制度の金融政策決定会合の結果について、本店への報告レポートの作成に取り掛かります。今回の会合では金融政策そのものに変更はありませんでしたが、先行きの政策運営に関する「フォワード・ガイダンス」が変更され、金融市場は大きく反応しています。イエレンFRB議長の記者会見がスタートする午後2時30分までの間に、金融政策に関する声明文、GDP成長率・失業率・インフレ率の見通し、先行きの政策金利パスに関する資料の内容を確認。そうこうする内にイエレン議長の声が聞こえ始めます。公表資料は一見するとややタカ派的な内容と思われましたが、議長の冒頭発言、記者との質疑応答を聞く限りでは、バランスの取れた内容にも思えます。民間エコノミストによる解釈も参考にしつつ、正確かつ簡潔に内容・含意を纏めた報告レポートの作成作業がしばらく続きます──

ニューヨークでの駐在員業務

本行ニューヨーク事務所は、マンハッタンの南端ダウンタウンにあるウォール街の一角、NY連銀の斜向かいにオフィスを構えています。2001年9月11日の同時多発テロ以来、民間金融機関のミッドタウンへのシフトは収まらず、ウォール街は金融当局ゾーンとしての色彩を濃くしています。当地に駐在して一年半が経ちますが、これまでのキャリアを交えながら、駐在員業務の経験をご紹介します。

長女を現地校に送った足でオフィスに出勤後、まずは社内メールのチェック。今朝は、黒田総裁が参加するIMF世銀年次総会・G20会合に伴う出張業務の続報が、東京の本店から来着。国際金融システムの再構築に向けた本行の貢献を示す象徴的なイベントの一つです。総会は三年に一度、ワシントン以外の場所で開かれますが、今回は南米ペルーの首都・リマが会場となります。国際局(国際連携課)にて三年前の東京総会時にIMF関連業務の担当者であった経験や、トルコなど新興国で開かれたG20下部会合への参加経験を活用することが期待されています。

一通りメールをチェック後、グローバル金融機関のセルサイド・エコノミストと米国の金融経済情勢について議論すべく、アップタウン方面の地下鉄に乗り込みます。今回の面談相手はFRBでの勤務経験がある著名エコノミスト。景気展開のメインシナリオとそれにまつわるリスクに加えて、金融政策正常化(normalization)に向けた論点についても議論を深めます。国際局(国際調査課)ではユーロ圏経済の分析を担当しましたが、「低成長・低インフレ均衡」に陥るリスクへの懸念は米国ですら強く、当時の分析枠組みが活用できる場面も少なくありません。

面談後、マンハッタンで最も格式が高いと言われるパークアベニュー沿いにある、バイサイドが多数入るオフィスを訪問。彼らのポジション調整がドル円相場のドライバーとなる例も珍しくないため、定期的に彼らのビューを確認しています。今回は世界的に有名なヘッジファンドのCIOらとの面談ですが、本行の展望レポートが公表されて間もないこともあり、先方からのコメントや質問は多岐に亘ります。企画局(政策企画課)や調査統計局(経済調査課)において、展望レポートや金融経済月報の作成チームに在籍していた経験を活かして対応しつつ、日本経済に対する投資家の率直な意見の収集に努めます。この点、英国ロンドン大学ユニバーシティカレッジで経済学修士号を取得する過程で得た、経済分析のための思考枠組みは、議論を深める上で大いに活用されています。

午後、ダウンタウンに戻り、NY連銀の金融機関監督局やNY州金融サービス局と、邦銀のビジネス動向などについて意見交換。邦銀の米国でのビジネス拡大はM&Aなどを通じて継続していますが、米国はなお金融システム再構築の途上にあり、2016年7月にはFRBによる強化されたプルーデンス基準の遵守期限が迫っています。また、米国金融市場における巨大な資金の出し手であるMMFに対する規制改革の施行を2016年10月に控える中、邦銀のドル調達への影響に注目が集まっていることもあり、議論には熱が入ります。ワシントンのFRBやサンフランシスコ連銀の銀行監督規制局などとも意見交換すべく、近々出張を予定しています。

その後オフィスに戻り、自席での業務作業をようやく開始。米州の新興国は緩和的なドル調達環境を背景にドル建て負債を積み上げてきましたが、FRBの金融政策正常化に向けた思惑などから、為替相場など金融市場の変動が大きくなっています。中米の大国・メキシコの政策当局者とグローバル経済への負の波及効果も含めて意見交換すべく、ここ数日、大蔵公債省や中央銀行などの局長クラスとのアポイントを入れています。メキシコは西半球で有数の原油産出国・自動車製造拠点であり、神戸支店での産業調査時代に担当した企業も含め日系企業の進出も加速しているため、この点のヒアリングも欠かせません。

あっという間に過ぎるビジネスアワー後は、各種調査案件の精査。米国はいわゆるシェール革命によりサウジアラビアと比肩する世界最大の産油国ですが、原油価格の動向が実体経済・物価に与える影響は甚大であるため、NYの原油トレーダーやマーケットメイカー、ワシントンのエネルギー当局などと、需給バランスや価格動向に関する面談を続けています。近いうちに、シェールオイルの探鉱・開発企業や関連サービス企業のCFOらとの面談を行うべく、関連企業の拠点が集積するヒューストンへの出張計画を起案していたところ、NY連銀の若手との飲み会の時間が迫っていることに気付き、急いで事務所を出ることにしました──NYの慌しさの中で、駐在員は、地の利を活かしたインテリジェンス活動を通じて南北アメリカの金融経済の様々なダイナミズムを日々実感しながら、溢れんばかりの情報を正確に整理して日本への本質的な含意を読み解き、本行の政策目標の実現に貢献しています。

「やりがい」と日本銀行

就職活動中に話題に上る一方なかなかイメージが掴めないものが「やりがい」だと思います。私自身は、やりがいとは、「こうありたいと思う姿に向かう過程でふとした瞬間に感じるもの」だと捉えています。「どのような自己実現を遂げたいか」については個人の価値観がまさに投影されるところですが、中央銀行サービスの使命と誇り、「for the public, in the market」という業務の奥深さ、常に新たな学習を求められる環境は、自らの絶え間ない成長に向けた大きなドライバーであると、私は強く思っています。

職業としての中央銀行業・職人としての中央銀行員

日本銀行の設置目的は、日本銀行法第一条、第二条により、「物価の安定」・「金融システムの安定」と規定されています。本行のあらゆる中央銀行サービス業務はこの両者を達成するためのものであり、その社会的意義は、利益追求による社会厚生の最大化の担い手である民間企業と同様に大きいものです。私は、本行に期待されている中央銀行サービスの付加価値の創造に貢献すべく、中央銀行サービス業務の職人を目指して、いかなる状況下でも揺るがない信念としなやかな判断力の獲得に向けた研鑽を、強い責任感・現場感と共に、チャンスを逃すことなく続けて行きたいと考えています。

T.K. さんのあゆみ

2007年4月 総務人事局 入行
2007年4月 神戸支店
2008年9月 調査統計局
2009年7月 企画局
2010年7月 英国ロンドン大学ユニバーシティカレッジ大学院留学
2011年9月 国際局
2014年6月 ニューヨーク事務所

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