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【特定職(業務分野特定タイプ)】福島支店 R.N. さん

地域における中央銀行業務の最前線で

R.N. さん

特定職 業務分野特定タイプ
福島支店 業務課長

中央銀行業務の実行部隊

私が所属している福島支店業務課は、「銀行の銀行」と「政府の銀行」として、地域における日本銀行の中央銀行としての業務を実務面から支えています。「銀行の銀行」としては、日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)を通じて金融機関との間で日本銀行当座預金の受払に関する決済を、「政府の銀行」としては、国税や社会保険料の受入れ、年金や公共事業費の支払いといった国庫金の取り扱いのほか、国債の元利金に関する決済を行っています。

一口に日銀当座預金の受払と言っても、日本銀行券の発行還収から金融機関同士の内国為替取引、手形交換などの民間決済システムにおける最終的な資金決済、金融調節手段としてのオペレーション、金融機関に対する貸付まで、その種類は多岐にわたります。また、決済の中には、厳密にスケジュールが決められていて、少しの遅れが日本の決済システム全体に影響を及ぼすものもあることから、正確で迅速な作業が求められます。国庫金も取り扱う会計によって根拠となる法令が異なるなど、誤りのない事務遂行には高度な知識が必要となります。

支店業務課長は、チームのリーダーとしてメンバーを牽引し、日々、担当地域におけるこれらの決済を安定的かつ確実に運行する役割を担っています。まず朝一番のミーティングにおいて、メンバーとその日に予定されている取引等の事務予定について確認し、注意すべき点などの共有を行います。その後、各取引をタイムスケジュールに沿って決済するほか、金融機関の決済状況についてモニタリングを行っていきます。複数の決済を同時並行的に処理するために、常に進捗状況を把握しながら、時には臨機応変な判断・対応が求められ、全ての業務が終わるまで気が抜けません。

決済にトラブルが発生した際はチームが一丸となって対応にあたりますが、「原因は何か」、「他の決済に影響はないか」、「解決するための時限(猶予時間)はどれくらいか」といったその時々の状況を判断したうえで、対応策の検討と関係機関との調整を行います。無事解決に導くことは、緊張感はありますが、中央銀行の決済業務に携わる者として責任感と達成感を同時に味わうことができます。

また、メンバーの個別のキャリア形成を勘案しつつ、ローテーション、研修、勉強会を企画し、人材育成を行うなど組織マネジメントに携わるほか、支店運営全般についても多角的な視点を持って関与することが求められます。

“当たり前”を守るために

資金決済は電気や水道と同じように、インフラとしても重要な意味をもちます。例えば、ある日突然、ATMから預金が引き落とせなくなったら、買い物代金の振り込みができなくなったら、どうでしょうか?企業や国民の皆様が日々“当たり前”に利用されている決済インフラですが、日本銀行はその提供者として、どのような有事においてもその“当たり前”を提供し続ける必要があります。東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震といった災害が発生した際も、被災地の支店を含めた日本銀行は、わが国の決済・金融機能を維持すべく、一貫して必要な業務を継続しました。

有事に安定して業務が継続できるかどうかは、平時にどれだけ備えを行っていたかで決まります。日本銀行では、日銀ネットを始めとした各種システムには強固なバックアップを構築していますが、それだけでは十分とは言えません。なぜなら、システムを有事において運行するには異例事態に対応できる“人”の力が必要であり、また、決済インフラは日本銀行だけではなく、金融機関・官庁といった外部機関も含めて機能するものだからです。このため、チームにおいて定期的に実戦さながらの訓練を企画し、いかなる状況においても中央銀行としての役割を最大限発揮できるような体制を整えるほか、取引先である金融機関・官庁と連携し、緊急時の連絡手段の確保や業務継続体制の構築をサポートすることで、地域全体の決済インフラを頑強に保つことも支店業務課長に求められる役割です。

経験の積み重ねを力にする

支店業務課長としての役割を果たすうえでは、これまで日本銀行で歩んできた各部署での経験が大いに活かされています。

松本支店で発券課、業務課、総務課を経験し、業務分野を「決済業務」に特定した後に配属された国際局国際業務課では、国と日本銀行の外貨準備の取引・経理事務に携わりました。外国通貨を利用した資金・債券取引は各国の関連法・市場慣行に精通する必要があり、理解するまでは非常に苦労しましたが、そこで得た知識は後のキャリアにおいて国内市場における決済制度を考えるうえで役立ちました。また、リーマンブラザーズ破綻に端を発したグローバル金融危機の際は、通貨スワップや外貨建オペレーションといった外貨を利用した金融危機対応に参加しました。前例の無い取引を短期間で検討し実行に移すことは困難でしたが、志を同じくする各国のセントラルバンカー達と協力しながら危機対応にあたった経験は、決済業務の道を歩んでいくうえでの使命感・責任感の源となっています。

業務局総務課では、外国中央銀行と金融機関との海外預り金取引に利用するシステムの開発と制度構築のためのプロジェクトに携わりました。プロジェクトでは、新たな取引方法の導入、世界的な決済データ高度化への対応、海外の決済システムへのスムーズな接続といった複数の目的を達成する必要がありましたが、専門性を有するメンバー達とそれぞれの知見を持ち寄って検討を重ね、実現方式を導き出しました。また、新制度について理解を得るためにユーザーである金融機関や関係部署と繰り返し意見交換を行いました。

その後に配属された、業務局営業業務課では日本銀行の金融調節手法である各種オペレーションの実務に携わりました。金融政策手段は多様化しており、また緊急かつ臨時的に導入されるものも少なくないため、実務部署においても政策導入の都度、システム化の要否、事務フローの検討、金融機関のバックオフィス部署との調整など機動的かつ柔軟な対応が求められました。

こうした業務局での経験は、支店における各種プロジェクトの司令塔として企画・主導する業務課長の立場となった今、非常に役立っています。

“継続”と“進化”の両立

決済業務は、日本銀行法第1条2項において「資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資する」と規定されているとおり、日本銀行の設置目的の根幹を成す業務であることは変わりません。一方で、オンライン決済の普及や決済処理のグローバル化のほか、近年ではFinTechと呼ばれる新しい情報技術を活用した金融イノベーションが世界的に注目を集めるなど、決済を巡る環境は常に変化し続けています。安定的かつ確実な業務を継続して行うこと、外部環境に適応しながら効率的かつ高度な仕組みに進化させていくこと、一見相反する内容ですが、これを両立させることが決済業務の醍醐味でもあります。今後も自己研鑽を積みながら、円滑な決済を通じて国内・地域経済に貢献していきたいと考えています。

R.N. さんのあゆみ

2003年4月 松本支店入行 発券課
業務課 総務課
2007年7月 国際局
2011年7月 業務局
2017年7月 福島支店業務課

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