質問フェイル、フェイル慣行とは何ですか?
教えて!にちぎん
回答
フェイルとは、取引当事者の信用力とは異なる理由により、当初予定していた決済日が経過したにもかかわらず、債券等の証券の受渡しが行われないことをいいます。債券取引では、平時でも需給がひっ迫した場合にはフェイルの発生がみられます。仮に、フェイルを認めない場合、ディーラー(証券会社など)は受渡予定の債券を予め確保したり、受渡しの不確実な債券について投資家への価格の提示を控えるといった対応が必要となる可能性があります。フェイル回避のため、需給がひっ迫している債券を高いコストで調達して受渡ししようとすることは、価格形成に影響を及ぼすだけでなく、需給を一段とひっ迫させ、更なるフェイルを誘発する原因ともなり得ます。
フェイル慣行とは、決済予定日までに債券の受渡しが行われていなくても、そのことのみをもって債務不履行とはせず、これを容認する市場慣行です。フェイル慣行の定着は、市場流動性の維持・向上の観点や、災害・システム障害の発生などの緊急時への備えとして、極めて重要です。
わが国の国債取引に関するフェイル慣行については、日本証券業協会が取りまとめた「国債の即時グロス決済に関するガイドライン」や「債券のフェイル慣行の見直しに関するワーキング・グループ最終報告書」で、基本的な考え方が述べられていますので、併せてご覧ください。
関連ページ
フェイルの発生状況に関するデータについては、「フェイルの発生状況」をご覧ください。
参考
- 日本証券業協会のホームページ(外部サイトへのリンク)
- わが国フェイル慣行の更なる定着に向けた見直しについて─日証協WG最終報告を踏まえた市場慣行見直しの動き─(金融市場局、日銀レビュー 2010-J-9、2010年6月)