ホーム > 日本銀行について > 講演・記者会見・談話 > 講演・記者会見(2010年以前の過去資料) > 講演・挨拶等 2005年 > 第80回信託大会における総裁挨拶要旨(武藤副総裁代読)

第80回信託大会における総裁挨拶要旨

(武藤副総裁代読)

2005年 4月18日
日本銀行

 本日は、第80回信託大会にお招き頂きまして、誠にありがとうございます。また、信託銀行の皆様におかれましては、平素より、日本銀行の政策や業務の運営に多大なるご協力を頂いております。本席をお借りして、あつくお礼を申し上げます。

 わが国経済は、昨年夏以降、景気の「踊り場」が続いています。IT関連財の生産・在庫調整が深まったことなどから、生産面に、ひと頃弱めの動きがみられたほか、成長率もほぼ横這いで推移しています。もっとも、景気回復の基本的なメカニズムはしっかりと維持されており、最近では、生産も横這い圏内に持ち直しております。わが国経済は、遠からず「踊り場」を脱し、持続性のある成長軌道に向けて回復を続けていくものとみています。

 この間、企業部門の生産性の向上や人件費の抑制を背景に、景気回復に物価が反応しにくい状況が続いており、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のマイナスが続いています。先行きについても、規制緩和等に伴う電気・電話料金の引き下げの影響もあって、当面小幅のマイナスで推移すると予想されます。

 日本銀行は、現在、「消費者物価指数の前年比が安定的にゼロ%以上となるまで量的緩和政策を継続する」という約束に基づいて、金融市場に潤沢な資金供給を行っています。消費者物価指数の前年比が小幅のマイナスを続けている現状においては、この約束に沿って粘り強く金融緩和を続けることで、日本経済を金融面からしっかりと支援して参る所存です。

 次に、金融システム面について申し上げます。この4月1日から予定通りペイオフが全面解禁され、わが国の金融システムは新しい時代を迎えることとなりました。この間、預金者や金融機関の動向は落ち着いたものとなっており、ペイオフ全面解禁は円滑に実施に移すことができたと思います。

 今後は、金融機関のリスク管理の高度化や仲介チャネルの多様化といった「金融の高度化」を図ることにより、金融システム全体として機能度や頑健性を向上させていくことが重要です。日本銀行としても考査・モニタリング等を通じ、金融の高度化に向けた関係者の取組みを支援していきたいと考えています。こうした観点からは、信託業界の皆様が、多様化する企業や家計のニーズにしっかりと応えていくことが期待されます。特に、今回の信託業法改正を機に、幅広い信託業務の担い手が、信託の持つ仕組みの柔軟性をベースに、それぞれの専門性を活かして特色ある商品やサービスを提供していくことが望まれます。そうした信託業界の皆様の創意工夫が、日本経済の持続的、安定的な発展に一層貢献していかれることを祈念して私のご挨拶とさせて頂きます。

 ご清聴有難うございました。

以上