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【挨拶】最近の金融経済情勢と金融政策運営

静岡県金融経済懇談会における挨拶要旨

日本銀行政策委員会審議委員 石田 浩二
2011年12月7日

目次

1. はじめに

日本銀行の石田でございます。本日は、静岡県の経済界ならびに行政を代表される皆様に懇談する機会を賜り、大変嬉しく存じます。また、日頃より、日本銀行静岡支店の業務運営にご協力いただいておりますことを、この場を借りまして改めて御礼申し上げます。

金融経済懇談会は、日本銀行の政策委員会 --総裁のほか、副総裁2名、審議委員6名の計9名で構成されています-- のメンバーが国内各地を訪問し、金融政策に関わる事項についてご説明申し上げるとともに、各地の金融経済の現状や日本銀行の政策に関する貴重なご意見を拝聴する機会として開催しております。

本日は、皆様から、地元経済の現状に関するご意見や、日本銀行に対するご要望などを直接拝聴させていただき、今後の金融政策運営に大いに参考にさせていただきたいと思っております。忌憚のないご意見をお聞かせくださいますようお願い申し上げます。

それでは、まず私の方から、わが国の金融経済情勢および日本銀行の金融政策についてお話させていただきます。その後、皆様からのご意見等を拝聴させていただきたいと思います。

2. 最近の金融経済情勢

(1)リーマンショックから震災前まで

2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻以降、世界経済が急速に収縮するもとで、わが国経済も大きく落ち込み、08年10-12月期より、2四半期連続で年率10%を超える大幅なマイナスとなりました。その後、在庫調整の進捗や各国における大規模な景気刺激策の効果などにより海外経済が持ち直すなかで、わが国経済も緩やかな回復に転じつつありました。10年秋口には、一時的に改善の動きが弱まりましたが、11年入り後は、海外経済の成長に牽引され、改善テンポの鈍化した状態から脱しつつありました。

これを民間エコノミスト1による11年度の成長率見通しの変化の推移でトレースしてみますと、10年半ばに+2%弱となった後、徐々に下方修正されていましたが、11年入り後は上方修正に転じ、今年の3月時点の見通しでは+1%台後半の成長が見込まれていました。私自身は、当時はまだリース会社の経営に携わっていましたが、今年の1、2月頃は、全体に緊張がほぐれ、11年は良い方向に向かっていると実感していたことを覚えています。

  • 1 社団法人経済企画協会が毎月公表しているESPフォーキャスト調査を参照。

(2)震災の影響:供給面の制約とその解消

そうした流れが、本年3月の東日本大震災の発生により大きく崩れました。多くの場合、景気の悪化は需要の減退によって生じるものですが、東日本大震災発生後は、供給面の制約によりわが国経済は再び急激かつ大幅に落ち込むことになりました。

地震や津波、原発の事故により、サプライチェーンが寸断されたことで、年明け以降増加基調に復しつつあった生産や輸出は大幅に減少しました。また、電力問題への対応からデパートの営業時間が短縮されたり、各種イベントの開催が自粛されたほか、外国人旅行者が急減するなど、製造業以外でも様々な活動が委縮しました。こうしたもとで、企業や家計のマインドが冷え込み、国内民間需要も弱い動きとなりました。その後、関係者の必死の努力のすえ、寸断されたサプライチェーンは急速に復旧し、経済活動の持ち直しは、震災直後の大方の予想を上回るペースで進み、生産や輸出も夏場には概ね震災前の水準に復しました。

しかしながら、足もとでは、海外経済の減速や円高に加え、タイの洪水の影響が輸出や生産面を中心にみられていることもあって、わが国の景気は持ち直しの動きが続いているものの、そのペースは緩やかになっております。

(3)海外経済の動向

この間、海外経済は、リーマンショック発生後大きく落ち込んだものの、09年後半以降、急速に持ち直しました。回復初期局面における在庫復元の動きが一巡したこともあって、10年夏以降減速したものの、経済の回復基調自体は途切れませんでした。

しかしながら、11年半ば以降、先進国を中心に成長ペースが鈍化しています。米国経済については、一時、サプライチェーン問題などによる一時的な下押しとも言われておりましたが、基調的にみて、家計の過剰債務や住宅市場の調整が長引くもと、雇用の改善も緩慢なことから、回復のペースはごく緩やかなものにとどまっています。また、欧州経済は、一部の国の債務問題を背景とした金融環境や企業・家計マインドの悪化などから減速しており、足もとはほぼ横這い状態となっています。新興国・資源国については、既往の金融引締めの効果や先進国経済、特に欧州経済の減速の影響などから、成長ペースは幾分緩やかになっています。しかしながら、中長期的な成長期待が強いもとで、内需が堅調に推移していることから、総じてみれば、今後とも水準として高めの成長を続けていけるものとみています。

(4)今後の見通し

先行きを展望しますと、わが国経済は、海外経済の減速や円高の影響などから当面減速するものの、その後は海外経済の成長率が新興国・資源国に牽引されて再び高まり、震災復興関連の需要が徐々に顕現化していくことから、緩やかな回復経路に復していけるとみています。

日本銀行が10月に公表した展望レポートでは、実質GDP成長率の見通しは、11年度は震災の影響もあって+0.3%と低めの成長となりますが、12年度は復興需要の増加などもあって+2.2%、また13年度については+1.5%の成長を見込んでいます。12年度については、先にふれました民間エコノミストの直近の見通しも、2%台前半となっています。

こうしたもとでの物価についてですが、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比の推移をやや長めにみると、リーマンショック後の大幅な下落の後、マクロ的な需給バランスが緩やかな改善傾向を続ける中、09年末頃から下落幅は着実に縮小を続け、最近は概ねゼロ%となっています2。先行きの見通しについては、当面、ゼロ%近傍で推移するものの、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、マクロ的な需給バランスの改善を反映して、13年度にかけてゼロ%台半ばになっていくことが予想されます。

  • 2 消費者物価については、本年8月に、2010年基準の指数に切り替わり、前年比計数が本年1月分に遡って下方改定された。全国の総合除く生鮮ベースでの前年比下方改定幅は、1〜7月の平均で約0.6%ポイントとなった。下方改定の要因としては、旧基準で低下していた耐久消費財の指数水準がリセットされたことに伴い、その価格下落が指数全体に与える影響が高まったことの影響が大きい。

(5)先行きについての不確実性

もっとも、こうした見方については、様々な不確実性・リスクが存在します。10月の展望レポートでは、欧州債務問題を中心とする国際金融資本市場の動向に加え、海外経済の動向などを指摘していますが、ここでは足もとの最大のリスクといえる欧州債務問題に絞ってお話いたします。

a. 欧州債務問題の影響

欧州債務問題は、09年10月、政権交代により発足したギリシャの新政権が、同国の財政赤字がそれまで公表されていたものよりも大きいことを明らかにしたことに端を発しております。翌10年4月に、ギリシャはEU/IMFに支援を要請しました。その後、問題はより拡大し、同年11月にアイルランドが、また翌11年4月にはポルトガルが同じく支援を要請することとなりました。さらに、足もとではユーロ圏の大国であるイタリア・スペインへの伝播もみられており、これらの国々の国債の利回りが歴史的な高水準まで上昇しています。

欧州債務問題は、発生当初から、国債価格の下落が、こうした国債を多く保有する欧州金融機関の財務状況を悪化させ、これが貸出の抑制へ繋がり、企業・家計の経済活動を下押しし、実体経済を悪化させるとともに、財政赤字をさらに増加させ、一段の国債価格の低下を招くという「負の相乗効果」に繋がることが懸念されていました。夏場以降、こうしたリスクが急速に高まり、既に一部では顕現化しています。欧州経済の減速の強まりは、既に新興国の輸出に影響が出始めるなど、貿易取引を通じてグローバルに波及し始めています。また、金融市場の不安感が高まるなかで、グローバルな投資家の安全資産選好が強まっており、株式市場の下落を招いたり、相対的に安全とみられる資産に資金が集まることになっています。こうしたもとで、外国為替市場では円が買われているということであります。さらに、先行き国際金融資本市場において、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まることがあれば、新興国からの資金流出に繋がる可能性もあります。また、欧州金融機関では、ドル資産を圧縮する動き --いわゆるデレバレッジング-- もみられており、先行き、新興国向けの貸出が抑制され、貿易金融などに影響が及ぶことも懸念されます。

わが国の輸出に占めるユーロ圏向けの輸出は1割弱ですが、わが国の主たる貿易の相手国である米国、新興諸国のユーロ圏への輸出比率は高く、これらの国の景気の減速がわが国の輸出に与える影響が懸念されます。また、円高は、企業収益を下押ししますし、企業や家計のマインドを悪化させます。さらに、欧州債務問題が拡大し、国際的な金融市場の混乱に繋がれば、わが国も大変大きな影響を免れません。

b. 欧州問題の見通し

この欧州問題の帰趨については、現時点で確たることは言えません。当面、欧州の当事者が問題をしっかりと共有し、協力して問題の解決に当たることしか対策はありません。こうした当事者の姿勢・対策が、マーケットの信認を得られれば、とりあえず問題が次々と伝播し、加速度的に悪化していくことを防ぐことができると思っています。ただし、問題の本質は、財政状態や経済力の格差が大きな国々が単一の通貨を利用しているにも拘わらず、財政政策は統合されていないという構造にありますので、抜本的な解決には相当な時間を要すると思われます。抜本的な解決に向かうための時間をつくるうえでも、ひとつひとつの問題に対する処方箋を実行していくことが望まれます。

c. 欧州問題のインプリケーション

現在、ギリシャなどの各国の国債に非常に高い金利がついています。しかし、つい3年ほど前にはギリシャをはじめこれらの国々の金利は一番信用の高いドイツの金利とほぼ同程度でありました。一旦、国の信用が失われれば、如何に大きな打撃を受けるのかということが分かります。

翻ってわが国をみますと、政府債務残高の対名目GDP比は先進国では突出しています。現在、日本の国債金利が極めて低水準を保っている背景としては、大幅な経常黒字国であること、国債の国内消化率が高いこと、などが指摘されていますが、今後とも低水準の金利が続く確たる保証があるわけではありません。信認をしっかりと確保していくことが大変重要であると考えます。

3. 日本銀行の金融政策運営

次に、この間における日本銀行の金融政策運営について申し上げます。

(1)リーマンショック以降の金融政策運営

a. 強力な金融緩和の推進

まず第一は、強力な金融緩和の推進であります。日本銀行では、リーマンショック以降、政策金利の誘導目標水準を08年末までに実質的なゼロ金利である「0.1%前後」に引き下げました。また、09年12月には、0.1%の低利で長めの資金を供給する固定金利方式の資金供給手段も導入し、一層の金融緩和効果の強化・浸透を図りました。

さらに、昨年10月には、金融緩和を一段と強力に推進するために「包括的な金融緩和政策」を導入しています。まず、政策金利の誘導目標水準を、従来の「0.1%前後」から「0〜0.1%程度」に変更し、実質ゼロ金利政策を採用していることを明確化するとともに、金融面での不均衡の蓄積といった問題が生じていないことを条件に、物価の安定が展望できる情勢になったと判断されるまで、実質ゼロ金利政策を継続することを発表しております。また、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくために、固定金利方式の資金供給に加えて、国債やCP、社債、さらにETFやJ-REITといった多様な金融資産を買い入れる基金を創設しました。この基金の枠は、その後の経済環境の状況変化に対応して3回増額し、当初の35兆円程度から現在は55兆円程度まで拡充しています。足もとの買入残高は40兆円強ですが、買入期限である2012年末に向けて、今後、さらに15兆円程度の残高を積み上げることとなり、継続的に緩和効果を実現していく方針であります。

b. 金融市場の安定確保

第二に、金融市場の安定確保のための取り組みについてご説明します。リーマンショックや欧州債務問題をみても分かりますように、金融市場に一定のショックが加わりますと、金融機関の資金調達環境が悪化し、円滑な貸出活動に支障が出ることになります。日本銀行では、こうした金融機関の資金調達環境の悪化を防ぎ、個人・企業にとって円滑な金融環境を確保することに努めています。

リーマンショック直後には、連日数兆円規模の即日資金供給オペを実施しましたし、米ドル資金供給オペレーションの導入や適格担保範囲の拡大など様々な措置を講じました。本年3月の震災発生直後には、リーマンショック直後を上回る既往最大の資金供給のオファーを実施しています。また、米ドル資金供給オペレーションは、米ドル短期金融市場における緊張の高まりを受けて昨年5月に再開し、先週には主要6中銀間で連携して、貸付金利の引き下げなどを決定しました。この際には、米ドル以外の資金供給に備えた多角的スワップ取極の締結に合意するなどの協調対応策も合わせて講じました。

c. 成長基盤強化の支援

第三に、昨年6月に導入した成長基盤強化を支援するための資金供給についてお話します。これは、民間金融機関による成長基盤強化に向けた融資や投資の取り組みに応じ、長期かつ低利の資金を金融機関に提供するものです。本年6月には当初設定した3兆円の枠の上限にほぼ達し、成長分野向けの融資について呼び水としての役割を相応に果たす一方で、出資などの資本性を有する資金供給や従来型の担保・保証に依存しない融資を活発化させる工夫が必要との考えに基づき、出資や、売掛金・在庫などを担保とする融資 --いわゆるABL-- を対象とする5千億円の貸出枠を新たに設定しました。この制度が呼び水となり、中小企業などが不動産といった従来型の担保以外の資産を担保として活用することで、融資を受けやすくなることなどを期待しております。

(2)わが国の金融環境の現状

次に、こうした金融政策運営のもとでの金融環境の現状について申し上げます。各種の市場を点検してみますと、先ほど、金融市場の安定が大変重要であると申し上げましたが、わが国の金融環境は、国際金融資本市場の緊張が続くもとでも、安定度の高い状況にあると評価しています。

わが国では、企業の資金調達において、銀行借入のウエイトが高いことから、金融機関行動を巡る動向は、金融環境を評価するうえで、きわめて重要です。企業が実感する金融機関の貸出姿勢の緩和・引き締まり度合いを示すサーベイ調査は、リーマンショック以降、震災直後を含めて一貫して改善の動きが続いています。また、金融機関自身の貸出運営態度に関するサーベイ調査をみましても、欧州では貸出スタンスが慎重化している一方、わが国では積極的なスタンスが維持されていることを確認できます。

銀行の貸出金利については、米欧に比べて低い水準にあり、傾向として緩やかに低下しています。また、貸出金利に大きな影響を及ぼす短期金融市場の動きをみますと、銀行間の短期資金取引金利と国債金利とのスプレッド(LIBOR3か月物 --短期国債3か月物利回り)は、ユーロで大幅に上昇しているほか、ドルでも足もとやや上昇しているのに対し、円はきわめて低水準で安定的に推移しています。なお、皆様もご承知のとおり、企業は、国債金利などのリスクフリー・レートで資金を調達しているわけではありません。銀行間取引金利に信用スプレッド、或いは銀行の利鞘が加算されたものが、民間経済主体の調達金利となるわけです。統計の制約から、貸出のスプレッドを国際的に比較することは難しいのですが、社債のスプレッドを日米欧で比較してみますと、米欧のスプレッドが急速に拡大しているのに対して、わが国のスプレッドは低位で安定しています。

ちなみに、量的指標で現在の金融環境の緩和度合いを測ることは適切ではありませんが、しばしば量的にみた日本銀行の取り組みが足りないのではないかといったご指摘を受けることがありますので、あくまで参考として付言しておきますと、日本銀行が供給している通貨(マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」)の対名目GDP比率は、リーマンショック後に大幅に上昇したといわれている米欧の水準を大きく上回っており、足もとも上昇傾向にあります。

(3)今後の課題

この様に、わが国の金融環境は緩和の動きが着実に続いているわけですが、これが投資や消費などの実体経済の活性化に必ずしも繋がっておりません。わが国の成長率が趨勢的に低下し、物価も長く低迷するなか、企業・個人ともに将来の成長・所得の増加の見通しが低下し、これが現在の投資・消費を抑制しているのだと思います。さらに、少子高齢化の進展とともに、すでに就業者は減少に転じていることも、成長期待が高まりにくい要因になっていると思います。

こうしたもとで、経済の成長力を高めていくためには、まず第一に既存の資源の最大活用が必要です。足もとの労働市場をみますと、完全失業者は300万人弱ですが、その外数として、働く意欲があるにもかかわらず求職活動をしていない潜在失業者3が500万人弱存在しています。すなわち、800万人近い就業希望者がまだ残っているということです。これらの人の雇用の受け皿を用意できれば、所得が増加して消費を拡大し成長を高めることができます。また、税収を増加させるとともに社会保障関連費の圧縮にも繋がるという効果も期待されます。

わが国の雇用者の内訳を企業規模別にみてみますと、雇用者数500人未満の企業が総雇用の70%を、また100人未満の企業が50%を、担っております4。雇用問題の中心は中小企業問題だと思います。しかし、その中小企業の状況をみると、例えば短観の業況感の推移では、非製造業を中心に、バブル崩壊以降20年に亘ってマイナス領域で上下しております。中小企業の活性化をどう図っていくかが大変重要な課題だと考えます。

成長力を高めるため必要な第二の課題は、労働生産性の向上です。わが国は、経済環境が変化しているなかにあっても、米国などに比べて企業の開業・廃業率が低い水準にあるといわれています。開業・廃業率の低さは、わが国の産業の新陳代謝が進まず、これが生産性の上昇を妨げている可能性を示唆しています。グローバル化の進捗により、企業は海外にマーケットを見出すことができますが、中小企業の多くにとっては国内マーケットが主戦場ですので、国内マーケットの変化を受けて、成長が見込めなくなった企業が、より成長の見込まれる業態に転身したり、連携により事業領域を拡大したりすることによって、再生していくような仕組みや新規開業を容易にする仕組みを提供することが重要ではないかと思います。

中小企業の活性化のためには、中小企業自身の努力も必要ですが、政策的にもそうした努力を後押し、支援する明確な体制がこれまで以上に必要だと思います。

こうしたことによって、企業や家計の将来の成長への期待感が高まれば、投資・雇用増→所得増→消費増→投資・雇用増という成長のサイクルがしっかりと回り始め、日本の将来が明るくなるのだと考えている次第です。

日本銀行としても、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復帰するよう、今後とも、中央銀行としての貢献を粘り強く続けてまいります。

  • 3 労働力調査(総務省)における非労働人口のうちの就業希望者。就業を希望しているものの、勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにないなど適当な仕事がありそうにない、家事・育児のため仕事が続けられそうにない、といった理由から、求職活動をしていない者。
  • 4 2010年の非農林業・民間ベース(自営業・家族従業者は含まない。総務省、「労働力調査年報」)。

4. おわりに 〜静岡県経済について〜

最後に、静岡県の経済について、お話させていただきます。

当地の経済は、震災後の部材調達難がほぼ解消するなかで、持ち直しているとうかがっています。しかしながら、自動車関連をはじめとした輸出型産業が多く集積していることから、ここしばらくは、海外経済の減速や円高、タイの洪水被害などの影響を受ける厳しい局面が予想され、製造業を中心に先行きに対する不透明感が強くなっているようです。また、震災や原発事故に伴う影響は、観光業や農林水産業などでもみられています。

もっとも、当地は、日本列島のほぼ中央に位置し、東西に拡がりを持つという地の利を活かし、古くから生産・物流の要所として発展し、現在では製造品出荷額で全国第2位の県となっています。来年6月頃には、新東名高速が一部開通しますので、これを新たな物流の動脈として活かすことが期待されます。また、当地は、気候が温暖で、山や海といった豊かな自然にも大変恵まれています。農産物や水産物には収穫量や漁獲高等で全国1位の品目も多く、伊豆をはじめとする温泉地など観光資源も多く存在しています。本年9月には、富士山が世界文化遺産に推薦されることが決定しました。豊かな自然はこれからのわが国にとって貴重な資源ですので、大変素晴らしい動きだと思います。

静岡県の皆様が、こうした当地の特徴や優位性を十分に活かし、足もとの厳しい状況を乗り越え、さらに発展していくことを期待しています。

私からは以上です。長らくのご清聴、ありがとうございました。