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支店長会議総裁開会挨拶要旨(2011年4月)

2011年4月11日
日本銀行

(1)東日本大震災の発生に伴い、東北や北関東を始め、広範な地域で甚大な被害が生じている。犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様に対して、心よりお見舞いを申し上げたい。

(2)日本銀行は、震災後、被災地における現金需要への対応を始め、わが国の金融機能の維持と資金決済の円滑を確保するため、民間金融機関とも協力しながら、万全の措置を講じてきている。また、金融市場の安定確保のため、市場における需要を十分満たす潤沢な資金供給を行っているほか、リスク性資産を中心に資産買入等の基金を5兆円程度増額し、金融緩和を一段と強化した。さらに、先週開催した金融政策決定会合では、被災地の金融機関を対象に、今後予想される復旧・復興に向けた資金需要への初期対応を支援するため、長めの資金供給オペレーションを実施することが必要と判断したほか、今後の被災地の金融機関の資金調達余力確保の観点から、担保適格要件の緩和を図ることが適当と判断し、これら2つの措置について具体的な検討を行うこととした。

(3)震災後の金融動向をみると、金融機能は維持されており、資金決済の円滑も確保されている。金融市場は、全体として安定している。この間、金融環境は、総じて緩和の動きが続いているが、震災後、中小企業を中心に、一部企業の資金繰りに厳しさが窺われる。
 わが国金融システムをみると、全体として安定性を維持している。金融機関が増資や内部留保の蓄積を通じて自己資本の充実に努めていることや、決済システムが安定していることなどを踏まえると、今回の震災は、わが国金融システム全体の安定性を脅かすものではないと考えられる。もっとも、被災地域を始めとする国内金融経済動向や、それが金融システム全体に及ぼす影響については、引き続き注意深くみていく必要がある。

(4)わが国の経済については、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある。すなわち、震災後、生産設備の毀損、サプライチェーンにおける障害、電力供給の制約などから、一部の生産活動が大きく低下しており、輸出や国内民間需要にも相応の影響が及んでいる。
 先行きについては、わが国経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状態が続くとみられる。その後、供給面での制約が和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。
 物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、下落幅が縮小を続けている。先行きは、当面、小幅のプラスに転じていくと考えられる。

(5)日本銀行は、引き続き、震災の影響を始め、先行きの経済・物価動向を注意深く点検したうえで、必要と判断される場合には、適切な措置を講じていく方針である。