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【概要説明】通貨及び金融の調節に関する報告書衆議院財務金融委員会における概要説明

日本銀行総裁 黒田 東彦
2017年5月10日

はじめに

日本銀行は、毎年6月と12月に「通貨及び金融の調節に関する報告書」を国会に提出しております。本日、わが国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しくご説明申し上げる機会を頂き、厚く御礼申し上げます。

わが国の経済金融情勢

日本銀行は、4月末の金融政策決定会合において、2019年度までの経済・物価の見通しを「展望レポート」として取りまとめました。これを踏まえ、まず、わが国の経済金融情勢についてご説明申し上げます。

わが国の景気は、緩やかな拡大に転じつつあります。企業部門では、輸出と生産が、グローバルな製造業や貿易面の改善などを背景に、増加基調にあります。そうしたもとで、企業収益は高水準で推移しており、企業の業況感は業種の拡がりを伴いつつ改善しています。家計部門では、雇用・所得環境が着実な改善を続けています。失業率は2%台後半まで低下するなど、労働需給の引き締まりが続いているほか、今春の賃金改定交渉において4年連続となるベースアップが多くの企業で実現する見通しにあるなど、賃金も緩やかに増加しています。そうしたもとで、個人消費は底堅く推移しています。

先行きのわが国経済は、海外経済の成長率が緩やかに高まるもとで、きわめて緩和的な金融環境と政府の大型経済対策の効果を背景に、2018年度までの期間を中心に、景気の拡大が続き、潜在成長率を上回る成長を維持するとみられます。2019年度は、設備投資の循環的な減速に加え、消費税率引き上げの影響もあって、成長ペースは鈍化するものの、景気拡大が続くと見込まれます。

物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、このところ0%程度となっています。先行きについては、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくとみています。2%程度に達する時期は、見通し期間の中盤、すなわち、2018年度頃になる可能性が高いと予想しており、その後は、2%程度で安定的に推移していくものと見込んでいます。このように、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていますが、なお力強さに欠けていますので、引き続き注意深く点検していく必要があると考えています。

金融政策運営

次に、金融政策運営について、ご説明申し上げます。

日本銀行は、昨年9月の金融政策決定会合において、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。この枠組みのもとで、日本銀行は、経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促しています。4月末の金融政策決定会合では、短期政策金利を▲0.1%、10年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針の維持を決定しました。わが国の長短金利の動向をみますと、こうした金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが円滑に形成されています。

現在、世界経済が好転するもとで、わが国の景気の足取りもよりしっかりとしたものになってきています。しかしながら、2%の「物価安定の目標」までにはなお距離があり、これをできるだけ早期に実現するためには、現在の金融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を推進していくことが適切であると考えています。

ありがとうございました。