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阪和銀行に対する手形貸付にかかる特別措置に関する件

1996年12月6日
(議決日 1996年11月21日)
日本銀行政策委員会

阪和銀行は、バブル経済の崩壊とその後の不動産価格の低下等により資産内容の悪化が急速に進み、大蔵省検査の実態把握等を通じ、償却を要する資産の額が同行の自己資本の額を大幅に上回り、自主再建が困難であることが判明した。このため、大蔵省では、同行の今後の業務の継続が困難となったと判断し、平成8年11月21日、同行に対し、銀行法第26条の規定に基づき、預金の払戻しを除く業務の停止を命じることとなった。

金融機関の破綻に際しては、処理を先送りせず速やかに対処することが重要であり、阪和銀行についても、日本銀行が大蔵省と協議の上、預金者保護及び信用秩序維持を基本として、早急に抜本的な処理方策を取りまとめることが適当と判断された。具体的には、同行を整理、清算するための新銀行を設立した上で営業譲渡を行うこととし、その際、預金保険制度を活用して、預金者を保護しつつ整理、清算を円滑に進めることを基本とした処理を行うこととするのが適当と考えられた。

こうした処理方策の実施に至るためには、まず、阪和銀行が預金の払戻し等、業務停止命令に違反しない支払いを円滑に継続していくことが必要であるが、同行が金融機関等から通常の資金調達を行うことはもはや不可能であり、同行の預金払戻し等に要する資金の不足を回避するためには、日本銀行が当該資金を供与することが不可欠であると判断された。また、同行の財産の状況等からみて、当該資金供与に当っては、日本銀行が通常の手形貸付に際し徴求することとしている担保を徴求し得ない事態が生じるものと考えられた。

以上のような状況の下で、本委員会は、平成8年11月21日、信用制度全体の安定を確保する観点から、阪和銀行の経営問題に関する処理方策が実施されるまでの間、同行に対する手形貸付につき下記の特別措置を行うことを決定した(なお、日本銀行は、同日、日本銀行法第25条に基づき、下記2.の措置を実施するための大蔵大臣認可を得た)。

  1. 阪和銀行に対する手形貸付の担保については、日本銀行法第20条第2号に規定する担保品で従来手形貸付の適格担保としていない種類のものについても、担保として適当と認められるものに限り、次の要領によりこれを担保として徴求し得る扱いとすること。
    1. (1)各担保品の担保価格は、その市場性および信用力を勘案し、時価(時価のない場合は額面。)の80%を超えない範囲で定める扱いとする。
    2. (2)貸付利子歩合は、基準貸付利子歩合のうち「その他のものを担保とする貸付利子歩合」(「国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形」以外のものを担保とする場合の貸付利子歩合。以下、同じ。)を適用する。
  2. 上記1.の取扱いによっても担保品が不足する等やむを得ない場合には、阪和銀行に対し、日本銀行法第20条第2号に規定する担保品および平成2年12月13日付大蔵大臣認可(蔵銀第2669号)により担保として認められた証書貸付債権のいずれをも担保としない手形貸付を、次の要領により行うこと。
    1. (1)貸付金額
      同行の資金繰りを勘案し、同行が預金払戻し等大蔵大臣による業務停止命令に違反しない支払いを継続するための必要最小限の金額
    2. (2)貸付期間
      日本銀行が適当と認める期間
    3. (3)貸付利子歩合
      基準貸付利子歩合のうち「その他のものを担保とする貸付利子歩合」を適用する。

なお、日本銀行は、平成8年11月21日、阪和銀行の問題に関する対応につき、次のとおり、対外発表を行った。

阪和銀行について

平成8年11月21日
日本銀行

  1. 本日、阪和銀行及び大蔵省より以下の連絡を受けた。
    1. (1)阪和銀行は、バブル経済の崩壊とその後の不動産価格の低下等により資産内容の悪化が急速に進み、今般の大蔵省検査の実態把握等を通じ、償却を要する資産の額が同行の自己資本の額を大幅に上回り、自主再建が困難であることが判明した。
    2. (2)このため、大蔵省では、阪和銀行の今後の業務の継続が困難となったと判断し、本日同行に対し、銀行法第26条の規定に基づき、預金の払戻し(1億円以上の大口債務を負った預金者の債務相当額の定期性預金及び満期未到来の定期性預金を除く)以外の業務の停止を命じることとした。
    3. (3)かかる事態に至った経営責任を明確にするため、同行の新居頭取は辞任する。
  2. 一昨年来、金融機関の破綻が相次いで発生していることは誠に残念であるが、日本銀行としては、金融機関が破綻に陥った場合には処理を先送りせず、速やかに対処することが我が国金融システムの早期の機能回復につながるものと考えている。
    従って、今回の阪和銀行の問題についても、このような観点に立ち、今後、預金者保護及び信用秩序の維持を図ることを基本として、大蔵省と協議の上、早急に抜本的な処理方策を取りまとめる所存である。具体的には、当行を整理・清算するための新銀行を設立した上で営業譲渡を行うこととし、その際、預金保険制度を活用して、預金者を保護しつつ整理・清算を円滑に進めることを基本とした処理を行うこととしたいと考えている。
  3. また、阪和銀行が新銀行に営業譲渡されるまでの間、預金の払戻し資金が不足する場合には、日本銀行法第25条に基づく融資を行う等、必要資金の確保に万全を期す所存である。
  4. 預金については、これまでの金融機関の破綻時において、いずれの場合にも全ての預金者が保護されたのと同様に、今回も全ての預金が保護されることとなるので、預金者におかれては心配されることなく、良識ある行動を取られることを強く希望する。
  5. なお、大蔵省では、今回の措置により阪和銀行の健全な取引先に重大な支障が生じないよう、政府系中小企業金融機関及び民間金融機関に対し、適切な支援・協力を行うよう要請すると聞いている。また、手形交換所規則では、業務停止期間中、手形・小切手については、銀行取引停止事由に当たる不渡り処分とならない取扱いがなされることになっている。