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証券決済システムのディスクロージャーの枠組み(記者発表文)

(日本銀行仮訳)

1997年 3月10日
国際決済銀行

日本銀行から

G-10諸国の中央銀行の集まりであるBIS(国際決済銀行)の支払・決済システム委員会と証券監督者の国際的組織であるIOSCO(国際証券監督者機構)のテクニカルグループは、3月10日(月)『証券決済システムのディスクロージャーの枠組み』と題する報告書を共同で公表しましたので、その記者発表文仮訳を掲載します。なお、発表文の中でも触れられているとおり、BISとIOSCOのホームページ(http://www.bis.org/(外部サイトへのリンク)およびhttp://www.iosco.org/(外部サイトへのリンク))で閲覧できますので申し添えます。

報告書へ

記者発表文

各国の中央銀行、証券監督当局および証券決済システム運営主体は、証券決済システムに関するリスクの理解を深めるためにユニークな共同作業を実施し、今般「ディスクロージャーの枠組み」を完成させた。この枠組みに関する報告書—— 実質的には、証券決済システムがどのように機能するのかについて主要なポイントを網羅した質問集—— は、決済システム運営主体に対してこれに添った回答を勧奨するものであるが、システム参加者にとっても、「如何なる場合にリスクに晒されるのか」を理解するために必要な情報を得る一助となるはずである。

ディスクロージャーの枠組みの作成者

本ディスクロージャーの枠組みは、G10各国中央銀行で構成される支払・決済委員会(CPSS)および国際証券監督者機構(IOSCO)が、共通の関心事項について継続的に協力を行うことの一環として、共同で組成した作業部会により作成された。本報告書を出来る限り多くの証券決済システムにとって有用なものとするため、作業部会メンバーには、中央銀行や証券監督当局だけでなく、民間部門、公的部門双方の証券決済システム運営主体も加わった。これらのメンバーは、先進国および新興市場国16か国の諸組織の代表者である。本報告書を発表するに当たって、William J. McDonough・CPSS議長およびAnthony Neoh・IOSCO Technical Committee議長は、「グローバルな証券取引の増大、多様化、複雑化によって、広範なディスクロージャーの枠組みを構築するアプローチの意義が大きくなっている」と指摘している。

ディスクロージャーの枠組みの目的

近年、決済プロセスにおけるリスク管理の重要性に対する理解が、急速に深まりつつある。これまでに証券決済システムは、「取引量の増大」と「より迅速で効率的な決済への要求」とに対応してこなければならなかった。同時に、国境を越える取引が一般化し、異なる決済システム間のリンクも散見されている。取引が複雑化するにつれ、リスク管理もより難しいものとなる。適切なリスク管理を行う責任はシステム参加者自身にある。参加者は、発生するリスクの種類やその規模およびリスクを許容限度内に抑える方法を考慮する必要がある。CPSSとIOSCOは、「決済の仕組みがどのように機能するのか」という点について透明性を高めることが、こうした参加者によるリスク管理において極めて重要な要素となる旨確信している。したがって、このディスクロージャーの枠組みは、システム参加者にとって如何なる情報が必要かを判断する一助となるよう、また、システム運営主体がこうした情報を容易に入手可能な形で提供することを促すよう、配慮されている。

ディスクロージャーの枠組みに含まれる情報

このディスクロージャーの報告書は、証券決済システムの運営主体に対し、自己のシステムにおいて想定し得るリスクに関する最大限の情報を提供するよう勧奨している。したがって、報告書はシステムの規則、参加形態、他の組織との関係(他の証券決済システムとのリンクを含む)、リスク管理策や事務処理上のリスク等の幅広い論点に関する質問を含んでいる。当然のことながら、この枠組みでは決済プロセス自体に特に注意が払われており、証券振替の手法や関連する資金決済方法、証券貸付の仕組み、破綻対応手続などについて詳細な質問項目が設けられている。

ディスクロージャーの枠組みの利用方法

この枠組みを利用するか否か、およびどのように利用するかの決定は、各国のシステム運営主体とその監督当局に委ねられている。この報告書は、市場に向けて公表されるほか、主要な金融監督当局(financial regulatory and supervisory bodies)にも送付され、当局がシステム運営主体に対し、「質問書に回答のうえ、これを市場参加者に利用可能なものとするよう要請すること」を勧奨している。また、システム運営主体は、国際決済銀行(BIS)とIOSCOに彼らの回答のコピーを送付するよう奨められている。両機関は、これらの情報を国際的に提供する情報センターの役割を果たすことになろう。McDonough、Neoh両氏は、「このディスクロージャーの枠組みが実際に有効なものとなるかどうかは、当然のことながら、回答作成に資源を割くこととなる証券決済システム運営主体の積極的協力に依存している。CPSS、IOSCOおよび本作業部会に加わったシステム運営主体の見解では、リスク管理によってもたらされる便益がこうした資源投入のコストを遥かに上回るであろう」と述べている。

編集者への注記

  1. 国際決済銀行(BIS)の支払・決済システム委員会(CPSS)は、支払・決済の仕組みの発展状況をモニター・分析し、関連する政策課題を検討するG10各国中央銀行のフォーラムとして機能している。CPSS議長は、ニューヨーク連邦準備銀行総裁William J. McDonoughである。CPSSは、証券決済の仕組みに関しこれまでに2つの報告書、すなわち、「証券決済システムにおけるDVP(Delivery versus Payment in Securities Settlement Systems)」(1992年)および「クロスボーダー証券決済(Cross-Border Securities Settlements)」(1995年)に関する報告書を発表している。
  2. 国際証券監督者機構(IOSCO)は、モントリオールを本拠地とし、現在81か国の証券市場監督者から組織されており、内外証券市場の効率性・健全性を維持するための規制に関する重要な基準を協調して普及させてきた。IOSCOのTechnical Committee(IOSCO側で本ディスクロージャーの枠組み策定を担当したCommittee)の議長は、香港証券先物委員会委員長Anthony Neohである。IOSCOは、「新興市場における支払・決済 —— その青写真(Clearing and Settlement in Emerging Markets — a Blueprint)」(1992年)および「市場監督当局の協調と破綻対応手続(Cooperation between Market Authorities and Default Procedures)」(1996年)等、証券決済に関する数多くの報告書を発表している。
  3. ディスクロージャーの枠組みに関する報告書を作成した本作業部会の議長は、ニューヨーク連邦準備銀行の決済問題研究担当のバイス・プレジデントAdam Gilbertであった。本作業部会メンバーのリストおよび所属機関は、本報告書に記載されている。
  4. このディスクロージャーの枠組みは、BISとIOSCOのホームページ(http://www.bis.org/(外部サイトへのリンク)およびhttp://www.iosco.org/(外部サイトへのリンク))に掲載されているほか、BISおよびIOSCOからコピーを入手することも可能である。なお、本報告書に関する質問に対する照会先は以下のとおり。

The Secretary-General,
International Organisation of Securities
Commissions,
P.O.Box 171
800 Square Victoria, 42 étage,
Montreal, H4Z 1C8
Quebec, Canada
Fax: +1 514 875 2669
E-mail: mail@oicv.iosco.org

The Secretary,
Committee on Payment and Settlement
Systems,
Bank for International Settlements,
CH-4002 Basle,
Switzerland

Fax: +41 61 280 9100
E-mail: paul.van-den-bergh@bis.org

以上