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即時グロス決済システムに関する報告書について

(日本銀行仮訳)

1997年 4月22日
国際決済銀行
支払・決済システム委員会

日本銀行から

BIS支払・決済システム委員会では、このほど(4月22日)即時グロス決済(RTGS)システムに関する報告書を公表しましたので、当該報告書の記者発表文(日本銀行による仮訳)を掲載いたします。なお、記者発表文の原文や報告書の原文(いずれも英語)は、BISのホームページ(http://www.bis.org/)(外部サイトへのリンク)で閲覧できますので申し添えます。また、報告書全体の仮訳を現在作成中で、完成しだい公表する予定です。

記者発表文

G-10諸国の中央銀行が構成する支払・決済システム委員会(Committee on Payment and Settlement Systems、以下ペイメント委)は本日、BIS(国際決済銀行)を通じて、即時グロス決済(RTGS)システムに関する報告書を公表する。本報告書は、大口決済システム改善のプロセス——これは、大口決済システムがもたらす可能性のあるシステミック・リスクの削減を目指して、現在多くの諸国で生じているプロセスであるが——に携わる者にとって、興味深いものとなろう。本報告書では、RTGSシステムが採り得るさまざまな形態につき説明し、こうしたシステムの設計・運営上生じ得る論点につき、解説している。しかし、決済システムのリスクに取組む最善の方法は国により異なることから、本報告書では敢えて具体的な提言は行っていない。

本報告書は、ネッティング・システム(1989年、1990年に報告書を公表)、証券取引の決済システム(1992年、1995年、1997年に報告書を公表)および外為取引(1993年、1996年に報告書を公表)など、金融市場を支える決済インフラに関しペイメント委がこれまで公表してきた報告書の延長線上に位置づけられるものである。

RTGS報告書のテーマ

世界の銀行間決済システムは、巨額の資金を取扱っている。主なシステムの取扱高は、G-10諸国のみで1日当たり米ドル換算で5兆米ドルを上回ると推計される。こうした支払の多くは、銀行間貸借や外為取引など、金融市場における銀行間取引の決済を目的とするものである。これら以外のものとしては、顧客に代わって銀行が行う支払があるが、いずれの場合にせよ、決済システムは金融市場および経済全般の円滑な機能にとって極めて重要な存在である。しかし近年、これらシステムの多くについて、そのあり方が参加行を膨大な銀行間リスクに晒し、その結果、システミック・リスク——ある銀行が何らかの事情で倒産すると、こうした銀行間エクスポージャーの存在ゆえにシステムに参加している他の銀行も倒産し得るというリスク——をもたらすとの認識が急速に高まってきた。こうした懸念から、世界各国で自国の決済システムをより強固なものとするような対策が講じられている。そうした対策のひとつであり、多くの国で次々と採用されているのが、RTGSシステムの導入である。

RTGSシステムとは

RTGSシステムとは、銀行間の支払指図が個々に、また日中において連続的に処理・決済されるシステムである。これは、支払指図が日中に処理(「清算」)されるものの、銀行間決済(すなわち銀行間の資金移動)がその後に——典型的には1日の終わりに——行われる、より伝統的なネット決済システム(ペーパー・ベースの手形交換所やこれと同等のより近代的な電子的システム)とは対照的である。RTGSシステムの利点は、受取銀行とその顧客が、日中確実に——いわゆるファイナリティをもつ形で——資金を受取り、自らをリスクに晒すことなく即座に当該資金が利用可能となる点である。

報告書の目的

本報告書の目的は、RTGSシステムの構築や変更、運営、利用を検討している人々が、関連する主要論点を理解するのを助けることにある。実際、RTGSシステムには様々な形態がある。ある国にとって何が最善であるかはその国の事情に依るところが大きく、単一の解決策があるわけではない。本報告書は、RTGSシステムの潜在的利点を解説するとともに、あり得べきシステム設計上の主な違いについて記述し、こうした違いがなぜ重要であるかを説明する。

この時点で報告書を公表する理由

いくつかの国にはRTGSシステムが何年も前から存在しているが、ほとんどの国にとってRTGSシステムは比較的新しいものであり、事実、多くの国は、未だにこうしたシステムの計画段階ないし導入過程にある。こうした事情から、システムが運営される様々な方法について書かれたものはこれまで比較的少なかった。このため、G-10諸国の中央銀行は、それぞれの経験を集め、そこから浮かび上る論点を公表することが有意義ではないかと考えた。また、証券、外為、デリバティブに関連する金融市場取引の決済におけるリスク管理も改善の途上にあるが、その際にもしばしばRTGSシステムの利点が活用されているところである。

RTGSシステムを有している国々

ほとんどのG-10諸国は、大口資金のRTGSシステムを既に有しているか、近い将来の導入を計画中である。さらに、EU内の中央銀行は、全てのEU加盟国がRTGSシステムを保有すること、およびこれらのRTGSシステムを相互に接続し全EUベースのRTGSシステム(TARGETシステム)を構築することで統一通貨euroの導入をサポートすることを決定している。RTGSの利用は、他の国々でも増えている。例えば、RTGSシステムは、チェコ、香港、韓国、タイで既に稼働しているほか、オーストラリア、中国、ニュージーランド、サウジアラビアなどにおいても近い将来導入されると伝えられている。

報告書が扱っている問題

報告書は、決済システムにおけるいくつかの主要概念について説明した上で、決済システムのリスクに関し、様々な類型や源泉につき論じている。それに続いて報告書は、RTGSの設計上の主要な特徴である、流動性、queue(振替待ち行列)、メッセージ・フローの構造につき、かなりのページを割いて述べている。また、RTGSシステムの利用拡大に伴うより一般的な検討も行われており、その中では、RTGSと、決済システムにおけるその他のリスク対策(ネット決済システムの安全性向上策など)との類似点や相違点も論じられている。さらに報告書には、G-10各国のRTGSシステムといくつかのネット決済システムの特徴に関する基礎的な情報が収録されている。

報道機関への参考情報

  1. 国際決済銀行(BIS)に本拠を置くペイメント委(CPSS)は、G-10 諸国の中央銀行が支払・決済の仕組みにつきその動向をモニター・分析し、関連する政策課題を検討するフォーラムである。CPSSの議長は、NY連邦準備銀行総裁のWilliam J. McDonoughである。
  2. 報告書を作成したスタディ・グループの議長は、フランス銀行決済システム局長のYvon Lucasである。スタディ・グループ参加者のリストは、報告書中に掲げてある。
  3. RTGS報告書は、BISのWorld Wide Webサイト(http://www.bis.org)(外部サイトへのリンク)に掲載されているほか、G-10各国の中央銀行およびBISからコピーを入手することもできる。なお、Webサイトには、CPSSが作成した最近の報告書の全文および他の公表資料のリストも掲載されている。

以上

本件に関する照会先

日本銀行信用機構局

Tel 03(3279)1111 内線 2907,2951