公表資料・広報活動

ホーム > 公表資料・広報活動 > 公表資料 1997年 > 取引所型デリバティブの清算アレンジメントについて(日本銀行仮訳)

取引所型デリバティブの清算アレンジメントについて

(日本銀行仮訳)

1997年 5月 6日
国際決済銀行
支払・決済システム委員会

日本銀行から

BIS支払・決済システム委員会では、このほど(5月6日)取引所型デリバティブの清算アレンジメントに関する報告書を公表しましたので、当該報告書の記者発表文(日本銀行による仮訳)を掲載いたします。なお、記者発表文の原文や報告書の原文(いずれも英語)は、BISのホームページ(http://www.bis.org)(外部サイトへのリンク)で閲覧できますので申し添えます。

記者発表文

G-10諸国の中央銀行が構成する支払・決済システム委員会(Committee on Payment and Settlement Systems、以下ペイメント委)は本日、BIS(国際決済銀行)を通じて、取引所型デリバティブの清算アレンジメントに関する報告書を公表する。本報告書は、取引所で取引されるデリバティブ商品の清算・決済の仕組みを解説、分析したもので、特に、そのような仕組みにおけるリスクの源泉と種類やリスク管理方法について焦点をあてている。本報告書は、分析を目的とした報告書であり、政策的な提言を行うものではないが、清算アレンジメントに内在する潜在的欠点を明らかにし、可能な対策を示している。

本報告書は、ネッティング・システム(1989年、1990年に報告書を公表)、証券取引の決済システム(1992年、1995年、1997年に報告書を公表)、外為取引(1993年、1996年に報告書を公表)および大口銀行間決済システム(即時グロス決済システムに関する報告書は1997年3月に公表)など、金融市場を支える決済インフラに関しペイメント委がこれまで公表してきた報告書の延長線上に位置づけられるものである。

本報告書のテーマ

本報告書は、取引所におけるオプションおよび先物取引の清算アレンジメントをテーマとしており、その分析上焦点を、清算アレンジメントの核であり取引所の健全性に極めて重要な取引所の清算機関(clearing house)に当てている。清算機関は極く僅かな例外を除き、取引所における全ての取引の中央清算機関(central counterparty)として機能している。清算機関の取引先は清算会員であり、清算会員は一般に当該取引所会員の一部から構成され、自己取引、顧客勘定取引、および当該取引所を通じて清算している他の取引所会員の取引を行っている。取引所型デリバティブ市場の流動性や同市場における資金・証券決済のタイムリーな完了は、取引所取引の信用・流動性リスクや当該リスク管理の責任が集中する取引所の清算機関の財務健全性に大きく左右される。

取引所型デリバティブの決済インフラストラクチャーのもう1つの重要な構成要素となるのは、資金決済を実行する銀行ないし銀行間ネットワークである。この点についても、本報告書で解説、分析されている。

最後に、多くの清算機関の活動は現在国境を越えて行われているが、本報告書は、こうしたクロスボーダー要素により、清算機関の直面するリスク管理がどのようにして一段と複雑となり、潜在的に難しくなるかという点について解説している。

本報告書で明らかにされた清算アレンジメントの潜在的欠点は何か、またこれに対処するためどのようなアプローチが提案されているか

本報告書は、清算機関のリスク管理上の問題を発生させる以下のような原因を明らかにしている。

  1. (1)極端な市場価格の変動による会員の破綻から生じた損失や流動性の逼迫に対応できない取引所の財源不足。
  2. (2)日中リスクをモニター・管理するメカニズムの欠如。
  3. (3)暫定的な資金振替が当該日終了間際に組戻されるリスクを伴う決済システムの利用等、資金決済方法の欠点。

これらの潜在的欠点につき、本報告書は以下のような清算アレンジメントの強化策を指摘している。

  1. (1)「ストレス・テスト(stress testing)」により、極端な市場価格変動から生じ得る清算会員に対する潜在的エクスポージャーを洗い出し、それを抑制すると共に、清算機関の財源がそのような状況においても十分であることを確認すること。
  2. (2)よりタイムリーな取引照合の実施や、より頻繁なエクスポージャーの測定、およびより頻繁な決済による日中エクスポージャー削減能力の開発を通じた日中リスク管理の改善。
  3. (3)資金・証券決済における即時グロス決済(RTGS)の利用や、清算会員や決済銀行との決済約定の明確化による資金決済方法の強化。

本報告書は、各清算機関がこうした強化策の実施により、システミック・リスクの削減などそのコストを上回る便益をもたらすかどうかという点について、注意深く評価すべきであると提案している。

本報告書に関心を持つべき読者

先物・オプション市場の財務健全性は、いくつかの試練に耐えてきた。しかしながら、1987年10月の株式市場暴落や1995年2月のベアリング破綻後明らかになった問題によって、世界中の様々な取引所型デリバティブ市場において採用可能なリスク管理策を本格的に検討する必要性が強調されることになた。本報告書は、取引所清算機関の保有者や運営主体、取引所の清算会員および非清算会員、取引所会員の顧客など、先物・オプションの取引所取引に関係する全ての者にとって関心のあるものとなろう。本報告書で構築された分析の枠組みは、市場参加者や清算機関の監督・規制当局が個々の清算アレンジメントの健全性を評価する際に役立つに違いない。また、マーケット・アナリストや研究者にとっても、特にこれまで各国の比較分析をベースとした分析が殆どなかったことから、本報告書は有益なものとなろう。なお、本報告書の別添には、G-10各国の清算機関におけるリスク管理策や資金決済方法に関する詳細な情報が掲載されている。

報道機関への参考情報

  1. 国際決済銀行(BIS)に本拠を置くペイメント委(CPSS)は、G-10諸国の中央銀行が支払・決済の仕組みにつきその動向をモニター・分析し、関連する政策課題を検討するフォーラムである。CPSSの議長は、NY連邦準備銀行総裁のWilliam J. McDonoughである。
  2. 報告書を作成したスタディ・グループの議長は、連邦準備制度理事会調査局次長のPatrick Parkinsonである。スタディ・グループ参加者のリストは、報告書中に掲げてある。
  3. RTGS報告書は、BISのWorld Wide Webサイト(http://www.bis.org)(外部サイトへのリンク)に掲載されているほか、G-10各国の中央銀行およびBISからコピーを入手することもできる。なお、Webサイトには、CPSSが作成した最近の報告書の全文および他の公表資料のリストも掲載されている。

以上

本件に関する照会先

日本銀行信用機構局

Tel 03(3279)1111 内線 2908,2950