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RTGSシステムについて

(日本銀行仮訳)

1997年 7月25日
(原文公表 1997年 4月22日)
国際決済銀行
支払・決済システム委員会

日本銀行から

本報告書の原文(Bank for International Settlements, Real-Time Gross Settlement Systems)は、国際決済銀行のインターネットのホームページ(http://www.bis.org/)(外部サイトへのリンク)に掲載されています。

なお、この仮訳を引用する際は出所を明示して下さい。また、転載の際は信用機構局決済システム課(TEL 03-3279-1111、内線2950)までご照会下さい。

以下には、全文の冒頭部分(はじめに)および目次を掲載しています。

全文は、こちら(bis9707a.pdf 269KB)から入手できます。

はじめに

 過去10年の間で、多くの国が、銀行間大口資金決済にRTGSシステムの導入を決定した。G-10諸国では、現在9か国がRTGSシステムを利用しており、現段階の計画によると、1997年半ばまでにはカナダを除く全てのG-10諸国でRTGSシステムが稼働することになる1。また、EU中央銀行は、全EU参加国が大口決済についてはRTGSシステムを保有すること、また、欧州経済通貨統合(EMU)の第3段階に備えて「汎RTGSシステム」(TARGETシステム)を構築するため、これら各国RTGSシステムをリンクさせることを共同で決定した。さらに、RTGSシステムの利用はG-10およびEU諸国以外にも広がっている。例えば、RTGSシステムは、チェコ、香港、韓国、タイで既に稼働しており、また、オーストラリア、中国、ニュージーランド、サウジアラビアでも、近い将来導入されるとのことである。

 RTGSシステムの利用拡大は、大口決済システムにおける適切なリスク管理に対するニーズの高まりに対応したものである。RTGSシステムは、日中連続的に個々の資金振替のファイナルな決済を実現できるため、銀行間決済過程における決済リスクやシステミック・リスクを削減する強力なメカニズムを提供し得る。また、RTGSは、デリバリー・バーサス・ペイメント(delivery versus payment、以下DVP)ないしペイメント・バーサス・ペイメント(payment versus payment、以下PVP)のメカニズムの基盤を提供することによって、証券取引や外為取引における決済リスクの削減に貢献し得る。このように、RTGSに対する理解は、決済システムのリスク管理を検討する際に不可欠である。

 RTGSスタディ・グループは、1994年12月のペイメント委会合において設置され、RTGSシステムの設計および運営に対する明確な理解を確立することを目的として、RTGSに関する各種の重要な論点を調査・研究するよう要請された。当スタディ・グループは、(a)流動性問題、(b)queue(振替待ち行列)の仕組み、(c)メッセージフローおよび情報の構造、(d)RTGSシステムと他の決済システムとの相互関係から生じる問題、(e)金融政策上の問題、(f)RTGSシステムとネット決済システムとの違いなど、一連の論点を検討した。当グループの研究は、こうした論点に関しメンバーが作成したペーパー、ならびに現在稼働中ないし開発中のG-10各国のRTGSシステムの詳細な調査に基づいて行われた。また、スタディ・グループは、RTGSに関する既存の資料も吟味した。本報告書は、当グループの主な調査・研究結果を要約したものである。

 スタディ・グループは、調査・検討を通してG-10各国のRTGSシステムの設計および運営状況にかなりの違いがあることを確認した。こうした違いは、1つには、各国システムが自国銀行制度のニーズや構造に即して構築されているという事実、また、新しいシステムは、しばしば既存のシステムや手続きに修正・改良を加えたものであるという事実を反映している。本報告書は、概念や用語の定義に共通の理解を提供するとともに、RTGSシステムに関する主要な論点について、見解の幅を記述することを目的としており、政策提言を行うことを意図したものではない。

 本報告書は、III部から構成される。第I部は、過去のペイメント委の報告書における分析に基づき、様々な決済システムの概念および決済リスクの種類と源泉について概観する2。これは、RTGSシステムの定義・説明および後述するRTGSシステムの議論に対し、一般的な枠組みを提供することを目的としている。第II部は、RTGSシステムの一般的特徴を説明し、日中流動性やメッセージフローの構造、queueの仕組みなどシステムの設計および運営に関する論点について考察する。G-10各国で稼働中ないし開発中のRTGSシステムについても、第II部第1章で考察する。RTGSシステムの設計に影響を与える重要な要素のいくつかは、第II部第5章に纏められている。第III部は、より広い観点からRTGSシステムの利用について概観する。特に、RTGSシステムと他の決済システムとの相互関係、あり得べき金融政策上のインプリケーション、RTGSシステムとネット決済システムとの違いを検討する。別添1は、G-10各国のRTGSシステムの比較表、別添2は、主要なネット決済システムの比較表である。

  1. カナダでは、新たな大口ネット決済システム(LVTS)が1997年後半に導入される予定である(第III部第3章参照)。
  2. 『ネッティングに関する報告書(1989年2月)』、『インターバンク・ネッティング・スキームに関する委員会報告書(「ランファルシー報告書」、1990年11月)』、『証券決済システムにおけるDVPについて(「DVP報告書」、1992年9月)』、『クロスボーダーおよび多通貨取引に係る中央銀行の支払・決済サービスについて(「ノエル報告書」、1993年9月)』、『G-10各国の決済システム(1993年12月)』、『クロスボーダー証券決済について(1995年3月)』および『外為取引における決済リスクについて(「オルソップ報告書」、1996年3月)』など。

以上

目次

  • はじめに
  • 第I部 銀行間決済の仕組み:基本概念とリスク
    • 第1章 銀行間決済システムの基本的な設計上の概念
    • 第2章 決済リスクの種類と源泉
  • 第II部 RTGSシステム:原理および設計
    • 第1章 RTGSシステムの概要
      1. RTGSシステムの主な特徴
      2. G-10各国のRTGSシステムの概要
    • 第2章 RTGSシステムにおける流動性の構成要素、尺度、管理
      1. RTGSシステムにおける流動性の構成要素
      2. 日中流動性の尺度
      3. 日中流動性の管理:個別銀行の観点
      4. 日中流動性の管理:システム的観点
      5. 流動性の要件および管理に影響を与える構造的要因
    • 第3章 メッセージ・フローの構造
    • 第4章 queueの仕組み
      1. 中央型queueの主な構成要素
      2. 振替入金の透明性に関する論点
      3. queueに対する様々なアプローチの評価
    • 第5章 RTGSシステムの設計:まとめ
  • 第III部 RTGSシステムの利用拡大に関する一般的考察
    • 第1章 RTGSシステムと他の決済システムとの相互関係
    • 第2章 あり得べき金融政策上の留意点
    • 第3章 RTGSシステムと時点ネット決済システムとの違い
      1. ネット決済システムにおけるリスク管理
      2. RTGSシステム、安全な時点ネット決済システム、その混合型システム
  • 別添1 G-10各国のRTGSシステム比較表
  • 別添2 主要ネット決済システム比較表