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京都共栄銀行に対する手形貸付にかかる特別措置に関する件

1997年11月13日
(議決日 1997年10月14日)
日本銀行政策委員会

京都共栄銀行は、いわゆるバブル経済の崩壊等に伴い多額の不良資産を抱え、厳しい経営状態が続いていたが、大蔵省検査の実態把握等を通じ、償却を要する資産の額が同行の自己資本の額を大幅に上回っていることが判明し、自力でこの状態を脱却する目処がたたない状況となった。こうした中、同行の経営問題の処理方策に関し、関係者間で協議がなされた結果、預金保険機構に対し不良資産の買取りを含む資金援助を要請することを前提として、京都共栄銀行が幸福銀行への営業譲渡を行うことにつき基本的な合意が成立し、平成9年10月14日、両行から、当該合意の内容等に関する対外公表が行われた。また、これと同時に、(1)京都共栄銀行においては、経営責任の明確化のため、代表者が辞任すること、(2)幸福銀行においては、今後の金融システム改革を展望するとともに、本件営業譲受けを円滑に実施し得るよう経営基盤の強化を図る観点から、資本の増強および経営の合理化等を進めること、が表明された。

こうした状況の下で、本委員会は、平成9年10月14日、(1)京都共栄銀行において預金払戻し等営業を継続するための資金の不足が生じた場合には、預金者の不安心理の伝播等を通じてわが国信用制度全体の安定が脅かされるおそれが強い、(2)そうした事態を回避するためには、同行の現況からみて、日本銀行による資金供与が不可欠となり、また、当該資金供与に当っては通常の日本銀行貸出の適格担保を受入れ得ない事態が想定される、と判断し、信用制度全体の安定を確保する観点から、下記の決定を行った(なお、下記2.の措置については、同日、日本銀行法第25条に基づき大蔵大臣の認可を得た)。

京都共栄銀行の経営問題に関する処理方策が実施されるまでの間、同行に対する手形貸付につき、以下の特別措置を行う。

  1. 同行に対する手形貸付の担保については、日本銀行法第20条第2号に規定する担保品で従来手形貸付の担保としていない種類のものについても、担保として適当と認められるものに限り、次の要領によりこれを担保として徴求し得る扱いとすること。
    1. (1)各担保品の担保価格は、その市場性および信用力を勘案し、時価(時価のない場合は額面。)の80%を超えない範囲で定める扱いとする。
    2. (2)貸付利子歩合は、基準貸付利子歩合のうち「その他のものを担保とする貸付利子歩合」(「国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形」以外のものを担保とする場合の貸付利子歩合。以下同じ。)を適用する。
  2. 上記1.の取扱いによっても担保品が不足する等やむを得ない場合には、同行に対し、日本銀行法第20条第2号に規定する担保品および平成2年12月13日付大蔵大臣認可(蔵銀第2669号)により担保として認められた証書貸付債権のいずれをも担保としない手形貸付を、次の要領により行うこと。
    1. (1)貸付金額
      同行の資金繰りを勘案し、同行が預金払戻し等営業を継続するための必要最小限の金額
    2. (2)貸付期間
      本行が適当と認める期間
    3. (3)貸付利子歩合
      基準貸付利子歩合のうち「その他のものを担保とする貸付利子歩合」を適用する。

なお、日本銀行は、本件に関し平成9年10月14日、次のとおり、対外発表を行った。


1997年10月14日
日本銀行

京都共栄銀行について

  1. 本日、京都共栄銀行および幸福銀行より以下の連絡を受けた。
    1. (1)京都共栄銀行は、従来より厳しい経営状態が続いていたが、直近の大蔵省検査による実態把握等を通じ、償却を要する資産の額が同行の自己資本の額を大幅に上回っていることが判明し、自力でこの状態を脱却する目処がたたない状況となった。
    2. (2)このため、関係者間で今後の同行のあり方について協議が行われた結果、今般、預金保険機構に対し不良債権の買取りを含む資金援助を要請していくことを前提に、幸福銀行への営業譲渡を行うことについて基本的な合意が得られた。
    3. (3)このような事態を招いた経営責任を明確にするため、京都共栄銀行の吉永社長は辞任する。
    4. (4)また、営業を譲り受ける幸福銀行は、今後の金融システム改革を展望するとともに、今回の営業譲渡にも対応できるよう経営基盤の強化を図る観点から、資本の増強、経営の合理化等を内容とする新たな計画を策定し、実施する。
  2. 今回新たに金融機関の経営破綻が発生したことは誠に残念であるが、関係者の協議により今般の処理策が速やかに合意されたことは、預金者保護及び金融システムの安定確保の観点から望ましいものと評価される。
    日本銀行としても、わが国金融システムへの信頼を確保するため、今後、早急に処理策の具体化が図られるよう関係者と協議を行い、その円滑な実施に協力していく所存である。
  3. 京都共栄銀行の預金は幸福銀行に引継がれ、全ての預金が保護されることとなるので、預金者におかれては心配されることなく、良識ある行動をとられることを強く希望する。
  4. なお、幸福銀行へ業務が引継がれるまでの間、京都共栄銀行においては通常どおりの営業を継続することとしており、この間必要な場合には、日本銀行は日本銀行法第25条に基づく資金の融通を行うなど、金融システムの安定確保に万全を期す考えである。