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日本銀行当座預金決済「RTGS化」の枠組みについて

関係者のご意見・ご提案を踏まえて

1997年 4月 1日
日本銀行

日本銀行から

 日本銀行は昨年12月、日本銀行当座預金決済について、西暦2000年末までを目標に「時点決済」を廃止し、「即時決済」(RTGS)のみとすること(「RTGS化」)を提案し、当座預金取引先や民間決済システム運営者の方々などから「RTGS化」に関するご意見・ご提案を募集いたしました(『日本銀行当座預金決済の「RTGS化」について』<1996年12月6日公表>ご参照)。

 これに対しては、幸い多くの関係者からご意見・ご提案が寄せられました。日本銀行は、こうした貴重なご意見・ご提案を踏まえ、このほど日本銀行当座預金決済「RTGS化」の枠組みを固め、「RTGS化」の実現に向けた具体的な作業に取り組んでいくこととした次第です。つきましては、本件に関するご意見・ご提案や日本銀行の考え方・対応方針を以下のとおり取りまとめ、本日これを当座預金取引先等にお配りすることと致しました。

 以下はその全文です。

目次

1. はじめに

 日本銀行は、昨年12月6日に『日本銀行当座預金決済の「RTGS化」について』を公表し、その中で西暦2000年末までを目標に日本銀行当座預金決済の「RTGS化」を実現すべく努力していくことが適当との考えを表明した。併せて、その資料では「RTGS化」の中身に関する具体的な提案をお示しし、日本銀行の当座預金取引先(以下「取引先」)や民間決済システムの運営者の方々のご意見・ご提案を求めたところである。

 こうした私どもの提案は幸いにも関係者の大きな関心を集め、81先から貴重なご意見・ご提案を頂くことができた。コメントをお寄せ頂いた先を始め、関係者のご協力に厚く感謝申し上げたい。以下では、まずこうしたご意見・ご提案を踏まえて私どもが今般固めた日銀当預決済「RTGS化」の枠組みに係るポイントを取りまとめた。続いて、こうした方針を固める上で検討したご意見・ご提案の概要と、それらについての日本銀行の考え方や対応方針を記し、最後に今後の「RTGS化」の進め方をお示しした。

 日本銀行としては今後とも関係者の方々との密接な意見交換を継続しながら「RTGS化」の実現に向けて努力を重ねていく所存である。

 「RTGS化」に関する日本銀行の提案に対しご意見・ご提案を寄せられた取引先等は次頁のとおりである。これらの方々のご意見・ご提案は、本日以降、日本銀行情報サービス局および日本銀行各支店・事務所で閲覧が可能である(閲覧に関する照会先の電話番号は別紙に掲げた)。

『日本銀行当座預金決済の「RTGS化」について』にご意見・ご提案を寄せられた先

表 『日本銀行当座預金決済の「RTGS化」について』にご意見・ご提案を寄せられた先
地方銀行 第四銀行、富山銀行、八十二銀行、大垣共立銀行、百五銀行、大阪銀行、阿波銀行、伊予銀行、佐賀銀行 9先
信託銀行 日興信託銀行、農中信託銀行 2先
外国銀行 モルガン・スタンレー銀行、ニューヨーク銀行、スイス・ユニオン銀行、チェース・マンハッタン銀行、ファースト・シカゴ銀行、シティバンク,エヌ・エイ、スイス銀行コーポレイション、コメルツ銀行、ナショナル・ウエストミンスター銀行 9先
第二地方銀行 石川銀行、福邦銀行、和歌山銀行 3先
信用金庫 福島信用金庫、筑後信用金庫、八光信用金庫、士別信用金庫、京都みやこ信用金庫、亀有信用金庫 6先
系統金融機関 労働金庫連合会、全国信用金庫連合会、農林中央金庫 3先
証券会社 野村證券、大和證券、日興證券、山一證券、新日本証券、国際証券、三洋証券、山種証券、コスモ証券、第一証券、水戸証券、ユニバーサル証券、太平洋証券、東和証券、偕成証券、極東証券、興銀証券、長銀証券、さくら証券、第一勧業証券、富士証券、北海道拓殖証券、日本相互証券、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券、メリルリンチ証券、モルガン・スタンレー証券、ジャーディン・フレミング証券、ゴールドマン・サックス証券、リーマン・ブラザーズ証券、クレディ スイス ファースト ボストン証券 30先
証券金融会社 日本証券金融、中部証券金融 2先
その他 日本輸出入銀行、日本開発銀行、海外経済協力基金、東京証券取引所 4先
取引先計 68先
銀行協会等 全国銀行協会連合会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、短資協会、信託協会 5先
その他 野村證券投資信託委託、日興證券投資信託委託、日本生命保険、第一生命保険、住友生命保険、朝日生命保険、スイフト、東京金融先物取引所 8先
取引先以外計 13先
総計 81先

2. 「RTGS化」の枠組み

 日本銀行は、昨年12月に公表した『日本銀行当座預金決済の「RTGS化」について』(以下「12月提案」と記す)に対する取引先等からのご意見・ご提案を踏まえ、「RTGS化」の枠組みを次のようなものとする方針を固めた。

  1. (1)西暦2000年末までに、取引先間の当預決済について原則として「時点処理」を廃止し、「即時処理」(RTGS)のみを利用可能とする(「12月提案」どおり)。

日本銀行が行う債券・手形オペ、国庫金や国債関係(元利払い等)の資金決済については、これらの決済にシステミック・リスクが伴わないことや、資金受払のタイミングの公平性を確保する必要があることを踏まえ、原則として「同時処理」で行うこととする(「12月提案」に追加して決定)。同時処理とは、日本銀行が行う取引の決済について、複数の資金の受払をバイラテラル・ベースで同時にネット決済する方式であり、処理の対象が基本的に日本銀行と取引先との間の取引に限られるため一部に決済不能が生じた場合でも決済不能分を速やかに除外し、その他を予定どおり決済できる点で従来の時点処理とは異なるものである。

  1. (2)現在時点処理で決済されている民間決済システムの受払尻をRTGSで決済する方法については、米国におけるCHIPSの決済方法と同様、決済システムごとに「受皿口座」を開設した上で、一定時刻までに負け先から同口座への振替(即時処理)が行われ、その後同口座から勝ち先への払い出し(即時処理)が一斉に行われるスキームとする(「12月提案」どおり)。

この際、関係者の事務処理上の利便に鑑み、受皿口座への振替の請求も、受け皿口座から勝ち先への振替の場合と同様、決済システム運営主体がまとめて日本銀行に請求を行い、その請求に基づき日本銀行が一斉に即時処理を行う仕組みとする方向で実務的な検討を進めていく(「12月提案」を修正)。

  1. (3)日銀ネット国債系における参加者間の国債決済についても、当預決済と同様、「RTGS化」することを目指す(「12月提案」に追加)。

RTGSの下で、円滑な国債決済を確保するためには、今後関係者においてネッティングの活用や事務フローの見直し等、決済慣行を大幅に見直していくことが必要である。日本銀行としては、こうした慣行整備につき可能な限りの協力を行うとともに、要望のあった「国債DVP取引において、買い手が買入国債を日本銀行に直ちに担保として差し入れて日中流動性供与を受け、当該資金を買入国債の代金支払いに充てられるような仕組み」を手当てする方向で検討を進める。具体的には、新たに作られる上記のような決済慣行の中身や制度・システム面の制約などを踏まえながら検討していくこととなる。

国債決済「RTGS化」の時期は、決済慣行見直しの進捗状況や、上記のシステム開発に要する期間などにもより、現時点では見極め難いが、当預決済と同様、西暦2000年末までの実現を目標として取り組んで参りたい。

  1. (4)日本銀行は、取引先の努力によっても解消できない日中流動性の不足について、次の条件により日中流動性を供与する(下記ハ.の限度額の扱いを除き「12月提案」どおり)。
    1. イ.現行適格担保による当座貸越とする(「12月提案」どおり)。
      適格担保については、適時適切にその範囲を見直していくが、株式を適格担保とすることは現状考えていない。
    2. ロ.取引先のうち希望する全ての先を対象とする(「12月提案」どおり)。
    3. ハ.取引先ごとの限度額は、当分の間設定しない(「12月提案」を修正)。
    4. ニ.利息については、当分の間徴求しない(「12月提案」どおり)。
    5. ホ.供与した日中流動性が日中に返済されなかった場合には、相当のペナルティー金利を課す。また、こうした事態を繰り返す先に対しては日本銀行が別途何らかの対策を講じることがある(「12月提案」どおり)。

3. 寄せられたご意見・ご提案と日本銀行の考え方

 ここでは、「12月提案」に対して寄せられた様々なご意見・ご提案の概要を紹介するとともに、これらに対する日本銀行の考え方や対応について、ご説明したい。

(1)「RTGS化」の基本方針や今後の進め方に関係するもの

イ.西暦2000年末までの「RTGS化」実現について

 西暦2000年末までを目標に、取引先間の当預決済を「RTGS化」するとの基本方針については、多くの取引先等から強い支持が得られ、この提案に反対する意見はみられなかった。

ロ.今後の進め方について

 「RTGS化」の進め方については、その実現に向けて様々な慣行の見直しや個別先のシステム対応など多くの作業を伴うことから、「引き続き取引先と十分に協議して欲しい」、「民間金融機関の準備作業に配慮しつつ、移行スケジュール等の詳細を早めに提示して欲しい」などの要望が多く寄せられた。もとより、日本銀行としては、こうした要望に十分配慮し、引き続き関係者と意見交換を行いながら所要の作業を進めていく所存である。また、その際、日本銀行の作業状況やスケジュールについても、可能な限り開示していく方針である。

ハ.日本銀行が行う取引に係る決済のあり方について

 日本銀行が行う債券・手形オペ、国庫金や国債関係(元利払い等)の資金決済については、「12月提案」では触れなかったところであるが、「RTGS化」後においてこれらの決済がどうなるのか、との質問も寄せられたところである。

 日本銀行が行う取引に係る決済は、取引先間の決済と異なり、基本的にはシステミック・リスクを伴わないことや、資金受払のタイミングの公平性を確保する観点から、これらの決済は前述のとおり原則として同時処理で行うこととする。

 なお、日本銀行が行うこうした取引の決済のタイミングについては、「RTGS化」後における取引先の資金繰りの変化を予想しつつ定めていくこととなるが、特別の事情がある場合を除き現在のタイミング(例えば、代理店預け金の引出しは午後3時)を継続することとしたい。

(2)民間決済システムの受払尻の決済方法に関係するもの

 手形交換、外為円決済システム、全銀システムといった決済システムごとに「受皿口座」を設け、負け先から同口座への振替と、同口座から勝ち先への振替を、別々に即時処理で行うとの提案については、「現実的方策」として異論がなかった。しかし、同時に「そうした決済に移行することに伴い、決済システムの参加者や運営者の事務負担が増加しないよう配慮してもらいたい」との要望も多く寄せられた。

 こうした要望を受け、日本銀行では各民間決済システムの運営者とも協議しつつ、負け先から受皿口座への振替も、受け皿口座から勝ち先への振替の場合と同様、決済システム運営主体が日本銀行に対し一括振替請求を行い、日本銀行はそれを受けて即時処理による振替を行う方向で実務的検討を進めていくこととした。

 なお、こうした民間決済システムの受払尻を決済するタイミングについては、各民間決済システムの運営者との話し合いを通じて決定されることとなるが、特段の事情がない限り現状の時点処理のタイミング(例えば手形交換は午後1時)を一応の目処とすることで問題ないものと考えている。

(3)国債決済の「RTGS化」の取扱に関係するもの

イ.国債決済の「RTGS化」について

 今般寄せられたご意見・ご提案の中には、国債決済についても、システミック・リスク削減の観点や、国債DVPに時点処理を残した場合これが資金決済全般のタイミングを事実上規定してしまうことになりかねないといった懸念から、資金決済と同様に「RTGS化」を目指すべきとの指摘が数多くみられた。

 他方、地域金融機関や外国銀行などの中には、国債のように頻繁に取引される証券については資金決済の場合以上に「すくみ」対策を充実させておく必要があるので、そうした環境が整うまでは日本銀行における国債決済に時点処理を残置することもやむを得ないのではないか、とする意見が聞かれた。

 日本銀行としては、システミック・リスク削減や日銀当預における資金決済の円滑性維持の観点から、DVP取引を含む国債決済についても本来「RTGS化」することが望ましいと考えていたが、それを求める声が今回数多く聞かれたことから、この際、日銀ネット国債系における参加者間の国債決済も当預決済と同様「RTGS化」することが適当と判断した。併せて、「すくみ」問題に対する懸念の声を踏まえ、下記のとおり、市場関係者による決済慣行の見直しに向けた検討が進められることを強く期待するとともに、DVP買入国債を担保として取引先が日中流動性の供与を受けられる仕組みを実現する方向で検討を進めることとした。

ロ.決済慣行の整備について

 国債決済の「RTGS化」を実現するにあたり、一部取引先が懸念を表明した「すくみ」の発生を抑えるためには、主として取引量の多い市場関係者から提案のあったネッティングの活用、事務フローの見直し、決済額の小口分散化などの対応が有効であると考えられる。日本銀行としては市場関係者によりこれらの実現に向けた検討が進められることを強く期待している。

ハ.DVP買入国債の即時担保化について

 こうした民間部門における決済慣行の整備に向けた取り組みと併せ、資金決済が「RTGS化」された環境の下での、国債決済の安全性確保に万全を期する見地から、多くの市場参加者が日本銀行に対し「DVPによる買入国債を直ちに日銀による日中流動性供与の担保として差入れ、こうして取入れた日中流動性で国債の買入代金の決済を完了させる仕組みが必要」との要望を寄せられた。日本銀行としては、国債のDVP決済を円滑に行うことができるよう、多くの市場参加者が具体的に希望されていることも踏まえ、こうした機能の提供について検討を進めていきたい。

ニ.国債決済の「RTGS化」に関するその他の要望について

 「すくみ」解消に向けた日本銀行の対応についてのご意見・ご提案としては、主に証券会社から、日本銀行におけるDVP決済について、時間帯により異なる料金体系(「朝低夕高料金」)を導入したり、1件あたりの決済額に上限を設けることで大口決済の分割を促すことが有効であるとの提案が多く寄せられた。

 しかしながら、こうしたルールの導入は「すくみ」解消の効果を期待できる反面、これを決済システムのインフラそのものに組み込んでしまった場合、決済全般の柔軟性を損なう惧れがある。このため、日本銀行は自らの提供する国債決済のインフラ自体は極力単純なものとしておくことが適当と判断し、そのようなシステム手当ては行わないこととした。むしろ、こうした提案の内容については、一定時刻までの決済進捗率の目標、1件あたり決済額の上限を関係者の申し合せの形で定めるといった、市場の慣行が導入されることが適当と考えられるため、この点に関する市場参加者の努力を見守っていくこととしたい。

(4)日本銀行の日中流動性供与に関係するもの

 日銀当預における決済額の削減については、多くの取引先から資金取引のターム物へのシフトの推進やバイラテラル・ネッティングの導入に積極的に取り組む意向が示された。日本銀行としては、こうした取引先の取り組みが早期に具体化することを強く期待するものである。しかし、「日本銀行が日中流動性を供与しないと、決済を円滑に行えない」とする見方も極めて多く、日本銀行としては「RTGS化」された当預決済の円滑性確保に万全を期すため、取引先の努力によってもなお解消できない不足分につき、日中流動性を供与することが適当と判断した。日中流動性供与の条件に関する主な論点は以下のとおりである。

イ.形式と対象先について

 日本銀行の日中流動性供与の形式を当座貸越とすること、また、対象先を取引先のうち希望する全ての先とすることについては、異論がみられなかった。

ロ.担保の取扱について

 日中流動性供与を有担保で行うことについては、「RTGS化」後の日中流動性需要の規模が精確に見込み難いことを背景に、円滑な日銀当預決済の確保に万全を期すためには、「無担・有料の日中流動性供与を行うことについても検討してもらいたい」との要望が地域金融機関、証券会社などから多く寄せられた。

 この要望につき日本銀行は、日本銀行券の信認の裏付けとなる日本銀行資産の健全性を堅持する観点から、日中流動性供与を無担保で行うことは不適当と判断した。これは、日中流動性供与が日中の短時間にのみ行われるものであるとしても、無担保で行えば信用リスクを無視できないためである。なお、日中流動性の所要額が現時点で精確に見込み難いことは事実であるが、日中流動性所要額の削減については、取引先等が既に様々な手法、工夫につき検討を深めているところであり、また、担保が不足するような場合には適格債券を市場から調達する途も存在することから、日本銀行による無担保の日中流動性供与が不可欠とする十分な根拠は存在しないと考えられる。

 適格担保の範囲については、株式や地方債などの例を挙げつつ、その拡大を検討するよう求める意見が多かった。日本銀行における現行適格担保の範囲は、国債、政府短期証券、政府保証債、金融債、地方債、普通社債、円建外債、手形、証書貸付債権であり、日本銀行の与信の種類別に、これらの中から発行体の信用力、市場性、価格変動リスク、事務上のフィージビリティ等を基準に個別銘柄の適格性を判断している。

 もとより日本銀行としては、こうした要望を踏まえ、適格担保の範囲について適時適切に見直しを行っていく考えである。ただ、株式については、現状、金融機関の間においても担保として活用されている例が極めて乏しいことが示すように、これを適格担保とする上では実務上の困難が予想される。また、株式は債券に比べると、企業に対する持分であるため企業倒産時の償還順位が最も劣後することや、価格変動リスクが大きいなど様々な難点が存在する。このため、日本銀行としてはこれを適格担保に加えることは現状不適当と判断している。

 なお、地方債については、現在、公募債は基本的に全て適格とする一方、非公募債についても、発行条件、市場性等を勘案のうえ適当なものは適格として受け入れており、今後もこうした方針に沿って対応する考えである。

 適格担保に関しては、この他にも、適格銘柄、掛け目、時価等の開示の要望や、「担保差入れ先の信用力や資本力を担保掛け目に反映してもらいたい」などの要望もみられた。

 このうち適格銘柄等の開示については、担保差入れに際し、取引先が必要とする情報をリアルタイムで照会できる機能をシステム手当する方向で検討を進める。また、担保差入れ先の信用力等を掛け目に反映させることについては、そもそも担保の価値が差入れ人の信用力如何で変わるわけではないことや、そうした掛け目を算出・開示することに困難を伴うため、現時点でそうした要望に応じることはできないと判断している。

ハ.限度額について

 「12月提案」では、「日本銀行が与信管理を適切に行う見地から、日中流動性供与の限度額を取引先ごとに設定する」ことを提案した。

 この点については、有担・無料の日中流動性供与の仕組みの下で更に限度額を設定する必要性について疑問を呈する意見が多く見られた。これらの意見では、「RTGS化」後の日銀当預決済における日中流動性の所要額が見込み難いため、担保面の制約に限度額の制約が加わった場合、日銀当預における円滑な決済を妨げる要因になりかねないことが指摘されている。

 確かにRTGSへの移行後における日中流動性所要額の水準を現時点で見極めることは難しく、そうした中で、適切な限度額を設定するための算定基準を設けることもまた、技術的に困難と考えられる。さらに、「RTGS化」を展望した取引先の動向をみると、前述のとおり日中流動性所要額の削減に向け積極的に取り組む姿勢が窺われ、仮に限度額を設けなくとも、日本銀行の日中流動性供与が不適当な規模にまで拡大することは、差し当たり想定し難いように窺われる。こうした点を総合的に勘案した結果、日本銀行としては、当分の間限度額を設けないこととし、日中流動性供与の実行状況を慎重にモニターすることが適当と判断した。

(5)日本銀行担保の有効活用に関係するもの

 日本銀行から日中流動性の供与を受けるために必要な担保の確保に万全を期すため、現状日本銀行与信の種類ごとに別々に差入れている担保を、日本銀行が全ての与信についての共通の担保として扱うことや、これら担保の出し入れをオンラインかつリアルタイムで可能とするシステムを日本銀行が構築し、担保の有効活用を可能にすることを求める要望も多数寄せられた。

 これらの施策については、単に「RTGS化」にとって必要なばかりではなく、取引先と日本銀行との間における担保受渡しの機動性向上や、取引先における担保の有効活用に大いに役立つものと考えられるため、日本銀行としてはご要望に沿ってこれを実現すべく、必要な作業を進めていく考えである。

(6)その他のご意見・ご提案

イ.決済秩序の形成などに関する意見・要望

 日中流動性の管理を容易にするために、インターバンク取引の決済時間帯についてのルールなど「RTGS化」後における新たな決済秩序の必要性を指摘する意見や日銀ネットへの「振替待ち行列」(queue)システム導入の要望などもみられた。

 このうち、決済秩序の形成については、市場参加者間の話し合いによって新たな慣行が作り上げられていくものと考えられるが、日本銀行の立場からお手伝いすべきことがあればご協力したいと考えている。また、queueシステムに関しては、未決済残高が積み上がりかねない仕組みであるほか、日本銀行が日中流動性を供与することからその必要性が乏しいと考えられるため、採用を見送ることとする。

ロ.日本銀行小切手に関する要望

 「RTGS化」後における取引先の日銀当預決済の利便性を高めるため、日銀小切手の取扱について、証券会社などから「振出人が支払のタイミングを決めることができず、円滑な決済の支障となりかねないため、何らかのルールを導入してもらいたい」などの要望も数多くみられた。日本銀行としては、こうした要望や市場参加者間の決済慣行に関する議論を踏まえながら、日銀小切手を用いた資金決済の円滑化のために特別な事務処理体制が必要かどうか検討を行うこととしたい。

ハ.日銀ネットの機能改善に関する要望

 日銀ネットのオンライン先がリアルタイムで当座預金残高を照会できる機能や、オンライン先のコンピュータと日本銀行のコンピュータを直接に接続する形態(CPU接続)の導入など、「RTGS化」にスムーズに対応するため、日銀ネットの現行機能を強化してもらいたいとの要望も寄せられた。

 日銀ネットにおけるリアルタイムでの残高照会については、現在、端末からのオペレーションにより何時でも行い得る機能を提供しているところであるが、今後取引先の具体的ニーズを踏まえつつ必要に応じて一層の充実を図っていく考えである。また、CPU接続についても、外為円決済システムにおいて既に提供されている機能であり、利用先全体のニーズの大きさを考慮しつつ具体的対応について検討を深めていきたい。

4. 今後の進め方

 日銀当預決済の「RTGS化」については、西暦2000年末までの実現を目標に、今後、ここでお示しした枠組みに沿って詳細な実務的内容をまとめ、所要のシステム開発を進めていくこととする。こうした実務的な内容を固めるプロセスにおいては、日本銀行における作業の進捗状況を可能な限り明らかにしつつ、取引先や民間決済システム運営者の方々との密接な意見交換を行っていく考えである。その際にも是非ご協力下さるようお願い申し上げる次第である。

 なお、このペーパーについてのご照会がある場合は、日本銀行信用機構局決済システム課(電話:03-3279-1111内線2950)へお寄せ頂きたい。

以上


(別紙)

「RTGS化」に関するご意見・ご提案の閲覧についての照会先

表 「RTGS化」に関するご意見・ご提案の閲覧についての照会先
照会先 電話番号
情報サービス局広報課 03-3279-1111
釧路支店 総務課 0154-41-3171
札幌支店 営業課 011-241-5231
小樽支店 総務課 0134-34-4500
函館支店 総務課 0138-27-1161
青森支店 総務課 0177-34-2151
秋田支店 総務課 0188-24-7800
仙台支店 営業課 022-214-3111
福島支店 総務課 0245-21-6363
前橋支店 総務課 027-225-1111
横浜支店 総務課 045-661-8111
新潟支店 総務課 025-222-3101
金沢支店 営業課 0762-23-9541
甲府支店 総務課 0552-27-2411
松本支店 総務課 0263-34-3500
静岡支店 総務課 054-273-4100
名古屋支店 営業課 052-222-2000
京都支店 営業課 075-212-5151
大阪支店 営業課 06-202-1111
神戸支店 営業課 078-334-1111
岡山支店 総務課 086-227-5111
広島支店 営業課 082-227-4100
松江支店 総務課 0852-32-1500
下関支店 総務課 0832-33-3111
高松支店 総務課 0878-25-1111
松山支店 総務課 089-933-2211
高知支店 総務課 0888-22-0001
北九州支店  総務課 093-541-9111
福岡支店 営業課 092-725-5511
大分支店 総務課 0975-36-3111
長崎支店 総務課 0958-20-6111
熊本支店 総務課 096-359-9501
鹿児島支店  総務課 099-259-3220
那覇支店 総務課 098-869-0111
水戸事務所 029-224-2734
帯広事務所 0155-25-5252
旭川事務所 0166-23-3181
盛岡事務所 019-624-3622
山形事務所 0236-22-4004
富山事務所 0764-24-4471
福井事務所 0776-22-4495
長野事務所 026-227-1296
鳥取事務所 0857-22-2194
徳島事務所 0886-22-3126
佐賀事務所 0952-23-8165
宮崎事務所 0985-23-6241