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「RTGS化」に関する日本銀行の検討状況について

1997年10月 3日
日本銀行

目次

  • 1.はじめに
  • 2.当座預金決済関係
    1. (1)取引先間の当預決済
    2. (2)日本銀行と取引先との間の当預決済
    3. (3)民間決済システムの受払尻の決済方法
    4. (4)日中当座貸越
  • 3.国債決済関係
    1. (1)日銀ネット国債系参加者間の国債決済
    2. (2)日本銀行と国債系参加者との間の国債決済
    3. (3)DVP買入国債の即時担保化
    4. (4)国債DVPの機能追加
    5. (5)稼働時間延長・CPU接続
  • 4.おわりに

1.はじめに

 日本銀行は本年4月1日、『日本銀行当座預金決済「RTGS化」の枠組みについて』を公表した。そこでは、日本銀行の当座預金取引先(以下「取引先」)や民間決済システムの運営者の方々から寄せられたご意見・ご要望を踏まえ、日本銀行が西暦2000年末までに実現する方針とした「RTGS化」の枠組みをお示しした。また、併せて、今後日本銀行が「RTGS化」の実務的内容をまとめ、所要のシステム開発を進めていく過程においては、作業の進み具合いを可能な限り明らかにする考えをお伝えした。

 日本銀行では「RTGS化」を実現するための実務的な要件を固める作業を進めてきているが、本ペーパーでは現時点の検討状況について概要をご説明し、関係者の方々が「RTGS化」に対応していく上で必要な各種決済慣行の見直しやシステム対応等のご参考に供したい。

2.当座預金決済関係

(1)取引先間の当預決済

 取引先間の当預決済については、原則として時点処理を廃止するが、以下の2つの決済については、当分の間、時点処理を残置せざるを得ない見込みである。

  • 日本銀行が外国の中央銀行等から受け入れている預り金(=「海外預り金」)と民間金融機関から受け入れている当座預金とに跨る資金決済。

これについては、事務処理体制の変更やこれに伴うシステム手当の規模が大きいことから、2000年末までの「RTGS化」に間に合せることは困難である可能性が高い。もとより日本銀行としては、こうした資金決済についても当預決済および国債決済の「RTGS化」実施後の極力早い段階における「RTGS化」実現を目指す方針である。

  • (株)債券決済ネットワークが日銀ネットと接続して実現することを目指している社債、地方債、政府保証債などのいわゆる「一般債」と資金とのDVP決済。

同社のシステムが時点処理を前提に開発途上にあり、現段階での仕様の変更が困難であることなどから、「RTGS化」実施当初は時点処理(3時)での決済を継続せざるを得ないものと見込まれる。今後の取扱いについては、同社システムの稼働開始(本年12月の予定)後、関係者とともに具体的な方策を検討することとしたい。

(2)日本銀行と取引先との間の当預決済

 日本銀行が取引先との間で行う当預決済(例:国庫金、国債関係<元利払等>、手形オペ等の決済)は、原則として「同時処理」(注)で行うが、以下の決済については「RTGS化」する方向で検討する(なお、現在もRTGSベースで決済しているものについてはRTGSを継続)。

  • 日本銀行が行う国債オペ(TB・FBオペを含む)および資金運用部、国債整理基金の対市中国債売買(以下「国債オペ等」)にかかる当預決済。

国債オペ等にかかる資金・国債の決済を「同時処理」とした場合、後述のとおり市中におけるRTGSベースの国債決済が円滑に行えなくなる可能性がある。このため、これらの決済については、少なくとも日本銀行からの国債売却にかかるものは「RTGS化」する方向で検討していく(後述3.(2)参照)。

  • 「同時処理」とは、日本銀行が行う取引について、複数の資金の受払(または国債の受渡)をバイラテラル・ベースで同時に決済するものであり、システムのつくりとしては現在の時点処理の機能を援用する。ただし、運用面では、処理の対象が日本銀行と取引先との間の取引に限られるため、一部に決済不能が生じた場合でも現行時点処理に比べ速やかに対応できる点で、時点処理とは異なるものである。ただ、過渡的には、例えば一般債DVPにかかる資金決済の時点処理や、海外預り金にかかる国債決済の一般処理などを「同時処理」に併せて処理せざるを得ない可能性が高い。その場合には、当分の間、現行の時点処理が残るかたちとなる。

(3)民間決済システムの受払尻の決済方法

 4月に固めた枠組みに沿って、日本銀行に各民間決済システムの「受皿口座」を設け、負け先口座→「受皿口座」、「受皿口座」→勝ち先口座という振替をいずれもRTGSベースで行う。日本銀行は民間決済システム運営主体からの受払尻金額の通知に基づき一斉引落し・一斉入金を行う方向で、各々の民間決済システム運営主体と具体的な事務フロー固めの作業に入っている。

 なお、各民間決済システムの受払尻決済の具体的タイミングについても、決済秩序形成の一環として関係者の間で検討が進められていくものと期待している。

(4)日中当座貸越

 日本銀行が取引先に対して供与する日中当座貸越については、4月の公表ペーパーでお示しした枠組みの下、以下の方向で具体的検討を進めている。

  • 日中当座貸越の実行に当たっては、口座間振替であるか現金支払いのためであるかなど、その発生原因を問わない。
  • 取引先が複数の日本銀行本支店に当預口座を有している場合(例:○○銀行の東京の本店、大阪支店がそれぞれ日本銀行本店、大阪支店に当預口座を開設している場合)、日中当座貸越も複数の口座で利用できる扱いとする。但し、その場合、日中当座貸越額は各口座毎に算出することとし、例えば、東京のプラスの当座預金残高と大阪の日中当座貸越残高をネットアウトする扱いはしない。
  • 日中当座貸越の担保は、買入手形担保や貸付担保、代理店保証品等にも共用できる扱いとする方向で検討を進めている。また、取引先の担保が日本銀行の複数の店舗に差入れられている場合には、担保の物理的移動を伴うことなく、「与信を受けようとする日本銀行の店舗に差入れられた担保」として直ちに利用可能となるような機能を手当てすることも検討している。

 こうしたことが可能となれば、上記のように複数口座で日中当座貸越を利用する先においても、もともと複数の当預口座間で資金の振替が可能なことと相まって、資金繰りの効率性を損うなどの支障は生じないものと考えられる。

3.国債決済関係

 4月の公表ペーパーでは、日銀ネット国債系における参加者間の国債決済についても、日本銀行として「RTGS化」を目指す考えをお示しした。ただ、「RTGS化」された国債決済の円滑性を確保するためには、今後関係者において決済慣行を見直していくことが不可欠であるほか、市中から要望の強い「国債DVP取引において、買い手が買入国債を日本銀行に直ちに担保として差入れて日中当座貸越を受け、当該資金を買入国債の代金支払いに充てられるような仕組み」(以下「DVP買入国債の即時担保化」)など、当預決済の「RTGS化」以上に検討すべき点が多い。したがって、国債決済の「RTGS化」の実現時期については、「決済慣行見直しの進捗状況や、上記のシステム開発に要する期間などにもより、現時点では見極め難いが、当預決済と同様、西暦2000年末までの実現を目標として取り組んでいきたい」としたところである。

決済慣行の見直しに関しては、一部の市場関係者が、本年9月初めに「国債決済のRTGS化と決済にかかる市場慣行等について」というペーパーを公表し、種々の具体的な提言を行っている。日本銀行としては、このような具体的検討が関係者間でさらに深められていくことを期待している。

 日本銀行では4月以降、国債決済の「RTGS化」を実現するために必要な日本銀行としての対応について検討を続けており、目下、以下のような方向で実務的な要件を固めつつある。ただし、今後さらに細部を固めていく過程で、 一部に内容等の見直しが必要となる可能性がある点にはご留意頂きたい。

(1)日銀ネット国債系参加者間の国債決済

 日銀ネット国債系参加者間の国債決済については、原則としてRTGS(当日入力による「優先処理」)のみとし、先日付入力を含め時点での処理(「一般処理」)は廃止する。但し、以下の決済については、当分の間、一般処理を残置せざるを得ない見込みである。

  • 外国の中央銀行等から日本銀行に預託されている国債に関する決済。

これについては、前記の「海外預り金」に関する決済と同様(2.(1)参照)、事務処理体制の変更やこれに伴うシステム手当の規模が大きく、2000年末までの「RTGS化」に間に合せることが困難な可能性が高い。もとより日本銀行としては、こうした国債決済についても当預決済および国債決済の「RTGS化」実施後の極力早い段階における「RTGS化」実現を目指す方針である。

(2)日本銀行と国債系参加者との間の国債決済

(国債発行・払込)

 国債発行・払込は日本銀行と取引先との間の取引であるため、一般処理(同時処理)を利用可能とする。但し、市中の国債決済が「RTGS化」されると、「発行日取引」(国債の発行日に当該国債を転売する取引)の決済を円滑に行うため、「日中の早い段階で応募・引受代金の払込および国債の当初登録・当初寄託を行いたい」とのニーズが出てくるものと考えられる。したがって、国債発行・払込の決済については、払込先の選択により日中にRTGSベースでも上記処理がオンラインで可能となるよう手当する方向で検討する。

(国債オペ等)

 国債オペ等にかかる国債決済は、市場参加者間の国債取引・決済と極めて密接にリンクしており、これを一般処理で行った場合には、市中におけるRTGSベースの国債決済に支障が生じる可能性が高い。このため、国債オペ等の決済に関しては、少なくとも日本銀行からの国債売却(長国現先オペやTBオペの売戻しなど)について「RTGS化」する方向で検討していくこととする。

(3)DVP買入国債の即時担保化

 取引先がDVPで買入れる国債を直ちに日本銀行へ担保として差入れ、同時に日本銀行から日中当座貸越を受け、当該資金を買入国債の代金支払に充てられるような仕組みについては、参加者間の国債決済だけでなく、例えば国債オペ等の決済についても利用可能とする方向で検討を進めている。

(4)国債DVPの機能追加

 国債DVPの決済プロセスにおいては、通常まず売り手がDVPで国債を引渡す旨の入力を行い、買い手は売り手の入力内容を確認した後、DVPで資金の払込みを行う旨の入力を行い、この2つの入力が揃ったところで処理が行われる仕組みとなっている。「RTGS化」された国債決済において円滑なDVPを維持するためには、両者の入力が速やかに行われ、大量の国債決済が順次遅滞なく進んでいくことが重要である。この点、売り手の入力が誤っている場合にも買い手が迅速・確実にその旨を売り手に伝える必要が生ずるため、日銀ネットにおいてこれを可能とする機能を追加することも検討することとしたい。

なお、国債決済に関しては、日本銀行として「RTGS化」とは別にDVP対象範囲の拡大についても検討を進めている。具体的には、現状DVPの対象となっていない登録債括弧書記名分や振決債預り口についても、DVP決済導入を検討していく。

(5)稼働時間延長・CPU接続

 国債系参加者間の国債決済を「RTGS化」し先日付入力を廃止すると、参加者は決済日当日に全ての入力を行う必要があることから、日銀ネット国債系における当日決済分のオンライン入力時間を現行比1時間程度延長する(午後3時→午後4時)方向で検討する。

 また、現在外為円決済システムについてのみ利用可能としているCPU接続を国債系(および当預系)についても利用可能とする方向で検討する。

4.おわりに

 日本銀行では上記のほか、照会機能の充実などについてもできる限り対応する方向で検討を進めている。もとより、検討を要する事項は未だ数多く残っているが、日本銀行としては2000年末までの「RTGS化」実現に向け引続き検討を進め、できる限り早期にシステム開発のための実務的要件を固めるとともに、事務フロー変更の準備作業にも取りかかっていく予定である。日本銀行の作業状況については今後とも必要に応じ市場関係者の方にお示ししていく予定であるが、私どもとしては関係者の方々が、そうしたものもご参考とされつつ、「RTGS化」実現のために必要な決済慣行の見直しやシステム対応等に取り組んでいかれることを期待している。

以上

本ペーパーについての照会先

日本銀行信用機構局決済システム課

電話:03-3279-1111 内線2954