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2000年問題に関するバーゼル委ペーパー等の公表について

1998年 7月 8日
日本銀行

 BISバーゼル銀行監督委員会(以下バーゼル委と略称)は、6月22日に「2000年問題の監督に関する国際的な協調」についてのペーパーを、また、Joint Year 2000 Council*は7月6日に「金融機関の2000年問題対応を独自に評価する際の監督上のガイダンス」と題するペーパーを、それぞれ各国監督当局に送付し、対外公表しました(なお、両ペーパーの原文(英文)は、BISのホームページ(外部サイトへのリンク)に掲載されます)。

  • BISバーゼル委、同ペイメント委、IOSCO(証券監督者国際機構)、およびIAIS(保険監督者国際協会)の4つの国際的な委員会が共同で2000年問題に関する討議を行う場として、本年5月に設置したアド・ホックなフォーラム。議長はNY連銀Patrikis副総裁。

(公表ペーパーのポイント)

(1)バーゼル委ペーパー「2000年問題の監督に関する国際的な協調」(要旨は別添1)

 本ペーパーでは、「金融機関の海外拠点に関する2000年問題対応状況の監督について、当局間(母国/現地)で如何に役割分担するか」という問題意識の下、既存の国際協調の枠組みをベースとしつつ、できる限り柔軟な対応が可能となるよう、次の5つの提言が行われました。

  1. 1)母国当局は、海外拠点を含む母国金融機関の組織全体について2000年問題対応状況を監督。
  2. 2)現地当局は、自国に所在する外銀拠点の2000年問題対応状況を監督。その際、必要に応じて個別先の対応状況を母国当局に連絡。
  3. 3)金融機関の組織構造に応じ、ケース・バイ・ケースで監督上の役割を分担するのが現実的。したがって、当局間の情報共有は、機械的・継続的である必要はなく、タイムリーな情報交換が重要。
  4. 4)金融機関は母国・現地当局に所要の情報を提供するとともに、取引相手や市場に対し、タイムリーに十分な情報開示を行うことが期待される。
  5. 5)各国当局は、市場やインフラ全体の2000年問題対応状況に関する問合わせに答えられるよう準備するとともに、自国市場の銀行がこうした問合わせに答えられるよう支援すべきである。

(2)Joint Year 2000 Councilペーパー「金融機関の2000年問題対応を独自に評価する際の監督上のガイダンス」(要旨は別添2)

 本ペーパーは、銀行検査官・考査員や監査人が証券会社、保険会社を含む個別金融機関の2000年問題対応状況を評価する際の、着眼点を整理したものです。

 具体的には、個別金融機関における2000年問題対応を、1)2000年問題対応戦略の策定、2)組織全体としての問題意識の確立、3)2000年問題が業務全般に与える影響の把握と詳細な対応計画の策定、4)ハード、ソフト、付属機器の改修、5)テストによる修正内容の確認、6)テスト後の再修正、7)コンティンジェンシー・プランの策定という7つの局面に分け、局面毎に留意すべきポイントを整理するとともに、検査官・考査員、監査人が金融機関に対して確認すべき項目を質問の形で列挙しています。

 なお、本ペーパーにおける着眼点は、基本的に日本銀行が97年8月に公表した「2000年問題に関する考査チェックリスト」と同内容です。

以上

本件に関する問合せ先

日本銀行信用機構室決済システム課

(電話)03‐3279‐1111(内線2908)


(別添1)

「2000年問題の監督に関する国際的な協調」ペーパーの要旨

(本ペーパーの位置付け)

 従来、2000年問題は国内問題として取り扱われ、この問題の国際的側面にはさほど注意が払われてこなかったのが実情。本ペーパーは、1)国内銀行の海外での活動(海外市場インフラの2000年問題対応を含む)、2)外国銀行の国内での活動(本部の準備状況、支店・現法の2000年問題対応状況の評価を含む)の監督上の取扱いについて、当局間(母国/現地)の役割分担に関する枠組を提示しようとするもの。

一般に、銀行のコンピューター・システムについては、システム所在地の監督当局が評価するのが適切と考えられる。ただし、システム所在地がいくつかの国に跨がる場合があるほか、2000年問題対応を本部で集中して管理する先もあれば拠点毎に分散的に行う先もある。したがって、監督上の役割分担を機械的に切分けるべきではなく、ケース・バイ・ケースで対応する余地を残しておくことが必要。

(2000年問題監督のための5つの提言)

 具体的には、バーゼル委として次の5点を提言することで、2000年問題に関する各国当局間の国際協調の枠組みを提示。

  1. 1)一般に、母国監督当局は、金融機関の海外拠点を含む組織全体について、2000年問題対応計画に関する監督を行う責任を負う。母国監督当局は、監督方針に関する情報を他の監督当局と共有するとともに、海外市場で業務を行う銀行の2000年問題対応状況に関して、現地監督当局と協力しなければならない。
  2. 2)現地監督当局が関心を払うべき対象は、当該国に進出している外銀拠点の2000年問題対応状況に限定される。ただし、当該対象には、外銀拠点での2000年問題対応状況の評価はもとより、懸念材料や情報不足などの問題点について、母国監督当局との間で問題意識を共有することも含まれる。外銀拠点は、自らが利用するシステムについて、本部や他の拠点が管理するものも含めて情報提供が可能でなければならない。また、現地監督当局は、有用と思われる場合には、母国監督当局に対し、現地拠点の2000年問題対応状況について連絡する必要がある。
  3. 3)個別金融機関の組織構造は様々であり、状況に応じて監督責任の在り方も異なってくる。このため、監督上の無駄な重複や重大な監督漏れを防ぐため、ケース・バイ・ケースの対応が必要である。したがって、監督当局間で機械的・継続的な情報共有の枠組を作る必要はなく、それよりも監督当局による評価や重要な事態の変化について、タイムリーに情報交換すべきである。
  4. 4)金融機関は、対応計画策定、進捗状況評価、システム改修、内部・対外テスト、適格なシステムの導入等を通じ、自己責任に基いて自らの2000年問題対応を確実に実施するとともに、関係する母国と現地の監督当局に所要な情報を提供する責任を負う。また、金融機関は取引先や市場に対してタイムリーに十分な情報を開示することも期待される。これらの情報提供は、当該金融機関による2000年問題の対応策や潜在的なリスクを評価するために必要なものである。
  5. 5)各国の監督当局は、自国の市場全体、およびそのインフラの2000年問題対応状況に関する照会に対応するための準備を行い、また、自国市場で活動する銀行(外銀を含む)が同様な照会を受けた場合の対応を支援すべきである。

(コンタクトリスト)

 上記5つの提言の実施や、将来発生するかもしれない混乱に備えて、各国監督当局の2000年問題担当者名を連ねたコンタクトリストを用意(今後定期的に更新)。

以上


(別添2)

「金融機関の2000年問題対応を独自に評価する際の監督上のガイダンス」ペーパーの要旨

(本ペーパーの位置付け)

 2000年問題に関してG10各国が既に公表したガイドライン(ないしチェックリスト)の共通部分を抽出し、各局面毎に留意すべきポイントを整理するとともに、検査官・考査員・監査人が証券会社、保険会社を含む広義の金融機関に対して具体的に確認すべき項目を質問の形で列挙。

なお、末尾には2000年問題に関するG10諸国の公表物リストを添付(わが国からは、日銀のホームページ・アドレス、日銀・大蔵省各々の2000年問題チェックリスト、日銀ネット対外接続試験通知をリストアップ)。

(各局面ごとの留意事項)

第1段階:2000年問題対応戦略の策定

  • 2000年という対応期限を見据え、2000年問題対応の戦略的アプローチを策定すべき。具体的には、責任分担の明確化、金融機関全体の対応を統括する2000年問題チームの編成、経営陣の関与、対応状況の経営陣への定期的な報告体制の確立が必要。

第2段階:組織全体としての問題意識の確立

  • 金融機関の組織全体として、2000年問題の戦略的重要性に関する注意を喚起すべき。具体的には、決済の相互依存性を通じた国内外への影響などの認識、対応要員の確保が重要。

第3段階:2000年問題が業務全般に与える影響の把握と詳細な対応計画の策定

  • 2000年問題の影響度(規模、複雑性)を調査し、影響を受けるシステムの修正に向けた詳細な計画を策定すべき。具体的には、全てのハード、ソフトについて影響のある部分を洗い出し、リスクの大きさに応じて修正対応の優先順位付けを行った上で、線表、詳細計画を策定すべき。その際、取引先やベンダー等との情報交換も行う必要。

第4段階:ハード、ソフト、付属機器の改修

  • ハード、ソフト、付属機器の改修は、システム全体として有効に機能するように適切な順序で行われるべき。基幹(mission-critical)システムの改修は最優先で行う必要があるほか、自らのシステムをベンダーに全面依存している金融機関は、ベンダーと継続的に連携し、進捗状況を管理すべき。

第5段階:テストによる−修正の確認

  • 全てのハード、ソフト、および対外接続部分の2000年対応完了状況を基幹システムから順にテストで確認するとともに、システム上リンクしている第三者との接続確認テストも実施すべき。テスト計画では、テスト環境、テスト方法、テスト日程、人的資源、所要費用、テストの際に用いる日付等について定めておく必要。

第6段階:テスト後の再修正

  • 2000年問題のためのシステム修正は、個別アプリケーションの相互作用により全体としての2000年問題対応が損なわれる危険を防止するため、システムの修正を全て終えるまで再テストを実施する必要。

第7段階:コンティンジェンシー・プランの策定

  • 2000年問題が顕現化した場合に備え、取引相手や顧客、公共部門とも協力してコンティンジェンシー・プランを策定しておくべき。

以上