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「デリバティブ取引に関する定例市場報告(吉国委統計)」

第1回グローバル・ベースの調査結果(98年6月末)
(日本銀行仮訳)

1998年12月23日
国際決済銀行
ユーロカレンシー・スタンディング委員会



(日本銀行から)

 標記サーベイについては、すでに本邦分調査結果を 9月30日付で対外公表したところですが、今般、BIS 事務局がグローバル・ベースの調査結果を取りまとめ、12月23日に対外公表する運びとなりましたので、対外公表文の仮訳を別添のとおり配布いたします。

○ なお、グローバル・ベースの調査結果の概要は以下の通り。

(1) 98年 6月末の G10諸国の主要ディーラー75先(連結ベース)における OTCデリバティブ取引残高(想定元本)は、69.9兆ドルであり、95年 3月末に行った第 1回デリバティブ・サーベイの調査結果(26か国約 2,400対象先、拠点地ベース)比47%の増加。

(2) リスク・ファクター別では、金利関連取引が67%と最大のシェアを占め、外為関連取引(30%)、エクイティ関連取引( 2%)、コモディティ関連取引( 1%)と続く。

(3) 通貨別では、米ドルが外為関連取引では86% 1、金利関連取引では31%を占めている。

(4) 一方、98年 6月末におけるグロス市場価値(報告対象金融機関のデリバティブ取引に係る正の市場価値+非対象先との取引に係る負の市場価値の絶対値)は 2.4兆ドルであり、想定元本の 3.5%に相当している。もっとも、ネッティング考慮後の市場価値は 1.2兆ドル(国際的に活動する銀行のオンバランス資産の11%)まで縮小する。

(5) 外為、金利、エクイティおよびコモディティ以外のリスク・ファクターに基づくクレジット・デリバティブをはじめとするその他のデリバティブ取引は、想定元本ベースで 980億ドル、グロス市場価値ベースで30億ドルとなっている。



1 外為関連取引における通貨別シェアは、片道ベース(1本の取引を「受け」と「払い」に分解し、それぞれについて1回づつ、都合2回計数を報告すること)を採用していることから、全ての通貨のシェアの合計が200%になる。従って、BIS公表文中の米ドル関連外為取引のシェア(86%)は、通常の百分比では43%に相当する。

以  上


プレス・リリース


 国際決済銀行(BIS)は、半期に1度実施するグローバル・ベースの店頭(OTC)デリバティブ市場の取引残高に関する調査の第1回集計結果(98年 6月末分)を、本日公表する。本調査は、96年 7月にとりまとめられた「グローバルなデリバティブ市場統計の改善に関する提案(吉国委員会報告書)」 1を受け、97年 1月にG10諸国の中央銀行総裁によってその実施が承認されたものである 2。また、本調査は、 3年に 1度実施され、本年10月に98年 4月中の取引高調査結果が公表された「外国為替およびデリバティブ市場にかかる中央銀行サーベイ(外為・デリバティブ・サーベイ)」を補完するものでもある。すなわち、BISでは、同サーベイのより詳細な取引高調査結果(98年 4月中分)と残高調査結果(98年 6月末分)を99年春に公表する予定であるが 3、最近の金融情勢がデリバティブ市場の透明性の速やかな改善を求めていることから、本調査は、各国当局および市場参加者によるグローバルな金融システムの動向把握の向上に資するはずである。

 本調査は、G10諸国の主要な銀行およびディーラー 4における連結ベースのOTCデリバティブ取引残高(想定元本およびグロス市場価値)を対象とするものである。また、本調査では、 4種類のマーケット・リスク(外為、金利、エクイティ、コモディティ)について計数を取りまとめている。想定元本は、通常、個々のデリバティブ取引におけるキャッシュフローを算出する際の指標として用いられており、取引によって移転する可能性のあるリスク量の大まかな目安となっている。また、想定元本は、現物市場とデリバティブ市場の規模を比較する際にも用いられている。一方、グロス市場価値は、報告対象金融機関の全てのデリバティブ取引に係る正の市場価値と、非対象先とのデリバティブ取引に係る負の市場価値(非対象先が報告対象金融機関と行ったデリバティブ取引に係る正の市場価値の目安)の合計(絶対値)として定義される。グロス市場価値は、全ての取引残高の再構築コストであり、98年 6月30日に全ての取引残高について清算を行ったとした場合に生じる金融的価値の移転を表すものである。また、グロス市場価値は、オンおよびオフ・バランスを問わず、市場間の規模の比較を可能にする。さらに、グロス正の市場価値は、報告対象先のグロス信用リスク・エクスポージャー 5を示すものである。

 98年 6月末におけるOTCデリバティブ取引残高(報告対象金融機関間での取引に係る二重計上調整後)は、想定元本ベースで70兆ドルとなっている。これは、95年 3月末に行ったデリバティブ・サーベイの調査結果 6を47%上回るもので、両調査期間の間の為替レートの差、および所在地ベースから連結ベースへの変更を調整すると約130%の増加ということになる。また、取引所取引の最近の計数との比較でも、OTC取引がデリバティブ市場において圧倒的な規模を誇っていることが理解できる 7。一方、リスク・ファクター別では、金利関連取引がOTC取引において引続き最大のシェア(67%、ほとんどが金利スワップ)を占め、外為関連取引(30%、大半がアウトライト・フォワードおよび為替スワップ) 8、エクイティおよびコモディティ関連取引(それぞれ 2%および 1%)と続いている。金利関連取引は、外為関連取引に比べマーケット・リスクおよび信用リスクに係るエクスポージャーが小さい。これは、一般的に元本交換を伴う外為関連取引は、原資産の価格の変化に極めて敏感なためである。従って、外為関連取引の残存期間は極めて短く、87%が 1年未満の取引となっている。一方、金利関連取引では、残存期間が1年未満の取引は41%にすぎない。次に、取引相手先別では、金融機関同士の取引が金利関連取引で最大のシェアとなっている(87%、外為関連取引では77%)。最後に、通貨別では、米ドルがほとんどの外為関連取引の構成通貨(86%)であるのに対し、金利関連取引では僅か31%を構成するに過ぎない。これは、欧州通貨を中心とする米ドル以外の通貨に係るスワップ市場の拡大を示すものと理解される。

 98年 6月末におけるグロス市場価値は、 2.4兆ドルとなっており、想定元本の 3.5%に相当する。しかしながら、これは、実際の信用リスク・エクスポージャーを過大に評価しており、ネッティングやその他のリスク削減効果を反映していない。ネッティングによって、報告対象金融機関のデリバティブ取引に係る信用リスク・エクスポージャーは、 1.2兆ドル(国際的に活動する銀行のオン・バランス資産の11%)にまで削減される。また、当然予期されるように、グロス市場価値の対想定元本比率は、FRA(金利先渡取引)の 1%未満からエクイティ関連オプションの15%超まで、個々の商品によってかなりのばらつきがある。もっとも、興味深いことに、グロス市場価値の対想定元本比率は、アウトライト・フォワードおよび為替スワップでは 3.9%、金利スワップでは 3.5%と、 2つの主要な商品について同程度であった。これは、外為関連取引の再構築コストの方がかなり大きいことを示した95年のデリバティブ・サーベイの調査結果と、極めて対照的な結果となっている 9。このように、グロス市場価値の定期的な調査は、エクスポージャーの時間的な変化を把握するのに有益であると思われる。


1 同報告書は、BISユーロカレンシー・スタンディング委員会のワーキング・グループ(議長:吉国真一日本銀行国際局参事<当時>)によって取りまとめられたもの(翻訳は『日本銀行調査月報』1996年 9月号掲載)。

2 BISプレス・コミュニケ(1997年 1月27日付)「 G10が派生商品における定例市場報告を承認(G-10 approve regular collection of derivatives market statistics)」を参照。

3 将来的には、 3年に 1度の同サーベイを本調査のベンチマークまたは補完的な調査(例えば、取引高、各金融センターの動向、本調査の非対象先の取引状況など)として活用する予定。

4 全取引の80〜90%を構成する主要市場参加者75先。

5 同様に、負の市場価値は、報告対象金融機関に対する取引相手先のグロス信用リスク・エクスポージャーを表す。

6 95年 3月末のデリバティブ・サーベイと本調査の報告基準の違いについては、表 1の脚注 2を参照。

7 しかしながら、OTC取引のポジションの手仕舞いまたは修正は、通常、新たなカウンターパーティ・リスクの発生を伴うのに対し、取引所取引では、多くの取引が反対売買による手仕舞いが可能であり、ほとんどの場合、満期到来前に手仕舞われる。また、非金融関連商品や個別株オプションに係る計数はBISに報告されないため、取引所におけるデリバティブ市場の規模は過小評価されている。

8 この98年 6月末の残高調査結果は、本年10月に公表された98年 4月中の取引高調査の結果と異なっている。すなわち、取引高でみた場合、残存期間が短いことによって、外為関連取引の取引高は金利関連取引よりも大きくなっている。

9  2時点間の結果の相違は、市場の混乱に対する市場参加者のより慎重な態度や、98年における欧州大陸通貨間の為替レートのボラティリティの低下などに起因すると思われる。また、94年末および95年初頭の原資産市場のボラティリティの高さが、95年 3月末のデリバティブ取引残高に係る市場価値を一時的に上昇させたとも推察される。



グローバル・ベースの店頭(OTC)デリバティブ市場
(リスク・ファクター別:1998年 6月末)

円グラフ

 本調査の関連公表資料は、BIS World Wide Web Siteのhttp://www.bis.org/より入手できる。

以  上


表1
グローバル・ベースの店頭(OTC)デリバティブ市場
1
(1998年 6月末、10億米ドル)

表1 1 二重計上調整後ベース。すなわち、想定元本については、報告対象金融機関同士の取引残高を半分にして調整。一方、グロス市場価値については、グロス正の市場価値と、非報告対象先との取引に係る負の市場価値を合計して算出。

2 報告時点、報告基準(1995年は所在地ベース、1998年は連結ベース)、参加国数(1995年は26か国、1998年はG10諸国)などの違いから、これら 2つの調査の比較には留意が必要。

3 アウトライト・フォワードおよび為替スワップの計数は、英国分が含まれていないため、不完全なものとなっている。また、外為関連取引および金利関連取引の合計値は、それぞれの内訳として示した以外の商品の計数を含んでいる。

4 単一通貨の金利に係る取引のみ。

5 98年 6月末の結果の二重計上の調整にあたっては、95年の「外国為替およびデリバティブ市場にかかる中央銀行サーベイ」の結果を参照した。

6 ネッティング契約考慮後のグロス市場価値。

7 グロス市場価値は二重計上調整前のベース。

8 出所:先物業協会(Futures Industry Association)および各先物・オプション取引所。



表2
グローバル・ベースの店頭(OTC)外為関連デリバティブ市場
1,2
(1998年 6月末、10億米ドル)

表2 1 表 1の注 1を参照。

2 通貨別内訳は片道ベース(訳注: 1本の外為関連取引は取引の両足を構成しているそれぞれの通貨について 1回づつ、都合 2回報告される)となっているため、その合計は全外為関連取引の2倍となる。

3 表 1の注 2を参照。

4 残存期間。

5 表 1の注 8を参照。



表3
グローバル・ベースの店頭(OTC)金利関連デリバティブ市場
1
(1998年 6月末、10億米ドル)

表3 1 表 1の注 1を参照。

2 表 1の注 2を参照。

3 残存期間。

4 表 1の注 8を参照。



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