「リスク管理チェックリスト」(III.市場部門・ALM)
1. 総論
(1) 経営陣のリスク認識等
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.明確な業務方針の決定 | 市場取引の経営上の位置付けと利用目的・形態について明確な方針を有し、これを明文化するとともに定期的に見直しているか | ・ 市場取引の経営上の位置付けと利用目的・形態(ヘッジ、投機、対顧客取引等)を年度方針、業務計画、規程等に明記 ・ 上記方針を経営会議、役員会等で定期的(半期毎等)に見直し ・ 方針見直しの際は業務実績を勘案 |
| 2.リスク管理(含むALM)に対する取組み | 市場取引や資産負債等の構造にかかるリスクを理解し、業務方針と整合的なリスク管理方針・手続を明定して主体的に取組んでいるか | ・ 以下のリスクを理解し、その管理プロセスに主体的に関与 ◆資産負債等の構造にかかる金利リスク ◆市場取引に随伴する諸リスク(マーケット、信用、流動性等) ◆オプション取引固有のリスク等を含めたデリバティブ取引のリスク ・ リスク・テイクは収益や自己資本等の経営体力を裏付けとして行い得ることを認識 ・ 経営体力、資源配分、業務計画等を勘案しつつリスク・テイクを適正規模に調整する体制を確保 ・ 自行庫のトータル・リスク量を認識 ・ 各部門別のリスク量とリターンとの関係を認識 ・ リスク量計測モデルや各種経営指標の特性を認識 |
| 3.外為取引にかかる決済リスクの認識 | 異通貨の決済時間のずれ等により発生する実質的な与信の存在を認識し、適切な管理方策を講じているか | ・ 外為取引に係る決済リスクの存在を認識 ・ 取引相手毎の1日の決済(受取)予定額に限度額を設定するなど一般与信と同等に管理 ・ 内部規程やコルレス先との取決めの改善等により外為決済リスク削減に努力 |
(2) リスク管理制度
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | ||
| 1.規程等の制定 | 組織、リスク管理手続、牽制・報告体制、決裁権限、管理責任および指揮系統を明文化し、適時の見直しを行っているか | ・ リスク管理制度を規程等で明定 ・ 上記制度を定期的(半期毎等)または適時に見直し ・ 制度見直しは役員会や担当役員・部長の権限で実施 ・ 緊急時対応体制(連絡網、権限委譲等)も明定 | |
| 2.職責の分離・牽制機能 | 適切な職責の分離、特に取引執行部署・専担者(以下、フロント)と事務処理部署・専担者(以下、バック)の分離、リスク管理部署・専担者(以下、ミドル)の設置等により、フロント、バック双方への牽制機能を確保しているか | ・ フロントとバックを分離 ・ フロントとバックで取引内容を迅速に照合 ・ 取引先等と取引内容を迅速に照合 ・ 人事施策上の配慮等により、牽制関係にある各専担者・各部署の結託を防止 ・ フロントと同程度の経験・知識を有するミドルがフロントおよびバックを牽制 ・ フロント、ミドル、バックおよびカストディ業務にかかる責任者兼任を禁止 ・ ミドルないしバックは評価レート等リスク管理上必要なデータを原則としてフロントを経由せず直接に取得 | |
| 3.頻繁かつ適切な報告 | フロント、ミドル、バックの各部署は、経営陣や管理職に対し、取引内容、リスク・テイク規模および損益状況に関する報告を適時かつ頻繁に行っているか | ・ フロントは取引内容を取引実施の都度ないし当日中に部署長に対して報告 ・ ミドルまたはバックは関係部署長・担当役員へ毎日、経営陣へ週・月次で適時・直接に報告 ・ 報告書には実現・評価損益、リスク・テイク規模およびこれらの変動幅を、ポジション枠と対比、また必要に応じ収益予算、損失限度等と対比する形で記載 ・ ミドルまたはバックはフロントからの速報とミドルまたはバックからの報告を明確に区別するとともに、これらの内容・平仄の検証も定期的に実施 ・ 経営陣への報告は理解し易さに配慮 ・ 経営陣への報告を経営上の意思決定の材料に利用 | |
| 4.内部管理・検査体制 | 日常の内部管理、定期的内部検査等により、事件事故の発生を防止し、適切な業務運営とリスク管理の実現に努めているか | a.内部管理 | ・ 不正行為防止の観点から時間外勤務等を適切に管理 ・ フロント・バック職員に連続休暇の取得を奨励 ・ 人事ローテーション上同一業務の長期担当による不正の温床化回避に配慮 ・ 海外拠点では幹部職員が派遣職員・ローカル職員とも本部と同等の厳格な基準で管理 ・ トレーダーの電話等による会話内容を、フロント以外の部署が管理する録音機で録音・保存 ・ ディーリング・ルーム、バック等執務室の入退室管理を実施 ・ メール・ボックス、FAX機等への担当者以外のアクセスを制限・管理 |
| b.内部検査・外部監査 | ・ 市場業務・ALMにかかるフロント・ミドル・バック各部署に対し定期的に内部検査または外部監査を実施 ・ 検査部門に市場業務に精通した要員を配属 ・ 市場業務検査マニュアルを策定 ・ 海外拠点に検査部門を設置ないし定期的に(例えば主要拠点は年1回)検査チームを派遣して市場業務関連部署を検査 ・ リスク管理手続の適切性やモデルの妥当性を検証 | ||
(3) 市場実務・取引内容
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.市場実務・新商品対応 | 制度・慣行に従った適切な市場実務運営や新商品・新規業務取扱開始前の十分な検討を通じて、リスク管理の充実・強化に努めているか | ・ フロントの担当者および管理職が取扱商品の商品性・リスクを業務に必要な範囲内で完全に理解 ・ ポジションのヘッジ・解消方法、会計処理方法等業務上必要なノウハウを具備 ・ 新商品・新規業務に固有のリスクを識別し、取扱開始前にリスク管理・ヘッジ取引の手続・責任部署を決定 ・ 新商品・新規業務取扱開始に先立ち、関連部署において十分に協議のうえ、適切な稟議書・企画書を作成 ・ 必要に応じ基本契約(マスター・アグリーメント)を締結 ・ 担当者が取扱商品の取引条件を自ら提示可能 |
| 2.取引の健全性 | 決算操作取引や、リスク管理能力・経営体力比不相応なリスク・テイクを行うなど、不健全な業務運営の事実がないか | ・ 売買操作、償却操作、市場性資産の会計方法変更、オプション系商品の売却等による益出しや損失先送りの事実がない ・ 勘定間(トレーディング・バンキング間等)の付替による収益操作の事実がない ・ 担当者、担当管理職等による損失隠蔽の事実がない ・ リスク管理能力・経営体力比不相応なリスクを内包するポジションを有しない |
(4) その他体制整備
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.人材育成・専担者設置 | 人材育成に取組み、取引実行、リスク管理、事務処理等の各部署において、相応のスキルを有する担当者を十分に確保しているか | ・ 部署毎に専担者を配置し、他の専担者または兼務者によるバック・アップが可能 ・ 人材育成に配慮した人事ローテーションを実施 ・ マニュアルと社内研修体制(営業部店担当者向け等を含む)を整備 ・ 各部署に業務内容とリスクを理解した管理職を配置 |
| 2.システム整備 | 取引頻度や業務内容に応じて、ポートフォリオ管理、トレーディング・サポート、勘定処理、リスク管理、決済関連等の事務自動化システムを導入・整備しているか | ・ ポートフォリオ管理・勘定処理のためのシステム(パソコン・システムを含む)を整備 ・ トレーディング・サポート・システムを整備(トレーディング実施行庫のみ) ・ リスク管理のため必要な情報をシステム・サポート ・ 資金・証券の決済システムを整備 ・ 勘定処理システムをトレーディング・サポート・システム等と連動 ・ 内外主要拠点のシステムが接続され本部でモニター可能 |
| 3.情報収集・分析活動 | 外部情報ソース、研究機関等を通じて情報を恒常的に収集・分析し、リスク管理・業務運営に役立てているか | ・ 外部情報ソースと日常的にコンタクト ・ 情報端末を導入 ・ 情報分析・投資戦略にかかる部内検討会を定期的(週1回等)に開催 ・ 情報分析の専担者等を設置 |
2. トレーディング(特定取引勘定で経理する取引に限らず適用)
(1) 管理体制
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.トレーディングの管理 | トレーディングを他の市場取引から区分して、オン・オフ一体、グローバルな統合、リアル・タイムの把握を目指したリスク管理体制のもとに置いているか | ・ トレーディング目的の取引は全て区分管理 ・ 取引情報・損益・リスク量をオン・オフ一体管理 ・ フロント内の管理を原則としてリアル・タイム(常時自動更新)ないしオン・ディマンド(随時更新)化 ・ 特定取引勘定設置行庫では経理・組織・システムの区分を徹底 ・ 特定取引勘定とその他勘定の間の内部取引を厳格に管理 ・ ミドルではリスク管理情報を随時モニタリング可能 ・ 全拠点ベースの統合・合算管理化を推進 |
| 2.対顧客営業 | 対顧客トラブル防止のため、営業規則を定め、販売・取引時に十分な顧客への説明を行っているか | ・ 販売・取引時に、商品特性・リスクの性質・契約条件について十分に説明 ・ 管理ノウハウ、プライシング・モデル等を備えたうえで対顧客取引を実施 ・ 顧客とのトラブルが皆無または極めて僅少 ・ 営業の際に遵守すべき事項を明文化し、行庫内に徹底 ・ 販売・取引に当っては顧客プロフィールに十分に配意 ・ 必要に応じて既往取引に関するリスク管理情報(時価情報等)を開示 |
| 3.業績管理 | 取引ボリューム・市場シェア・収益等の維持・拡大を追求するあまり、トレーディング・市場営業部門に無理な圧力がかかり、正常な業務運営を損ねていないか | ・ 個別トレーダー、営業員、部門全体とも実力相応の安定的な収益・取引目標を設定 ・ 時価ベースで収益を管理 ・ 収益のみでなく、リスク量との対比で業績を評価 |
(2) マーケット・リスク等管理
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.時価・リスク量の把握 | ポジションを時価評価し、マーケット・リスク量と評価損益を把握しているか | ・ 時価評価(市場価格ないし自行庫モデルによる算出値対比)できない商品はトレーディング対象から除外 ・ 毎日定時(国内市場終了後等)にポジション・損益を把握 ・ 取引が活発な商品のポジションはリアル・タイム、損益はリアル・タイムまたはオン・ディマンドで把握 ・ 適切な要領作成・事務取扱いにより、時価評価に用いる公正価値の客観性を確保 ・ ポジションのマーケット・リスク量(バリュー・アット・リスク、デルタ等)を毎日把握 ・ 自行庫全体をモニタリングする観点から各部門のリスク量計測手法を統一 ・ リスク量計測モデル・時価評価モデルの見直し、ストレス・テスト、バック・テスティングを定期的に実施(監査法人等への委託も含む) ・ リスク量計測や定期的ストレス・テスト等の結果を業務運営上の方針決定、ポジション枠設定等の際の判断材料として活用 |
| 2.ポジション枠と損失限度の設定 | ポジション枠と損失限度を設定し、適切に運用・管理しているか | ・ ポジション枠・損失限度の総枠は経営会議、役員会等で決定 ・ トレーダー別のポジション運営状況をチーフ・トレーダー等が日中随時チェック ・ 毎日定時(前場・後場終了後等)にポジション運営状況を部署長宛報告 ・ ポジション枠・損失限度は経営体力の範囲内でトレーディング能力や収益目標に応じて決定 ・ バリュー・アット・リスク、デルタ、ギャップ、持高等を目的に応じて併用、使い分け |
| 3.商品特性に応じた管理 | 個別商品の特性、自行庫のトレーディング能力および取引手法に応じた管理手法を採用しているか | ・ 商品特性、取引手法等の観点から必要に応じて、直・先別、通貨別、ネット・グロス別等のポジション枠を設定 ・ 現物、先渡(先物為替予約等)、先日付取引等については期日管理表を頻繁に作成 ・ 債券・為替等では締め後取引の取扱いを明確化 ・ 締め後取引とこれを含めたポジションを翌日中に部署長に報告 ・ 損失限度の尺度(値幅、含み損額、含み損率、含み損・実現損合計額)を適切に選択 ・ 商品特性とトレーディング能力に応じて、アラーム、手仕舞い等の損失限度設定方法を使い分け |
| 4.市場流動性の認識 | 各商品の市場規模・流動性から通常時の自行庫の市場流動性リスクを判断し、これを勘案してポジション・テイク規模を決定しているか | ・ 手仕舞いを念頭に置き、各市場の規模・流動性との対比で無理のないポジション枠を設定 ・ 裁定取引では市場流動性を考慮したポジション管理方法(商品銘柄毎のグロス・ポジション枠等)を設定 ・ 商品・銘柄毎に市場流動性を考慮した管理(建玉限度、元本ベース取引残高枠設定等)を実施 |
(3) 市場取引にかかる信用リスク管理
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.信用リスク・エクスポージャーの把握 | 店頭(非上場)市場での取引に伴い発生する取引先向けの与信リスク額(以下、信用リスク・エクスポージャー)を理解・把握しているか | ・ 市場取引に伴う信用リスク・エクスポージャーを理解 ・ 取引額(元本等)またはこれに商品・取引期間毎の掛目を乗ずる方式で把握 ・ 再構築コストまたはこれにポテンシャル・エクスポージャーを付加する方式で把握 ・ 客観性の高いレートを用いて再構築コストを算出 ・ 信用リスク・エクスポージャーを十分な頻度(1日1回等)で把握 ・ 信用リスク・エクスポージャー計測等の結果をミドル等が定期的にチェックし、客観性を確保 |
| 2.与信審査とクレジット・ライン | 信用リスク・エクスポージャーが過大とならぬよう、与信審査管理部署の権限によりクレジット・ラインを設定するなど十分な管理を行っているか | ・ 市場取引を通じた与信の可否は独立した審査管理部署の権限で判定 ・ 取引が頻繁でない場合は取引の都度審査、頻繁に取引を行う場合は予め個社別にクレジット・ラインを設定 ・ 市場取引にかかる信用リスク・エクスポージャーを貸出金等と合算して審査管理 ・ 決算発表等に伴う定期見直しのほか、信用度に影響を与える事実判明の都度クレジット・ラインを見直し ・ フロント・サポート・システムが利用率アラームやガード機能を伴うクレジット・ライン管理機能を内蔵 ・ ネッティング契約・担保契約を活用して信用リスク・エクスポージャーを削減 |
3.有価証券投資 (非トレーディング部分)
(1) 管理体制
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.運用管理基準等の明定 | 適切な運用管理基準および期中投資計画を明文化し、遵守しているか | ・ 投資目的の明定、決裁権限、投資計画・限度等の管理基準を作成 ・ 業務計画の一環として期中投資計画を策定 ・ 市場部門と融資部門が分離され、インサイダー取引を排除 ・ 投資目的の相違に鑑み、有価証券の種類毎および純投資、政策投資の区別毎に適切な管理基準を作成 ・ 当該管理基準が自行庫の市場業務全般にかかる管理基準と整合的 |
| 2.保有状況等の把握・報告 | 保有状況等を詳細に把握・分析し、定期的に経営陣に報告しているか | ・ 帳簿、サポート・システム等により、日々行庫全体の保有状況を把握 ・ 保有状況を定期的(月1回等)に分析し、収益状況・投資計画遂行状況と併せて経営陣に報告 ・ 銘柄別、残存期間別、通貨別、目的別等の詳細な分類に従い保有状況を把握・分析 |
| 3.運用パフォーマンスの評価 | 中長期的に安定的な運用パフォーマンスを維持できるようにポートフォリオを構成しているか、また定期的に時価評価等を実施してパフォーマンスを確認しているか | ・ 時価評価を定期的(非上場株式等を除き、月1回等)に実施 ・ 調達コスト、期間損益、含み損益変動等を勘案した運用パフォーマンス評価を定期的(半期毎等)に実施 ・ 政策投資にあたっては、取引全体からみた収益性についての検討が十分 ・ 非上場株式は純資産価額方式等により定期的(半期毎等)に評価替え・償却を実施 |
(2) マーケット・リスク管理
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.保有限度の設定 | 保有限度を設定・遵守しているか、また定期的にその見直しを行っているか | ・ 全体・商品別・担当者別の保有限度を設定し、定期的(半期毎等)に見直し ・ 保有限度を実績追認ではなく、対象商品の収益性、経営体力等の根拠に基づき設定 |
| 2.損失拡大時対応 | 損失拡大時における対応策を明定・遵守しているか、また定期的にその見直しを行っているか | ・ 経営陣に対して市況動向・損益状況を定期的に報告 ・ 損失拡大時や市況大変動等緊急時の対応を明文化 ・ 複雑な仕組債、純投資株式、円投により保有している外貨建証券等円建価格変動が大幅かつ激しい商品について損失限度を設定 |
| 3.リスク量の把握・調整 | 債券ポートフォリオのリスク量を把握し、その業務方針に整合的な形で適切に調節しているか | ・ デュレーション等債券ポートフォリオのリスク指標を把握 ・ 金利予測に応じた入替商い等によりデュレーションを適宜調節 ・ 自行庫全体のALMの一環として金利リスクを分析・管理 ・ 時価損益変動・期間損益変動の2つの観点からリスクを分析 |
(3) 信用リスク等管理
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| ・保有銘柄の選定 | リスク管理の観点を踏まえた銘柄選定基準を明文化し、リスク分散やハイ・リスク銘柄の保有制限を図っているか | ・ 特定発行体・特定国への集中を制限する銘柄選定基準を定め、定期的(半期毎等)に見直し ・ カントリー・リスク分析を踏まえて外国証券への投資方針を設定 ・ 取引全体からみた収益性に配慮して政策株式保有に関するルールを設定 ・ ハイ・リスク証券はリスク管理能力・経営体力の範囲内で保有 |
4. 資金繰り (円貨・外貨共通)
(1) 管理体制
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | ||
| 1.流動性リスクの統合管理 | 流動性リスクを全店ベースで統合的に把握・管理できる体制となっているか | ・ 国内店の円貨・外貨の流動性リスクをそれぞれ統括管理する部署を設置 ・ 資金移動を伴う各部署と資金繰り統括部署の連携が密接 ・ 海外主要支店のおおよその資金繰りを本部が日々把握し、国内店分と統合管理 ・ 海外現法の資金繰りを本部が定期的(週1回等)にモニタリングし、必要に応じて銀行本体分と統合管理 | |
| 2.流動性危機対策 | 市場の混乱や自行庫の信認低下による資金調達困難化や資金流出への対策を講じているか | a.体制整備 | ・ 危機に際して、情報の収集・分析、対応策の決定、関係部署への指示等を機動的に行い得るよう、指揮命令系統を明確化し、連絡網とマニュアルを整備 ・ 平常時と危機発生時を区別して対応策をマニュアル化 ・ 自行株価、格付、自行庫に関する世評等、資金調達に影響を及ぼす情報を収集・分析 ・ 複数の非常時シナリオを想定し、各々に応じた対処方法を策定 |
| b.緊急時調達手段の確保 | ・ 可能な場合は有力行との間でエマージェンシー・ラインを設定 ・ 主要通貨母国の国債等流動性が高く、担保として即時に利用可能な資産を保有 ・ 有価証券売却、レポ等による資金化・調達可能時点と金額を常時把握 ・ 直先・通貨スワップ等を活用した円貨・外貨調達の可能性について確認 ・ 各国中銀からの借入枠を設定し、所要の担保を差入れ | ||
(2) 流動性リスク等管理
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.リスク量の把握 | 市場での資金調達が遅滞なく行えるよう、資金繰り表およびマチュリティ・ラダー表により運用・調達所要額を把握・管理しているか | ・ 資金繰り表を毎日作成し、少なくとも3営業日先までの資金ギャップを把握 ・ 決済期日に従ったマチュリティ・ラダー表を定期的(週1回等)に作成し、日次、週次、月次それぞれの資金ギャップを把握 ・ 米ドル以外の外貨について米ドル換算せず、個別に資金ギャップを把握・管理 ・ ローン・タイプ・オフバランス取引の実行予想額や、市場取引の決済予想額、大口取引解約見込額等を考慮に入れて管理 ・ 海外拠点を含むグループ全体ベースの資金ギャップを各拠点の営業終了毎に把握可能 |
| 2.資金ギャップ限度枠の設定 | 自行庫の資金調達能力を把握し、この範囲内で資金ギャップ限度枠を設定するなど、資金ギャップの抑制を行っているか | ・ 調達手段別の調達能力を調査・認識 ・ 外貨については、調達能力を勘案したうえで資金ギャップ限度枠を設定・遵守 ・ 資金ギャップ限度枠を、調達能力の変化(格付変更等)等に応じて、随時見直し ・ 資金ギャップ限度枠を海外拠点・通貨別に設定 |
| 3.業務運営面での配慮 | 流動性リスクの抑制を念頭に置いて日常の運用・調達を行うとともに、余資運用にあたっては、担保繰りや信用リスクにも配慮しているか | ・ 各営業日の要調達額が日常の平均的調達額に比べ過大とならぬよう運営 ・ O/N等短期市場性資金への依存度を適切にコントロールし、安定した調達構造となるよう運営 ・ 取引先別に資金放出のクレジット・ラインを設定し、信用リスクを管理 ・ 外貨建資産を新たに保有する際に、当該通貨についての自行庫の調達力を考慮 ・ 有価証券運用にあたって担保余力の確保にも配慮 |
5.ALM
(1) 金利リスクの把握
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.多面的・統合的なリスク管理 | 商品毎のリスクの性質を理解したうえで、異なる複数の手法を利用し、かつ統合的なリスク管理を行っているか | ・ 経常資産・負債を管理 ・ オン・オフを統合管理 ・ 異なる分析手法に基づく多面的管理(ギャップ分析、シミュレーション分析の併用等)を実施 ・ 期間損益変動・時価損益変動の2つの観点から金利リスクを分析・管理 |
| 2.リスクの定量的把握 | 適切な手法により定量的にリスクを計測・分析し、その結果を経営に役立てているか | ・ 金利更改期に従ったマチュリティ・ラダーを定期的(四半期1回等)に作成 ・ 不稼働資産、無コスト資金、金利感応度等を考慮した肌理細かなマチュリティ・ラダーを作成 ・ シミュレーション分析や金利感応度の算出を定期的に実施 ・ リスクを定量的に把握するモデル(VARモデル、EARモデル等)を導入 ・ ストレス・テストを実施し、その結果をリスク・テイクおよびリスク管理上の方針決定に役立てているか |
| 3.ALMシステムの整備 | リスク把握に必要なデータを集計・分析するためのシステム等を整備し、その特徴を十分に理解して利用しているか | ・ パソコン・ベースで表計算ソフト等により集計・分析 ・ 管理職および担当者がシステムの基礎にある前提条件を明確に理解 ・ 金利更改期・感応度の相違、解約オプション等金利リスクの主要な発生源をカバー ・ 多面的な分析機能をシステム・サポート ・ 勘定系システム等からデータを直接フィードする行庫全体にかかるALMシステムを構築 |
(2) ALM組織の運営
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.有機的な組織体制 | ALMを協議・実践する組織(以下、ALM委員会等)や金利リスクを計測・モニタリング・報告する部署・専担者を明確に位置付け、関連各部署とともに有機的に機能させているか | ・ 経営に係る諸会議・委員会のひとつとしてALM委員会等を設置 ・ ALM委員会等が方針策定に関わる組織として機能 ・ ALM委員会等が金利予測に止まらず、資産・負債の総合管理検討の場として機能 ・ ALM委員会等と関連各部署の連携が緊密 ・ 金利リスクを計測・モニタリング・報告する部署・専担者が市場部門フロントおよび営業推進部署から独立 ・ 金利予測、リスク把握、ヘッジ取引の実施等につき関連各部署の役割分担が明確 |
| 2.開催頻度・報告 | ALM委員会等を適切な頻度で開催し、検討内容・結果を経営トップまで報告しているか | ・ ALM委員会等を頻繁かつ定期的(月1回等)に開催 ・ ALM委員会等は金利予測、リスク・テイク規模、ヘッジ方針等の検討内容・結果を毎回経営トップまで報告 ・ 金利リスク管理部署・専担者は、定期的(週1回等)にリスクをモニターし、役員、部長に直接報告 ・ 経営陣への報告は、リスク・テイク規模を自己資本、収益力対比で判断できる分かり易い内容 |
| 3.経営陣のコミット | 経営陣がALMのプロセスに参加し、実行力をもってコミットしているか | ・ 経営陣がALM委員会等の内容を十分に把握 ・ ALM委員会等には関係役員が毎回出席し、必要に応じて経営トップも参加 ・ ALM委員会等の検討・決議に経営陣が十分に参加 |
(3) ALMの実践
| チェックポイント | 着眼点( 例 ) | |
| 1.リスクの調整 | 定量的に把握したリスクが経営体力比過大な場合、リスク量低減策がとられているか | ・ ヘッジ方法に関する知識があり、随時ヘッジ取引を実行可能 ・ 顧客呈示金利、獲得目標スプレッド、ボリューム目標等の営業推進方針がALM運営方針と整合的 ・ ALM委員会等が決定した運営方針に従い、金利リスクをデリバティブ取引等により機動的にヘッジ ・ 経営体力対比でのリスク・テイクの限界を認識しつつ、ギャップや金利リスク量にかかる枠・ガイドラインを設定 ・ デリバティブ取引の実施、債券ポートフォリオの組替、預貸金の期間や量の調整等によりオン・オフ合算のギャップ構造を必要に応じ調整 |
| 2.金利リスクの集中管理 | 本支店レートやヘッジ方針の企画・運営を通じ、本部が金利リスクを集中的にコントロールしているか | ・ 金利リスク集中管理の必要性を認識 ・ 金利リスク管理部署・専担者が金利リスクの計測・モニター・報告等を一貫して担当 ・ 営業部店の預貸金利を本支店レート部分とスプレッド部分に分離し、本部が本支店レート部分にかかる金利リスクを集中的にコントロール |
| 3.経営戦略の策定 | ALM委員会等の検討結果を経営戦略に活かしているか | ・ ALM委員会等における決定事項の履行状況を適宜フォロー ・ 業務計画上、資産・負債にかかる金利リスクのコントロール方針を明示 ・ ALM委員会等での検討結果を踏まえて預貸金付利方針を含む業務計画や中期経営戦略を策定 |
