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国債決済の「RTGS化」の枠組みについて

1998年 9月 4日
日本銀行

1.はじめに

 日本銀行では、日本銀行当座預金決済の「RTGS化」について、西暦2000年末までの実現を目指して、現在システム開発作業に取り組んでいる。

 この間、日銀ネットにおける国債決済の「RTGS化」の実現時期については、9年4月に公表した『日本銀行当座預金決済「RTGS化」の枠組みについて』の中で、「現時点では見極め難いが、当預決済と同様、西暦2000年末までの実現を目標として取り組んでいきたい」との方向性をお示しした。また、9年10月に公表した『「RTGS化」に関する日本銀行の検討状況について』の中では、国債決済の「RTGS化」に関する検討状況の概要についても説明を行ってきた。

 日本銀行では今般、国債決済の「RTGS化」についても、当預決済の「RTGS化」と同様に、西暦2000年末までに実現する方針を正式に決定し、その基本的な要件を固めた。本ペーパーでは、国債決済「RTGS化」の枠組みを説明することで、関係者の方々が「RTGS化」に対応していく上で必要な各種決済慣行の見直しや、システム対応等のご参考に供したい。以下では、国債決済「RTGS化」の範囲、国債DVPに関連する新設機能、CPU接続および稼働時間延長などについて、順次ご説明する。

2.国債決済の「RTGS化」の範囲

 日銀ネットにおける国債決済については、西暦2000年末までに、原則として当日入力による「優先処理」(=即時グロス決済)のみとし、「一般処理」(=時点ネット決済)は廃止する。

 但し、以下に掲げる3種類の国債取引にかかる決済については、事務処理体制の変更やシステム対応の規模が大きく、西暦2000年末までの対応が困難であることなどから、当分の間、現行同様に午後3時の「一般処理」によることとする(注1)

これらの3種類の取引の決済についても、西暦2000年末までに日本銀行当座預金決済および国債決済の「RTGS化」を実施した後、極力早い段階での「RTGS化」実現を目指す。

  1. (1)日本銀行が保護預りを行う外国中央銀行等による国債取引
    上記国債取引の決済については、日本銀行が外国中央銀行等から受入れている預り金にかかる資金決済と併せて「RTGS化」を図る。
  2. (2)国債発行・払込においてオンラインにより資金の払込を行う場合の国債取引
    但し、日銀小切手により資金の払込を行う場合には、現在と同様に「優先処理」による決済を利用できることとし、払込先がその都度、「優先処理」と「一般処理」のいずれかを選択できることとする。これは、発行日取引(国債の発行日に当該国債を転売する取引)の決済を円滑に行うために、日中の早い段階で資金の払込および国債の当初登録・当初寄託を行いたいとする市中ニーズに応えるための措置である。
  3. (3)長国オぺ等に伴う国債取引のうち、日本銀行等が譲受人となるもの
    但し、長国オぺ等(国債買切オぺ、レポオぺ、国債現先オぺ、および資金運用部・国債整理基金の対市中国債売買をいう)に伴う国債決済について、日本銀行等(日本銀行および資金運用部・国債整理基金をいう)が譲渡人となる場合には、その後の市場参加者間での転売ニーズ等が強いことを勘案して、「優先処理」によることとする。一方、FB・TBオぺに伴う国債決済については、システム対応が比較的軽微に止まることから、日本銀行が譲渡人となる場合も含め全面的に「優先処理」によることとする(注2)
  1. (注1)現在、決済日当日のオンライン入力については、当日の国債の予約残高が赤残に転化したり赤残幅が拡大する入力をエラーとするチェックを行っているが、「RTGS化」実現後も本チェックを継続した場合には、「優先処理」による決済が可能であるにも拘らず、予約赤残の発生等により決済が出来ないケースが多発しかねない。従って、「RTGS化」実現後は本チェックを廃止することとする。
  2. (注2)これら決済はオぺ対象先の日銀ネット国債系参加者による起動とする。

3.「国債DVP同時担保受払」機能の提供

(1)機能の概要

 「RTGS化」実現後における国債DVP取引の円滑な決済を可能とするために、以下の点を骨子とする「国債DVP同時担保受払」機能を新たに提供することとする(図1参照)。なお、同機能の利用者は、日銀ネット国債系参加者のうち、日本銀行との間でオンライン当座預金取引を行っている先に限ることとする。

  1. 1)日銀ネット国債系参加者がDVPにより国債を譲受ける場合には、譲受国債(FBを含む)を日本銀行に担保として差入れ、日本銀行から日中当座貸越を受け、当該資金を代金の支払に充当する。
    この場合、「国債DVP同時担保受払」機能では、譲受人による譲受国債の日本銀行への担保差入、日本銀行による日中当座貸越の供与、および譲受人による国債買入代金の支払、という3つの処理を同時に行うこととなる。
  2. 2)日銀ネット国債系参加者がDVPにより国債を譲渡する場合には、日本銀行に担保として差入れている国債を受戻すことで譲渡国債を手当し、譲受人から受領した代金を日中当座貸越の返済に充当する
    この場合、「国債DVP同時担保受払」機能は、日本銀行による譲渡人への差入担保国債の返戻、譲渡人による日中当座貸越の返済、および譲渡人による国債の引渡、という3つの処理を同時に行うこととなる。
  3. 3)同一の取引において、国債の譲受人および譲渡人がともに「国債DVP同時担保受払」機能を利用する場合には、上記1)および2)における合計6つの処理が同時に実施されることとなる。

(2)利用対象取引

 「国債DVP同時担保受払」機能は、日銀ネット国債系参加者の間での国債決済、および国債オぺ等(FB・TBオぺ、国債買切オぺ、レポオぺ、国債現先オペ、資金運用部・国債整理基金による対市中取引をいう)に伴う国債決済(注3) において、各取引当事者が任意に利用できることとする。

 もっとも、譲渡人または譲受人が自己保有分以外の国債の取引を行う場合等(注4)には、「国債DVP同時担保受払」機能を利用できない扱いとする。

(3)利用方法

 日銀ネット国債系参加者が「国債DVP同時担保受払」機能を利用する場合には、予め日本銀行に開設した同機能専用の当座預金口座を通じて、日本銀行との間で日中当座貸越にかかる資金受渡を含めて国債DVP取引にかかる資金決済を行うこととする(なお同機能の利用先である各金融機関は、国債DVP取引にかかる資金決済を行っている店舗毎に上記専用口座を開設することが可能)。従って、通常の日中当座貸越にかかる事務処理とは別に、「国債DVP同時担保受払」機能利用に伴う日中当座貸越にかかる資金の受渡および担保の受払が行われることとなるが、同一店舗内であれば、「国債DVP同時担保受払」機能専用の当座預金口座と通常の当座預金口座との間の資金振替、および同機能における差入担保と通常の日中当座貸越担保との間の振替を行うことを可能とする(注5)

「国債DVP同時担保受払」機能専用の当座預金口座の利用は日銀ネット国債系システムの稼働時間中に限ることとする。従って、同機能の利用先は日銀ネット国債系システムのオンライン入力締切時刻である午後4時(後述6.参照)までに、「国債DVP同時担保受払」機能専用の当座預金口座の残高(日中当座貸越の供与を受けている場合にはその残高)および同機能における差入担保残高を、通常の当座預金口座および通常の日中当座貸越担保への振替等の方法により、それぞれ「ゼロ」とすることが必要である。

  1. (注3)国債買切オぺ、レポオぺ、国債現先オぺ、および資金運用部・国債整理基金による対市中取引に伴う国債決済については、日本銀行等が譲渡人となる場合に限定する。
  2. (注4)具体例は次のとおり。1)国債DVP取引に伴う資金決済について他の日銀ネット国債系参加者から委託を受けている場合、2)取引対象が括弧書記名のうち常任代理人記名または信託口記名となっている登録国債あるいは信託口に寄託されている振決国債である場合、3)譲受人が国債受渡にかかる入力を行う「逆引取引」の場合、4)譲渡人が一つの国債DVP取引において日本銀行に担保として差入れている国債とともに併せて自己保有国債を売却する場合、5)譲受人が一つの国債DVP取引において買入れた国債を全て日本銀行に担保として差入れることなく、その一部のみを担保として差入れる場合、6)振決国債預り口を対象とする国債DVP取引である場合、など。
  3. (注5)国債DVP取引においては、国債受渡にかかる入力を行う部署(債券部署)と資金受渡にかかる入力を行う部署(資金部署)をそれぞれ別個の店舗に指定することができる。しかしながら、「国債DVP同時担保受払」機能を利用するに当っては、各金融機関において、債券部署と資金部署を同一店舗とする必要がある。従って、現在国債DVP取引において債券部署と資金部署が異なる店舗となっている金融機関が「国債DVP同時担保受払」機能を利用するためには、債券部署と資金部署を同一店舗とするための適宜の変更措置をとる必要がある。

4.国債DVPにおける新設機能

 日銀ネットにおける国債DVP取引の基本的な仕組みは、1)譲渡人が日本銀行に対して「当座預金口座への入金と同時に自己が保有する国債の受払を依頼する」旨の入力を行い、2)次いで、譲受人がその入力内容を確認した後、日本銀行に対して「国債を譲受けると同時に、当該国債の代金を自己の当座預金口座から引落す」旨を依頼する入力を行ったうえで、3)譲受人の入力時に国債および資金の残高が不足していない場合には決済が実行される作りとなっている。国債決済の「RTGS化」実現後を展望すると、大量の国債DVP取引について円滑な決済を確保するためには、譲受人および譲渡人両者の入力が正確かつ迅速に行われることが重要である。従って、日本銀行では、国債DVP取引(「国債DVP同時担保受払」機能を利用する場合を含む)において資金受渡にかかる譲受人の入力が迅速に行われるように、幾つかのサポート機能を手当する。

 具体的には、1)譲受人が入力するに当って、国債受渡にかかる譲渡人の入力内容に誤り等があった場合に、譲受人が譲渡人に対して、「譲渡人の入力内容の確認を依頼する」旨を通知する機能、2)個々の取引を処理する都度、国債受渡にかかる譲渡人の入力から資金受渡にかかる譲受人の入力までの所要時間をこれら双方に通知する機能、3)譲受人が入力した時点で、譲渡人の国債残高不足により取引の決済ができない場合に、譲渡人にその旨を通知する機能、の3つである(注6)

 なお、日本銀行では、国債決済の「RTGS化」とは別に、現在国債DVP取引の対象となっていない振決国債預り口について、「RTGS化」の実現と同時に国債DVP取引を導入し、国債DVP取引の対象を振決国債全体に拡大する方向で基本的な要件の検討を進めている(注7)

  1. (注6)その他に、国債DVP取引のみならず、国債取引一般に関して、残高通知および残高照会について機能の充実を図ることとする。具体的には、1)日本銀行入力分を含め「優先処理」を実施の都度、日銀ネット国債系参加者に出力する各種通知等に、当該「優先処理」実行後の当該銘柄の残高を表示すること、2)国債の残高照会を行う場合に、複数銘柄を同時に照会することを可能とすること、の2点。
  2. (注7)常任代理人を括弧書記名とする登録国債については、本年4月に国債DVP取引を導入した。

5.日銀ネット国債系CPU接続

 国債取引量の多い日銀ネット国債系参加者における事務処理の効率化を図るために、日銀ネット国債系および当預系についても、各参加者のホスト・コンピュータと日銀ネットを接続すること(CPU接続)を可能とする方針である。CPU接続による送受信が可能となる電文は、「各参加者の国債残高の異動を伴うものであって、利用頻度の高いもの」を対象とする予定である。具体的には、移転登録、振決口座振替および国債DVP(「国債DVP同時担保受払」機能を利用する場合を含む)における国債受渡を指示する旨の電文の送信や、国債受渡処理を完了した旨の通知や残高通知等の受信などがこれに当たる。

6.日銀ネット国債系の稼働時間延長

 国債決済の「RTGS化」に伴い先日付入力を廃止することから、国債系参加者は決済日当日に全ての入力を行う必要がある。また、日銀ネット国債系参加者の間では、「一般処理」後、国債発行・払込等において同処理により譲受けた国債を転売するニーズがあると考えられる。こうした点を踏まえて、日本銀行では、日銀ネット国債系システムにおける当日決済分のオンライン入力時間を現行比1時間延長する(入力締切時刻を現行の午後3時から同4時に変更する)こととする。なお、上記の稼働時間延長を行うことに伴い、日本銀行本店における書面請求の受付締切時刻を午後4時とする(注8)

  1. (注8)なお、国債の残高不足により書面請求にかかる国債決済ができない場合には、当該請求を却下する扱いとする。従って、書面請求者側においても、国債の残高管理の厳正化が必要となる。

7.おわりに

 日本銀行では関係者の方々に、日本銀行当座預金決済の「RTGS化」に関する検討内容を既にお示ししているが、本ペーパーにおいて、国債決済の「RTGS化」実現に向けての基本方針をご説明したことにより、日本銀行当座預金決済および国債決済の双方について「RTGS化」の枠組みが出揃ったこととなる(なお、「RTGS化」実現後の日銀ネット全体の運行イメージを図2にお示しした)。今後は、「RTGS化」について、できる限り早期に具体的な詳細要件を固めていく予定である。

 また日本銀行では、今後とも必要に応じて日本銀行内部の作業状況について関係者の方々にお示ししていく予定である。私どもとしては、関係者の方々がこうした情報を参考にされつつ、「RTGS化」実現に向けて必要な市中決済慣行の見直しやシステム対応等に引続き取り組んでいかれることを期待している。

 なお、本ペーパーでお示しした国債決済「RTGS化」に関する内容について、ご意見、ご質問がおありの場合には、日本銀行信用機構室決済システム課(電話:03-3279-1111内線2954)までお寄せ頂きたく、宜しくお願い申し上げる。

以上


  • 図1

図2

「RTGS化」後における日本銀行当座預金決済および国債決済のフロー

  • 図2-a
  • 図2-b
  1. (注1)2000年末までの実現を目指している日銀ネットの稼働時間延長措置は「外為決済リスク削減」を主たる目的とするものであるが、外為取引の主体は大半が日本銀行本店管内のオンライン当預取引先であると考えられる。従って同延長時間帯においては、オンラインによる当座預金振替および外為円即時グロス決済モードを利用可能とする。
  2. (注2)延長時間帯の利用希望先については、19時以降「翌営9時同時処理」の再起動を行う。
  3. (注3)「長国オペ等」とは、長国オペ、債券貸借オペおよび資金運用部・国債整理基金による対市中取引を指す。
     なお、「長国オペ等」のうち、優先処理の対象となるのは日本銀行等が国債の譲渡人となる場合であり、一般処理の対象となるのは日本銀行等が譲受人となる場合である。
  4. (注4)「国債発行・払込」のうち、優先処理の対象となるのは市中金融機関が日銀小切手により応募・引受代金の払込を行う場合のみとし、それ以外の場合は一般処理により決済される。