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「日本銀行における役員の給与等の支給の基準」と4月1日から適用される給与等の水準について

1998年 3月 6日
日本銀行

 日本銀行では、本日、日本銀行法(平成9年法律第89号。以下「新日銀法」という)第31条の規定に基づき、「日本銀行における役員の給与等の支給の基準」(以下「支給の基準」という。)を政策委員会で決定し、大蔵大臣に届け出ました。また、これと同時に4月1日から適用される役員の給与等の水準を政策委員会で決定しました。

 新日銀法では、日本銀行の役職員の給与等については「社会一般の情勢に適合したものとなるよう」支給の基準を定めることとされ、特に役員については、特別職国家公務員の給与等を勘案して定めなければならないものとされています。私どもでは、こうした法律の規定や、日銀法改正の際の国会でのご議論なども踏まえて、4名の外部の有識者に諮問委員をお願いし、答申をいただいた上で、今回、新たに「支給の基準」を策定したものです。

 今回制定した「支給の基準」および4月から適用される給与等の水準の特徴点は以下のとおりです。

1.新日銀法の規定にある「社会一般の情勢への適合」、「特別職国家公務員の給与等の勘案」という点について、まず社会一般の情勢に適合するために配慮すべき点として以下の各点を明記したこと。

  1. (1)役員の給与等は、各役職の職責及び必要とされる能力に応じたものであること。
  2. (2)役員の給与等は、日本銀行の適切な政策運営及び業務サービスの維持・向上を図るために必要な人材を確保する上で十分競争力のあるものとし、そうした人材の民間企業等における処遇の実情を勘案すること。
  3. (3)役員の給与等は、日本銀行の業務及び財産の公共性にかんがみ、その総額を含めて適正かつ効率的なものとなるよう配慮すること。

 次に、特別職国家公務員の給与等を勘案するに当たって配慮すべき点として以下の各点を明記したこと。

  1. (1)総裁の給与については、特別職国家公務員の最高給与を上回らないようこれを定め、総裁以外の役員については、各役職の職責に応じ、総裁との均衡を考慮すること。
  2. (2)役員の退職手当については、特別職国家公務員の退職手当を勘案するとともに、日本銀行役員の任用形態や退任後の就職に関する制約等にも配慮すること。

2.新しい給与等の水準については、「社会一般の情勢への適合」、「特別職国家公務員の給与等の勘案」の両方を踏まえて検討し、まず給与について、「支給の基準」に示された「総裁の給与については、特別職国家公務員の最高給与を上回らない」という考え方に基づき、総裁の給与を現行比22%引き下げるとともに、その他の役員も、「総裁との均衡を考慮」し、相応の調整を行ったこと。また、退職手当についても、特別職国家公務員の退職手当やその他の事情も勘案して、退職金支給乗率を現行比10%引き下げ、その結果、総裁の退職手当が現行比32%の引き下げとなったほか、他の役員についても引き下げを行ったこと。

以上


日本銀行における役員の給与等の支給の基準

 日本銀行は、日本銀行法(平成9年法律第89号。以下「法」という。)第31条の規定に基づき、日本銀行の役員(参与を除く。以下同じ。)の報酬、給与及び退職手当(以下「給与等」という。)の支給の基準を、次のとおり定める。

1.社会一般の情勢への適合

 法第31条第1項では、役員の給与等の支給の基準を定めるに当たって、社会一般の情勢に適合することが求められている。その際、基本的な考え方として以下の点に配慮するものとする。

  1. (1)役員の給与等は、各役職の職責及び必要とされる能力に応じたものであること。
  2. (2)役員の給与等は、日本銀行の適切な政策運営及び業務サービスの維持・向上を図るために必要な人材を確保する上で十分競争力のあるものとし、そうした人材の民間企業等における処遇の実情を勘案すること。
  3. (3)役員の給与等は、日本銀行の業務及び財産の公共性にかんがみ、その総額を含めて適正かつ効率的なものとなるよう配慮すること。

2.特別職国家公務員給与等の勘案の仕方

 法第31条第2項では、役員の給与等の支給の基準を定めるに当たって、特別職の職員の給与に関する法律(昭和24年法律第252号)の適用を受ける国家公務員(以下「特別職国家公務員」という。)の給与及び退職手当その他の事情を勘案することが求められている。その際、基本的な考え方として、以下の点に配慮するものとする。

  1. (1)総裁の給与については、特別職国家公務員の最高給与を上回らないようこれを定め、総裁以外の役員については、各役職の職責に応じ、総裁との均衡を考慮すること。
  2. (2)役員の退職手当については、特別職国家公務員の退職手当を勘案するとともに、日本銀行役員の任用形態や退任後の就職に関する制約等にも配慮すること。

3.役員の給与等の区分

 役員の給与等の区分は、次のとおりとする。

  1. (1)役員給与……役員俸給、役員手当
  2. (2)役員退職手当

4.役員俸給の支給

 役員俸給は、月額をもってこれを定め、毎月定額を支給する。

5.役員手当の支給

 役員手当は、1月より6月までの分を6月に、7月より12月までの分を12月に支給する。

6.役員退職手当

 役員退職手当は、当該役員の退職時における役員俸給の千分の396に相当する金額に在職月数を乗じた金額とする。

7.就退任に伴う日割・月割計算

 就任または退任の場合には、役員俸給は日割をもって、役員手当及び役員退職手当は月割をもって計算する。

8.役員の給与等に関する開示

 役員俸給及び役員手当の金額は、これを開示する。

9.その他

  1. (1)役員俸給及び役員手当の金額は政策委員会がこれを定める。
  2. (2)日本銀行の役員の給与等の支給に関する細則その他の事項は、別途定める。

附則

1.発効日

 この基準は、平成10年4月1日から効力を生じるものとする。

2.退職手当に係る経過措置

 平成10年3月31日に任命委員、総裁、副総裁、理事及び監事である者(以下「委員・役員」という)で、平成10年4月1日以降に退職する者の退職手当については、この基準の7.の定めにかかわらず、次の(1)、(2)の合計額とする。

  1. (1)当該委員・役員が平成10年3月31日に退職した場合に当該委員・役員に退職手当として支払われる金額
  2. (2)当該委員・役員の退職時における役員俸給の千分の396に相当する金額に平成10年4月1日以降の在職月数を乗じた金額

(参考)

日本銀行の役員給与等(平成10年4月1日から適用)

1.役員俸給及び役員手当

役員俸給及び役員手当(単位 万円。%)
  役員俸給
(月額)
役員手当
(1回)
年収 現行比
増減率
総裁 215 710 4,000 ▲22%
副総裁 170 560 3,160 ▲15%
審議委員 163 537 3,030 ▲10%
理事 139 456 2,580 ▲ 5%
監事 102 333 1,890 + 5%

2.役員退職手当

  1. (1)役員退職手当計算式
    役員退職手当=俸給月額×(396/1000)×在職月数
  2. (2)任期満了時役員退職手当支給額
役員退職手当(単位 万円。%)
  役員退職手当 現行比増減率
総裁 5,108 ▲ 32%
副総裁 4,039 ▲ 25%
審議委員 3,873 ▲ 16%
理事 2,642 ▲ 15%
監事 1,939 ▲  2%
  • 現行、改定後ともに、総裁、副総裁、審議委員は任期5年、理事、監事は任期4年をそれぞれ満了したものとして計算。

以上


(参考)

平成10年2月23日

日本銀行総裁
松下康雄殿

役員の給与等の支給の基準制定に関する諮問委員会
諮問委員
諮問委員
諮問委員
諮問委員

日本銀行の役員の給与等に関する答申

 役員の給与等の支給の基準制定に関する諮問委員会では、日本銀行総裁からの諮問を受けて、新しい日本銀行法の下で、日本銀行の役員の報酬、給与および退職手当(以下「給与等」という。)の支給基準を定めるに当たり如何なる点に配慮すべきかという問題につき検討を行い、結論を得たので下記のとおり答申する。

 日本銀行は、わが国の中央銀行として、銀行券の発行、通貨および金融の調節、資金決済の円滑の確保を通じた信用秩序の維持に当たる機関である。このうち通貨および金融の調節については、経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならないものとされるとともに、上記業務運営における自主性は尊重されるべきものとされている(日本銀行法第1条ないし第5条)。同時に、日本銀行は銀行業務をその業としており、その目的、理念の実現も、許認可権や監督権といった行政権限を用いて行うのではなく、金融機関との間で行う金融市場取引やその他中央銀行として行うサービスの提供を通して行っているなど、民間的な側面を有する組織である。

 日本銀行の役員の処遇を考えていくに当たっては、このような日本銀行の性格を考慮することが適当である。

1.社会一般の情勢に適合したものとするための基本的な考え方

 日本銀行法第31条第1項では、役員給与等の支給の基準を定めるに当たって社会一般の情勢に適合することが求められているが、その際、基本的な考え方として以下の点に配慮すべきものと考えられる。

 第1は日本銀行役員の職務内容である。総裁を初めとする役員は金融・経済に関して高い専門知識や実務能力が求められており、日本銀行の役員の処遇は、その職責や必要とされる能力に相応したものであることが必要である。

 第2は、第1の点にも関連するが、人材を確保する上で十分競争力のある給与等でなければならないことであり、日本銀行役員に相応しい人材が民間企業等でどのような処遇を得ているかを考慮することが必要である。その際、社会一般の情勢を勘案するという観点から、主要民間金融機関だけでなく、金融業以外の主要民間企業の役員給与等の動向をも総合的に勘案することが、広く国民の理解を得る上で望ましい。わが国の場合、役員給与等に関し公表されているデータが少なく、厳密な比較検証は困難であるが、日本銀行としては、事情の許す限り広く社会一般の役員給与等の実態を勘案すべきであろう。加えて、日本銀行役員については、報酬のある兼職が原則として禁止され、再就職制限が課されることも考慮に入れる必要がある。

 第3は、適正かつ効率的な支出に努めることである。新しい日本銀行法では、日本銀行は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならないとされているが、経費支出の一環である役員給与等も、その総額も含めて適正かつ効率的な支出が行われるように十分に注意しなければならない。

2.特別職国家公務員給与等の勘案の仕方

 日本銀行法第31条第2項では、役員給与等の支給の基準を定めるに当たって特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員(以下「特別職国家公務員」という。)の給与及び退職手当その他の事情を勘案することが求められているが、その際、基本的な考え方として以下の点に配慮すべきものと考えられる。

 まず、特別職国家公務員給与の勘案の仕方であるが、冒頭に述べた日本銀行の業務内容とその運営の在り方からする総裁の職責の重大性にかんがみると、総裁の給与については、特別職国家公務員のトップクラスの給与水準を考慮しながら、適切な水準を定めることが適当と思われる。総裁以外の役員については、特別職国家公務員の役職と個々に結び付けることは困難であり、その給与は日本銀行の中における職責に応じ、総裁とのバランスを考慮して設定されるべきものと考える。なお、その際、日本銀行は、各役職の職責について国民の理解が得られるように十分に説明していくことが望ましい。

 次に、退職手当については、特別職国家公務員の退職手当を勘案して、その水準を見直すことが必要であろう。しかし、特別職国家公務員の退職手当の制度は、一般職国家公務員と同様の制度となっており、長期勤続に対する報償的な色彩が濃いものとなっている。ただ、国家公務員の中でも、最高裁判所裁判官については、外部からの登用や勤続期間等を考慮して他の国家公務員とは異なる定めがされており、日本銀行役員についても、同様の事情にあることや、退職後の再就職制限が課されること等を勘案して退職手当制度を定めることが適当と思われる。

以上