日本銀行本店

「適格担保取扱基本要領」の制定等について

2000年10月13日
日本銀行


 日本銀行は、本日開催した政策委員会・金融政策決定会合において、適格担保の取扱いの一層の明確化および金融調節の一層の円滑化を図る観点から、基本要領の制定等下記の内容につき決定しましたので、お知らせします。

 なお、本日制定された「適格担保取扱基本要領」中5.(2)の取引先の関係企業の債務の取扱いは、昨年9月21日の政策委員会・金融政策決定会合での決定(「適格資産担保債券および当座預金取引の相手方の債務の担保取扱等に関する基本方針について」)において、その取扱いについて1年後を目処に結論を得るとしたことを受けたものです。



  1. 「適格担保取扱基本要領」を別紙1のとおり制定すること。

  2. 「企業の信用判定基本要領」を別紙2のとおり制定すること。

  3. 「コマーシャル・ペーパーの売戻条件付買入基本要領」(平成10年12月15日決定)を別紙3のとおり一部改正すること。

  4. 「資産担保債券の適格基準」(平成11年10月27日決定)を廃止すること。(注)

    (注)「適格担保取扱基本要領」の別表2中に資産担保債券の適格基準を規定したことに伴う措置。

  5. 日本銀行法第33条第1項第1号の手形の割引に係る基準となるべき割引率(以下「基準割引率」という。)および同項第2号の貸付けに係る基準となるべき貸付利率(以下「基準貸付利率」という。)については、現在、「商業手形割引率ならびに国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利率」と「その他のものを担保とする貸付利率」とに区分してその率を定めているが、この区別を廃止して「基準割引率および基準貸付利率」として一本化することとし、その率を「商業手形割引率ならびに国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利率」の率とすること。また、証書貸付債権を担保とする貸付けに係る基準となるべき貸付利率についてもこれと同率とすること。

  6. 4.および5.は、日本銀行当座預金決済のRTGS化の実施日から実施すること。

  7. 「商業手形に準ずる手形」等特定の形態の取引を裏付けとする手形を本行の貸出政策上優遇する制度については、その政策運営上の意義が薄れていることを踏まえ、今後、廃止を含めて整理していくこととすること。
<本件照会先>
  • 上記1.および3.から7.までに関する照会
    企画室企画第2課   高口(こうぐち)(3277-2800)
               中島(3277-2813)

  • 上記2.に関する照会
    金融市場局金融市場課 荒木(3277-1027)
               宮澤(3277-1299)

以  上


別紙1


「適格担保取扱基本要領」

  1. 趣旨

     この基本要領は、本行が通貨および金融の調節として行う与信に関して、担保の種類および担保価格ならびに担保の適格基準を統一するなど、担保取扱いの適切かつ効率的な運営を確保するとともに、その事務手続の一層の明確化を図る趣旨から、本行が適格とする担保(以下「適格担保」という。)の取扱いに関する基本的事項を定めるものとする。

  2. 適格担保取扱いに関する基本原則

     適格担保の取扱いについては、次に掲げる事項を基本原則とする。

    (1) 本行の資産の健全性の確保 適格担保は、本行の資産の健全性を確保する観点から、信用度および市場性が十分であり、担保権その他の権利の行使に支障がないと本行が認めるものとする。(2) 本行の業務運営の円滑性および担保利用の効率性の確保 適格担保の取扱いに当っては、本行の業務運営の円滑性および担保利用の効率性の確保にも配慮することとする。(3) 適格担保の取扱いにおける市場情報の有効利用 適格担保の取扱いにおいては、市場機能を活用する観点から、適格性判断における格付機関格付の利用、担保価格算定における時価情報の利用、民間企業債務(社債、手形(コマーシャル・ペーパーを含む。)および証書貸付債権をいう。以下同じ。)および資産担保債券の信用度判断における公開情報の利用等、市場情報の有効利用を図ることとする。
  3. 担保の種類および担保価格

     本行が適格とする担保の種類および担保価格は、別表1に定めるとおりとする。

  4. 担保の適格基準および適格性判定手続

    (1) 担保の適格基準

     担保の適格基準は、次のとおりとする。
    イ、信用度
     債務者の財務内容、格付機関から格付を取得している場合にはその格付等債務者に関する事情を勘案して、元利金の支払いが確実であると本行が認めるものであること。
    ロ、市場性
     金融市場における取引実態等に照らして、換価処分による資金化が容易であると本行が認めるものであること。ハ、その他の適格基準
    (イ)円建であること。
    (ロ)国内において発行、振出または貸付等が行われたものであること。
    (ハ)準拠法が日本法であること。
    (ニ)(イ)から(ハ)までのほか、本行による担保権その他の権利の行使に支障がないと認められること。(2) 担保の種類ごとの適格基準

     信用度および市場性に関する担保の種類ごとの適格基準は、別表2に定めるとおりとする。


    (3) 適格性判定手続

     国債、政府短期証券、政府保証付債券および公募地方債以外の担保については、当座勘定取引の相手方である金融機関等(以下「取引先」という。)からの適格性判定依頼を受けて、本行がその適格性判断を行う。この場合、民間企業債務については、債務者である企業の信用力の判断は、「企業の信用判定基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙2.)に基づきこれを行う。


  5. 取引先の債務等の取扱い

    (1) 取引先の債務
     取引先の債務(政府保証付債券を除く。)および取引先が保証する債務(その保証がなくても適格と認められるものを除く。)は不適格とする。ただし、取引先の債務に本行が適当と認める方法により適格担保等が付されている場合および取引先が手形の裏書人として債務者となる場合には、この限りでない。(2) 取引先の関係企業の債務イ、他の企業の経営管理を主たる業務とする企業で、取引先を実質的に支配している企業(以下「持株会社等」という。)の債務および当該持株会社等が保証する債務(その保証がなくても適格と認められるものを除く。)は不適格とする。

    ロ、実質的な支配力または影響力に照らして、取引先と密接な関係を有すると本行が認める企業の債務および当該企業が保証する債務(その保証がなくても適格と認められるものを除く。)については、当該取引先からの担保としての差入れを認めない扱いとする。

  6. 特例的取扱い

     本行は、業務運営上特に必要と認める場合には、3.から5.までに規定する取扱いと異なる取扱いをすることができる。

    (附則)

    (1)  この基本要領は、日本銀行当座預金決済のRTGS化の実施日から実施する。ただし、5.(2)ロ、については、平成13年10月1日より実施する。

    (2)  別表1中、12.および13.については平成13年3月末をもって、14.については平成14年3月末をもって、それぞれその効力を失う。

    (3)  現在、適格としている担保(別表1中、12.、13.および14.に掲げるものを除く。)については、この基本要領の制定に伴い不適格となる場合においても、平成13年3月末までの間は引続き適格とする。現在、手形買入の担保として適格としている外貨建ての手形については、平成13年3月末までの間は、通貨および金融の調節として行う与信(手形貸付を除く。)の担保とし、この場合の担保価格については、外貨表示の手形金額を邦貨換算して得た額の85%とする。


別表1


担保の種類および担保価格


1.国債
(1) 残存期間1年以内のもの
(2) 残存期間1年超5年以内のもの
(3) 残存期間5年超10年以内のもの
(4) 残存期間10年超20年以内のもの
(5) 残存期間20年超のもの
 
時価の99%
時価の98%
時価の96%
時価の94%
時価の90%

2.政府短期証券時価の99%

3.政府保証付債券
(1) 残存期間5年以内のもの
(2) 残存期間5年超10年以内のもの
(3) 残存期間10年超20年以内のもの
(4) 残存期間20年超のもの
 
時価の97%
時価の95%
時価の90%
時価の85%

4.地方債
(1) 残存期間5年以内のもの
(2) 残存期間5年超10年以内のもの
(3) 残存期間10年超20年以内のもの
(4) 残存期間20年超のもの
 
時価の97%
時価の95%
時価の90%
時価の85%

5.財投機関等債券
(1) 残存期間5年以内のもの
(2) 残存期間5年超10年以内のもの
(3) 残存期間10年超20年以内のもの
(4) 残存期間20年超のもの
 
時価の96%
時価の93%
時価の85%
時価の80%

6.社債
(1) 残存期間5年以内のもの
(2) 残存期間5年超10年以内のもの
(3) 残存期間10年超20年以内のもの
(4) 残存期間20年超のもの
 
時価の96%
時価の93%
時価の85%
時価の80%

7.資産担保債券
(1) 残存期間5年以内のもの
(2) 残存期間5年超10年以内のもの
(3) 残存期間10年超20年以内のもの
(4) 残存期間20年超のもの
 
時価の96%
時価の93%
時価の85%
時価の80%

8.外国政府債券
(1) 残存期間5年以内のもの
(2) 残存期間5年超10年以内のもの
(3) 残存期間10年超20年以内のもの
(4) 残存期間20年超のもの
 
時価の96%
時価の93%
時価の85%
時価の80%

9.国際金融機関債券
(1) 残存期間5年以内のもの
(2) 残存期間5年超10年以内のもの
(3) 残存期間10年超20年以内のもの
(4) 残存期間20年超のもの
 
時価の96%
時価の93%
時価の85%
時価の80%

10.手形(コマーシャル・ペーパーを含む)
手形金額の95%

11.証書貸付債権
残存元本額の80%

(平成13年3月末まで適格とする担保)

12.利付金融債
時価の96%

13.割引金融債
時価の96%

(平成14年3月末まで適格とする担保)
 

14.社債に準ずる債券
(1) 残存期間5年以内のもの
(2) 残存期間5年超10年以内のもの
(3) 残存期間10年超20年以内のもの
(4) 残存期間20年超のもの
 
時価の96%
時価の93%
時価の85%
時価の80%


別表2


担保の種類ごとの適格基準

担保の種類適格基準
国債普通国債であること(譲渡制限の付されているものを除く。)。
政府短期証券総て適格とする。
政府保証付債券
地方債
公募債であること。ただし、非公募債であっても、公募債に準ずる市場性があると本行が認めるものは、適格とすることができる。
財投機関等債券(1)および(2)を満たしている公募債であること。

(1)財投機関および本行がこれに準ずると認める特殊法人等が発行する債券(政府保証付債券を除く。)であること。

(2)本行が適当と認める格付機関(以下「適格格付機関」という。)の複数から、A格相当以上の格付を取得していること。
社債適格格付機関からA格相当以上の格付を取得していること等、発行企業の信用力その他の事情を勘案して、本行が適格と認める公募普通社債であること。
資産担保債券(1)から(3)までをいずれも満たしている公募債であること。

(1)特定資産の信用度等

特定資産(それから生ずる金銭等が資産担保債券の元利金支払いの原資となる特定の資産をいう。以下同じ。)から生ずる金銭等が、特定資産の信用度またはこれを補完する措置に照らして、資産担保債券の元利金支払いに十分であると認められること。

(2)資産担保債券の仕組み

資産担保債券の仕組みが、次のイ、からハ、までに掲げる要件その他の要件に照らして、適当と認められること。
イ、 真正売買性等
特定資産がその原保有者から資産担保債券の発行会社(以下「発行会社」という。)等に譲渡される場合には、原保有者について破産その他の倒産手続が開始されたときにおいても当該資産担保債券の元利金支払いに支障が生ずることがないよう、有効かつ確実に譲渡されていると認められること。
ロ、 倒産隔離性
特定資産の原保有者等による発行会社に対する破産申立の制限その他の発行会社の倒産または解散を回避するために必要な措置が講じられていると認められること。
ハ、 特定資産から生ずる金銭の取立に関する業務の代替措置
特定資産から生ずる金銭の取立に関する業務を発行会社以外の者が行う場合には、その者について破産その他の倒産手続が開始されることにより当該業務が行い得ないときに備えて、代替的な措置が予め講じられていると認められること。
(3)資産担保債券の格付
適格格付機関からAAA格相当の格付を取得していること。
外国政府債券
国際金融機関債券
(1)および(2)を満たしていること。

(1)公募債であること。

(2)複数の適格格付機関からAA格相当以上の格付を取得している
  こと。
手形(コマーシャル・ペーパーを含む)(1)および(2)を満たしていること。

(1)債務者の信用力その他の事情を勘案して、本行が適格と認める
 ものであること。

(2)残存期間が1年以内のものであること。
証書貸付債権(1)および(2)を満たしていること。

(1)債務者が適格格付機関からA格相当以上の格付を取得している
 こと等、債務者たる企業の信用力その他の事情を勘案して、本行
 が適格と認めるものであること。

(2)当初貸付期間が5年以内のもの(満期が応当月内に到来するもの
 を含む。)であること。



別紙2


「企業の信用判定基本要領」

  1. 趣旨

     この基本要領は、「適格担保取扱基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙1.)に基づき、本行が与信の担保とする民間企業債務の債務者である企業の信用力を判断するために行う信用判定に関する基本的事項を定めるものとする。

  2. 信用判定の対象企業

     信用判定の対象とする企業は、金融機関等を除く株式会社であって、本社の所在地が国内にあるものとする。

  3. 勘案項目

    (1) 信用判定は、取引先からの信用判定依頼を受けて、次の事項その他の信用判定対象企業に関する情報を勘案して企業の信用力を総合的に判断して行う。

    イ、定量的事項
     企業の自己資本の充実度、キャッシュフローの安定性を中心とした財務指標等

    ロ、定性的事項
     収益力、資産内容の健全性、業歴、業界における地位、経営姿勢、当該企業に対する金融機関の評価および本行考査によって取得した情報等のほか、本行が適当と認める格付機関から格付を取得している場合にはその格付取得状況(2) 連結財務諸表を作成している企業については、連結財務諸表に基づき信用判定を行うものとする。



  4. 更新の頻度

     信用判定は、原則として年1回更新する。ただし、本行が必要と認める場合には、この限りではない。
 (附則)
 この基本要領は、日本銀行当座預金決済のRTGS化の実施日から実施する。


別紙3


「コマーシャル・ペーパーの売戻条件付買入基本要領」中一部改正

○ 4.を次のとおり改める。

 4.買入対象

 「適格担保取扱基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙1.)の定めるところにより担保として適格と認めるコマーシャル・ペーパーとする。 (附則)
 この一部改正は、日本銀行当座預金決済のRTGS化の実施日から実施する。ただし、日本銀行当座預金決済のRTGS化の実施日より前に実施したコマーシャル・ペーパーの売戻条件付買入の取扱いは、なお従前の例による。

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