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レバレッジの高い業務を行う機関に関する課題の再検討

2001年 3月22日
バーゼル銀行監督委員会

日本銀行仮訳

プレス・リリース

 バーゼル銀行監督委員会および証券監督者国際機構(IOSCO)は本日、銀行および証券会社がレバレッジの高い業務を行う機関(Highly Leveraged Institutions<HLIs>)との間で行う取引に関する課題を再検討したレポートを公表した。本レポートは、バーゼル委員会とIOSCO専門委員会が1999年に公表したレポートのフォローアップとなるものである。

 バーゼル委員会の議長を務めるWilliam J. McDonoughニューヨーク連邦準備銀行総裁兼CEOは、本レポートを歓迎し、「ジョイントHLIワーキンググループは、金融機関が対HLI取引のサウンド・プラクティスに関するバーゼル委員会とIOSCOの提言を実施することにおいて進歩を遂げていることに意を強くしている。多くの金融機関の上級管理職は、方針の改善や総合的なリスク許容度の明確化を通じ、対HLI業務の監視を強化した」と述べた。しかし同議長は、「こうした進歩は見られるが、当ワーキンググループは、個々の金融機関および金融業界全体として更なる進歩が必要な幾つかの分野を認識した。特に、金融機関がエクスポージャーの測定手法の強化を継続することが重要である」と述べて、金融機関・監督当局とも現状に甘んじることはできない旨、警告した。

 IOSCO専門委員会の議長を務めるDavid Brownオンタリオ証券委員会議長も本レポートを歓迎した。同議長は、「HLI部門では最近において変化が窺われるが、以前に公表されたバーゼル委員会やIOSCOのレポートに概説されているサウンド・プラクティスは依然として有効である。本レポートは、金融機関がHLIsに関するリスク管理実務を継続的に精査し、関連するリスクをモニター・緩和する手段の『パッケージ』を備えていることを確認することが重要である旨、強調している」と述べた。

 HLIsと規制対象金融機関との関係における重要な側面の一つは、取引当事者間において関連情報が適時に伝達されること、および、本情報に基づいてエクスポージャーが適切に管理されることである。HLIワーキンググループの共同議長を務めるPaul Wright IOSCO金融仲介機関規制ワーキンググループ議長は、「過去2年間にHLIカウンターパーティーからの情報提供は改善したが、定量的情報の提供をはじめとして、進捗の度合いは一様でない。同様に、金融機関は一般にHLI部門との契約条項を強化することに成功しているが、競争上の圧力の存在により、当初証拠金の差入れを含め、リスク軽減措置の全てを要求することが引続き困難な場合もある」と説明した。

 当ワーキンググループでは、HLIsに対するエクスポージャーの評価は更なる努力が必要な項目の一つであると考える。当ワーキンググループの共同議長を務め、バーゼル委員会リスク管理小委員会メンバーでもあるStefan Walter氏は、「金融機関は、将来の潜在的エクスポージャーの測定を強化することにおいて大幅な進歩を遂げたが、定期的かつ包括的にストレス・テストを行う努力については、進歩がより緩慢である。金融機関は、大規模な市場変動、カウンターパーティーの信用エクスポージャー、および担保価値の複合的な影響を評価するストレス・テストを行う能力を開発するために、所要の資源を投入することが重要である」と述べて、本分野において更なる技術的作業が必要であることを説明した。

編集者のための注

 バーゼル銀行監督委員会は1999年1月、銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引に関するレポートを公表した1。同レポートは、HLIsに関する銀行のリスク管理実務の質、および関連する監督・規制問題を取り上げたものである。バーゼル委員会はまた、銀行の対HLI取引におけるサウンド・プラクティスの指針も公表した2。IOSCO専門委員会も1999年11月に、証券会社の対HLI取引に関するレポートを作成した3。こうした取引の性質、リスク、および同リスクを緩和するためのサウンド・プラクティスに関する提言は、銀行に対して認識されたものと極めて類似していた。

  1. 「銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引」(バーゼル銀行監督委員会、1999年1月)
  2. 「銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引に関する健全な実務のあり方」(バーゼル銀行監督委員会、1999年1月)
  3. 「ヘッジファンドおよびその他HLIs」(IOSCO専門委員会のレポート、1999年11月)

 バーゼル委員会は1999年を通して、HLIワーキンググループを通じてサウンド・プラクティス・ペーパーの実施状況をモニターすることに努力を傾注し、2000年初にはサウンド・プラクティスの遵守状況を検討した報告書を公表した4。同ペーパーでは、銀行、監督当局、および国際的な団体がより注意を向けるべきHLI関連の諸問題が概説された。同ペーパーはまた、将来の潜在的なエクスポージャーの測定やストレス・テストなどの技術的に高度な分野を中心に、今後とも銀行監督当局と証券監督当局が協力し、金融業界と継続的に対話することを提案した。これを受けて、2000年の春にはバーゼル委員会・IOSCOジョイントHLIワーキンググループ(HLIWG)が設立され、2000年5月および11月に会合を開いた。両会合において、HLIsに対してエクスポージャーを有する金融機関によるプレゼンテーションが行われた。またHLIWGは、2000年夏にサーベイを実施した。本サーベイは各国当局を通じて行われ、HLIsへの関与の性質、経営陣への報告とガバナンスの構造、情報収集、デュー・ディリジェンスと信用分析、エクスポージャーの測定、与信条件と限度の設定、担保・満期前解約・契約書に関する問題などを調査した。

  1. 4「銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引:バーゼル委員会が提言したサウンド・プラクティスの実施状況」(バーゼル銀行監督委員会、2000年1月)

 バーゼル委員会は、HLIsに関する過去の作業において、HLIsとは以下の特性を持つ機関であると述べた。すなわち、(i) HLIsは規制当局の監視をほとんど、ないし全く受けていない。規制・監督がこのように限定的なものに止まっているのは、HLIsが有限責任のパートナーシップの形態をとっており、投資家は機関投資家ないし高度の知識と多額の純資産を有する個人に限られ、証券の発行は私募形式で行われるためである。また、かなり多くのHLIsはオフショア金融センターを通じて活動している。(ii) HLIsは一般に、規制対象金融機関や上場企業に比して、極く限られたディスクロージャーしか課されておらず、格付機関による格付対象でもない。(iii) HLIsはしばしば大規模なレバレッジを用いる。レバレッジとは、何らかの共通の尺度により表わされたリスクと自己資本の比率である。IOSCOは、前述のレポートの公表に際して同様の分類を用いた。これらのレポートが公表された時点において、「レバレッジの高い業務を行う機関」という表現は、レポートの対象となっている規制対象外カウンターパーティーの全てを特徴付けるものとして理想的ではないことが認識されていた。このことは現在も変わりないが、連続性の観点から、HLIという言葉は今回のレポートにおいても引続き使用されている。

 Stefan Walter氏:ニューヨーク連邦準備銀行(Vice President, Market Risk Department

 Paul Wright氏:英国金融サービス機構(Head of Department, Complex Groups

(訳注)・・・本レポート及びプレス・リリースの原文はインターネットのBIS website(http://www.bis.org)(外部サイトへのリンク)をご参照下さい。