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銀行の顧客確認に関するガイダンス

2001年10月 4日
バーゼル銀行監督委員会

仮訳

プレス・リリース

銀行の顧客確認に関するガイダンス

 バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会)は、銀行の顧客確認の手続きに関する、銀行と銀行監督当局に対するガイダンスを本日発表した。『銀行の顧客確認』は、この分野における適切な実務を確立していくための最低限の基準を定めている。

 バーゼル委員会の議長である、William J McDonough氏は、「体系的な顧客確認手続きは、銀行のリスク管理の必須要素であり、銀行システムの信頼性と健全性を守っていくために重要なものである。最近の米国におけるテロ攻撃事件によって、厳格なアプローチの重要性がはっきりと示された。」と述べている。

 監督下にある銀行が、取引相手を知るために、適切な管理と手続きの実行を確保することの重要性を、世界中の銀行監督当局者は益々認識するようになってきている。これは、マネーロンダリング防止のための法的要件に従うためだけでなく、より広く、銀行の健全性の観点からも必要である。新たな顧客及び従来からの顧客についての、適切な顧客確認は、重要な要素である。この顧客確認がない場合、銀行はレピュテーショナル・リスク、オペレーショナル・リスク、法的リスク、集中リスクに晒されることになり、甚大な費用がかかる結果となり得る。これらのリスクから身を守るために、顧客の受入れ、顧客の身元確認、リスクの高い顧客勘定についての継続的なモニタリング、リスク管理等の主要な分野について、銀行は、方針と手続きを策定すべきである。

 クロスボーダー・バンキング作業部会の共同議長であり、オフショア銀行監督者グループの議長でもある、Colin Powell氏は、「国内及び海外での業務、企業向け金融及びプライベートバンキング業務を含む全ての分野において、銀行が顧客確認の方針と手続きを、許容し得る最低基準で実施していることを、銀行監督当局者は確実にすべきである。銀行は、新たな顧客の身元を確認し、顧客勘定や取引を継続的にモニターするための体系立った手続きを確立すべきである。」と述べている。

 バーゼル委員会の事務局次長であり、クロスボーダー・バンキング作業部会のもう一人の共同議長であるCharles Freeland氏は、「近年、多くの主要行が、顧客確認の失敗により、彼らのレピュテーションへの深刻なダメージを受けている。今回のこの重要なガイダンスの形成段階では多くの専門家の助言を求めてきており、バーゼル委員会はIMF及び世界銀行、他の関係機関の支持を受けながら、本ガイダンスを世界規模で実施することを推奨するための手段を講じていく。」と、付け加えた。

 各国銀行監督当局者は、銀行の顧客確認のプログラム(know your customer (KYC) programs)に関して監督上の実務を確立していくことについて責任を有する。本ガイダンスに示されている必須の要素は、リスクの高い分野における、顧客確認のための更に厳格な基準設定についての諸提言と共に、銀行監督当局者が、各国の監督実務を策定あるいは、改善する作業を進めるためのベンチマークを提供する。

 『銀行の顧客確認』は、バーゼル委員会とオフショア銀行監督者グループとの共同作業部会である、クロスボーダー・バンキング作業部会によって、作成された。本ガイダンスの草案は、2001年1月に市中協議にかけるために公表されており、寄せられた数多くのコメントがこの最終版に取り入れられた。同作業部会は、顧客確認のために必要となる事項の中で何が必須の要素となるのかについて、更に検討を進める意向である。バーゼル委員会は、1975年にG10諸国の中央銀行総裁会議により設立された、銀行監督当局の委員会である。同委員会は、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国及び米国の銀行監督当局ならびに中央銀行の上席代表により構成される。委員会は通常、常設事務局が設けられているバーゼルの国際決済銀行において開催される。

 オフショア銀行監督者グループは、オフショア金融センターの銀行監督当局間の監督上の協調のためのフォーラムとして1980年に設立された。当グループから5人のメンバー(バミューダ、ケイマン諸島、ガンジー、ジャージー、シンガポールから出席)が、クロスボーダー・バンキング作業部会に参加している。

マネーロンダリング対策のイニシアティブは、従来より金融活動作業部会(Financial Action Task Force on Money Laundering、FATF)が専らとってきている。バーゼル委員会の関心は、より広く、銀行の健全性の観点から出てきている。バーゼル委員会は、FATFの作業と重複することは意図しておらず、むしろ当委員会の文書で示された基準が、FATFの「40の勧告」と整合性がとれるようにすることを意図している。したがって、クロスボーダー・バンキング作業部会はFATFとこれまでも緊密な連携を図ってきたところであり、今後FATFが新たな考えを打ち出していく際にも、緊密な連携を維持していく所存である。

バーゼル委員会の、銀行の顧客確認及びマネーロンダリング対策の作業に関するこれまでのガイダンスは、3つの報告書に含まれている。1988年に公表された『マネーロンダリング目的で犯罪者が銀行を利用することを回避するための原則声明』は、顧客の本人確認をすること、疑わしい取引を拒否すること、法執行機関と協力することを、銀行に推奨しつつ、いくつかの基本的な原則を規定している。1997年に公表された『実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則』(コア・プリンシプル)においては、健全な内部管理の環境を形成していく一環として、「金融部門における高水準の倫理的・職業的基準を促進し、銀行が意図的に、もしくは意図せずして犯罪分子に用いられることを防ぐ」ために、銀行は適切な方針、慣行、手続きを有するべきであると述べている。更に、銀行監督当局者は、顧客の本人確認や記録の保持、疑わしい取引の報告、及びマネー・ローンダリング防止策が不十分又は全く採られていない国への対応について、これらに関するFATFの提言を採用することについて推奨を受けている。1999年に公表された『コア・プリンシプル・メソドロジー』は、多くの必須基準及び補足基準を列挙して、前述のコア・プリンシプルを更に詳述している。

『銀行の顧客確認』は、BISのwebsitewww.bis.org(外部サイトへのリンク))から入手可能である。