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ジョイントフォーラムによる銀行・証券・保険の比較調査に関するレポートの公表について(日本銀行仮訳)

2001年11月 7日
ジョイント・フォーラム
(バーゼル銀行監督委員会)
(証券監督者国際機構)
(保険監督者国際機構)

日本銀行仮訳

プレス・リリース

ジョイント・フォーラムが銀行・証券・保険の比較調査に関するレポートを公表

 本日、バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)および、証券監督者国際機構(IOSCO)と保険監督者国際機構(IAIS)の専門委員会は、ジョイント・フォーラムが作成した2つのレポートを公表する。公表されるレポートは、一方は「リスク管理の実務と自己資本規制」について、そしてもう一方は3つの親機関(バーゼル委、IOSCO、IAIS)が各自のセクターに関して策定した「コア・プリンシプル(監督上の諸原則)」について、それぞれセクター間で横断的に比較したものである。

 いずれのレポートも、銀行・保険・証券セクターの監督者に概括的な情報を提供するものである。これらのレポートは、今後コメントを受けて修正されるものではないが、業界が重要な点についてそれぞれの監督者に対してフィードバックを行うことは大いに歓迎され、ジョイント・フォーラムにおける今後の作業に際して親機関により検討されることになろう。

 ジョイント・フォーラムのペーパーは、BIS(http://www.bis.org)(外部サイトへのリンク)、IAIS(http://www.iaisweb.org)(外部サイトへのリンク)およびIOSCO(http://www.iosco.org)(外部サイトへのリンク)のウェブサイトから入手可能である。

銀行・証券・保険のリスク管理の実務と自己資本規制に関する比較

 「銀行・証券・保険のリスク管理の実務と自己資本規制に関する比較」に関するレポートは、3セクターにおける現在の業界内の実務について理解を深めるため、それぞれのセクターにおけるアプローチを比較して欲しいとの親委員会の要請に応えて作成されたものである。本レポートは、3セクターの監督者が参加するジョイント・フォーラム内のワーキング・グループにより作成されたものである。本レポートの作成に当たり、同ワーキング・グループは、市場参加者、格付会社、アナリストと対話を行うとともに、自らの監督上の経験も活用した。

 ジョイント・フォーラムの議長であるスウェーデンのJarl Symrengは、「本レポートは、異なるセクターの自己資本規制とその根底にある考え方について相当量の情報を一堂に集めることにより、当局間の理解のギャップを埋めるものである。本レポートは、この重要な問題に関心を持つ全ての人々にとって貴重な情報源となろう」と述べている。

 本レポートでは主に以下の点が取り上げられている。

  • 中核となる業務活動の相違
  • リスク管理手段の類似点と相違点
  • 3セクターそれぞれの自己資本規制に対するアプローチ
  • セクター間のリスク移転および投資

 本レポートは次のように結論づけている。「リスク管理と自己資本に係るアプローチは、予見し得る将来にわたって急速に進化し続けるであろう。こうした中で、監督者は今後数年間にわたって根本的な負荷を負うことになろう。自己資本規制に関する各セクターのアプローチは、それぞれの伝統的な事業内容やものの見方を強く反映しているため、互いにかなり異なり続けている。現在、各セクター間である程度の収斂がみられることは事実だが、こうした動きが近い将来に加速してゆくかどうかは不透明である。収斂の度合いが高まるにつれ、監督者は、各セクターにおいて、対象金融機関の活動内容に照らして自己資本充実度を評価するための適切な自己資本および準備金・引当制度となっているかを見直す必要性に一層迫られることになろう。このため、ジョイント・フォーラムは、こうした問題に対処するために必要な監督者間の相互理解と協力を促進するためのメカニズムを引続き提供してゆくつもりである。」

銀行・証券・保険のコア・プリンシプル(監督上の諸原則)に関する比較

 ジョイント・フォーラムは2000年3月、バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)、保険監督者国際機構(IAIS)、および証券監督者国際機構(IOSCO)が公表しているコア・プリンシプルを比較し、共通する原則を認識するとともに相違点を理解するためのワーキング・グループを設立した。本レポートは、同ワーキング・グループの作業の成果に基づいて作成されたものである。

 ジョイント・フォーラムは、本レポートの分析が、コア・プリンシプルに則って各国の制度を評価する人々が全てのセクターのコア・プリンシプルを知り、理解することを助け、その作業がより効果的なものとなるよう期待している。各々のセクターは、コア・プリンシプルを起草するに当たってそれぞれ別々に作業を行ったが、採用したアプローチは非常に類似している。全てのコア・プリンシプルについて、業界との広範な協議を行うという手続が取られている。

 コア・プリンシプルは、構成においても内容においても、各セクターの特性や、監督対象金融機関、仲介者、市場の性質を反映している。ジョイント・フォーラムは、本レポートを包括的でバランスの取れたものとするため、必要な場合には、差異を説明するに当たって各セクターの本質的な特性に言及した。また、それぞれのコア・プリンシプルは各セクター特有の必要に応じて策定されているとの認識に立って、コア・プリンシプルが正しいか否かといった判断は厳に差し控えた。

 本レポートの結論と考察の部分では、以下の点を指摘している。

  • 各セクターのコア・プリンシプルは、それが策定された時点における当該セクターの監督制度の重要な要素を総括したものとなっている。しかし、策定時以降の金融セクターの急速な進展に照らせば、コア・プリンシプルの改訂について検討する必要があり得る。金融市場の変化がコア・プリンシプルに及ぼす影響は関連文書の構成に応じて、セクター毎に異なる。
  • 3セクターのコア・プリンシプルの間に、基本的な対立や矛盾は見受けられない。
  • 数多くの分野に共通点がみられる(例:許認可、監督構造、当局による介入等)。しかし、類似のプリンシプルの適用方法に大きな違いが見られる場合もあることが確認された(例:類似のリスクについて、自己資本規制上の取扱いがセクター毎に異なる等)。
  • コア・プリンシプルには数多くの相違点がある。それらの相違は、3セクターの本質的な相違に起因するものと、直ちに特性の違いに帰することができないものとがある。相違点は、許認可の前提条件、グループ全体の監督、監督上の協力と情報交換、顧客資産の保護、および統一的健全性基準の適用といった分野にみられる。

解説ノート

 ジョイント・フォーラムは、金融コングロマリットに関する監督上の諸問題を検討していた前身のグループである「三者会合」の作業を前進させるために、1996年の初めにバーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)、証券監督者国際機構(IOSCO)および保険監督者国際機構(IAIS)の後援により設立された。ジョイント・フォーラムは、各監督分野を代表する、各同数の銀行、保険、証券の主要な監督者から構成されている。ジョイント・フォーラムには、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国および米国の13カ国が参加しており、また、オブザーバーとしてEU委員会が参加している。ジョイント・フォーラムの議長は、スウェーデン金融監督庁のMr Jarl Symreng保険・ミューチュアルファンド部長(Head of the Insurance and Mutual Fund Division of the Finansinspektionen)である。

 銀行、証券、保険監督者のジョイント・フォーラムは、それぞれの分野で活動する企業の監督に関わる問題について、相互に理解を深めるための努力を行ってきた。こうした努力は、金融コングロマリットの発達、金融市場のグローバル化の進展、および新金融商品の出現に対処するためのものである。金融コングロマリットの出現と広範化、および金融各分野における企業活動の区分の不鮮明化により、監督の手法およびアプローチをより効果的にするための協調の必要性が高まっている。バーゼル委、IOSCOおよびIAISは、ジョイント・フォーラムにおいて各監督分野からの代表が一堂に会することは、金融コングロマリットに起因する3金融セクター共通の監督上の課題に対処するために必要な協調精神を築く上で大きな意義を有するものであると考えている。