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第7回決済システムフォーラムの議事の概要

2004年 3月30日
日本銀行




(開催要領)


I. 開催日時:2004年3月25日(13:30〜15:30)


II. 場所:日本銀行本店


III. 出席者:別添参照


(議題)


I. 各決済システムにおける最近の話題


II. システム障害に対する事前・事後の対応体制の整備


III. 大口資金決済システムの再編に関する銀行界における検討状況


IV. BIS支払・決済システム委員会および証券監督者国際機構専門委員会による市中協議報告書「清算機関のための勧告」


I.各決済システムにおける最近の話題

1. 東京銀行協会(荒井CDセンター所長)からの説明

 本年1月から、NTTデータの統合ATMスイッチングサービスにより、MICS、BANCS、ACS、SCS、SOCS、LONGSのセンターが統合された。新システムは、ATMの24時間365日の稼動やパソコン等による振込時の受取人口座確認など、サービスの拡張性を有しており、顧客サービスの利便性向上を可能とする。統合した業態傘下の各金融機関は直接センターと接続するが、MICS等の枠組みや資金決済の仕組みは新システムへの移行前と変わらない。また、このシステムはMICSに加盟していなくても利用可能なので、全利用者からなる横断的な組織を昨年11月に設立している。

 1月26日には、統合ATMシステムの潜在的な不具合が原因で障害が発生し、お客様にご迷惑をおかけした。このトラブル後、NTTデータでは直ちに必要な対応を行い、翌日以降現在まで順調にシステムは稼動してきている。現在、システムの総点検を行っているところであり、サービス拡張についてはその結果を確認して改めて決定する方針である。

2. 日本マルチペイメントネットワーク運営機構(小谷事務局長)からの説明

 マルチペイメントネットワークは、収納企業・官公庁・地方公共団体等の収納機関と金融機関を結ぶ電子決済のためのネットワークであり、この1月からサービスを本格展開している。マルチペイメントネットワークを通じ、従来窓口で行ってきた公共料金や税金の納付・支払について、パソコンやATM、モバイルを通じて行うことが「いつでも、どこでも、ペーパーレス」でできるようになり、顧客の利便性が向上する。また、収納機関・金融機関にとっても、事務負担、コスト負担等が軽減するほか、人手を介在させることに伴うトラブル防止にもつながり、顧客サービス向上にも資する。日本銀行や各省庁のご支援・ご指導を得て、電子政府推進の方針に基づき、1月19日からは国庫金の電子納付関連のサービスをスタートさせた。さらに、1月26日からは、新たな地方公共団体、民間収納企業の収納サービスも可能となった。現在マルチペイメントのサービスを開始している金融機関は1,200を超え(実機関数)、収納機関は30機関となっている。今後もマルチペイメントネットワークの利用・参加の拡大を推進していきたい。

3. 証券保管振替機構(水野企画部長)からの説明

 まず、株式等の一般振替DVPについては、本年5月6日からのシステムの本番稼動に向けて、テストに取り組んでいる。DVP実現にあわせて決済照合システムと連動させることにより、STP化の推進にも資すると考えている。なお、決済照合システムについては、その対象を今後、国債のレポ取引や電子CP、一般債等に拡大する予定である。次に、電子CPについては、昨年3月にDVP決済を開始してから間もなく1年が経とうとしているが、3月23日現在、発行会社は36社、発行銘柄数は255銘柄、発行残高は1兆4千億円超となっている。4月からは非居住者が発行するサムライ電子CPについても取扱いを開始する予定である。また、一般債については、昨年6月に制度要綱を取り纏めたところであるが、本年5月末にはシステムの接続仕様書を公表し、2006年1月には振替制度を開始したいと考えている。このほか、投資信託受益証券についても、現在、振替制度の基本スキームを検討中である。2009年までには、証券決済制度に関する一連の取組みの総仕上げとして、株券の完全ペーパーレス化の実現が予定されている。

4. 日本国債清算機関(沖津社長)からの説明

 2002年11月に設立準備委員会を発足し、2003年10月17日に、内外の銀行、証券会社、仲介機関等19社からの出資を得て正式に会社を設立した。事務所は東京証券取引所内に開設する。出資先については、年央までに30社程度まで拡大していきたいと考えている。2005年5月に予定している開業に向けて、システムの開発・テスト等も進めていく予定である。

II.システム障害に対する事前・事後の対応体制の整備

1. 島田直貴氏(金融ビジネスアンドテクノロジー・代表)による講演

 決済システムを巡る最近の主な環境変化としては、(1)デリバリーポイントの外延化(機器・操作主体の顧客側へのシフト)、(2)24時間営業等にみられるサービス条件の多様化、(3)インターネット取引の増加等によるシステム取扱量の繁閑差の拡大、(4)生体認証等の本人確認のための通信プロトコール多様化の可能性、(5)ハイテク犯罪やサーバーテロの脅威、(6)熟練したシステム・エンジニア確保の困難化、などが挙げられる。こうした環境の中で、わが国の金融業界はITシステムに多大な経営資源を投入しているが、投資に見合うだけの十分な効果が得られているかはやや疑問であり、金融機関や決済サービス提供者におけるITガバナンスやITマネージメント能力の向上が課題となっている。

 特に、最近増加しているITシステムの共同化・アウトソーシング・別会社化を進めるにあたっては、ITガバナンスの弱体化の防止や障害発生時の責任領域の明確化を図る必要がある。また、そもそもアウトソース先のITシステム・ベンダーは、金融業務にどの程度精通しているのか、あるいは重層的下請関係の中でも顧客情報等の漏洩リスクに対する備えが十分であるか、といった点についても、きちんと確認しておく必要がある。さらに、システム企画・開発・運用の過度な分業体制が即応性を退化させるといった弊害や、ITシステムのオープン化がシステム間のインターフェースに不整合を発生させるリスクを高める可能性にも留意が必要である。

 システム障害に対する事前の備えとしては、以上のようなITガバナンスの強化のほか、BCPの策定・更新、シナリオ分析、実地訓練等が重要となるが、日頃から、一般利用者やマスコミ等をも視野に入れて、金融ITシステムに対する理解向上のための情報開示を十分行って置くことの意義は大きい。システム障害発生時の対応としても、マスコミを活用して一般利用者にできるだけ早く障害の状況や代替策を説明できるようにすることが重要である。また、今後は、システム障害に備えた保険の利用なども検討に値しよう。

2. 齋藤正勝氏(カブドットコム証券・代表取締役COO)による講演

 ネット証券である当社は、ITシステムの管理が経営そのものといった側面があり、ITシステムに関する情報開示の充実は極めて重要と考えている。例えば、当社ではシステム構成や処理能力、アウトソース先、内外監査状況等を詳細に開示しているほか、ホームページ上で、システムの運行状況や取引注文の取次状況、コールセンターによる応対状況などの実績を数字で具体的に開示している。こうしたシステム監査情報を始めとするITシステムに関する情報開示を日頃から積極的に行っておくことは、システム障害が発生した場合の説明責任(アカウンタビリティ)を確保する上でも役立つと考えている。なお、ITシステムの監査には、ISO等の認証機関が策定した基準や外部機関が策定した各種ガイドラインの適合状況をチェックしていく手法が有用である。当社では、ガイドラインに則った内部チェックのための要員の訓練にも力を入れている。

 システム障害の影響度は、障害回数と影響範囲により決まってくるものと考えているが、とりわけダウンタイムの短縮は重要である。当社のコールセンターでの応対件数はダウンタイムが5分を超えると急増する。こうした中、当社では、障害発生直後には、「原因追求型」ではなく「リカバリー優先型」の障害対応を採っている。一方で、説明責任をしっかり果たせるよう、事後検証可能な記録確保(トレイサビリティ)にも留意している。また、発生頻度が極めて小さいが被害規模は甚大な災害だけでなく、システム障害を念頭においたコンティンジェンシー・プランの策定も必要であり、特にレピュテーション確保を含めた顧客対応が重要である。さらに、ネットワーク型ビジネスが普及していく中では、外部参加者型の合同テストを実施していくことが有効であろう。

 なお、当社では、オンライン証券取引のシステム・インフラを基本的に自社開発している点を強みとしているが、外部のリソース提供者(アウトソース先)を管理する上では、達成目標や評価基準を予め明示したうえで、事後評価や改善要請を書面により経営トップ宛てに伝達していくことが効果的であると考えている。

III.大口資金決済システムの再編に関する銀行界における検討状況

――  東京銀行協会・和田事務システム部長より、本年3月23日に全国銀行協会が公表した報告書「大口決済システムの構築等資金決済システムの再編について」の概要を紹介して頂いた。


 全銀協では、2001年度以降、検討部会を設置し、いわゆる「ハイブリット決済」の大口資金決済への導入の可能性について検討を継続してきた。ハイブリット決済とは、「時点ネット決済」と「即時グロス決済」の混合型で、キュー機能(待ち行列)とオフセッティング機能を導入することにより、流動性節約とファイナリティの付与の両方のメリットを享受する仕組みである。


 検討の結果、リスク削減、国際標準への準拠、資金決済効率の向上を目指し、日銀ネット当座預金を含む大口資金決済の一元化を展望して、外為円決済取引、内為大口取引および日銀当座預金取引を決済する大口決済システム(日銀ネットをコアとするハイブリット決済システム)を構築することにより資金決済システムを再編することを提言する報告書を取り纏め、今般、全銀協・理事会の了承を経て公表した。


 今後は、大口決済システムの実現に向けて、(1)資金決済システム全体の市場参加者のニーズを踏まえた、より広範囲の検討・意見集約、(2)本提言実現後の全銀システムにおける担保削減・コスト圧縮策の内国為替運営機構における継続検討、(3)本システムに合った新たな市場慣行面の課題の整理、(4)参加者の意向を反映する場の充実についての日本銀行への申し入れ、について詳細な検討を行うことを提案したい。また、日本銀行におかれては、本提言の早期実現に向けて具体的な検討への協力をお願いしたい。


(日本銀行<信用機構室>からの発言要旨)

 民間金融機関が、わが国の大口資金決済システムの改善策について自主的に検討を行ってきたことについては、心強く思っている。報告書の具体的な内容については、まだこれを頂いたばかりであるので、今後十分検討したうえで、日本銀行としての意見を申し上げるつもりである。

IV.BIS支払・決済システム委員会および証券監督者国際機構専門委員会による市中協議報告書「清算機関のための勧告」

――  日本銀行(信用機構室)より、G10中央銀行支払・決済システム委員会(CPSS)と証券監督者国際機構(IOSCO)専門委員会が、本年3月8日に公表した市中協議報告書「清算機関のための勧告」について説明した。


 清算機関(セントラル・カウンターパーティ=CCP)を利用することで、取引相手方の信用リスクがCCPの信用リスクに置き換わるため、CCPが高い信用力を維持する仕組みを備えるならば、決済全体の安全性が高まる。一方で、決済リスクがCCPに集中するため、CCPが確固としたリスク管理策を採り、十分な財務基盤を持つことが重要となる。CCPの利用が拡大し、その重要性が高まっている状況下、今回の報告書では、リスク管理を中心とした具体的かつ包括的な国際基準として、全部で14の勧告が提案されている。6月9日まで3か月間の市中協議中であり、コメントを踏まえた最終報告書を本年末までに作成する予定である。


以  上


別添

第7回 決済システムフォーラム出席者(敬称略)



青木 嘉孝 全国信用協同組合連合会(SANCS運営) 決済企画部長

荒井 三郎 東京銀行協会 CDセンター所長

粟野 紀夫 債券決済ネットワーク 業務部長

石田 久也 三井住友銀行(全国銀行協会事務委員会委員長行)
事務統括部決済事業グループ長

沖津 正恒 日本国債清算機関 代表取締役社長

加辺 昭彦 農林中央金庫(全国農協貯金ネットサービス運営)
市場業務管理部長

清田 辰巳 東京証券取引所 決済管理部長

小谷  剛 日本マルチペイメントネットワーク運営機構
事務局長

佐方  裕 東京銀行協会 外国為替円決済制度管理室長

戝津 耕造 東京銀行協会 全銀センター所長

曽我 一彦 UFJ銀行(全国銀行協会市場委員会委員長行)
決済業務部次長

高橋  真 商工組合中央金庫(LONGS運営会長行)
債券・金融法人部次長

滝口 隆司 UFJ信託銀行(信託協会<SOCS運営>会長行)
事務企画部調査役

寺田 康夫 労働金庫連合会(ROCS運営) 事務企画部長

冨田 信篤 第二地方銀行協会(SCS運営) 業務部次長

内藤 秀昭 信金中央金庫(しんきんネットキャッシュサービス運営)
決済業務部決済グループ次長

長谷川 芳完 全国地方銀行協会(ACS運営) 業務部長

藤澤 廣一 日本証券クリアリング機構 事務統括長

細沼 義博 東京三菱銀行(全国銀行協会会長行) 決済事業部次長

水野  潮 証券保管振替機構 企画部長
(座 長) 三谷 隆博 日本銀行理事

諸節  潔 CLS 東京事務所代表

矢部  伸 東京銀行協会 東京手形交換所長

山本 眞樹 東京金融先物取引所 業務部長

米倉 早織 日本デビットカード推進協議会 事務局長

和田 耕志 東京銀行協会 事務システム部長

(事務局) 日本銀行信用機構室

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