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金融経済月報(基本的見解1)(2000年12月)2

  1. 本「基本的見解」は、12月15日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、金融政策判断の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解として決定されたものである。
  2. 本稿は、12月15日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2000年12月18日
日本銀行

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp0012.pdf 731KB)から入手できます。


 わが国の景気は、輸出の減速によりテンポはやや鈍化しているものの、緩やかな回復を続けている。

 最終需要面をみると、外生需要の面では、公共投資が前年度補正予算の執行一巡に伴い徐々に減少している。純輸出(実質輸出−実質輸入)は、東アジア諸国において一部素材・電子部品の在庫がやや過大となった影響もあって、これまでの増加から横這いに転じている。国内民間需要の面では、設備投資が増加基調を続けている。個人消費は、一部指標にやや明るさが窺われるものの、雇用・所得環境に目立った改善がみられない中で、全体としては回復感に乏しい状態が続いている。住宅投資は若干減少している。

 このような最終需要の動向のもとで、鉱工業生産は、テンポを幾分鈍化させつつも、引き続き増加基調にある。また、企業収益も改善を続けており、成長性の高い分野を中心に、設備投資増額など積極的な行動に転じる企業が増えている。家計の所得環境は引き続き厳しい状況にあるが、企業活動の回復に伴って所定内・所定外給与や新規求人が増加するなどの動きが続き、雇用者所得の減少傾向には歯止めが掛かっている。

 今後の経済情勢についてみると、まず、公共投資は当面現状程度の水準で推移することが見込まれるが、政府による新たな経済対策の実施に伴い、先行き再び増加に転じると予想される。海外経済は、米国経済が徐々に減速する中で、テンポを緩めつつも拡大を続けると予想される。そうしたもとで、輸出は、東アジア諸国における在庫調整の影響もあって、ここ暫くは横這い圏内の動きを続けるとみられる。一方、輸入については、消費財や資本財・部品を中心に引き続き増加が見込まれるため、純輸出は、一時的に幾分減少すると考えられる。

 企業部門では、既存設備の過剰感がなお強く、借入金返済等による財務体質改善が引き続き意識されているが、企業収益の改善が続く中で、情報関連等の成長分野への設備投資は今後も増加する可能性が高い。また、企業収益の改善は家計所得の増加を通じて、個人消費にも好影響を及ぼしていくものと考えられる。もっとも、企業の雇用過剰感がなお強く人件費抑制スタンスに大きな変化がみられないだけに、家計所得の改善テンポは当面緩慢なものとなろう。

 鉱工業生産は、今後一時的に増加テンポがさらに鈍化することがあるとしても、増加基調自体は維持されると考えられる。

 以上を全体としてみれば、景気は、海外経済や内外資本市場の動向とその影響を注視する必要があるが、今後も設備投資を中心とした緩やかな回復基調が続く可能性が高いとみられる。なお、日本銀行による金融緩和の継続などによる良好な金融環境に加え、政府による新たな経済対策も下支え効果を発揮していくものと期待される。

 物価面をみると、輸入物価は、原油等国際商品市況の上昇等を反映して、上昇している。国内卸売物価は、原油価格上昇を受け石油製品は上昇したものの、電気機器等の下落が続いていることから、やや弱含んでいる。消費者物価は、石油製品が上昇したが、その他の輸入製品やその競合品の価格が低下しているため、幾分弱含みで推移している。企業向けサービス価格は、小幅の下落が続いている。

 物価を巡る環境をみると、緩やかな景気回復の持続が展望されるもとで、国内の需給バランスは、基調としては徐々に改善していくものと見込まれる。他方、半導体が海外市況の軟化を反映して下落しており、これまで上昇要因として作用していた原油価格も最近になって反落している。また、技術進歩を背景とする機械類の趨勢的な下落に加え、流通合理化に伴う消費財価格の低下が下落方向に作用するとみられる。これらを総じてみれば、当面、物価はやや弱含みで推移するものと考えられる。

 金融面をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は、0.25%前後の水準で推移している。

 ターム物金利は、年末越えとなるユーロ円金利や、TB・FBレートは、幾分上昇している。ジャパン・プレミアムは、ほぼ解消された状態が続いている。

 長期国債流通利回りは、10月中旬以降、低下傾向を辿り、一時は1.5%台半ばまで低下したが、最近では1.6%台半ばで推移している。国債と民間債(金融債、社債)の流通利回りスプレッドは、概ね横這いないしやや低下している。

 株価は、11月下旬にかけて年初来の最安値を更新するなど軟調に推移している。

 円の対米ドル相場は、11月上旬以降、円安傾向となり、最近では概ね111〜112円台での推移となっている。

 金融の量的側面をみると、民間銀行では、融資先の信用力を慎重に見きわめつつ、優良企業向けを中心に貸出を増加させようとする姿勢を続けている。

 資金需要面では、収益回復に伴う高水準のキャッシュ・フローを背景に企業の外部資金調達ニーズは乏しく、実体経済活動の改善が資金需要に結びつきにくい状況が続いている。また、企業はバランスシート調整の一環として、借入金を圧縮していくスタンスを維持している。これらの結果、民間の資金需要は引き続き低迷している。

 こうした中で、民間銀行貸出は、前年比マイナス幅の拡大傾向には歯止めが掛かっているものの、基調的には弱めの動きが続いている。この間、社債の発行残高は、前年を若干上回って推移している。CPの発行は年末を控えて増加している。

 マネーサプライ(M2+CD)は、最近では前年比2%程度の伸びが続いている。

 企業の資金調達コストをみると、短期は横這い圏内で推移しているが、長期は市場金利の低下を背景にやや低下している。

 以上のような環境のもとで、金融機関の貸出姿勢や企業金融はこれまでの緩和された状態が継続している。

以上