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金融政策決定会合における主な意見
(2018年4月26、27日開催分)1

2018年5月10日
日本銀行

I.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きも、きわめて緩和的な金融環境と政府支出による下支えなどを背景に、景気の拡大が続くとみられる。
  • わが国の景気は、緩やかに拡大している。先行き2018年度は、潜在成長率を上回る成長を続けると見込まれる。2019年度以降は、消費税率引き上げの影響等で、成長ペースは一時的に鈍化した後、徐々に回復してくるとみられる。
  • わが国の経済は、需給のバランスを保ちながら着実に成長している。一部で供給制約の強まりがみられるもとで、非効率なビジネス・プロセスなどの過去に生じたヒステリシス(履歴効果)が希薄化しており、企業は供給能力の引き上げに取り組んでいる。
  • 海外経済は、世界全体の貿易量が先進国・新興国ともに堅調な中、着実な成長を続ける可能性が高い。
  • 短期の予想物価上昇率には上昇を示す指標も現われており、名目金利が低位で安定していることから、実質金利は低下している。実質金利の低下もあって、投資は好調である。さらに、長期的な成長率が高まって、それに応じて設備投資も高まっている可能性もある。
  • 消費税増税については、前回と比べて家計の負担額は小さいと想定されるが、「総括的な検証」でみたように消費者のマインドや予想物価上昇率に与える影響は無視できないため、注意が必要である。
  • 米国の金融環境が、何らかのイベントをきっかけにタイト化すれば、新興国等に影響を及ぼすほか、グローバルな金融市場の変調のきっかけとなり得るため、警戒している。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。
  • 春闘では、昨年を上回る形で5年連続のベアが実現すると見込まれるほか、原材料価格の上昇もみられる。3月短観では、中小企業でも27年ぶりに販売価格判断DIがプラスになるなど、コスト増加分を価格に上乗せする動きが拡がっている。
  • 賃金面では、実質賃金がプラスとなるかが重要である。労使双方の意識の変化や労働生産性向上に向けた企業の取組みを注視している。
  • 経済の供給面の拡大は、短期的には賃金・物価の上昇圧力を緩和する方向に作用する一方、長期的には経済の成長力を高め、恒常所得の増加等を通じて賃金・物価の押し上げに寄与し得る。
  • 「物価安定の目標」の実現には、需給ギャップの改善による物価上昇だけでなく、中長期の予想物価上昇率が他の先進国並に上昇することが必要である。
  • 消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2%に向けて緩やかに上昇していくとみられる。しかし、予想物価上昇率の形成が適合的であるため、2%に達するには暫く時間がかかると見込まれる。
  • 資本・労働市場の需給逼迫が企業の前向きな動きにつながっている面があるものの、価格設定行動の前傾化を通じて物価上昇率を2%に押し上げるほど力強いとはいえない。

II.金融政策運営に関する意見

  • 2%の「物価安定の目標」の実現までにはなお距離があることを踏まえると、「物価安定の目標」に向けたモメンタムをしっかりと維持するために、現在の金融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適当である。
  • 息長く経済の好循環を支えて「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策を継続するべきである。この際、「物価安定の目標」の趣旨について広く社会との共有を進めるべきである。
  • 強力な金融緩和を継続していくため、「物価安定の目標」の必要性について人々のコンセンサスを得ていく努力を続けつつ、金融緩和の持続性を高めることを不断に検討する必要がある。
  • 今後、物価が上昇し経済の成長力が高まるもとでは、金融緩和政策の効果は強まることになる。需給のバランスや金融システム面への影響にも配意しながら、適切な政策運営について予断なく検討していくことが必要である。
  • 足もとの社債、銀行貸出の動向をみると、長期実質金利の低下に伴う経済・物価への緩和効果は小さくなっている可能性がある。金融機関の経営体力への累積的影響が厳しさを増す中、望ましいイールドカーブの形状についてさらに検証を進めることが重要である。
  • 市場は金利の早期引き上げを求めていると言われることがあるが、実際に金利を引き上げれば、債券価格と株価が下落し、円高で企業の経営が悪化し、信用コストが増大し、金融機関は大きな打撃を受けるだろう。また、短期金利を上げても長期金利が上がるとは限らず、長短スプレッドはむしろ縮小してしまう可能性もある。これは2006年以降の日本で起きたことである。
  • ETFなどリスク性資産の買入れは、「物価安定の目標」を実現するための政策パッケージの一要素として行っているが、政策効果と考え得る副作用についてあらゆる角度から検討を続けるべきである。
  • 現状の金融緩和を息長く続けていくもとで、金融政策をより効果的なものとする観点から、「出口」や「正常化」の意味について明確な説明に努め、経済・物価・金融情勢に応じて柔軟な対応を取り得ることについて、国民の理解を得ていくことが必要である。
  • 展望レポートにおける2%程度に達する時期は、あくまで見通しであって、その変化と政策変更を機械的に結び付けているわけではない。市場とのコミュニケーションの面からも、この点を明確にすることが適当である。
  • 2%程度に達する時期の見通しに関する記述を修正したとしても、2%の「物価安定の目標」を「できるだけ早期に実現する」というコミットメントは、全く変わらないことをしっかり示す必要がある。
  • 2%程度に達する時期に関する記述を見直すことは、「物価安定の目標」達成に向けたコミットメントを弱めてしまうことになりかねないと懸念される。達成時期を明記するとともに、追加緩和とコミットメント強化によって、需給ギャップの拡大と予想インフレ率の上昇を促すことが必要である。
  • 新体制発足にあたり、改めて「共同声明」の意義を確認しておきたい。対外的にも、2%の「物価安定の目標」に対する理解を浸透させるべく、コミュニケーションを今後も強化していくことが必要である。また、現在の政策の要はコミットメントにある。これを強化する手段がないか、更なる研究と議論が望ましい。
  • 「物価安定の目標」の達成に向けたリスク要因が顕在化し得る場合、「共同声明」の理念に則って政府と日本銀行が連携し、具体的な行動を起こすことを検討してもよいのではないか。

III.政府の意見

財務省

  • 先般、「共同声明」を堅持することを改めて確認したところであり、引き続き、政府・日本銀行で緊密に連携しながら、あらゆる政策を総動員し、デフレ脱却と力強い成長を目指す。
  • 平成30年度予算が3月28日に成立した。本予算の迅速かつ着実な実施に取り組む。
  • 日本銀行が、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に沿って、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 先日、堅持することが改めて確認された「共同声明」に定められている政府の役割をしっかりと果たしていく。
  • 展望レポートにおける物価安定目標の達成時期の表現変更は適切と考える。日本銀行としての考え方について、対外的に丁寧に説明していただきたい。
  • 日本銀行においても、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「共同声明」に基づき、物価安定目標の実現に向けて、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る