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金融政策決定会合における主な意見
(2018年6月14、15日開催分)1

2018年6月25日
日本銀行

I.金融経済情勢に関する意見

経済情勢

  • わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きも、きわめて緩和的な金融環境と政府支出による下支えなどを背景に、景気の拡大が続くとみられる。
  • わが国の景気は緩やかに拡大している。需給ギャップが着実に改善するなかで、企業は製品やサービスの供給力拡充を進めている。需給が適度に引き締まった状態が続くもとで、このような取組みが持続することが重要である。
  • 1~3月期のわが国のGDPは9四半期振りのマイナス成長となったが、天候不順などの一時的要因による部分が大きい。4月以降は輸出や個人消費を中心にしっかりとした動きとなっており、再びプラス成長に復していくとみられる。
  • 景気は緩やかに拡大している。ただし、足もと、一部のマインド指標で弱めの動きがみられるほか、海外経済を巡る不確実性も幾分強まっていることから、先行きの展開を注意深く見守る必要がある。
  • 米国の保護主義的な貿易政策が世界経済に与える影響を注視している。南欧の政局や一部新興国市場の動揺も、現時点では世界経済への影響は限定的ながら、懸念材料の一つである。

物価

  • 消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。
  • 過去の景気後退によって生じたヒステリシス(履歴効果)の希薄化に伴い、ビジネス・モデルの見直しなどを通じた供給面の拡大がみられている。これが、短期的には、需要増に伴う物価上昇圧力を緩和する方向に作用している。
  • 失業率が2.5%となっているにもかかわらず、物価上昇率は高まらない。しかも、人手不足とともに労働市場に参入する人々が増えている。このような状況をみると、構造失業率は2%前後であるのかもしれない。
  • 物価上昇に賃金の上昇が伴わなければ、国民に負担がかかることとなる。「働き方改革」による労働時間削減等の影響も踏まえつつ、労働生産性と実質賃金の動向を注視している。
  • わが国では、実績の物価上昇率が低下すると、予想物価上昇率も低下する傾向がある。また、経済成長率の鈍化は需給ギャップの改善を鈍化させる。最近の指標の弱さは一時的で、今後は回復を見込んでいるが、十分な注意が必要である。
  • 労働市場の逼迫感は増しているものの賃金の上昇圧力は弱く、企業も慎重な姿勢を崩していないことなどから、「物価安定の目標」の達成にはまだ時間がかかると考えられる。7月の展望レポートを作成する次回会合では、物価に関する分析と議論を深める必要がある。
  • 次回展望レポートに向けて、最近の賃金・物価の弱さの背景やこれが予想物価上昇率に及ぼす影響について、今一度しっかりと分析していくことが必要である。
  • 物価のモメンタムを見定めるにあたっては、マクロの需給のバランスのほか、企業行動をあらゆる側面から総合的に確認することが重要である。
  • 「物価安定の目標」に向けたモメンタムを判断するうえでは、需給ギャップと予想物価上昇率の動向が重要である。需給ギャップは需要超過が示唆されるものの、拡大しているかは判然とせず、また予想物価上昇率は伸び悩んでいることから、足もと、モメンタムが強まっているとはいえない。
  • 賃金コストの上昇等を背景に、外食や宅配の価格の前年比プラス幅が着実に拡大するなど、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されている。

II.金融政策運営に関する意見

  • 2%の「物価安定の目標」の実現までにはなお距離があることを踏まえると、「物価安定の目標」に向けたモメンタムをしっかりと維持するために、現在の金融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適当である。
  • 息長く経済の好循環を支えて、「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策の運営方針を継続すべきである。
  • 「物価安定の目標」の実現にはなお距離があるので、持続可能な形で強力な金融緩和を息長く続けていくべきである。
  • 物価の伸び悩みの理由は、単純な需要不足とは考え難いことから、短期間で需要を無理に押し上げるような政策は適当ではない。現在の緩和的な金融環境を粘り強く維持していくことが重要であり、そのためには、経済・金融環境に深刻な歪みが生じることがないよう注意しながら、持続性に十分配慮した政策運営がなされるべきである。
  • 金融機関では、保有有価証券の評価損益の悪化に加え、低収益店舗の減損リスクも生じてきている。金融政策の継続にあたっては、その効果と副作用の二つの時間軸を意識し、副作用が顕在化する前から対応を検討しておくことが必要となる。
  • 低金利が銀行経営の悪化を通じて金融仲介機能を低下させ、却って金融緩和効果を削ぐという議論がある。こうした金融仲介機能の中核は、預金を集めて返済可能性を考慮しながら貸し出すことであるが、国内銀行の平均預貸率は7割以下であり、残りは債券運用である。この点を考慮すれば、銀行の金融仲介機能にはそもそも改善の余地があるのではないか。
  • 足もとの国債市場では、米国金利等の動きに対する感応度が低下しているほか、新発債の業者間取引が不成立となる日もみられる。本来の市場機能をできるだけ維持する観点から市場調節を運営していくことが重要である。
  • ETFなどリスク性資産の買入れは、「物価安定の目標」を実現するための政策パッケージの一要素として行っているが、政策効果と考え得る副作用についてあらゆる角度から検討を続けるべきである。
  • 他の先進国では、2%程度の物価上昇が当然とされ、そのもとで3~4%程度の名目成長が達成されてきた。2%の「物価安定の目標」は、国際社会に対して日本が他国並みの名目成長を実現するという決意の表れである。
  • 予想物価上昇率がなかなか上がらない現状を考えると、場合によっては、民間主体の期待形成に働きかけるべく、2%に向けたコミュニケーションと広い意味でのコミットメントを改善する工夫を講じることが望ましい。
  • 足もとの物価上昇率が高まっていないため、予想物価上昇率も伸びにくくなっている。予想物価上昇率に働きかける追加的なコミットメントが必要である。4月の展望レポートで、2%程度に達する時期の記述が削除されたが、予想物価上昇率は横ばい圏内で推移している。これは、現行のコミットメントが十分に機能していないことを示唆しているのではないか。
  • 物価の見通しに関する記述が変更されても、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するというコミットメントは全く変わっていない。前回会合以降の市場動向等をみても、「コミットメントの後退」と受け取られることはなかったと判断している。
  • 黒田総裁の再任にあたり、政府・日本銀行の共同声明を堅持することが再確認されたことの意義は非常に大きい。共同声明で謳われた政府・日本銀行のコミットメントに揺らぎがないと理解されることが大切である。

III.政府の意見

財務省

  • 「経済財政運営と改革の基本方針2018」が、本日与党で了承を得られ次第、速やかに閣議決定される予定である。
  • この方針には、財政健全化に向けた具体的かつ実効性の高い計画が示されており、政府としては、引き続き、経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいく。
  • 日本銀行が、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に沿って、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。

内閣府

  • 本日、「骨太方針」と「未来投資戦略」を取りまとめる。「骨太方針」においては、人づくり革命と生産性革命に取り組むこと、深刻な人手不足を踏まえ専門的・技術的な外国人材の受入れを進めること、2025年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス黒字化を目指すことなどを定めることとしている。
  • 日本銀行においては、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向けて、金融緩和を着実に推進していくことを期待する。

以上


  1. 「金融政策決定会合における主な意見」は、(1)各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する、(2)議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したものである。 本文に戻る