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物価安定のもとでの持続的成長へ向けた最近の政策運営

概要

日本銀行は、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を理念として、金融政策を運営している。その際の「物価の安定」は、中長期的に持続可能なものでなければならない。

2012年2月に、日本銀行は、わが国経済のデフレ脱却と物価安定のもとでの持続的な成長の実現に向けた日本銀行の姿勢をさらに明確化する取り組みの一環として、「中長期的な物価安定の目途」を新たに導入した(「中長期的な物価安定の目途」について)。この「中長期的な物価安定の目途」は、日本銀行として、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的と判断する物価上昇率を示したものである。現在は、「消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面は1%を目途」としている。

わが国経済は、現在、急速な高齢化のもとで、趨勢的な成長率の低下という長期的・構造的な課題に直面している。日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するためには、成長力強化の努力と金融面からの後押しの両面での取り組みが必要である。

こうした認識のもと、日本銀行は、強力に金融緩和を推進するとともに、わが国経済の成長基盤強化の支援にも取り組んでいる。また、わが国金融市場の安定確保にも万全を期している。

  1. 強力な金融緩和の推進
  2. 成長基盤強化の支援
  3. 金融市場の安定確保

なお、日本銀行は、2011年3月の東日本大震災発生の直後から、主に、金融・決済機能の維持、金融市場の安定確保、経済の下支えの3つの観点から、潤沢な資金供給や金融緩和の一段の強化をはじめ、様々な措置を迅速に講じた。また、こうした措置に加えて、被災地の金融機関を対象に、復旧・復興に向けた資金需要への対応を資金面から支援するため、被災地金融機関を支援するための資金供給オペを実施しているほか、被災地の金融機関の資金調達余力確保の観点から、担保適格要件の緩和を図っている(東日本大震災後の日本銀行の対応の詳細については、東日本大震災関連情報を参照)。

1. 強力な金融緩和の推進

日本銀行は、以下の3つの措置からなる「包括的な金融緩和政策」を通じて強力な金融緩和を推進している。

(1)実質的なゼロ金利政策の実施
無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標水準を「0〜0.1%程度」とし、実質的なゼロ金利政策を採用。

(2)「資産買入等の基金」を通じた金融資産の買入れ等
多様な金融資産の買入れ等を通じて、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促進し、金融緩和を一段と強力に推進するため、総額35兆円程度の資産買入等の基金を創設。その後、累次に亘って規模を拡大(現在は70兆円程度)。

(3)時間軸の明確化
当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力な金融緩和を推進していく。

2. 成長基盤強化の支援

日本銀行は、「成長基盤強化を支援するための資金供給」を通じて、わが国経済の成長基盤強化に向けた融資・投資を行う金融機関に対し、長期(最長4年)、低利(現在0.1%)の資金を供給している。基本となる貸付枠のほか、米ドルを用いた特別枠やABL向け、小口向けの特別枠を設け、わが国経済の成長力強化に向けた中央銀行としての取り組みを続けている。

3. 金融市場の安定確保

日本銀行は、わが国の金融市場の安定確保に万全を期していく観点から、多様な資金供給オペレーションを活用して、潤沢な円資金の供給を行っているほか、外貨の面では、米ドル資金供給オペレーションの実施や、海外5中央銀行との間で米ドル以外の資金供給に備えた多角的スワップ取極を締結するなどの措置を講じている。

(国際金融資本市場の動揺が深刻化した2008年秋以降、日本銀行は、金融政策面や金融システム面において様々な措置を実施した。詳細については、2008年秋以降の金融危機局面において日本銀行が講じた政策を参照)

1. 強力な金融緩和の推進

決定日 関連する主な対外公表文
2009年12月 1日 金融緩和の強化について[PDF 114KB]
(固定金利方式の共通担保資金供給オペレーション<固定金利オペ>の導入)
2010年 3月17日 やや長めの金利の低下を促す措置の拡充[PDF 110KB]
(固定金利オペの拡充<固定金利オペを大幅に増額>)
2010年 8月30日 金融緩和の強化について [PDF 112KB]
(固定金利オペの拡充<期間6か月物の導入、同オペを通じた資金供給を大幅に拡大>)
2010年10月 5日 「包括的な金融緩和政策」の実施について [PDF 179KB]
(金利誘導目標水準の変更、「中長期的な物価安定の理解」に基づく時間軸の明確化、資産買入等の基金の創設)
2011年 3月14日 金融緩和の強化について [PDF 130KB]
(資産買入等の基金の増額<リスク性資産を中心に5兆円増額>)
2011年 8月 4日 金融緩和の強化について [PDF 137KB]
(資産買入等の基金の増額<10兆円増額>)
2011年10月27日 金融緩和の強化について [PDF 130KB]
(資産買入等の基金の増額<5兆円増額>)
2012年 2月14日 金融緩和の強化について [PDF 114KB]
(「中長期的な物価安定の目途」の導入、緩和姿勢の明確化<時間軸政策>、資産買入等の基金の増額<10兆円増額>)
2012年 4月27日 金融緩和の強化について [PDF 132KB]
(資産買入等の基金の増額<5兆円増額>)

多様な資金供給手段の活用

日本銀行は、強力な金融緩和を推進するため、「資産買入等の基金」を通じた資金供給を含めて、多様な資金供給手段を活用している。

  残高
(2012年4月末時点)
備考
資金供給手段毎の残高
(資産買入等の基金を除く)
   

長期国債 65.3兆円 年21.6兆円ペースで買入れ
2009年3月18日 [PDF 121KB]
国庫短期証券 0.3兆円
(13.8兆円)
( )内は、引受を含めた残高。
国債買現先 0兆円
共通担保資金供給(金利入札方式) 0.4兆円
CP買現先 0兆円
被災地金融機関支援オペ 0.5兆円
成長基盤強化支援資金供給 3.1兆円
資産買入等の基金 50.3兆円 資産別の買入残高等の詳細

資産買入等の基金

日本銀行は、「包括的な金融緩和政策」の一環として、多様な資産の買入れと固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを実施するための「資産買入等の基金」をバランスシート上に創設し、活用している。

決定日 関連する主な対外公表文
2010年10月 5日 「包括的な金融緩和政策」の実施について [PDF 179KB]
2010年10月28日 当面の金融政策運営について(資産買入等の基金の創設) [PDF 140KB]
「資産買入等の基金運営基本要領」の制定等について [PDF 78KB]
2010年11月 5日 当面の金融政策運営について(指数連動型上場投資信託の買入) [PDF 145KB]
「資産買入等の基金の運営として行う指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」の制定等について [PDF 125KB]
2011年 3月14日 金融緩和の強化について [PDF 130KB]
「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正等について [PDF 132KB]
2011年 8月 4日 金融緩和の強化について [PDF 137KB]
「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正等について [PDF 128KB]
2011年10月27日 金融緩和の強化について [PDF 130KB]
「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正について [PDF 99KB]
2012年 2月14日 金融緩和の強化について [PDF 114KB]
「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正について [PDF 98KB]
2012年 4月27日 金融緩和の強化について [PDF 132KB]
「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正等について [PDF 149KB]

「資産買入等の基金」の運営状況

  上限金額 残高
(2012年4月末時点)
資産買入れ 40兆円程度 159,215億円

長期国債 29兆円程度 78,269億円
国庫短期証券 4.5兆円程度 34,551億円
コマーシャル・ペーパー等 2.1兆円程度 15,767億円
社債等 2.9兆円程度 20,438億円
指数連動型上場投資信託(ETF) 1.6兆円程度 9,429億円
不動産投資信託(J−REIT) 0.12兆円程度 761億円
固定金利方式・共通担保資金供給オペレーション 30兆円程度 343,376億円
合計 70兆円程度 502,591億円

参考

2. 成長基盤強化の支援

  関連する主な対外公表文(公表日)
成長基盤強化を支援するための資金供給 公表:2010年 4月30日 [PDF 106KB]
骨子素案:2010年 5月21日 [PDF 113KB]
導入:2010年 6月15日 [PDF 179KB]
成長基盤強化を支援するための資金供給における出資等に関する特則 導入:2011年 6月14日 [PDF 113KB]
成長基盤強化を支援するための資金供給における小口投融資に関する特則 導入:2012年 3月13日 [PDF 136KB]
成長基盤強化を支援するための資金供給における米ドル資金供給に関する特則 骨子素案:2012年 3月13日 [PDF 153KB]
導入:2012年 4月10日 [PDF 181KB]

「成長基盤強化を支援するための資金供給」の実施状況

  貸付額 貸付先数
第1回(2010年 9月 6日貸付)
2010年9月1日 [PDF 82KB]
4,625億円 47先
第2回(2010年12月 7日貸付)
2010年11月30日 [PDF 186KB]
9,983億円 106先
第3回(2011年 3月 7日貸付)
2011年 2月28日 [PDF 177KB]
7,221億円
122先
第4回(2011年 6月 8日貸付)
2011年 5月31日 [PDF 179KB]
8,296億円
126先
第5回(2011年 9月 6日貸付)
2011年 8月31日 [PDF 105KB]
1,395億円
99先
第6回(2011年12月 7日貸付)
2011年11月30日 [PDF 200KB]
1,629億円
85先
第7回(2012年 3月 7日貸付)
2012年 2月29日 [PDF 201KB]
1,469億円
80先

参考

3. 金融市場の安定確保

金融市場の安定確保のために実施している主な措置

日本銀行は、金融市場の安定に万全を期すため、多様な資金供給オペレーションを活用するほか、様々な措置を講じている。

  関連する主な対外公表文(公表日)
国債補完供給の拡充 2008年 9月16日 [PDF 17KB]
2008年10月14日 [PDF 75KB]
2009年 2月19日 [PDF 94KB]
2010年 8月 2日 [PDF 97KB]
補完当座預金制度 2008年10月31日 [PDF 194KB]
米国債、英国債、ドイツ国債、フランス国債の適格担保化 2009年 5月22日 [PDF 113KB]
米ドル資金供給オペ 2010年 5月10日 [PDF 8KB]
2010年 5月10日 [PDF 59KB]
2010年12月21日 [PDF 165KB]
2011年 3月25日 [PDF 82KB]
2011年 6月29日 [PDF 68KB]
2011年11月30日 [PDF 89KB]
カナダドル資金供給オペ 2011年11月30日 [PDF 89KB]
英ポンド資金供給オペ 2011年11月30日 [PDF 89KB]
ユーロ資金供給オペ 2011年11月30日 [PDF 89KB]
スイスフラン資金供給オペ 2011年11月30日 [PDF 89KB]

なお、上記の各外貨資金供給オペのための各中央銀行との間の為替スワップ取極要綱および日本銀行による円資金の提供のための各中央銀行との間の為替スワップ取極要綱については、ニューヨーク連邦準備銀行等との為替スワップ取極を参照。

(参考) 関連統計

バランスシート・担保残高

統計名 内容
営業毎旬報告 旬末のバランスシート
日本銀行勘定 毎月末のバランスシート項目の残高
日本銀行が受入れている担保の残高 毎月末時点で受け入れている担保の残高

各種オペレーションの実施額および残高

統計名 内容
オペレーション(日次公表分) 日々のオペレーションの実施状況および結果
オペレーション(月次公表分) 月ごとのオペレーションの一覧
マネタリーベースと日本銀行の取引 月ごとの資金供給の内訳とマネタリーベースの変化
日銀当座預金増減要因と金融調節 月ごとの日銀当座預金の変化と金融調節の動き
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