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日本銀行の金融調節を知るためのQ&A(解説ヘ.)

ヘ.金融調節は日々の金融市場の状況に応じて行われているということですが、では金融調節の1日の流れはどのようになっているのですか。

金融調節は、「金融市場調節方針」に基づき、金融市場局という部署で行われます。
それでは、金融調節の1日の流れをみてみましょう。

まず、金融市場の情勢把握を綿密にやらなければなりません。東京の金融市場は朝9時頃から取引が活発になりますが、その前に、前日の国内の各市場の状況や日本時間の夜の間の海外市場の動向などについて情報を集めて分析します。また、当日の銀行券要因や財政要因の予測もこの時点での大事な作業です。

これらを元に、コール市場で資金の需要がどれくらい強いか、日銀当座預金はどの程度増減するかを判断し、ターゲットとする無担保コールのオーバーナイト物金利を適切なレベルにするのに必要な資金量(=日銀当座預金残高)を判断します。その上で、その日に行うオペレーションの計画(どのオペレーション手段でどれだけの資金の供給・吸収を行うか)を固めます。その日の日銀当座預金残高の見込みが、必要な資金量と同程度であればオペは行いませんが、下回る場合には資金供給オペを、上回る場合には資金吸収オペを用意します。

オペが必要な場合、まず、当日に資金決済(資金の受渡し)を行うオペレーション(これを即日スタート・オペと言います)の取引の入札実行通知(オファー)を、銀行や証券会社などの取引相手に対して行います。例えば、資金供給オペである短期国債の買現先(かいげんさき)オペを即日スタートで実行すると、その日のうちに、日本銀行から相手の金融機関の当座預金口座に資金が入金され、短期国債が金融機関から日本銀行に渡されます。
また、日本銀行は翌日以降の資金過不足についても予測をしていますので、翌日以降に資金の受渡しが行われるオペレーション(これを先日付(さきひづけ)スタート・オペと言います)のオファーを行うことも、頻繁にあります。
これらのオペのオファー時刻は、当日スタートのオペなら午前 9時20分、翌日以降スタートの短期国債のオペなら10時10分というように、オペレーションの種類により慣行として決まっています。銀行などの市場参加者は、その時刻に日本銀行がどのようなオファーをするかを予め待ち受けているので、オペレーションの入札への応募を行えるのです。

金融調節による資金供給量の決定プロセスについては、「日本銀行の金融調節の枠組み」(2000.2.14、金融市場局ワーキングペーパーシリーズ2000-J-3)の「3.(5)金融調節による資金供給量の決定」および「3.(6)資金供給(吸収)方法の決定」をご参照下さい。

例えば、2000年2月2日のオペレーションの場合

2月2日に行われたオペは、次の4種類に分けられます。



オペの種類 オファー日 オペ実行日 オペ期日 金額 (注1)
A
前日までに先日付オペとしてオファーされていたもの 国債借入(レポ)
短期国債買現先
短期国債買現先
短期国債買入
1/31
1/31
1/31
1/28
2/2
2/2
2/2
2/2
3/6
3/24
3/31
4,000億円
8,000億円
3,800億円
3,100億円
B
当日、即日オペとしてオファーされたもの 短期国債売現先 2/2 2/2 3/2 △3,100億円
C
当日、先日付オペとしてオファーされたもの 短期国債買現先
短期国債買現先
手形買入
2/2
2/2
2/2
2/3
2/3
2/8
3/15
4/11
4/7
5,000億円
8,000億円
3,000億円
D
以前実行されたオペの期日が到来したもの 手形売出
短期国債売現先
国債借入(レポ)


2/2
2/2
2/2
10,000億円
12,000億円
△4,000億円

(注1)△は、市場から資金を吸収するもの。なお、「D」では、実行時に資金供給(吸収)を行う目的で行ったオペは、期日が到来すると実施時と逆の資金の流れが生じるので、市場から資金が吸収(供給)されることになる点に注意。

(注2)シャドー部分が、2月2日当日の市場の資金量(=日銀当座預金残高の総額)に影響を与えるもの。


この日は、法人税の政府への納付を主因に金融市場が資金不足になると予想されていたので、予め前日までに、2月2日当日に資金供給を行うべく、先日付オペによって1兆9千億円程度の資金供給を準備(「A」)。また、以前実施していたオペで、期日を2月2日にしていた分はトータルで1兆8千億円の資金供給となることが見込まれていた(「D」)。

当日になり、最終的に若干の資金余剰となることが判明したため、即日オペを実施して資金を吸収した(「B」)。

各オペレーションのオファー後、大体1時間以内で、金融機関からの入札の受付け、落札の決定、落札結果の通知を完了させます。その間も、金融市場は色々なニュースに反応しながら「経済は生き物」の言葉そのままに動いていきますから、日本銀行ではコール市場や各種金融市場の状況についての情報収集を続けます。その結果、朝に想定した以上に資金需要が強く(弱く)、そのままでは無担保コール・オーバーナイト物の金利が上昇(低下)するおそれが強いと判断される場合などには、必要に応じて追加的なオペレーションをオファーするのです。

金融市場では、当日に資金の受渡しを行うコール取引の過半が午前中に約定され、13時頃までに受渡しが行われます。15時には、証券取引所での株式等の取引が終了し、債券等の店頭市場取引も山を越えます。
日本銀行では、1日を通じて様々な市場の金利・価格の動きをウォッチしているほか、銀行や証券会社等の市場参加者からマーケットの動きに関する情報を電話等で頻繁に集めており、夕刻にかけて1日の市場の動きの総括やその日実施したオペレーションの評価を行います。日本銀行の当座預金は17時頃に最終決済を行い、口座が閉じられます。日本銀行にも、「営業時間」終了の瞬間が訪れるのです。
また、17時頃にかけては、全国から集められる当日の銀行券の発行状況や財政資金の出入りの実績データを取りまとめ、17時半頃に「日銀当座預金増減要因と金融調節」*の実績および翌営業日の予想を発表します。

* 「資金需給と調節」から変更(2000年7月17日分より)

「日銀当座預金増減要因と金融調節」の予想や実績の作成及び公表について、より詳しい説明をご覧になりたい場合は、「日本銀行の金融調節の枠組み」(2000.2.14、金融市場局ワーキングペーパーシリーズ2000-J-3)の「3.(4)B銀行券要因、財政要因の予測」をご参照下さい。

これでその日の金融調節は一旦終わりますが、その時には内外の市場は新しいニュースを織り込みつつ新たな動きを開始しています。日本銀行は、こうした市場を睨みながら、翌日の金融調節に必要な準備を進めていくのです。

金融調節の1日の流れ

9:00前当日および翌日以降のオペ実行案を策定
9:00(コール市場取引開始)取引状況の情報収集
9:20即日スタート・オペをオファー
9:30〜13:00先日付スタート・オペをオファー
引続き、市場参加者から取引状況の情報収集
この間に随時、追加的な即日スタート・オペをオファー
13:00(当日資金の受け渡しが行われるコール取引の資金決済<交換尻(こうかんじり)決済>)
15:00
16:00頃
(株式等の取引終了、債券等の店頭市場取引も山を越える)
その日の市場の動きを総括、実施したオペの評価
17:30頃「日銀当座預金増減要因と金融調節」の実績および翌営業日の予想を発表
翌日の金融調節案の策定の準備
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