日本銀行本店

決済と決済システムを理解するためのキーポイント 《基礎編》

決済とは何か、決済システムとは何か、決済不能が連鎖的に広がるのを防ぐためにどうすればいいのか、など、決済を理解するためのキーポイントを9つのテーマに分けて説明しています。

 この資料は、「決済の原理――決済についての入門講義」のエッセンスをコンパクトにまとめたものです。

▽決済と決済システムを理解するための9つのテーマ

取引を行うと、おかねや品物等を支払ったり引き渡したりする義務(相手側からみれば受け取る権利)が生じます(これらを債権・債務と言います)。決済とは、一般的には、これら債権・債務のうちおかねに関するものについて、実際におかねの受け渡しをして債権・債務を解消することを言います。決済の道具はおかねです。私たちがおかねと聞いて普通イメージするものは、おさつやコインだと思いますが、広い意味では、銀行預金などもおかねです。決済を行う方法には、日常生活に馴染みの深いものとして、おかねを用いる方法、即ち、おさつの引渡し、銀行預金の振替等、があります。このほかに、おかねを使わない「ネッティング」という方法もあります。取引をしてから代金決済までに時間差があることがあります。これは、相手に代金相当額の信用を与えている(即ち、信用供与する、おかねを貸す)のと同じ意味があります。おさつと預金は今日おかねとして広く使われていますが、それらがおかねとして利用される際には、銀行と中央銀行が重要な役割を果たしています。銀行同士で行う決済では、決済を行う前に、決済の事前準備として、銀行間で行われたたくさんの取引を計算・整理する清算(クリアリング)を行う場合があります。クリアリングは、決済を効率的に行うために利用されますが、一方で、参加者の1先でも支払不能になると、クリアリングに持ち込まれた取引全体が決済できなくなるという危険性もはらんでいます。そこで、安全なクリアリングを行うための対策を講じておくことが重要になります。決済システムには「安全性と効率性」という2つの課題があります。銀行間決済の安全性を高めるには、3つの条件(「安全な決済手段を利用する」、「決済を実行したら取り消さない」、「取引後、迅速に決済を行う」)があります。安全性を高めるには、RTGS(即時グロス決済)という方法が有効です。決済システムはシステミック・リスクを内包しているので、対策を講じておくことが必要です。銀行同士が行う決済に関しては、おかねのほか、証券や外国のおかねに関する決済、クリアリングとセトルメントなど、異なる決済システムが相互に結びついています。各々の決済システムで起こった決済不能が他のシステムへ広がらないよう、各々を十分に安全なシステムにしておくことが重要です。システミック・リスク対策を行う際は、決済システムを構成する「運営者」、「コンピュータ等の設備」、「銀行等の参加者」、「参加者間の様々な取極めをまとめたルール・ブック」の各々について、どのような対策を行っていくべきかをリストアップしていくことになります。


作成:2002年2月

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