日本銀行本店

日本銀行レポート・調査論文

ホーム > 調査・研究 > 日本銀行レポート・調査論文 > 金融システムレポート > 金融システムレポート(2013年4月号)

ENGLISH

金融システムレポート(2013年4月号)

2013年4月17日
日本銀行

概観

わが国の金融システムを取り巻く外部環境

わが国の金融システムを取り巻く外部環境をみると、一部に改善の動きがみられるものの、先行き不透明感は依然として高い。

国際金融資本市場では、投資家のリスク回避姿勢が徐々に後退している。また、実体経済面では、米国経済が緩やかな回復基調を続けているほか、中国経済でも持ち直しの動きがみられている。もっとも、欧州債務問題の根本的な解決を巡って、なお多くの課題が残っている。

わが国の景気は、昨年後半以降、弱めの動きとなった後、足もとでは下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。こうしたもとで、企業は慎重な財務運営を続けており、企業の財務状況は総じて改善した状態にある。ただし、一部の中小企業では厳しい財務状況が続いているほか、住宅ローンを抱える家計では所得との対比でみた債務の元利返済額の比率が引き続き高めとなっている。公的部門については、財政赤字が続くもとで、政府債務残高が累増している。

金融機関の金融仲介活動

わが国では、企業・家計を取り巻く金融環境は緩和した状態にある。CP・社債市場では総じてみれば良好な発行環境が続いている。また、銀行の国内貸出残高は、運転資金や企業買収関連を中心に増加している。さらに、大手行は海外貸出に注力しているほか、地域金融機関でも地元中小企業の海外進出を支援する取り組みを強化する動きがみられている。ただし、創業期の企業への投融資額は伸び悩んでいる。

金融システムにおけるリスク

金融面のマクロ的なリスクに関する指標を点検する限り、これまでのところ期待の強気化に起因した不均衡の存在を示唆する指標は観察されない。もっとも、金融機関の国債保有残高が引き続き大きいことには注意する必要がある。また、銀行・信用金庫が抱えるリスク量は、自己資本との対比で引き続き減少しているが、基礎的な収益力は低下している。

金融システムのリスク耐性

マクロ・ストレス・テストの結果によれば、わが国金融システムのリスク耐性は、全体として相応に強い状態にある。すなわち、仮に、リーマン・ショック時なみの大幅な景気後退が生じるケースなどを想定しても、銀行の自己資本基盤が全体として大きく損なわれる事態は回避されるとみられる。もっとも、基礎的な収益力や貸出債権の質が低い銀行では、自己資本比率が大きく低下する可能性がある。また、円貨・外貨ともに、銀行は、全体として概ね十分な量の資金流動性を確保しているとみられる。

金融システムの安定性確保に向けた課題

わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。もっとも、金融機関が円滑な金融仲介活動を継続していくためには、以下の経営課題に重点的に取り組む必要がある。

第一に、収益力の向上を図る必要がある。金融機関は、事業の成長性・リスクを見極める能力の強化や、金融手法面の工夫などを通じて、取引先企業の事業再生や成長分野で活動する企業に対する支援の実効性を高め、潜在的な金融サービスに対する需要を掘り起こすことが重要である。さらに、金融機関が合併などを通じて経営効率の改善や顧客ネットワークの拡張を図ることも、収益力向上のためのひとつの選択肢となり得る。

第二に、自己資本基盤を強化する必要がある。金融機関は、内外における成長分野向け投融資など、収益性やリスクの高い分野での金融仲介活動を続けていくためにも、自己資本の充実は不可欠である。

第三に、金融機関には、引き続きリスク管理の実効性を向上させることが求められる。信用リスク管理面では、企業再生面での一層の取り組みに加えて、このところの海外貸出や大口貸出の増加を踏まえ、内外与信ポートフォリオにかかる集中リスクの抑制、大口与信先に対する管理の強化を図る必要がある。また、債券保有にかかる様々なリスクを把握しておくことも重要である。株式リスクについても、株価動向が金融機関の収益などに及ぼす影響を踏まえ、引き続き適切に管理していく必要がある。

日本銀行から

本レポートは、原則として2013年3月末までに利用可能な情報に基づき作成されています。
本レポートの内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行金融機構局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

照会先

金融機構局金融システム調査課

E-mail : post.bsd1@boj.or.jp

ページ先頭に戻る