このページの本文へ移動

金融システムレポート(2016年4月号)のマクロ・ストレステストのシナリオ設定

2016年4月22日
日本銀行金融機構局

要旨

『金融システムレポート』のマクロ・ストレステストでは、(1)リーマンショック時並みの非常に厳しい金融経済情勢を毎回想定し、金融システムの安定性を定点観測的に評価する「テールイベント・シナリオ」と、(2)その時々のマクロプルーデンス面での問題意識に基づき、毎回異なるシナリオのもとで金融システムの脆弱性を点検する「特定イベント・シナリオ」を設定している。2016年4月号の金融システムレポートでは、「特定イベント・シナリオ」として、「邦銀の外貨調達コストの上昇」を想定した。

本別冊は、これらストレス・シナリオにおいて、諸変数間の定量的な関係の設定方法や、その背景となる考え方について詳しく解説している。近年、金融機関のリスク管理において、多様化・複雑化するリスクプロファイルと、その期間収益や経営体力への影響を分析・把握するための手法として、ストレステストが重視されるようになっている。また、ストレステストは、リスクアペタイト・フレームワークなど、金融機関が経営戦略に基づいてリスクテイクとリスク管理を包括的に規律していく枠組みにおいても、重要な役割を担うものである。個々の金融機関が行うストレステストでは、自らのリスクの状況に応じて、厳しい負荷がかかる適切なシナリオを設定することが鍵となる。シナリオの設定においては、テストに取り込むマクロの金融経済変数や自行財務データをどのように選択するか、およびそれらの間の相互関係をどのように想定するかが重要な要素となる。日本銀行は、本別冊が金融機関のストレステストの充実に資することを期待している。今後も、シナリオやテスト結果について詳細な開示を行いながら、金融機関とのコミュニケーションを強化していく。

日本銀行から

本レポートの内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行金融機構局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

照会先

金融機構局金融システム調査課

E-mail:post.bsd1@boj.or.jp