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地域経済報告 —さくらレポート— (2007年1月)*

  • 本報告は、本日開催の支店長会議に向けて収集された情報をもとに、支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものである。

2007年1月12日
日本銀行

全文の目次

  • I.地域からみた景気情勢
  • II.地域の視点
  • <参考1>地域別金融経済概況
  • <参考2>各地域における2006年中の主な出来事(年間回顧)
  • <参考3>地域別主要指標

本件照会先

調査統計局 地域経済担当

Tel.03-3277-1357

I.地域からみた景気情勢

 各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、すべての地域において拡大または回復方向の動きが続いており、地域差はあるものの、全体として緩やかに拡大している。

 すなわち、設備投資がすべての地域で引き続き増加傾向にあるほか、企業の業況感もほとんどの地域で改善しているなど、企業部門は好調さを増している。また、家計部門についてみると、個人消費は、天候要因などから幾分弱めの動きがみられる一方、各地の歳末商戦や初売りは前年を上回る盛況を示している。この間、住宅投資は、幅広い地域において、振れを伴いつつ緩やかに増加している。このように、内外需の増加が続く中で、ほとんどの地域で、生産は増加を続けている。もっとも、「拡大」との判断にある関東甲信越、東海、近畿と、「回復」方向にあるその他の地域との間においては、回復の程度や勢いに、依然、地域差がみられている。

 なお、昨年10月の支店長会議時と比べると、すべての地域で、拡大または回復方向での総括判断を据え置いている。

表 地域からみた景気情勢
  06/10月判断 判断の変化 07/1月判断
北海道 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
東北 緩やかな回復を続けている 不変 緩やかな回復を続けている
北陸 着実に回復している 不変 着実に回復している
関東甲信越 緩やかに拡大している 不変 緩やかに拡大している
東海 拡大している 不変 拡大している
近畿 拡大を続けている 不変 拡大を続けている
中国 全体として回復を続けている 不変 全体として回復を続けている
四国 緩やかながら持ち直しの動きが続いている 不変 緩やかながら持ち直しの動きが続いている
九州・沖縄 回復を続けている 不変 回復を続けている

 個人消費は、関東甲信越、東海、近畿で緩やかな「増加」あるいは「回復」と判断しているほか、その他の地域でも、「底堅く推移」または「持ち直し」あるいは「横ばい圏内」と判断している。

 主な指標をみると、大型小売店の売上については、高額商品や飲食料品を中心に増加している、との報告がみられる一方で、北海道、東北、九州・沖縄では、暖冬による冬物衣料の不振といった弱めの動きも指摘されている。家電販売は、デジタル家電や高付加価値の白物家電を中心に引き続き好調に推移しているが、パソコンや暖房器具の販売が低調である、との報告もみられている。乗用車販売は、引き続き弱い動きとなっている。この間、旅行取扱高は、海外旅行を中心に堅調に推移している。

 なお、歳末商戦・初売りの状況をみると、食料品(お歳暮、おせち料理等)や高額商品等の販売が好調に推移するなど、多くの地域で前年を上回る盛況となった。

 前回報告との比較では、東北が判断をやや下方修正した。

 設備投資は、内外需の増加や好調な企業収益を背景に、すべての地域で、引き続き増加傾向にある。また、関東甲信越、中国では、設備投資の動きが大企業から中堅・中小企業に広がっている、との報告がみられている。

 前回報告との比較では、四国が判断をやや上方修正した。

 生産は、内外需の増加が続く中で、ほとんどの地域で、「増加」と判断している。この間、北海道、四国は緩やかな「持ち直し」あるいは「回復」と判断している。

 業種別の特徴をみると、加工業種のうち、電子部品・デバイスについては、携帯電話向けなど一部に受注鈍化や生産調整の動きも報告されているが、旺盛な需要を背景に引き続き増加している。また、自動車関連などの輸送機械は、堅調な輸出を主因に増加しているほか、一般機械も高水準の生産を続けている。この間、素材業種では、鉄鋼や紙・パルプが高操業を続けている一方、窯業・土石等では公共投資の減少から低操業にある地域が目立つなど、業種ごとのばらつきは引き続きみられる。

 前回報告との比較では、すべての地域で判断を据え置いている。

 雇用・所得環境をみると、雇用情勢については、ほとんどの地域で「改善」と判断している。もっとも、東海の「有効求人倍率が高水準で推移」から、北海道の「横ばい圏内で推移」まで、地域差は依然大きい。

 所得面は、労働需給の改善や好調な企業収益などを背景に冬季賞与も前年を上回っている中、ほとんどの地域で、「増加」あるいは「改善」と判断しており、東北も「全体として低調に推移しているものの、前年比マイナス幅は縮小傾向」としている。一方で、北海道については、「やや弱め」の動きが続いている。

 前回報告との比較では、すべての地域で判断を据え置いている。

需要項目等

表 需要項目等
  個人消費 設備投資 生産 雇用・所得
北海道 横ばい圏内の動きとなっている 底堅く推移している 緩やかに持ち直している 雇用情勢は、横ばい圏内で推移している。雇用者所得は、やや弱めの動きとなっている
東北 区々の動きの中で総じて底堅く推移している 増加している 増加している 労働需給は引き続き改善傾向にある。雇用者所得は、全体として低調に推移しているものの、前年比マイナス幅は縮小傾向にある
北陸 持ち直している 製造業を中心に高水準の前年を上回る増加を見込んでいる 増加している 雇用情勢をみると、引き続き改善している。雇用者所得は、緩やかに増加している
関東甲信越 緩やかな増加基調にある 着実に増加している 増加している 雇用情勢は、改善を続けている。雇用者所得は、緩やかな増加を続けている
東海 緩やかに回復している 着実な増加を続けている 増加している 雇用情勢をみると、有効求人倍率が高水準で推移しており、常用労働者数も増加している。雇用者所得は、改善している
近畿 全体として緩やかに増加している 着実に増加している 増加している 雇用情勢は、改善している。雇用者所得は、緩やかに増加している
中国 持ち直している 増加している 振れを伴いつつも増加している 雇用情勢は、有効求人倍率が高水準で推移している。雇用者所得は、緩やかに増加している
四国 全体として底堅く推移している 製造業を中心に増加している 緩やかに回復している 雇用情勢は、緩やかな改善の動きを続けている。雇用者所得は、全体として緩やかに回復しつつある
九州・沖縄 底堅く推移している 高水準で推移している 増加基調をたどっている 雇用情勢は、緩やかに改善している。雇用者所得は、引き続き前年を上回っている