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全国11支店金融経済概況 (2001年 1月)

2001年 1月29日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気をみると、一部での改善の動きが続いており、企業マインドの悪化も一服しているが、全体としてはなお足踏み状態にある。最終需要面では、企業収益がリストラ効果等から増益基調にあるなかで、民間設備投資が増加傾向を辿り、公共投資も減少テンポが幾分鈍化している。しかしながら、住宅投資が減少基調にあるほか、個人消費は一部には堅調な動きがみられているものの、全体では力強さに欠ける展開が続いている。こうしたなかで、企業の生産は横這い圏内の動きとなっているが、雇用情勢については厳しい状況ながらも改善基調にある。

最終需要面の動きをみると、公共投資は、道の発注進捗等を背景に、減少テンポが幾分鈍化している。

住宅投資は、貸家、分譲マンションに加え、持家も前年を下回るなど、減少基調にある。

個人消費は、大型小売店等の売上げは一部にセール・催事効果等がみられているが、低調の域を脱しておらず、耐久消費財もパソコンや一部車種以外は総じて伸び悩んでいるなど、全体としては力強さに欠ける展開が続いている。この間、観光面では、足許の入込み客数は前年を上回るなど一頃に比べ持直している。

設備投資については、電気機械や小売等での能力増強投資や営業力強化に向けた動き等から製造業、非製造業とも上方修正されるなど、増加傾向を辿っている。

企業の生産は、自動車部品では国内・外の需要好調を背景にフル操業を継続、紙・パでも広告需要の増加等から高操業にある。しかしながら、電子部品等については一部の先での海外からの受注減少等により、なお高水準ながら操業度が幾分低下しているほか、鋳鍛鋼製品、木材・木製品等では民間需要の低調を映じ低操業を続け、建設関連資材でも官公需の減少等から頭打ち感が徐々に強まっていること等から、全体では横這い圏内の動きとなっている。

企業収益については、売上げは伸び悩んでいるが、コスト削減効果等を背景に、増益基調にある。

雇用情勢については、雇用者所得に下げ止まり感が窺われるほか、新規求人の増加を背景に、有効求人倍率が前年を上回っているなど、厳しい状況ながらも改善基調にある。

企業金融は、金融機関では企業の信用力を勘案しつつ、優良先を中心に貸出増加を図っていること等から、引続き緩和傾向にある。この間、企業倒産については、負債金額は大型倒産の一服から落ち着いているが、件数は小口倒産の増加から高水準で推移している。

金融面をみると、預金は、個人預金は堅調ながら、法人預金が預貸相殺の動き等により低調なこと等から、全体では低目の伸びが続いている。一方、貸出は、住宅ローンがなお高目の伸びを続けているが、企業需資の低迷等を背景に、全体では低調に推移している。

以上

東北地区金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行仙台支店

東北地区の景気は、緩やかな回復を続けているが、そのペースはやや鈍化している。

すなわち、公共・住宅投資が低調に推移している一方、個人消費の一部に明るい動きがみられるほか、設備投資も増加している。こうした中、鉱工業生産は、ネットワーク関連や輸送用機械等の好調持続から、引き続き増加基調を維持しているが、主として海外需要の下振れに伴いパソコン・半導体の一部で生産水準を引き下げる動きもみられることから、増加ペースはやや鈍化している。この間、雇用面は、総じて厳しい状況にある。

最終需要をやや詳しくみると、個人消費は、全体として今一つ回復感に乏しい状態が続いているが、耐久消費財を中心に明るい動きもみられる。すなわち、大型小売店売上高は、高級ブランド品が堅調な一方、主力衣料品が低迷しているほか、価格競争の激化もあって、前年を下回って推移している。もっとも、家電販売は、パソコン等情報通信機器が続伸しているほか、白物家電も引き続き堅調な販売となっている。また、乗用車販売も、新車投入効果等から前年を上回っている。

公共投資をみると、請負金額は、年度初来累計ではいずれの発注体においても前年度を大幅に下回っている。先行きについても、東北新幹線延伸等の大型プロジェクトはあるが、財政難から抑制的なスタンスをとっている地方公共団体が多いこともあって、基調としては低調に推移するとみられる。

また、住宅投資をみると、着工戸数は月により振れはあるものの、低調な地合いが続いている。更に先行きも、これまで好調であった分譲に一服感が見られるほか、住宅金融公庫融資申込受理戸数(12年度第3回)が主力マイホーム新築分を中心に前年を下回ったことから見ても、弱めに推移するとみられる。

12年度の設備投資計画(東北地区短観)をみると、製造業では、電気機械の能力増強投資や他業種の収益回復に伴う更新投資等から、前年度を上回る伸びとなっている。一方、非製造業では、一部業種の大型投資一巡から前年度をやや下回っているが、通信を中心に計画の上積みを行う動きもみられ、設備投資全体としては前年度を上回った。

主要製造業の生産動向をみると、電気機械は、ネットワーク関連が生産を拡大しているほか、コンデンサも高操業を継続しているが、パソコンや半導体の一部で海外需要の下振れから生産水準を引き下げる動きもみられる。

輸送用機械では、新型車投入等に伴う国内需要の増加もあって、生産水準を更に引き上げている。

その他消費関連業種では、衣料品が減産を継続しているものの、食料品、印刷用紙は堅調な生産を継続している。

設備投資関連業種では、工作機械等が国内受注持ち直しから減産を緩和しているほか、半導体製造装置等も半導体メーカーの設備増強等を背景に高操業を継続している。

一方、建設関連業種(セメント・同二次製品、鉄鋼二次製品、木材・木製品)では、大型プロジェクト向けが堅調なものの、公共投資の低迷から、全体としては低調な生産を続けている。

12年度の売上・収益計画(東北地区短観)をみると、公共・住宅関連業種で減収・減益となっているほか、IT関連に輸出鈍化の影響が、また、小売に販売価格下落の影響が、それぞれみられる。もっとも、通信が好調を持続しているほか、その他多くの業種でも末端需要の持ち直しを見込んでおり、全体としては増収・増益基調を維持している。

雇用面をみると、有効求人倍率は横這いの動きとなっているものの、常用雇用者数は、建設、卸・小売が悪化した一方、製造業やサービスの改善から、前年比減少幅をやや縮小させている。

企業倒産をみると、建設、卸・小売関連の中小・零細企業を中心に、件数・金額とも高水準で推移している。

金融面をみると、預金は、法人が前年を下回って推移しているものの、個人は堅調に推移しており、全体としては緩やかな伸びを続けている。一方、貸出は、個人・地公体向けが前年比増加しているものの、法人向けは減少しており、全体としても低調な動きとなっている。

以上

北陸地区金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行金沢支店

北陸地区の景気は、輸出の減速によりテンポはやや鈍化しているものの、設備投資の一段の増加等を背景に、全体としては緩やかに回復しつつある。

最終需要面の動きをみると、まず、輸出は、工作機械、繊維機械、プレス機械等の一般機械は増勢を続けているものの、合繊織物に加え携帯電話向け等の電子部品が減少していることから、全体としては高水準ながら減少に転じつつある。

設備投資は、製造業を中心に業種・企業規模の広がりを伴いながら一段と増加している。電子部品等での能力増強投資のほか、繊維や金属等の幅広い業種でITの活用や小型化、多機能化など製品の機能強化を企図した投資が増えている。また、親企業におけるこうした対応を受け、中小企業・製造業にも新規設備を導入する動きが広がってきている(12年12月企業短期経済観測調査<北陸3県>、12年度計画前年度比、全産業+18.3%<前回9月調査時+13.2%>、うち製造業+25.5%<同+19.0%>、非製造業+3.9%<同+2.0%>)。

個人消費は、今一つ回復の力強さに欠ける状況が続いているものの、雇用者所得が前年を上回って推移していることに加え、高金利の郵貯満期に伴う利子所得の増加もあり、引き続き改善の動きが広がっている。すなわち、百貨店等大型小売店売上げ(既存店ベース)が引き続き前年割れとなっているものの、家電や乗用車等の耐久消費財販売が増加傾向を持続しているほか、観光入り込み客数も持ち直しつつある。

一方、公共投資は減少傾向を続けているほか、住宅投資も減少に転じている。

こうした最終需要動向を映じて、生産は、工作機械、繊維機械、工具などで増勢が持続しているほか、紙・パルプでもフル生産を継続している。一方、窯業・土石、建設機械等の公共投資関連に加え、化学の一部や繊維で抑制基調ないし減少傾向を続けているほか、輸出の減少に伴い電子部品でも生産水準を引き下げている。このため、生産全体としては増勢を維持しているものの、そのテンポは鈍化しつつある。

雇用面をみると、有効求人倍率(含むパート)については、新規求人数の増加に一服感がみられることから、改善ペースは幾分緩やかなものとなっている。また、雇用者所得は、所定外給与の増加に加え、所定内給与も緩やかな持ち直し傾向にある。

なお、北陸地方ではこの1月に15年振りの豪雪となり、交通事情の悪化に伴い、工場の操業停止や調達・出荷の遅延、温泉地での宿泊キャンセルなどの影響がみられた。

金融面をみると、預金のうち個人預金では、定期性預金が国債、投信等他の金融商品での運用の高まりもあって前年並みに止まっているが、低金利に伴う資金の滞留等から流動性預金が高目の伸びを続けているため、全体では前年を上回って推移している。また、法人預金は、流動性預金が業績好調先等での貸出資金滞留を主因に前年を上回っているものの、定期性預金が財務リストラの継続等を映じて前年割れを続けていることから、前年を幾分下回って推移している。

貸出については、個人向けは、住宅ローンの増加を映じて前年を上回って推移している。一方、法人向けは、設備資金等前向きの資金需要もみられるが、企業の財務体質の改善を企図した借入金圧縮等が続いていることなどから、全体としては依然低調裡に推移している。

この間、貸出約定平均金利(ストック)は、既往最低圏の中で推移している。

以上

神奈川県内金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行横浜支店

神奈川県経済をみると、輸出に減速感が窺われるものの、企業収益の改善等を受けて設備投資が引続き回復傾向にあるなど、民間需要の自律的な回復メカニズムは作用している。

最終需要面をみると、輸出は、米国および東アジア経済の成長鈍化を背景に減速感が窺われている。また、公共投資は基調として減少が続いている。一方、個人消費は、全般的に回復感に乏しい状態にある中で、一部指標には明るさが窺われている。さらに、住宅投資は堅調に推移しているほか、設備投資も回復傾向を持続している。こうした状況下、県内企業の生産は、足許では総じて良好な生産水準を維持しているものの、輸出の減速を背景に先行き増勢鈍化が懸念されている。また、企業収益はリストラ効果を背景に改善の方向にある。この間、労働需給面は改善傾向を持続しているほか、雇用者所得も下げ止まりの兆しが窺われる。

最終需要の動向をやや詳しくみると、個人消費については、全体としては回復感に乏しい状態が続いているが、一部指標には明るさが窺われている。すなわち、百貨店売上高は、品目・店舗毎に好不調の波がみられるものの、総じてみると、低調の域を脱していない。一方、乗用車新車登録台数は、新規投入車種等の販売好調から回復傾向にある。また、家電量販店売上高は、引続きパソコン等情報関連機器の販売好調から、前年を上回る状況が続いている。

県内企業の設備投資計画を12月に実施した「企業短期経済観測調査(神奈川県分)」でみると、非製造業では、3年連続して前年を下回る抑制的な計画(前年比△3.4%)となっている一方、製造業では、先行きの需要動向を見極めるため投資を後ずらしさせる動きが一部にみられるなど、回復のテンポは幾分鈍化しているものの、4年振りに前年を上回る計画(同+22.7%)となっていることから、全体では3年振りに前年を上回る計画(同+19.7%)となっている。

住宅投資は、住宅減税拡充策の効果が引続きみられる中、都市部での需要増加を眺めた分譲マンション着工の増加を主因に高水準を持続している。

公共投資については、7四半期連続で前年を下回るなど、減少が続いている。

輸出は、米国および東アジアの成長鈍化が懸念される中で、アジア向け中心に減速感が窺われている。

こうした需要動向の下、県内企業の足許の生産は、総じてみれば良好な生産水準を維持しているものの、輸出の減速から先行き慎重な見方もみられ始めている。すなわち、輸送用機械の一部では、県外工場からの生産移管により生産水準を引き上げる先がみられているほか、汎用電子部品、移動体通信、半導体関連では、パソコン、携帯電話の販売好調を主因に、足許では繁忙感の強い状態を継続している。もっとも、先行きについては、工作機械、鉄鋼等の一部で、米国経済の減速やアジア地域の需要一服感を背景に、先行き慎重な見方をする先がみられ始めている。

この間、企業収益は、リストラの進展および稼働率の上昇を反映して改善傾向を辿っている。

雇用面をみると、企業の雇用過剰感は一頃に比べ弱まりつつあるほか、新規求人倍率、有効求人倍率とも振れを伴いながらも改善傾向を継続している。この間、賃金についてみると、現金給与総額は前年を下回っているものの、所定外給与の増加等を受けてマイナス幅は縮小傾向にあるなど、全体として下げ止まりの兆しが窺われている。

金融面をみると、貸出面では、全般的に資金需要が低迷していることを主因に、前年を下回る状況が続いている。一方、預金面では、法人預金は低調に推移しているほか、個人預金も流動性預金が好調を持続する中、定期性は他の金融商品へのシフト等もあって伸び悩んでいることから、総じてみれば一進一退を続けている。

この間、企業倒産件数は、需要が低迷している建設業を中心に増加傾向を辿っているほか、足許は大口倒産の増加から負債総額も前年を上回って推移している。

以上

東海地区金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の最近の経済動向をみると、個人消費は低水準ながらも底固さが窺われるほか、住宅投資も横這いとなっている。設備投資は持ち直している。一方、公共投資が高水準ながら減少しており、輸出も増加テンポが鈍化している。

このように最終需要の動向には項目により幾分変化がみられるが、生産は全体としてなお増加している。また、雇用情勢の悪化には歯止めが掛かっている。物価は横這い圏内で推移している。

この間、当地企業の景況感の改善は一服している。もっとも、製造業大企業では業況判断の好転が続いているほか、大方の先では今年度の業績見通しを、秋口に比べて一段と引き上げている。

以上を総合すると、東海地区の景気は、引き続き緩やかに回復していると判断される。

金融面をみると、資金需要は依然として盛り上がりには欠けるものの、景気の回復を受けて、減退傾向には歯止めが掛かってきている。こうした状況下、金融機関貸出の前年比マイナス幅は、縮小傾向にある。

個人消費・・・非耐久消費財支出については、消費者の低価格指向は根強いものの、雇用・所得環境が幾分好転する中、営業時間の延長や営業日数の増加などの企業努力もあって、百貨店販売やスーパー売上高が下げ止まっている。一方、耐久消費財支出をみると、乗用車販売は、9月の東海豪雨に伴う買い替え需要がなお残る下で、普通・小型車のニューモデルの販売好調もあって、増加している。家電量販店の売上げも、パソコン関連製品を中心に前年を上回って推移している。この間、サービス支出では、旅行関連が堅調に推移している。

設備投資・・・製造業では、大企業の中に、中期的な国内需要の不透明感等を背景に、抑制的な投資スタンスを保持している先がみられる一方で、情報通信関連需要への対応や競争力の維持・向上を企図した案件などに取り組む動きが続いており、全体として持ち直している。この間、非製造業でも、電力で大型電源設備投資が本格化しているほか、通信でも上積みが図られている。

住宅投資・・・新設住宅着工をみると、貸家および建売戸建住宅は減少している一方、分譲マンションは都心部を中心とした販売の好調に支えられて増加を続けている。こうした中、主力の持家の減少がこのところ一服しているため、全体として横這いとなっている。

公共投資・・・公共工事の新規発注をみると、中部国際空港関連では発注が本格化しているものの、国の前年度補正予算の執行一巡や、地方公共団体の財政状況悪化を背景とした歳出抑制から、総じてみれば低調に推移している。

輸出・・・主力の米国向けについては、自動車・同部品の高水準持続に加えて、情報関連財も活況を呈している。また、アジア向けも増加を続けているが、一部素材(鉄鋼、化学製品)は現地在庫積増しの一巡などから減少している。この間、欧州向けでも、既往のユーロ安の影響に加え、アジアの生産拠点からの出荷増加を受けて減少する品目(事務機器、電動工具)が散見される。
なお、先行きについては、欧米向け自動車が、現地生産の増加や最終需要の減速などから、増勢一服ないし減少に転じることが見込まれる。

生産・・・加工業種では、自動車や工作機械の生産が、内外の需要堅調から増加している。また、ICパッケージや電子部品組立機でも、受注の好調を背景に生産は高水準となっている。このほか、二輪車でも、欧米向けの堅調持続や東南アジア向けの持ち直しから高操業を続けている。一方、事務機器や電動工具では、欧州向け輸出の減少等から生産水準を引き下げている。
素材業種では、特殊鋼が、主力の国内自動車向けの増加に伴って、増産を続けている。また、紙・パルプも、段ボール原紙や家庭紙に在庫調整を企図した減産の動きがみられるものの、パソコン等取扱説明書、チラシ向けの好調から高操業となっている。一方、普通鋼・鋼板類の生産が、輸出の減少により弱含んでいるほか、住宅向け窯業製品の一部(瓦、衛生陶器)の生産が低調に推移している。

雇用・・・所定外労働時間が生産の増加を反映して高い伸びとなっているほか、有効求人倍率も引き続き改善傾向にある。さらに、常用労働者数も、このところ前年比マイナス幅が縮小傾向にある。

物価・・・消費者物価は、横這い圏内で推移している。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行京都支店

管内景気は、企業部門を中心に緩やかな回復を続けているが、輸出の減速懸念から、このところ企業の景況感回復には一服感が出てきている。

すなわち、最終需要は、これまで高い伸びを示してきた輸出が、電気機械等における新規受注の減少から増勢が鈍化している。また、公共工事が減少傾向を辿っているほか、住宅投資も弱含み基調で推移している。個人消費は、一部に明るい動きもみられるものの、全体としては回復感に乏しい地合いが続いている。一方、設備投資は、全体としてみれば需要回復や収益環境の改善等を反映して増加基調にある。

この間、企業収益は、ハイテク関連の業績好調等を映じて増加している。雇用・所得環境は、なお厳しい状況が続いているが、企業の生産活動の活発化を反映して、雇用者所得は緩やかに持直しつつある。

最終需要の動きをみると、まず、輸出については、半導体・情報通信関連製品が堅調であるほか、一般機械等が現地需要の回復等を背景に増加しているものの、セットメーカーによる生産調整などの影響を受け電子部品で新規受注が減少しており、ここへきて増勢は鈍化している。

設備投資についても、IT(情報技術)関連を中心に、生産効率化投資や生産能力増強投資の積極化の動きに加え、新製品開発投資等に着手する向きが増加しており、本年度の計画は全体として前年を大幅に上回っている。

個人消費については、自動車販売がRV車や小型車種を中心に増加傾向を辿っているほか、携帯電話をはじめとする情報家電の売行も好調に推移している。しかしながら、百貨店・チェーンストアの売上げは、暖冬の影響による季節商品の不振をはじめ総じて低調であり、全体としての個人消費はなお回復感に乏しい状況が続いている。

この間、京都観光についてみると、観光客の低価格指向は引続き根強いものの、年末・年始には21世紀を祝って実施された各種イベントの効果もあって、例年を上回るホテル利用がみられるなど、入込客数は増加基調を続けている。

住宅投資については、足許、一時的にまとまった持家・マンション着工がみられているものの、既に住宅ローン減税を睨んだ着工がピークアウトしていることもあり、全体では弱含み傾向で推移している。

公共投資については、本年度予算が抑制される中減少している。先行きについても、12月補正予算が小規模にとどまったことから目立った増加はないものとみられる。

生産面をみると、国内外のIT関連需要の好伸や一部国内資本財需要の回復を背景に、増加傾向を辿っている。業種別にみると、電気機械では、このところセットメーカーによる生産調整などの影響を受け新規受注が減少しているものの、欧米向けや東アジアのアセンブリ拠点向けを中心に高水準の生産を続けている。また、IT関連以外の業種でも、一般機械、金属等の幅広い分野で、東アジア向け輸出や国内資本財需要の回復を受けて増産基調にある。この間、地場産業の和装関連では、消費者の嗜好に合致した低価格商品等では底固い荷動きを示しているが、全体では最終需要の不振を背景に引続き大幅減産を余儀なくされている。

企業収益をみると、経常利益(当店短観ベース)はハイテク関連の業績好調等を映じ、4年振りの増益となった前年度に続き、本年度も一段の増益が見込まれている。

雇用・所得面をみると、企業の雇用スタンスが総じて慎重でなお厳しい状況が続いているが、生産水準が上昇している製造業を中心に所定外労働時間が増加傾向を辿っているほか、有効求人倍率も改善地合いにある。

企業倒産は、件数、負債金額とも増加傾向で推移している。

金融面をみると、民間金融機関貸出については、IT関連企業の一部で増加運転資金や設備案件がみられているものの、企業の有利子負債圧縮の動きが続いているほか、資金需要も依然として盛り上がりに欠けていることから、低迷を続けている。

預金については、法人預金は、高利の大口市場性預金の取入れ抑制のほか、企業のバランス・シート調整の一環としての預貸相殺が続いていることなどから伸び悩んでいる。一方、個人預金は流動性預金を中心に堅調に推移している。

以上

大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行大阪支店

管内の景気は、設備投資の増加など、緩やかな回復に向けた動きが続いているが、輸出が減少に転じていることから、そのテンポは鈍化している。

最終需要面の動きをみると、輸出は、東南アジア向け・米国向けの生産財・資本財を中心に減少に転じている。

設備投資は、情報通信関連等成長分野に対する企業の積極的な投資姿勢が続いているほか、製造業を中心とした維持・更新、合理化投資もみられており、全体として増加している。

個人消費は、パソコン等情報通信関連や旅行関連の支出が増加しているほか、乗用車販売も新型車の投入に伴い増加しているものの、スーパーの売上は低調であるほか、百貨店販売も依然回復感には乏しい状況にあり、総じてみれば一進一退の状況にある。

住宅投資は、分譲を中心に若干減少している。

公共投資は、緩やかに減少している。

生産は、輸出が減少している下で、頭打ちとなっている。

企業収益(経常利益)は、下期についても増益基調が続くと見込まれている。

雇用・所得環境をみると、有効求人倍率の上昇や所定外給与の増加など、悪化傾向には歯止めが掛かってきているが、失業率はなお高水準で推移しているほか、常用労働者数は前年を下回って推移しており、全体としては依然厳しい状況にある。

物価は、弱含みとなっている。

企業倒産件数は、高水準で推移している。

企業金融についてみると、増益が続く下で、金融機関の貸出態度の積極化もあって、全体として緩和基調にある。

金融面をみると、貸出については、企業部門において収益回復に伴うキャッシュ・フローの増加などを背景に、外部資金調達ニーズが引き続き低迷しているほか、借入金を圧縮する動きも続いていることなどから、低調な地合が続いている。金融機関では、信用リスク面に配慮しつつ、収益力の増強に向けて、中小企業向けや個人向け貸出を増加させるための積極的な取組みを続けている。

預金については、総じてみれば、個人預金を中心に底堅く推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行神戸支店

管内経済は、引続き緩やかな回復局面にあるものの、そのテンポはやや鈍化している。需要面では、個人消費が一進一退で推移し、設備投資の持ち直し傾向が続くなか、輸出が減速している。生産面では、一部で需給緩和の影響がみられるが、全体としては高操業を維持しており、企業収益も改善傾向を続けている。また、雇用面では厳しい状況が続いているが、新規求人数や所定外労働時間の増加など一部に改善の動きがみられている。

個人消費をみると、百貨店売上高は、主力の衣料品が秋物に続き、冬物も低調に推移しているほか、歳暮商戦も不冴えに終わるなど前年割れを続けている。また、スーパーの売上げも、依然として前年を下回って推移している。

一方、乗用車販売は、新型車投入の効果等から前年を上回っているほか、家電販売でも、情報通信関連やデジタル製品の売れ行きが引続き好調に推移している。

企業の設備投資は、能力増強・更新投資の積み増し等を背景に、持ち直し傾向が続いている。

住宅投資は、好調に推移していた分譲マンションの大幅な減少が響いて、全体では前年を下回っている。

公共投資は、財政面からの制約が強まっているほか、空港関連護岸工事の発注一巡もあって、全体として減少傾向を続けている。

生産動向をみると、鉄鋼は、現地在庫の積上がりからアジア向け輸出が減少しているが、自動車や造船、産業機械向け等の内需の下支えにより高操業を維持している。情報通信関連の半導体、水晶振動子では、汎用品の需給が幾分緩和しているものの、全体としては高水準の生産を持続している。また、設備投資関連の物流機械、コンデンサー、化学機械や住宅関連等広範な業種では引続き生産水準が高まっている。この間、造船ではこのところ受注や引合いが増加しており、円安を反映して採算も幾分好転の方向にある。

なお、地場産業では輸入品との競合や内需低迷の中で、総じて厳しい状況が続いている。

雇用面では、企業の雇用過剰感は依然根強いが、新規求人数や所定外労働時間が増加しているほか、冬季賞与・一時金が3年振りに前年を上回るなど、一部に改善の動きがみられる。なお、管内企業の13年度の新卒採用者数(12/12月短観調査<全産業ベース>)は小幅増加(前年度比+3.4%、12年度実績同-29.0%)の計画となっている。

消費者物価は、住居や食料などの値下がりを受けて、軟調に推移している。

金融面では、貸出動向をみると、一部でIT関連の下請企業や食料品・飲食関連企業での出店資金等がみられているものの、依然として企業の財務リストラによる返済圧力が強く、全体では前年を下回って推移している。

貸出約定平均金利(総合ストックベース)は、長期プライムレートの引下げを反映して、小幅低下している。

預金は、法人預金低迷、個人預金堅調という基調に変わりはなく、全体では小幅ながら前年を上回っている。

企業倒産件数は、中小建設業や食品業を中心に前年を上回っているが、負債額は大半が小口のため、前年を下回っている。

以上

中国地区金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行広島支店

中国地区の経済情勢をみると、個人消費は回復感に乏しい状況が続いているほか、公共投資は減少している。この間、一部業種での企業収益の改善もあって設備投資は増加しているが、輸出が緩やかな減少に転じているほか、生産は増勢が鈍化しつつある。こうした中、企業マインドは足許若干悪化しており、総じてみると景気は持ち直しのテンポが幾分鈍化している。

最終需要の動向をみると、個人消費は、一部に引き続き明るい動きがみられるものの全体としては回復感に乏しい状況が続いている。パソコンや携帯電話の販売は、好調を持続している。一方、百貨店、スーパー売上高は低調に推移している。

設備投資を12月短観(中国地区)からみると、12年度計画は前回調査(12年9月)と比べ上方修正され前年度比+4.7%となっており、増加している。

住宅投資について新設住宅着工戸数をみると、持家を中心として前年を上回っている。

公共投資は、公共工事請負額が前年水準を下回って推移しており、減少している。

輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)は、アジア向けが好調に推移しているものの、欧州向けが低調なほか、米国向けが前年を下回っており、緩やかな減少に転じている。

こうした最終需要のもと、生産は増勢が鈍化しつつある。主要企業の生産動向をみると、電気機械(電子部品<半導体等>、情報家電<パソコン、携帯電話>)、造船を中心に高操業を続けている。もっとも、縫製が総じて低調に推移しているほか、鉄鋼、化学の一部で生産水準を引き下げる動きがみられている。また、自動車は生産水準を引き下げている。

雇用環境をみると、常用雇用者数が前年を下回って推移しているなど、厳しい状態が続いているが、有効求人倍率が改善するなど一部に改善の動きがみられている。

この間、企業収益を12月短観(中国地区)からみると、12年度計画は前回調査(12年9月)と比べ下方修正され、前年度比△13.5%の減益の見通しとなった。

企業マインドを12月短観(中国地区)からみると、足許の業況判断は悪化したものの、先行きは若干の改善を見込んでいる(業況判断D.I.<「良い」−「悪い」>12年9月△19%→12月△22%→13年3月予測△21%)。

金融面をみると、貸出は引き続き低迷している。個人向けは、住宅ローンの推進などから堅調に推移しているものの、法人向けは、設備・運転資金ともに低調な地合いが続いている。

預金は伸びが鈍化している。個人預金は、概ね横這いとなっているものの、法人預金は、定期性を中心に引き続き低迷している。

以上

四国地区金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概況

四国地区の景気は、海外景気の減速によりテンポを幾分弱めつつも、全体として緩やかに持ち直している。すなわち、住宅・公共投資が減少傾向にあるほか、これまで好調に推移してきた輸出の一部に鈍化の兆しが窺われている。この間、個人消費も依然として回復感に乏しい状況が続いている。もっとも、生産が、情報通信関連を中心に全体として堅調に推移しているほか、設備投資もこうした成長分野を中心に増加基調を維持している。このような状況のもとで、雇用環境の悪化に歯止めがかかっている。

需要動向

最終需要についてみると、個人消費はパソコン等情報通信関連製品の売れ行きが引続き好調なほか、乗用車も新型車の投入効果等から、まずまずの販売地合いが続いている。もっとも、百貨店等の売り上げが、主力の衣料品を中心に前年割れとなっているなど、全体としては回復感に乏しい状況が続いている。

また、住宅投資が減少基調にあるほか、公共投資も補正予算による追加発注はみられるものの、全体としては減少傾向が続いている。この間、輸出については、欧米向け、アジア向けの一部に鈍化の兆しが窺われている。

なお、設備投資は情報通信関連企業を中心に能力増強に向けた大型投資に踏み切る動きがみられており、全体として増加基調にある。

生産

企業の生産活動をみると、電気機械(情報機器向けメモリー、液晶表示装置等)、化学(合成樹脂、無機化学等)、紙・パ(特殊工業紙、チラシ用紙、段ボール原紙等)、非鉄(電気銅、電気ニッケル)では、情報通信関連分野における堅調な需要を背景に高操業を継続している。また、鉄骨加工(橋梁関係)でも、公共投資関連の手持ち受注残の消化から、高目の生産水準を維持している。

この間、住宅投資関連では、大方の先が安定操業を続けているものの、木材・木製品(収納関連製品)に生産調整の動きが出てきているほか、自動車部品や素材等の輸出関連企業の一部にも、海外における現地在庫の積み上がりを背景に生産水準の引き下げを図る先がみられてきている。

なお、鉄鋼や一般機械(建設用機械、産業・運搬機械等)では、需要低迷を背景に引続き生産調整を余儀なくされているほか、繊維(縫製品、タオル)でも、需要の長期低迷に加え輸入安値品の流入増もあって、多くの先が減産を強めている。

雇用

雇用情勢をみると、人員調整の動きが根強いものの、小売や一部サービス業(介護、IT関連)等を中心に新規求人を増やす動きがみられ、有効求人倍率も総じて改善基調を辿っているなど、これまでの悪化傾向には歯止めがかかっている。

金融

金融面をみると、預金は個人預金を中心に安定した伸びを持続している。一方、貸出は民間企業の資金需要の低迷を背景に引き続き低調に推移している。

以上

九州地区金融経済概況

2001年 1月29日
日本銀行福岡支店

九州経済は、全体として緩やかな回復を続けているが、一部に輸出減速懸念が出てきている。

すなわち、生産が増加を続けているほか、設備投資も増加基調にある。また、雇用面でも求人倍率が上昇傾向にあるなど改善の動きが続いている。一方、住宅投資は減少基調にあるほか、公共投資も前年度補正予算分の執行一巡に伴い減少している。この間、個人消費は全体としてみれば回復感に乏しい状態が続いており、また、鉄鋼や電気機械の一部に輸出減速懸念が出てきている。

最終需要の動向をみると、公共投資は、公共工事発注額が低調に推移する中で、これまで堅調に推移していた生コン、合板といった公共関連材の出荷が減少している。

個人消費は、全体としては依然回復感に乏しい状態が続いているが、こうした中で、一部、情報関連機器、デジタル商品などの家電販売や個人向けパック旅行は増加基調を続けている。

住宅投資は、持家着工が引き続き減少傾向にあることに加え、堅調であったマンション着工にも頭打ち感がみられるなど、全体としては減少基調が続いている。

企業の設備投資は、電子部品や通信等を中心に、工場増設や設備の老朽化に伴う更新投資等がみられるなど、全体としてみれば増加を続けている。

この間、輸出は、ウエイトの高いアジア・北米向け半導体等を中心に全体としては高水準で推移しているが、鉄鋼や電気機械の一部で、アジア、北米向け輸出に減速懸念が出てきている。

企業の生産動向をみると、素材業種等一部では低操業を継続しているが、IC、電子部品等の電気機械関連で高操業を継続しているほか、自動車が新型車投入効果等を背景に生産水準を引き上げるなど、全体としては増加を続けている。ただ、輸出の減速懸念等を背景にそのテンポは鈍化してきている。

雇用面をみると、全体としては依然厳しい状況が続いているが、生産の増加等に伴い求人倍率が上昇傾向にあるなど、労働需給面で改善の動きが続いているほか、雇用者所得の減少に歯止めが掛かりつつある。

企業倒産をみると、引き続き建設業を中心に高水準となっている。

金融面の動きをみると、銀行預金は、個人流動性預金を中心に堅調な伸びを示している反面、銀行貸出は、全体としてみれば依然として資金需要は低迷基調を脱しておらず、前年水準を下回っている。

以上