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全国11支店金融経済概況 (2004年 4月)

2004年 4月19日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気をみると、最終需要面を中心にやや弱めの動きが続いており、企業の景況感にも改善はみられていない。すなわち、住宅投資は前年並みを維持しているものの、個人消費は天候要因などから低調に推移している。また、公共投資、民間設備投資は、前年を大幅に下回るものとなっている。こうした中で、企業の生産は電子部品を中心に持ち直しつつある一方、雇用環境は引き続き厳しい状況にある。

最終需要面の動きをみると、個人消費については、大型小売店の売上高は、食料品がやや増加したものの、暖冬の影響などから、衣料品を中心に低調に推移している。また、耐久消費財についても、家電販売は薄型テレビやDVDを中心に持ち直しつつある一方、乗用車販売は小型車の減少等から前年を下回っている。この間、来道者数をみると、ツアー客を中心に前年を下回っている。

公共投資は、一部に災害関連工事がみられるものの、全体としては前年を大幅に下回っている。

住宅投資は、持家が減少した一方で、貸家、分譲の増加から、全体としては前年並みを維持している。

設備投資については、15年度は、大型案件の一巡や投資案件の絞り込みなどから、前年を大幅に下回った。また、16年度についても、前年を下回る慎重な計画となっている。

企業の生産は、紙・パでは国内向けを中心に低調なほか、建設関連資材(セメント、コンクリート二次製品、木材・木製品)でも一部の製品を除き低調に推移している。一方、自動車部品や鉄鋼では自動車向けを中心に高めの操業となっているほか、電子部品(情報通信機器向け等)では携帯電話向けを中心に生産水準が高まっていることから、全体として持ち直しつつある。

企業収益(経常利益ベース)については、15年度は売上の減少から減益となった。16年度は、売上増やコスト削減などから、2年振りに増益に転じる計画となっている。

雇用情勢については、建設業を中心とする新規求人の減少から、有効求人倍率の改善がみられないなど、引き続き厳しい状況にある。

企業金融は、優良企業向けを中心とする金融機関の積極的な貸出姿勢を背景として、総じて落ち着いた状況にある。この間、企業倒産については、負債総額は大型倒産による振れはみられるものの、件数は引き続き前年を大幅に下回っている。

金融面をみると、預金は、個人預金が堅調に推移していることから、前年を上回っている。また、貸出は、企業における資金需要が引き続き低迷しているものの、住宅ローンが堅調に推移していることなどから、前年を上回って推移している。この間、貸出約定平均金利については、緩やかな低下傾向にある。

以上

東北地区金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行仙台支店

東北経済をみると、生産が増加基調を辿っているほか、設備投資も持ち直しの動きが徐々に広がりをみせており、つれて企業の景況感も製造業を中心に改善している。また、個人消費も全体としては力強さに欠ける状態を続けているが、一部には、マインド面での明るさを窺わせる動きもみられている。もっとも、業種や企業規模間の格差が依然として大きいほか、住宅・公共投資は大幅な減少を続けており、景気の回復力はなお力強さに欠けるものとなっている。

最終需要の動向をみると、個人消費は、全体としては力強さに欠ける状態を続けているが、一部には堅調な売れ行きを示す商品もみられている。すなわち、大型小売店の売上は、春物衣料品の不振から総じて低調に推移しているが、家電販売は、パソコン関連は不冴えながら、デジタル関連や新型白物家電は堅調な売れ行きを示している。また、乗用車販売も、小型車は低調な販売地合いを続けているが、普通車は新型車を中心に前年を大幅に上回って推移している。この間、旅行取扱高は、海外旅行を中心に全体としては弱めの地合いが続いている。

公共投資は、予算規模縮小の影響から減少を続けている。先行きについても、低調に推移するものとみられる。

住宅投資は、一部の地域で地震被害による建替え需要がみられるものの、引き続き低調に推移している。

設備投資(2004年度東北地区短観、全産業)は、内外需好調な電気機械を中心に持ち直しの動きが広がりをみせており、2年連続で前年を上回る計画となっている。

生産は、業種・品目毎に明暗がみられるものの、需要好調なデジタル製品関連が牽引するかたちで全体としては増加傾向にある。

  • 電気機械では、需要好調なデジタル製品関連を中心に操業度を一段と引き上げている。
  • 輸送用機械では、自動車部品が排ガス規制対応のトラック向け需要の一巡にもかかわらず、海外需要の増加等から高操業を続けているほか、完成車も輸出好調から一段と操業度を引き上げている。
  • 設備投資関連では、産業用機械、鋳物が自動車メーカー向け出荷増から高操業を持続しているほか、半導体製造装置、重電関連部品の一部でも受注増加から操業度を引き上げている。
  • 建設関連では、棒鋼が輸出増加に伴い高操業を継続しているものの、セメント、コンクリート二次製品が公共工事削減の影響から、木材・木製品が住宅着工の減少から、それぞれ低操業を続けている。
  • その他消費関連では、紙・パや食料品が総じて堅調な生産を続けている一方、繊維等では、引き続き低操業を継続している。

企業の事業計画(2004年度東北地区短観、全産業)は、前年度に引き続き小幅の増収・増益計画となっている。

雇用情勢については、依然厳しい状況に変わりはないが、生産増加の動きを受け、緩やかながら改善の方向にある。

企業倒産は、件数、金額とも前年を下回って推移している。

金融面をみると、預金は、法人預金が低調なものの、個人預金が堅調に推移していることから、全体としては底固い動きとなっている。一方、貸出は、企業の資金需要が乏しいことを主因に、引き続き低調に推移している。

以上

北陸地区金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行金沢支店

北陸の景気をみると、輸出・生産が増勢基調を辿り、設備投資も製造業を中心に積極的な計画を策定する動きが広がっているなかで、個人消費にも持ち直しの気配が窺われるなど、全体として着実に回復している。

最終需要面

輸出については、海外経済が高目の成長を続けるなかで、電気機械や一般機械が増加しているほか、繊維も持ち直しの兆しが窺われるなど、増勢基調を辿っている。先行きについても、さらに増勢が続くとみる向きが多い。

設備投資については、電気機械、輸送用機械、繊維等の製造業を中心に、積極的な計画を策定する動きが広がっている(2004年度計画:前年度比約7%の増加)。

個人消費は、デジタル家電や新型車の販売等一部に明るさがみられるほか、小売業界からは消費者の購買態度がここにきて幾分改善しているとの声も聞かれるなど、総じて持ち直しの気配が窺われる。

公共投資は、公共事業関連予算の削減に伴い、減少傾向にある。

住宅投資は、低水準横這いで推移している。

生産・雇用面

生産については、当地主力の電気機械、一般機械等を中心に増勢が続いており、4〜6月についても増勢を維持する見込みの先が多い。

雇用面をみると、常用雇用者数は依然前年を下回っているのに対し、有効求人倍率(季調済)は、生産の増勢持続を背景に、引続き改善傾向にある。

金融面

1)預金

個人預金は、緩やかな増加傾向にある。なお、投資信託など他の金融商品の販売は好調に推移している。

法人預金は、企業収益が改善していることもあって、下げ止まっている。

2)貸出

個人向け貸出は、各行庫とも住宅ローンを中心に、積極的な取り込みを図っていることから、引き続き増加している。

法人向け貸出は、総じて低調に推移しているものの、企業の設備投資への前向きな取り組みを反映して、資金需要に回復の兆しがみられている。

以上

神奈川県内金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行横浜支店

神奈川県経済は、緩やかな回復を続けている。

最終需要面をみると、公共投資が減少基調を続けているほか、住宅投資についても、依然として力強さがみられない。

一方、輸出が、アジア向けを中心に堅調な動きを持続しているほか、設備投資も、回復しつつある。また、個人消費についても、厳しい雇用・所得環境を背景に全体としては弱めの基調が続いているが、このところの消費マインド改善を受けて、やや明るさがみられ始めている。

こうした需要動向を反映して、県内企業の生産は、全体として緩やかに増加している。すなわち、電気機械では、デジタル家電や一部情報通信関連財の販売好調などから生産水準を引き上げる先がみられるほか、工作機械でも、情報通信関連の受注増加から、生産が増加している。また、鉄鋼においても、中国や東南アジア向け輸出が好調なほか、輸出用建設機械や造船向けの需要が引き続き堅調とあって、高操業を継続している。

一方、輸送用機械では、輸出が好調なことを背景に、全体としては高めの生産水準を維持しているが、排ガス規制強化に伴う国内向けトラック生産の増勢が鈍化したことなどから、操業度をやや落とす先もみられる。

雇用・所得環境については、勤労者一人当たりの給与が下げ止まってきたものの、常用雇用者の減少傾向が変わらないなど、全体として厳しい状態が続いている。

この間、企業倒産は、件数、負債総額ともに減少傾向にある。

県内金融機関の貸出をみると、個人向けが住宅ローンを主体に高めの伸びを示しているほか、事業法人向けにも下げ止まりの兆しがみられる。他方、預金は緩やかな伸びを続けている。

以上

東海地区金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の景気は、着実な回復を続けている。

最終需要の動向をみると、輸出は、海外経済の成長を背景に、引き続き増加している。国内需要は、設備投資が製造業を中心に着実に回復しているほか、個人消費も底固さを増している。また、住宅投資は引き続き横這い圏内の動きとなっている。一方、公共投資は緩やかな減少を続けている。

こうした中、生産は引き続き増加しており、企業の収益や業況感も着実な改善を続けている。また、雇用・所得も全体として下げ止まりつつある。一方、物価面をみると、商品市況は上昇しているものの、消費者物価は弱めの動きを続けている。

先行きについては、為替相場や海外景気の動向が輸出、生産等にもたらす影響や、原材料価格の上昇が企業収益や企業活動に及ぼす影響を注意深く見極めていく必要がある。また、雇用・所得面の動向とそれが個人消費に与える影響にも、引き続き注視が必要である。

金融面をみると、管内の金融機関(国内銀行+信金)の預金は前年を上回っている一方、貸出は前年を下回って推移している。

個人消費・・・各種売上指標をみると、消費者マインドがやや上向く中、乗用車販売台数が新型車効果等から持ち直しているほか、百貨店売上高も、増床・改装効果もあって底固さを増している。また、家電量販店売上高は、パソコンがやや低調ながらデジタルAV家電等の好調が続いており、全体では横這い圏内で推移している。一方、スーパー売上高は、他業態との競合が激化する中で引き続きやや弱めの動きとなっているほか、旅行取扱高も東南アジア向けの低調等から、全体としてもほぼ横這いの動きに止まっている。

設備投資・・・製造業では、自動車関連が積極的なスタンスを持続しているほか、液晶・半導体関連でも、デジタルAV家電の内外需要好調等を背景に、大規模な投資に踏み切る動きがみられている。こうした中、一般機械や金属製品等では更新投資や合理化投資への前向きな取り組みが続いているほか、中小企業における更新投資等の動きも引き続き幅広い業種でみられている。

非製造業では、ウェイトの高い電力が抑制スタンスを強めているものの、小売や飲食店・宿泊が、集客力強化を狙い新規出店等に積極的に取り組んでいる。また、運輸における物流効率化のための倉庫建設等にも引き続き広がりがみられている。ただし、非製造業中小企業は総じて弱めの動きが続いている。

住宅投資・・・新設住宅着工戸数をみると、持家、貸家が底固く推移する一方、分譲は、マンション販売が引き続き低調な中、総じて弱含みで推移している。

公共投資・・・公共工事請負金額は、地方公共団体の予算規模縮小が続き、プロジェクト関連の新規発注もほぼ終息する中、減少傾向が明確化してきている。

輸出・・・品目別にみると、自動車、ビデオカメラが海外販売の好調から、自動車部品、工作機械が製造業の海外生産拡大を背景に、それぞれ増加を続けている。また、ICパッケージも海外パソコン需要の強まりを受けて増加している。この間、事務機器、鉄鋼は、横這い圏内で推移している。

仕向地別にみると、米国・欧州向けは、自動車・同部品の増加を主因に持ち直している。また、アジア向けは、工作機械等資本財や電子部品を中心に引き続き増加している。

生産・・・加工業種では、自動車関連が輸出の増加や国内新型車の好調を背景に引き続き増加しているほか、液晶関連や半導体集積回路、ICパッケージも、デジタルAV家電の内外需要好調等を背景に、生産水準を一段と引き上げている。また、ビデオカメラが輸出の好調から、工作機械は国内やアジアでの設備投資需要の高まりを背景に、それぞれ緩やかに増加している。一方、二輪車、事務機器、電子部品組立機、電動工具は、概ね横這いの動きとなっている。

素材業種では、化学製品が海外需要の好調から、鋼板、特殊鋼は自動車・家電向けの堅調から、それぞれ高水準の生産を続けている。しかし、洋食器は、低水準の生産を続けている。また、繊維製品が輸入品との競合激化等から減少しているほか、住宅向け窯業製品(瓦、衛生陶器、タイル)も、全体としては生産水準を引き下げている。この間、棒鋼、紙・パルプは、横這い圏内で推移している。

雇用・所得・・・雇用面をみると、所定外労働時間、新規求人数は、生産の増加や人材派遣等サービスでの労働需要の高まりを背景に引き続き増加している。また、新規求職件数は、雇用リストラの落ち着きを反映して緩やかな減少を続けている。こうした中、有効求人倍率は引き続き上昇しており、常用労働者数も減少に歯止めが掛かりつつある。来春の新卒採用についても、現時点では増加を計画する企業が目立っている。所得面をみると、一人当たり名目賃金は、生産の増加や企業収益の改善を背景に下げ止まっている。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行京都支店

管内の景気情勢についてみると、回復に向けての動きを一段と強めている。

個人消費は、全体としてみるとなお盛り上がりを欠いているものの、一部に持ち直しの動きがみられている。また、企業の生産については、設備投資の増加に加え、海外からの引き合いが引き続き強いことから、一般・精密機械や電子部品等を中心に増勢を強めている。さらに、有効求人倍率が上昇を続けるなど雇用環境も改善している。

こうした状況下、管内企業の業況判断についてみると、製造・非製造業ともに増益基調にある先が増えているため、足許改善している先が多い。もっとも、先行きについては、為替相場の動向や原材料価格の上昇を懸念している先が少なくない。

最近の最終需要面の動きを、まず個人消費関連についてみると、鳥インフルエンザの影響等から、食料品を中心にスーパーの売上が不冴えなほか、百貨店でも春物衣料品や身の回り品の売れ行きが足許、伸び悩んでいる。一方、家電ではデジタルカメラ、DVD、薄型テレビ等のデジタル家電の売れ行きが好調を持続しているほか、新車販売についても、小型車は不振ながら、値嵩の普通車の販売が好伸しているなど、一部に持ち直しの動きがみられ始めている。

京都観光をみると、当地を主題にしたドラマ放映に伴う入り込み客が増加傾向にあるほか、花灯路等イベントの誘客効果もあって、全般的に好調な入り込みが続いており、京都市内ホテルの稼働率は高めに推移している。また、土産物売上も観光客の増加に伴い前年を上回る先がみられている。

この間、設備投資(3月短観ベース)は、現段階では先行きに対して慎重な見方をする先が少なくないほか、電子部品等IT関連業種の一部に国内投資を抑制する一方で、海外現地法人での能増投資を積極化させる動きがみられることもあって、前年度を若干下回っている。

住宅投資は、持家、分譲住宅の着工が順調に増加しているほか、賃貸住宅も伸びを高めており、このところ堅調な動きを示している。

公共投資は、国の大口工事の発注もあって足許は増加に転じたものの、予算規模の縮小を背景に、基調としては減少傾向にある。

輸出は、一般・精密機械関連では、東アジアを中心とした海外での設備投資の増加を受けて、液晶・半導体製造装置や環境関連の計測機器等が増勢を強めている。また、電子部品等のIT関連業種でも、東アジア向けを中心に増加傾向を持続している。

企業の収益動向(3月短観ベース)をみると、製造・非製造業ともに増収効果や既往のリストラ努力等もあって、2桁台の増益を予想している。もっとも、アルミ、鉄鋼等の商品市況高騰に伴う原材料高に加え、為替相場動向が収益に与える影響を懸念する先が増加しており、一部には製品価格の引き上げを企図する動きも出始めている。

雇用・所得面をみると、製造業における生産水準の引き上げに伴い、アウトソーシング関連業者からの新規求人が増勢を強めているほか、情報サービス業等からの求人も増加傾向を持続していることから、有効求人倍率は改善を続けている。また、所定外労働時間の伸びも一段と高まっている。

企業倒産をみると、足許、個人企業等を主体に小口倒産が目立つなど、件数では前年を上回って高水準で推移しているものの、金額では大型倒産の減少から前年を下回っている。

金融面をみると、貸出については、企業の借入金返済の動きは依然根強いものの、設備の維持更新投資等に伴う資金需要が一部にみられるほか、住宅ローンが引き続き堅調に推移していることから、ほぼ前年並みのレベルにまでマイナス幅が縮小している。

預金は、投信等他の金融商品へのシフトが引き続きみられるものの、個人預金を主体に緩やかな伸びが続いている。

以上

大阪管内(大阪府、奈良・和歌山県)金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行大阪支店

管内の景気は、雇用者所得の面で厳しい状況が続いているが、輸出や生産の好調に加え、設備投資も製造業を中心に緩やかに増加するなど、全体として回復している。

最終需要面の動きをみると、輸出は、米国、欧州向けがAV家電や自動車関連財、資本財などで、アジア向けが情報関連財や資本財、素材など幅広い品目で、いずれも増加している。

設備投資は、全体として緩やかに増加している。製造業は、戦略分野での投資積み増しや、維持・更新投資の動きの一段の広がりから増加しており、非製造業は、都心部再開発や、運輸・通信のインフラ整備案件などから、下げ止まっている。

個人消費は、家電や自動車が新製品投入効果などから好調であるほか、百貨店、スーパーは横這い圏内の動きとなっており、全体では緩やかに持ち直している。

住宅投資は、分譲が大型マンションを中心に堅調を続けているものの、持家は幾分減少しており、全体として横這い圏内の動きとなっている。

公共投資は、減少している。

生産は、AV・情報家電や自動車関連財などを中心に、輸出向け、国内向けとも増加していることから、増加している。

企業収益(経常利益)は、輸出増加やリストラ効果などから改善している。

雇用・所得環境をみると、賃金面では依然として厳しい状況にあるが、雇用面では、有効求人倍率が改善し、失業率は低下するなど、これまでの悪化傾向に歯止めがかかりつつある。

物価をみると、原材料価格等のコスト上昇分を転嫁する動きが一段と広がっており、素材品目や一部の加工品目で上昇がみられる。もっとも、多くの加工品目は依然として弱含んでいるため、全体として横這い圏内の動きとなっている。

企業倒産件数は、減少している。

企業金融は、業績低調な先では、なお厳しい状況が続いているが、全体としては、キャッシュフローの改善等もあって、一段と落ち着いた地合いとなっている。

金融面をみると、貸出は、事業性資金を中心に減少している。こうした中、金融機関では、効率的な拠点整備を図るとともに、住宅ローンや小口無担保ビジネスローンなどにおいて商品性に工夫を凝らしつつ、資金需要の掘り起こしに注力している。

預金については、個人預金を中心に堅調に推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行神戸支店

管内の景気は回復している。需要面をみると、輸出が好調を持続しており、設備投資も回復基調を一段と強めているほか、個人消費にもこのところ底固さが窺われる。一方、公共投資、住宅投資は低調に推移している。こうした中で、生産は引き続き増加し、雇用情勢は依然厳しい状況ながら改善傾向にあるほか、企業マインドも、製造業、非製造業とも幅広い業種で改善している。

個人消費は、このところ底固さが窺われる。百貨店売上高は、婦人用春物衣料に動意が窺われるものの、紳士服が依然として前年割れを続けているなど、全体では低調の域を脱していない。スーパー売上高は、鳥インフルエンザの影響から鶏肉等の販売が落ち込むなど、食料品を中心に低調に推移している。家電販売は、デジタル家電や多機能・高性能の白物家電を中心にこのところ高い伸びとなっている。乗用車新車登録台数は、小型車が低調なものの、普通車や軽乗用車の新型車が好調なことから、全体では増加している。この間、神戸市内のホテル客室稼働率は、個人客や法人の大型団体客の受入増加などから、引き続き前年を上回って推移している。

設備投資は、製造業では、生産や企業収益の好調を反映して能力増強や維持更新投資に踏み切る動きが拡がっているほか、非製造業でも、小売業を中心に新規出店や店舗拡張を計画する先が増えているなど、全体として、回復基調を強めている(3月短観16年度設備投資計画:全産業前年度比+5.9%、製造業同+6.6%、非製造業同+4.2%)。

住宅投資は、低調に推移している。

公共投資は、減少を続けている。

生産・出荷の状況は、増勢が続いている。

造船 … コンテナ船やバラ積み船を中心に、各社とも概ね3〜4年分の受注残を確保しており、高水準の操業度を維持している。

鉄鋼鋼板類は、薄板で在庫の高止まりから小幅の在庫調整を続けているものの、厚板が造船、建設機械向けを中心に好調を持続していることから、総じてみれば概ねフル生産となっている。条鋼類(棒鋼、形鋼等)は、アジア向け輸出が引き続き堅調に推移しているほか、国内向けも民間設備投資の持ち直し等から幾分生産水準が上昇している。特殊鋼は、原材料(スクラップ)の調達難等から若干の減産を余儀なくされている。

一般機械射出成形機は、IT関連を中心に中国・台湾向け輸出の高伸が続いているほか、建設機械でも、中国・北米向け輸出の好調持続から、いずれもフル生産を続けている。また、物流機械化工機も、設備投資関連の受注回復を背景に緩やかな持ち直し傾向にある。

電子部品半導体半導体検査用部品は、携帯電話やデジタル家電製品などの需要好調を背景に、フル生産を続けているほか、液晶表示装置でも極めて高水準の生産が続いている。コンデンサーは、設備投資関連の持ち直しや自動車、家電、鉄道向けなどの好調を反映して、高めの操業度を維持している。

食品惣菜佃煮・煮豆は、百貨店やスーパーでの販売が好調であるほか、食肉加工も、牛肉や鶏肉の落ち込みを代替品として豚肉の需要が補うかたちとなっている。

地場産業日本酒播州織の生産は引き続き減少しているほか、ケミカルシューズ豊岡鞄も安値輸入品との競合から、全体とすれば低調の域を脱していない。こうした中、真珠は低水準ながらもやや持ち直しの動きがみられている。

雇用情勢は、依然厳しい状況ながら緩やかな改善の動きが続いている。

企業倒産件数は、引き続き前年を下回る水準で推移している。

金融面をみると、貸出は、住宅ローンが引き続き好調であるものの、企業向けの資金需要が依然として乏しいことから、全体では低調に推移している。

貸出約定平均金利は、長期、短期ともに低下している。

預金は、法人預金が増加しているほか、個人預金も前年を上回っていることから、全体では堅調に推移している。

以上

中国地区金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行広島支店

概況

中国地区の景気は、引き続き輸出が増加するなか、設備投資が回復傾向を辿り、個人消費も下げ止まったあと横這い圏内の動きを続けるなど、全体として緩やかに回復している。

(前回<3か月前>との比較)

  • 改善がみられる項目…
    1. 個人消費は、一部耐久消費財が底堅く推移するなど、総じてみれば横這い圏内の動きとなっている。
    2. 設備投資は、緩やかに回復している。
    3. 生産は、増加している。
    4. 雇用・所得環境は、総じてみれば持ち直しつつある。
    5. 企業マインドは、改善傾向にある。
    6. 企業収益は、増益計画となっている。
  • 概ね変化がみられない項目…
    1. 住宅投資は、低調に推移している。
    2. 公共投資は、減少傾向にある。
    3. 輸出は、増加している。

1.実体経済

(1)最終需要の動向

個人消費は、一部耐久消費財が底堅く推移するなど、総じてみれば横這い圏内の動きとなっている。

百貨店およびスーパーの売上高や乗用車販売台数は下げ止まりつつあるほか、デジタル家電など一部では好調を持続しており、総じてみれば横這い圏内の動きとなっている。

設備投資は、緩やかに回復している。

3月短観(中国地区)における16年度設備投資計画をみると、能力増強投資等を実施する先に業種的な広がりが窺われていることなどから、大幅に増加した前年並みの水準(前年比伸び率:15年度実績見込み+28.4%→16年度計画△0.1%)となっているなど、緩やかに回復している。

住宅投資は、低調に推移している。

新設住宅着工戸数をみると、単月の振れがみられるものの、貸家を中心に低調に推移している。

公共投資は、減少傾向にある。

公共工事請負額をみると、地方公共団体での投資的経費の圧縮スタンスが続いていることなどから、減少傾向にある。

輸出は、増加している。

輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)をみると、自動車が欧州向けを中心に増加しているほか、鉄鋼や化学もアジア向けが堅調に推移しているなど、全体としては引き続き増加している。

(2)生産の動向

生産は、増加している。

業種別にみると、輸送用機械や鉄鋼、化学、電気機械が高水準の生産を持続しているほか、一般機械でも操業度を引き上げている。一方、繊維等その他製造業では低水準の操業が続いている。

(3)雇用・所得環境の動向

雇用・所得環境は、総じてみれば持ち直しつつある。

有効求人倍率は、製造業や一部サービス業に加え、小売業からの求人増もあって引き続き改善しているほか、常用労働者数にも改善の動きがみられるなど、総じてみれば持ち直しつつある。

(4)企業の動向

企業マインドは、改善傾向にある。

3月短観(中国地区)における企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)をみると、足許は大幅に改善しており、先行きは悪化している(15年12月△18%→16年3月△10%→16年6月予測△13%)。

企業収益は、増益計画となっている。

3月短観(中国地区)における16年度収益計画をみると、前年比+8.1%の増益計画にある。

2.金融動向

(1)貸出の動向

貸出は、総じてみれば弱めの動きが続いている。

内訳をみると、個人向けは、住宅ローンの推進などから底堅く推移している。一方、法人向けは、運転・設備資金ともに資金需要が乏しいことから低調に推移している。

(2)預金の動向

預金は、前年を上回って推移している。

内訳をみると、個人・法人預金とも前年を上回って推移している。

以上

四国地区金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概観

四国地区の景気は、地域間や業種間の格差を伴いながらも、総じてみれば、緩やかに持ち直している。

企業部門では、輸出の増加や国内設備投資の回復を受けて、生産水準が引続き上昇しており、収益も増益基調にある。このため、景況感はかなりのテンポで改善している。また、域内の設備投資も03年度下期が4期振りに前年を上回ったほか、04年度についても、年度当初としては、強めの計画となっている。

家計部門では、生産活動の持ち直しや企業収益の改善を映じて、雇用・所得環境の悪化に歯止めが掛かり、個人消費は総じて横這い圏内の動きとなっている。また、住宅投資は前年比減少幅が縮小し、足許では、前年水準を上回った。

この間、公共投資は減少している。

1. 需要

輸出は、東アジア向け、米国向けを中心に引続き増加している。

設備投資は、慎重な投資スタンスを継続する先が多いものの、生産設備の増強や新規出店・改装など、一部に前向きな動きがみられており、03年度下期が4期振りに前年を上回ったほか、04年度についても、年度当初としては、強めの計画となっている。

個人消費は、雇用・所得環境の悪化に歯止めが掛かる中で、全体として横這い圏内の動きとなっている。

住宅投資は、貸家の着工増を主因に前年比減少幅が縮小し、足許では、前年水準を上回った。

公共投資は、厳しい財政事情の下、減少している。

2. 生産・売上

(1) 製造業

企業・業種間のバラツキを伴いながらも、輸出の増加や国内設備投資の回復などを受けて、生産水準が引続き上昇している。

すなわち、輸出の増加を反映し、IT関連で、電気機械(液晶表示装置、半導体)、化学(電子部品、各種光学フィルム)、紙・パルプ(コンデンサ用絶縁紙)が好調に推移している。また、造船(外航船)、非鉄(電気銅、電気ニッケル)、一般機械(建設機械部品)、化学(家禽飼料原料、ナイロン繊維原料)も高操業を継続している。

内需関連では、自動車関連部品(ベアリング)が堅調なほか、国内設備投資の回復を受けて、一般機械(産業用機械)、鉄鋼(特殊アロイ、鋳鋼、合金鉄)を中心に、持ち直しの動きが広がっている。また、紙・パルプは好調なIT関連向け絶縁紙を除き、概ね横這いで推移している。一方、窯業・土石(石灰石、生コン、コンクリート加工)、金属製品(アルミ・サッシ)、木材・木製品(製材品、型枠用合板等)は低操業となっている。

この間、鉄鋼関連の一部(厚板、棒鋼等)では、原材料の調達難を受けて、稼働率の低下がみられている。こうした中、鉄鋼、一般機械の一部において、原材料価格の上昇分を製品価格に転嫁する動きがみられ始めている。

(2) 非製造業

海運は、物流の増加から、外航を中心に活況を呈している。

建設・土木は、公共関連を中心に工事が減少しているほか、住宅関連では資材の手当難および価格の上昇がみられるなど、全体として厳しい状況にある。

小売は、デジタル家電製品(薄型テレビ、DVDレコーダー等)が好調に推移しているほか、乗用車販売は新型車効果などから、幾分持ち直している。一方、百貨店・量販店販売をみると、2月は、閏年要因もあって、前年を上回ったものの、総じてみれば盛り上がりに欠ける展開となっている。

3. 雇用・所得

依然として厳しい状況にあるものの、有効求人倍率が改善基調にあるなど、雇用の悪化に歯止めが掛かっている。

こうした中、生産水準の上昇を受けた所定外給与の増加から、一人当り 現金給与は、前年を上回る月が散見される。

4. 金融

預金は、個人預金が堅調なほか、法人預金も月末休日要因により決済資金が高止まりしたことから、前年を上回った。貸出金は、企業の資金需要低迷を受け、引続き前年を下回っている。この間、貸出約定平均金利は、低下している。

以上

九州地区金融経済概況

2004年 4月19日
日本銀行福岡支店

九州経済は、緩やかな回復を続けている。

輸出は増加しており、設備投資も製造業を中心に回復基調にある。こうした動きを背景に生産は堅調に推移しており、貨物輸送量も増加している。企業の業況判断は、幅広い業種で改善している。また、雇用情勢が緩やかながら改善傾向にあり、個人消費にも底固さがみられる。一方、公共投資は減少傾向にあり、住宅投資は低水準で横ばい圏内の動きとなっている。

先行きについては、輸出や設備投資の増加を背景に景気の回復が続くと思われる。もっとも、今のところ所得環境に明確な改善がみられず、個人消費の回復は当面力強さに欠けると思われることから、景気の回復テンポは緩やかなものに止まるとみられる。

最終需要をみると、個人消費は、百貨店の売上げが、春物衣料を中心に底固い動きとなっている。また、家電販売は、DVDレコーダーや薄型テレビなどが引続き好調であるほか、旅行についても、国内旅行が堅調に推移していることに加えて、海外旅行も回復してきている。一方、乗用車販売は小型車の減少により伸び悩んでいるほか、スーパーの売上げも弱い動きが続いている。

住宅投資は、貸家に底固さがみられるものの、持家が弱含みで推移しているほか、分譲マンションが前年割れとなるなど、全体として低水準で横ばい圏内の動きとなっている。

公共投資は、国や地方自治体の関係予算が削減される中、公共工事請負高が前年割れで推移するなど、減少傾向にある。

輸出をみると、北米向けは、自動車の減少により一時的に前年を下回っているが、輸出全体の約半分を占めるアジア向けが、中国を中心に韓国、台湾でも引続き増加しているほか、EU向けも増加傾向にあることから、全体として増加している。

設備投資をみると、16年度の設備投資計画は、電気機械が投資を一段と積極化させているほか、鉄鋼、非鉄、金属製品、食料品などでも前年を上回る投資が計画されており、製造業を中心に回復基調にある。

生産面をみると、自動車・船舶などの輸送用機械や、PDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)・CCD(電荷結合素子)などの電子部品が高操業を続けているほか、半導体製造装置や船舶用部品など一般機械の生産水準も上昇しており、全体としてみると、生産は堅調に推移している。もっとも、鉄鋼には生産設備の改修の影響が見られるほか、窯業・土石は、建設需要の落ち込みから低水準の生産が続いている。

雇用面をみると、新規求職者数が高めの水準で推移しているが、新規求人数はサービス業や小売・飲食店、製造業などで増加しており、有効求人倍率も緩やかながら改善傾向にある。この間、所定外労働時間が増加しているものの、現金給与総額は前年割れとなっており、所得環境に明確な改善の動きはみられない。

物価面をみると、消費者物価(九州地区、除く生鮮食料品)は、15年4月の医療費自己負担や同7月のたばこ税の引き上げ、米価の上昇といった一時的な要因が重なり、前年比ゼロ近傍で推移している。

企業倒産をみると、3月の倒産件数は8か月連続で前年を下回ったほか、負債金額も4か月連続で前年を下回っており、落ち着いた基調となっている。

金融面をみると、2月の銀行預金(譲渡性預金を含む)は、流動性預金を中心に前年水準を上回って推移している。なお、このところ、企業収益の改善を反映し、法人預金が前年を上回っている。

銀行貸出は、住宅ローンが前年を上回っているものの、企業が借入れを抑制する動きが続いており、全体としては前年水準を下回っている。

以上