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全国11支店金融経済概況 (2004年 7月)

2004年 7月22日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気をみると、最終需要面を中心にやや弱めの動きが続いている。すなわち、住宅投資は概ね横這い圏内の動きとなっているものの、個人消費は低調に推移している。また、公共投資は減少傾向が続いているほか、民間設備投資も企業の投資計画は引き続き慎重なものとなっている。こうした中で、企業の生産は電子部品を中心に持ち直しつつあるが、雇用環境は引き続き厳しい状況にある。

最終需要面の動きをみると、個人消費については、大型小売店の売上高は、衣料品や身の回り品が減少していることから、前年を下回っている。また、耐久消費財についても、家電販売は薄型テレビやDVDレコーダーが堅調に推移しているものの、白物家電の減少などから、前年を下回っているほか、乗用車販売は小型車を中心に減少している。この間、来道者数をみると、ツアー客を中心に前年を下回っている。

公共投資は、国、道、市町村のいずれも減少傾向が続いている。

住宅投資は、持家、貸家が減少している一方で、分譲が増加していることから、全体としてはほぼ前年並みの水準となっている。

設備投資については、16年度は、一部に生産能力の増強や販売力強化に向けた動きがみられるものの、引き続き前年を下回る計画となっている。

企業の生産は、紙・パが減少しているほか、建設関連資材(セメント、コンクリート二次製品、木材・木製品)では一部の製品を除き低調に推移している。一方、自動車部品・電子部品(情報通信機器向け等)では生産水準が高まっているほか、鉄鋼では自動車向けを中心に高めの操業となっているなど、全体として持ち直しつつある。

企業収益(経常利益ベース)については、15年度はコスト削減などから製造業を中心に2年連続の増益となった。また、16年度についても、売上増やコスト削減などを背景に増益計画となっている。

雇用情勢については、新規求人が横這いで推移している中で、有効求人倍率は低水準にあるなど、引き続き厳しい状況にある。

企業金融は、優良企業向けを中心とする金融機関の積極的な貸出姿勢を背景として、総じて落ち着いた状況にある。この間、企業倒産については、件数、負債総額ともに前年を大幅に下回っている。

金融面をみると、預金は、個人預金が堅調に推移しているものの、法人預金等が低調に推移していることから、前年並みの水準となっている。また、貸出は、住宅ローンが引き続き堅調なものの、企業における資金需要が低迷していることなどから、前年並みの水準で推移している。この間、貸出約定平均金利については、横這い圏内で推移している。

以上

東北地区金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行仙台支店

東北経済は、全体として持ち直しの動きを続けているものの、業種間格差が一段と拡大する中で、そのテンポは緩やかなものとなっている。すなわち、デジタル関連を中心に生産が増勢を強めているほか、製造業の設備投資も景況感の改善に支えられ、更に上積みする動きがみられている。一方、公共・住宅投資の低迷から、建設・住宅関連は低調に推移しているほか、個人消費関連も所得環境に捗々しい改善がみられない中、全体として一進一退の域を脱し得ない動きとなっている。

最終需要の動向をみると、個人消費は、天候要因に左右されつつも基調としては一進一退の域を脱し得ない動きとなっている。すなわち、大型小売店の売上は、足もと夏物衣料品に動意が窺われるものの、全体を押し上げるまでには至っていない。家電販売は、エアコンのほかデジタル関連や新型白物家電は堅調な売れ行きを示しているが、その他既存型商品の低迷などから、全体としては盛り上がりに欠ける状況にある。また、乗用車販売は、新型車は概ね堅調に推移しているが、小型車の販売低調を背景に幾分弱めの動きとなっている。この間、旅行取扱高は、総じて持ち直しの傾向にある。

公共投資は、予算規模縮小の影響から減少を続けている。

住宅投資は、若年層の購買スタンスにやや動意がみられるものの、引き続き低調に推移している。

設備投資(2004年度東北地区短観、全産業)は、電気機械を中心とする能力増強投資の上積みから、2割増となった前年度を更に3割方上回る計画となっている。

生産は、業種・品目毎に明暗がみられるものの、内外需要が好調なデジタル製品関連を中心に全体としては増加している。

  • 電気機械では、需要好調なデジタル製品関連を中心に操業度を一段と引き上げている。
  • 輸送用機械では、自動車部品が東アジア向け出荷好調から高操業を続けているほか、完成車も輸出好調から高操業を続けている。
  • 設備投資関連では、産業用機械、鋳物が自動車メーカー向け出荷増から高操業を持続しているほか、半導体製造装置、重電関連部品の一部でも受注増加から操業度を引き上げている。
  • 建設関連では、棒鋼が輸出好調から高操業を続けているものの、セメント、コンクリート二次製品が公共工事削減の影響から、木材・木製品が低調な住宅着工から、それぞれ低操業を続けている。
  • 消費関連では、紙・パや食料品が総じて堅調な生産を続けている一方、繊維等では、引き続き低操業を継続している。

企業の事業計画(2004年度東北地区短観、全産業)は、売上高は前年度を若干上回るものの、経常利益は減益の計画となっている。

雇用情勢は、生産増加の動きを受け、緩やかながら改善の動きを続けている。一方、所得面をみると、企業の人件費抑制スタンスに変化は窺われないことから、捗々しい改善をみていない。

企業倒産は、件数、金額とも前年を下回って推移している。

金融面をみると、預金は、法人預金が低調なものの、個人預金が堅調に推移していることから、全体としては底固い動きとなっている。一方、貸出は、企業の資金需要が乏しいことを主因に、引き続き低調に推移している。

以上

北陸地区金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行金沢支店

北陸の景気をみると、輸出・生産が引続き増勢を持続し、設備投資も増加しているなかで、雇用情勢も改善傾向を辿っており、全体として着実に回復している。

最終需要面

輸出は、中国や米国経済の高成長を背景に、電気機械、繊維等を中心に増勢を持続している。

設備投資は、電気機械、一般機械、繊維等の製造業を中心に増加しており、ここにきて、上方修正の動きがみられている。

個人消費は、デジタル家電、エアコン、新型車などの販売や海外旅行等に明るさがみられるほか、小売業界から消費者の購買態度が幾分改善しているとの指摘も聞かれるなど、総じて、持ち直しの気配が窺われる。

公共投資は、国、県等の公共工事関連予算が抑制的なことから、引続き減少傾向を辿っている。

住宅投資は、低水準横這いで推移している。

生産・雇用面

生産は、旺盛な内外需を背景に、主力の電気機械、一般機械等を中心に増勢が続いている。

雇用は、有効求人倍率が上昇するなど、総じて改善傾向を辿っている。この間、所得面をみると、所定外労働時間の増加等から、名目賃金に持ち直しの動きが窺われる。

金融面

預金は、個人預金における他の預かり資産へのシフトや公金預金の減少もあって、低調に推移している。

貸出は、個人向けは住宅ローンを中心に高い伸びを続けているものの、法人向けが引続き前年割れとなっていることから、低調に推移している。なお、法人向けの資金需要については、このところ回復の兆しがみられている。

以上

神奈川県内金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行横浜支店

神奈川県経済は、回復の動きが拡がっている。

最終需要面をみると、公共投資が減少を続けているほか、住宅投資についても、力強さがみられない。また、個人消費については、雇用・所得環境が一進一退の状況にあり、全体としては弱めの基調が続いている。

一方、輸出が、アジア向けを中心に堅調な動きを持続しているほか、設備投資も、回復している。

こうした需要動向を反映して、県内企業の生産は、全体として緩やかに増加している。すなわち、電気機械や工作機械では、デジタル家電や一部情報通信関連の販売好調を受け、生産が増加している。また、鉄鋼においても、中国や東南アジア向け輸出が好調なほか、輸出用建設機械や造船向けの需要が引き続き堅調とあって、高操業を継続している。

一方、輸送用機械では、輸出が好調なことを背景に、全体としては高めの生産水準を維持しているが、排ガス規制強化に伴う国内向けトラックの増産が一巡したため、操業度を落とす先もみられている。

雇用・所得環境については、勤労者一人当たりの給与が下げ止まってきたものの、常用雇用者の減少傾向が変わらないなど、回復は一進一退の状況にある。

この間、企業倒産は、件数、負債総額ともに減少傾向にある。

県内金融機関の貸出をみると、個人向けが住宅ローンを主体に高めの伸びを示しているほか、事業法人向けにも下げ止まりの兆しがみられる。他方、預金は緩やかな伸びを続けている。

以上

東海地区金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の景気は、着実な回復を続けており、その裾野の広がりや力強さも増してきている。

最終需要の動向をみると、輸出は、海外経済の成長が続く中、増勢を強めている。国内需要は、設備投資が業種や企業規模の広がりを伴いながら着実に増加しているほか、個人消費も底固い動きを続けている。また、住宅投資は、概ね横這い圏内で推移する中、一部に底固い動きもみられている。一方、公共投資は減少している。

こうした中、生産は増勢を強めており、企業の収益や業況感も着実な改善を続けている。また、雇用・所得も持ち直しつつある。一方、物価は弱めの動きを続けている。

先行きについては、為替相場や海外景気の動向が輸出、生産等にもたらす影響や、原材料価格の上昇が企業収益や企業活動に及ぼす影響を注意深く見極めていく必要がある。また、雇用・所得面の動向とそれが個人消費に与える影響にも、引き続き注視が必要である。

金融面をみると、管内の金融機関(国内銀行+信金)の預金は前年を上回っている一方、貸出は前年を下回って推移している。

個人消費・・・各種売上指標をみると、乗用車販売台数は軽自動車の好調を背景に、百貨店売上高は増床・改装効果もあって、それぞれ総じてみれば底固く推移している。また、家電量販店売上高は、パソコンが低調な中で盛り上がりには欠けるものの、デジタル家電等の好調が持続しており、全体でも幾分持ち直している。一方、スーパー売上高は、他業態との競合が激化する中で、消費税総額表示への移行に伴う一部商品の値下げもあって、弱めの動きが続いている。この間、旅行取扱高は、東南アジア向けの低調が続く中、全体としては横這い圏内で推移している。

設備投資・・・製造業では、自動車関連が新製品対応や合理化投資を中心に、投資スタンスをさらに積極化させているほか、液晶・半導体関連も、デジタル家電の内外需要好調等を背景に、大規模投資への取り組みを続けている。こうした中、一般機械や金属製品等では、能増投資や合理化投資を増やす動きが目立っている。また、製造業中小企業における更新投資や新製品対応投資にも広がりがみられている。

非製造業では、ウェイトの高い電力が抑制スタンスにあるものの、小売や飲食店・宿泊が、集客力の強化を狙い新規出店や改装等に引き続き積極的に取り組んでいる。また、運輸における物流効率化や新空港開港に向けた倉庫建設の動き等にも広がりがみられている。なお、非製造業中小企業は全体ではなお弱めであるが、サービスの一部等に前向きな動きが窺われている。

住宅投資・・・新設住宅着工戸数をみると、持家、貸家が底固く推移しているほか、戸建分譲も堅調な動きとなっている。一方、マンションは販売の低調を背景に減少基調にある。

公共投資・・・公共工事請負金額は、地方公共団体の予算規模縮小が続き、プロジェクト関連の新規発注もほぼ終息する中で、減少傾向が一段と明確化している。

輸出・・・品目別にみると、自動車・同部品は、海外自動車販売の好調や自動車関連企業の海外生産拡大を背景に、増勢をさらに強めている。また、デジタルカメラが海外販売の好調から増勢を幾分強めているほか、ICパッケージも増加を続けている。一方、ビデオカメラは、海外販売の低調から弱含んでいる。この間、工作機械、鉄鋼は、横這い圏内で推移している。

仕向地別にみると、米国向けは、自動車・同部品が増加しており、全体でも持ち直している。アジア向けは、工作機械等資本財や電子部品、自動車を中心に増勢を幾分強めている。また、欧州向けも自動車・同部品の増加を主因に持ち直しの動きが続いている。

生産・・・加工業種では、自動車関連、デジタルカメラが輸出の好調を主因に増勢を幾分強めているほか、液晶関連や半導体集積回路、ICパッケージも、デジタル家電の内外需要好調等から増勢を一段と強めている。また、工作機械、電動工具も、緩やかに増加している。一方、ビデオカメラは、輸出の低調から弱含んでいる。この間、二輪車、電子部品組立機は、概ね横這いの動きとなっている。

素材業種では、化学製品が海外需要の好調から、鋼板、特殊鋼は自動車・家電向けの堅調から、それぞれ高水準の生産を続けている。また、紙・パルプ、洋食器は、国内需要の持ち直しから生産水準を引き上げている。しかし、繊維製品が輸入品との競合激化等を背景に減少しているほか、住宅向け窯業製品(瓦、衛生陶器、タイル)も、生産水準を引き下げている。この間、棒鋼は横這い圏内で推移している。

雇用・所得・・・所定外労働時間、新規求人数は、生産の増加や人材派遣等サービスでの労働需要の強まりを背景に、増加基調を持続している。一方、新規求職件数は、雇用リストラの落ち着きを反映して減少傾向にある。こうした中、有効求人倍率は上昇を続けており、常用労働者数も、新卒採用の増加もあって、持ち直しつつある。この間、一人当たり名目賃金は、生産の増加や企業収益の改善を背景に、横這い圏内で底固く推移している。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行京都支店

管内の景気情勢は、着実に回復している。

個人消費は、全体としてみるとなお盛り上がりを欠いているものの、一部に持ち直しの動きがみられている。また、設備投資は、投資スタンスを積極化させる先が製造業の中堅・中小企業にまで広がっているほか、輸出の増勢も持続している。企業の生産については、一般・精密機械、電子部品等を中心に水準を引き上げており、有効求人倍率も上昇を続けている。

こうした状況下、管内企業の業況判断についてみると、原油等の原材料高の影響を懸念している先が多いものの、足許では、企業収益の好転を背景に改善傾向が続いている。

最近の最終需要面の動きを、まず個人消費関連についてみると、食料品を中心にスーパーの売上が伸び悩んでいる一方、百貨店では、中元贈答品が奮わないものの、夏物衣料品のセールが好調に推移するなど、区々の動きとなっている。また、新車販売についても、小型車は不振ながら、値嵩の普通車の販売が堅調に推移している。家電販売は、薄型テレビやDVD等、高額商品の売れ行きが好調を持続している。

京都観光をみると、当地を主題にしたドラマ放映に伴う入り込み客が増加していることもあり、京都市内ホテルの稼働率は高めに推移している。また、土産物売上も観光客の増加に伴い前年を上回る先がみられている。関係業者等では、ドラマ放映効果の持続や、祇園祭、五山の送り火など夏場の集客効果に期待を寄せている。

この間、設備投資(6月短観ベース)は、企業収益の増益基調持続もあって、電子部品等IT関連業種の大企業を中心に生産能力増強投資を積極化する動きが広がっているほか、中堅・中小企業でも維持・更新投資を増額する先が増え始めている。

住宅投資は、貸家が伸びを高めているものの、これまで順調な伸びを示していた持家、分譲住宅がこのところ減少しており、全体としては横這い圏内の動きとなっている。

公共投資は、予算規模の縮小を背景に、減少基調にある。

輸出は、一般・精密機械関連では、東アジアを中心とした海外における設備投資の増加を受けて、液晶・半導体製造装置や環境関連の計測機器等が増加傾向を強めている。また、電子部品等のIT関連業種でも、東アジア向けを中心に一段と増加している。

企業収益(6月短観ベース)をみると、製造・非製造業ともに増収効果や既往のリストラ効果が一段と顕現化してくることもあって、2桁台の増益計画を維持している。もっとも、原油等の原材料高等を懸念する先が増加しており、素材業種を中心に製品価格の引き上げに踏み切る動きが散見されている。

雇用・所得面をみると、製造業における生産水準の一段の引き上げに伴い、電気機械や輸送用機械メーカーからのアウトソーシング関連の新規求人が一段と増加しており、有効求人倍率は改善している。この間、所定外労働時間も伸びを高めている。

企業倒産をみると、足許、小規模事業先等を主体に小口倒産が目立つなど、件数では前年を上回って高水準で推移しているものの、金額では大型倒産の減少から前年を下回っている。

金融面をみると、貸出については、全体としてなお盛り上がりに欠けているものの、設備の維持・更新投資等に伴う資金需要が一部にみられるほか、住宅ローンも堅調に推移していることから、基調的にはマイナス幅の縮小傾向が持続している。

預金は、投信等他の金融商品へのシフトが引き続きみられるものの、個人預金を主体に緩やかな伸びが続いている。

以上

大阪管内(大阪府、奈良・和歌山県)金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行大阪支店

管内の景気は、雇用者所得の面で厳しい状況が続いているが、輸出や生産の好調に加え、設備投資も製造業を中心に増加しており、全体として回復を続けている。

最終需要面の動きをみると、輸出は、米国向けがAV家電や資本財などで、アジア向けが情報関連財や資本財、素材など幅広い品目で、いずれも増加している。

設備投資は、全体として増加している。製造業は、戦略分野での投資積み増しや、維持・更新投資の動きの一段の広がりから増加しており、非製造業は、都心部再開発案件などから、下げ止まっている。

個人消費は、自動車が引き続き弱めの動きとなっているが、家電がデジタルAV製品の好調に加え、猛暑効果でエアコン販売が伸びているほか、百貨店やスーパーも季節商品に動きがみられ、全体では緩やかに持ち直している。

住宅投資は、持家が緩やかに減少しているほか、分譲もマンション建設が横這い圏内まで減速していることから、全体としても緩やかに減少している。

公共投資は、減少している。

生産は、AV家電や工作機械、輸送機械などを中心に、輸出向け、国内向けとも増加していることから、増加している。

企業収益(経常利益)は、輸出増加に加え、内需回復により売上が持ち直す中、リストラ効果も相俟って、改善している。

雇用・所得環境をみると、賃金面では依然として厳しい状況にあるが、雇用面では、有効求人倍率が改善し、失業率は低下するなど、これまでの悪化傾向に歯止めがかかりつつある。

物価をみると、企業の製品価格は、素材品目で原材料価格等のコスト上昇分を転嫁する動きが続いているほか、加工品目の一部でも価格転嫁の動きが広がりつつあり、全体として幾分強含んでいる。この間、大阪市消費者物価指数(総合除く生鮮食品)は、前年割れとなっている。

企業倒産件数は、減少している。

企業金融は、業績低調な先では、なお厳しい状況が続いているが、全体としては、企業収益の改善等もあって、一段と落ち着いた地合いとなっている。

金融面をみると、貸出は、事業性資金を中心に減少している。こうした中、金融機関では、効率的な拠点整備を図るとともに、住宅ローンや小口無担保ビジネスローンなどにおいて商品性に工夫を凝らしつつ、資金需要の掘り起こしに注力している。

預金については、個人預金を中心に堅調に推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行神戸支店

管内の景気は着実な回復を続けている。需要面をみると、輸出と設備投資が増勢を強めているほか、個人消費にも底固さが窺われる。一方、公共投資、住宅投資は低調に推移している。こうした中で、生産は引き続き増加し、雇用情勢は依然厳しい状況ながら改善傾向にあるほか、企業マインドも、製造業、非製造業とも幅広い業種で改善している。

個人消費は、引き続き底固い動きとなっている。百貨店売上高は、身の回り品や雑貨は引き続き堅調に推移しているものの、主力の婦人服や食料品などが落ち込んでいるため、全体では横這い圏内の動きとなっている。スーパー売上高は、消費税総額表示義務化の影響などから食料品を中心に低調に推移している。家電販売は、デジタル家電や多機能・高性能の白物家電が好調なほか、猛暑の影響でエアコン、扇風機などの夏物商品の売れ行きが伸びている。乗用車新車登録台数は、普通車や軽乗用車は好調に推移しているが、小型車の落ち込みが大きく、全体では前年を下回っている。この間、神戸市内のホテル客室稼働率は、個人客や法人の大型団体客の受入増加などから、引き続き前年を上回って推移している。

設備投資は、製造業では、旺盛な需要を反映して能力増強や効率化投資、老朽化設備の更新投資などを上積みする動きがみられているほか、非製造業でも、卸・小売業を中心に新規出店や店舗拡張、物流面の効率化投資などが増加していることから、全体として増勢を強めている(6月短観16年度設備投資計画:全産業前年度比+13.3%、製造業同+11.9%、非製造業同+16.6%)。

住宅投資は、低調に推移している。

公共投資は、低調に推移している。

輸出は、中国、欧米向けを中心に増加を続けている。

生産・出荷の状況は、増勢が続いている。

造船 … コンテナ船やバラ積み船を中心に、各社とも概ね3〜4年分の受注残を確保しており、高水準の操業度を維持している。

鉄鋼鋼板類は、薄板が自動車や家電向けを中心に好調なことからフル生産となっているほか、厚板も造船、建設機械向けにフル生産を続けている。条鋼類(棒鋼、形鋼等)は、アジア向け輸出が堅調なほか、国内向けも民間設備投資の増加などから高めの生産水準となっている。特殊鋼は、原材料(スクラップ)の調達難に伴う生産調整を終了し、再びフル生産となっている。

一般機械射出成形機は、アジア・米国向け輸出の好調に内需の増加が加わり、高水準の生産が続いているほか、建設機械も、北米向け輸出の好調持続から、フル生産を続けている。また、物流機械は、食品業界向けの汎用機に加え、IT関連向けのプラント受注が増加傾向にあるほか、化工機も、医薬品や食品業界からの引合い増加から堅調に推移している。

電子部品半導体半導体検査用部品は、携帯電話やデジタル家電製品(デジカメ、DVD等)の需要が好調なことからフル生産を続けているほか、液晶表示装置も、携帯電話やカーナビ、パソコン向け需要の堅調から極めて高い水準の生産を続けている。コンデンサーは、自動車、家電、鉄道車両向けなどの好調や設備投資関連の持ち直しなどから、高めの操業度を持続している。

食品惣菜佃煮・煮豆は、百貨店やスーパーでの販売が好調であるが、食肉加工は、牛肉の落ち込みを豚肉がカバーできておらず、このところ出荷量がやや減少している。

地場産業日本酒播州織の生産は引き続き減少しているほか、ケミカルシューズ豊岡鞄も安値輸入品との競合から、全体とすれば低調の域を脱していない。こうした中、真珠は南洋真珠を中心にやや持ち直しの動きがみられている。

雇用情勢は、依然厳しい状況ながら改善の動きが続いている。

企業倒産件数は、引き続き前年を下回る水準で推移している。

金融面をみると、貸出は、住宅ローンが好調を持続しているものの、企業の資金需要が依然として乏しいことから、全体では低調に推移している。

貸出約定平均金利は、短期はやや上昇しているが、長期は引き続き低下している。

預金は、個人預金が底固いことなどから、全体では堅調に推移している。

以上

中国地区金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行広島支店

概況

中国地区の景気は、輸出・生産が好調に推移するなかで、設備投資が増加しているほか、個人消費も横這い圏内の動きを続けるなど、全体として緩やかに回復している。

(前回<3か月前>との比較)

  • 改善がみられる項目…
    1. 住宅投資は、横這い圏内で推移している。
    2. 設備投資は、増加している。
  • 概ね変化がみられない項目…
    1. 個人消費は、横這い圏内の動きとなっている。
    2. 公共投資は、減少傾向にある。
    3. 輸出は、増加している。
    4. 生産は、高水準となっている。
    5. 雇用・所得環境は、総じてみれば持ち直しつつある。
    6. 企業マインドは、改善傾向にある。
    7. 企業収益は、増益計画となっている。

1.実体経済

(1)最終需要の動向

個人消費は、横這い圏内の動きとなっている。

百貨店およびスーパーの売上高や乗用車販売台数は、足許、前年を下回っているものの、家電販売は、薄型テレビやDVD等が堅調であるほか、国内・海外旅行も持ち直しつつあるなど、総じてみれば横這い圏内の動きとなっている。

設備投資は、増加している。

6月短観(中国地区)における16年度設備投資計画(全産業)をみると、能力増強投資等を実施する先に業種的な広がりが窺われることなどから、前回(3月)調査に比べ上方修正され、前年比+10.5%の増加計画となっている。

住宅投資は、横這い圏内で推移している。

新設住宅着工戸数をみると、単月の振れはみられるものの、基調としては横這い圏内で推移している。

公共投資は、減少傾向にある。

公共工事請負額をみると、地方公共団体での投資的経費の圧縮スタンスが続いていることなどから、減少傾向にある。

輸出は、増加している。

輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)をみると、自動車が北米・欧州向けを中心に増加しているほか、鉄鋼や化学もアジア向けが堅調に推移しているなど、全体としては引き続き増加している。

(2)生産の動向

生産は、高水準となっている。

業種別にみると、輸送用機械や化学、電気機械が高水準の生産を持続しているほか、一般機械では操業度を高めている。一方、繊維等その他製造業では低水準の操業が続いている。

(3)雇用・所得環境の動向

雇用・所得環境は、総じてみれば持ち直しつつある。

有効求人倍率は、製造業や一部サービス業等からの求人が堅調なこともあって引き続き改善しているほか、常用労働者数にも改善の動きがみられるなど、総じてみれば持ち直しつつある。

(4)企業の動向

企業マインドは、改善傾向にある。

6月短観(中国地区)における企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)をみると、足許、先行きともに若干改善している(全産業:16年3月△10%→16年6月△9%→16年9月予測△8%)。

企業収益は、増益計画となっている。

6月短観(中国地区)における16年度収益計画(全産業)をみると、前年比+9.0%の増益計画にある。

2.金融動向

(1)貸出の動向

貸出は、総じてみれば弱めの動きが続いている。

内訳をみると、個人向けは、住宅ローンの推進などから底堅く推移している。一方、法人向けは、運転・設備資金ともに資金需要が乏しいことから低調に推移している。

(2)預金の動向

預金は、前年を上回って推移している。

内訳をみると、個人・法人預金とも前年を上回って推移している。

以上

四国地区金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概観

四国地区の景気は、地域間や業種間で格差がみられるものの、総じてみれば、緩やかな持直しの動きが続いている。

企業部門では、輸出や国内設備投資の増加を受けて、生産水準が上昇しており、収益も増加基調にある。こうした中、業況感も製造業を中心に改善している。また、域内の設備投資は、非製造業では抑制的な投資姿勢の先が多いものの、製造業を中心に回復の動きが続いている。

家計部門では、生産水準の上昇や企業収益の増加を映じて、雇用・所得環境の悪化に歯止めが掛かる中、個人消費は一部に明るい動きもみられるが、総じてみれば横這い圏内の動きとなっている。一方、住宅投資はこのところ前年水準を下回って推移している。

この間、公共投資は引続き減少している。

1. 需要

輸出は、中国向け、米国向けを中心に引続き増加している。ただし、一般機械(建設機械部品)等一部品目については、中国の投資抑制策の影響を懸念する声が聞かれる。

設備投資は、非製造業では抑制的な投資姿勢の先が多いものの、製造業では一部に生産設備増強等の動きがみられるなど、回復の動きが続いている。

個人消費は、雇用・所得環境の悪化に歯止めが掛かる中で、一部に明るい動きもみられるが、全体としてみれば横這い圏内の動きとなっている。

住宅投資は、このところ前年水準を下回って推移している。

公共投資は、厳しい財政事情の下、引続き減少している。

2. 生産・売上

(1) 製造業

生産水準は、企業・業種間のバラツキを伴いながらも、輸出や国内設備投資の増加などを反映して、着実に上昇している。

すなわち、輸出の増加を反映し、IT関連で電気機械(液晶表示装置、半導体)、化学(電子部品、各種光学フィルム)、紙・パルプの一部(コンデンサ用絶縁紙)が好調に推移している。また、輸送用機械(外航船)、一般機械(建設用機械・同部品)、化学(家禽飼料原料、ナイロン・アクリル繊維原料)も高操業を継続している。

内需関連では、輸送用機械(自動車用ベアリング)が好調であるほか、一般機械(産業用機械)、鉄鋼(特殊アロイ、鋳鋼、合金鉄)等が堅調に推移している。また、紙・パルプは、IT関連を除き、概ね横這い圏内で推移している。一方、窯業・土石(生コンクリート、土木資材関連製品)、鉄鋼関連の一部(棒鋼、建築用鋼管)、金属製品(鉄骨加工、アルミ・サッシ)、木材・木製品(製材品、型枠用合板)等は低操業となっている。

この間、鉄鋼(鋳鋼)、一般機械(産業用機械)、化学(ナイロン・アクリル繊維原料)等で原材料価格の上昇分を製品価格に転嫁する動きに拡がりがみられている。もっとも、紙・パルプ(家庭紙、紙容器)、金属製品(鉄骨加工)では競合が激しいため、転嫁が思うに任せず、収益を悪化させる先が散見される。

(2) 非製造業

海運は、外航を中心に引続き活発な荷動きとなっている。

建設・土木は、公共工事を中心とした受注の減少により、引続き厳しい状況にある。

小売は、アテネ五輪の開催を控え、デジタル家電(薄型テレビ、DVDレコーダー)が好調であるほか、白物家電の一部(洗濯機、冷蔵庫)や、エアコンも堅調に推移している。一方、乗用車販売が小型車の低迷により、足許、前年を下回っているほか、百貨店・量販店販売も総じて低調な動きとなっている。

なお、石油市況の上昇を受けて、ガソリンが値上がりしている。

3. 雇用・所得

雇用・所得環境は、依然として厳しい状況にあるものの、有効求人倍率が改善傾向にあるほか、一人当り現金給与がこのところ前年を上回って推移するなど、悪化には歯止めが掛かっている。

4. 金融

預金は、公金預金の減少などから、全体では前年を下回っている。貸出金も、企業からの資金需要低迷を受け、引続き前年を下回って推移している。この間、貸出約定平均金利は、横這い圏内の動きとなっている。

以上

九州地区金融経済概況

2004年 7月22日
日本銀行福岡支店

九州の景気は、製造業を中心に回復を続けている。

輸出は増加し、設備投資も製造業を中心に増加テンポを高めている。生産は増勢を強めており、企業の業況判断も幅広い業種で一段と改善するなど、企業サイドの回復の足取りが確実さを増してきている。こうした動きを背景に雇用面が改善傾向にあるほか、個人消費は総じてみると底固い動きが続いている。

先行きについては、輸出や設備投資の増加を背景に企業活動の活発化が続くとみられ、これが雇用者所得への好影響に繋がっていくことが期待される。

最終需要をみると、個人消費は、総じてみれば底固い動きが続いている。すなわち、百貨店・スーパーの売上高や乗用車の新車登録台数は前年割れで推移しているものの、郊外型商業施設が目新しさもあって活況を呈しているほか、コンビニエンス・ストアの売上高は堅調に推移している。また、旅行取扱高は国内旅行が堅調に推移する中、海外旅行が大幅に増加している。

住宅投資は、持家や分譲マンションでは、低価格物件を中心に持ち直しつつあるほか、貸家も底固く推移しており、全体として横ばい圏内で推移している。

公共投資は、国や地方自治体の関係予算が削減される中、大型工事案件が乏しく、公共工事請負高が前年割れで推移しているなど、減少傾向にある。

輸出は、電気機械や一般機械、輸送用機械を中心に、引続き増加している。地域別にみると、アジア向けが引続き好調であるほか、EU向けが自動車を中心に増加傾向にある。一方、北米向けでは電気機械が増加しているものの、新車投入に伴い前年が増加した自動車の反動減もあって、全体としては減少傾向にある。

設備投資は、電気機械が投資を一段と積極化させているほか、鉄鋼、精密機械、食料品などでも前年を上回る投資が計画されており、製造業を中心に増加テンポを高めている。

生産は、増勢を強めている。輸送用機械は、自動車や船舶を中心に高操業を続けている。電子部品・デバイスでは、デジタル家電向け等の旺盛な需要を背景に、半導体集積回路やPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)、CCD(電荷結合素子)の生産が増加している。また、一般機械についても国内外の受注増を受け半導体製造装置や数値制御ロボットが操業度を高めている。

雇用面は、改善傾向が続いている。新規求人数が卸・小売、サービス業などで増加傾向にある中、新規求職者数が減少傾向にあり、有効求人倍率は緩やかな改善傾向を辿っている。また、常用雇用者数の減少傾向にも歯止めがかかりつつある。もっとも、雇用者所得をみると、企業の人件費抑制姿勢が続いており、現金給与総額は、なお前年割れとなっている。

物価面をみると、消費者物価(九州地区、除く生鮮食料品)は、前年をやや下回る水準で推移している。

企業倒産をみると、件数、負債金額ともに落ち着いた基調となっている。

金融面をみると、銀行預金(譲渡性預金を含む)は、個人の流動性預金を中心に、前年水準を上回って推移している。銀行貸出は、住宅ローンが前年を上回っているものの、企業が借入れを抑制する動きが続いており、全体としては前年水準を下回っている。

以上