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2001年の国際収支(速報)動向

2002年 3月14日
日本銀行国際局


(日本銀行から)

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (ron0203b.pdf 487KB) から入手できます。


(要旨)

  1. 概 要

    ○ 2001年(速報)の国際収支1は、経常収支が11.1兆円(前年12.6兆円)の黒字となり黒字幅が縮小した一方、資本収支は投資収支の動きを主因に△7.0兆円(同△9.1兆円)と流出超幅を縮小した。この間、外貨準備の増加額(△=増加)は、△4.9兆円と前年(同△5.3兆円)を下回った。

    1 2002年1月分より金融派生商品利子の計上箇所が経常収支(所得収支)から資本収支(投資収支)に変更されたことに合わせて、96年以降の公表計数についても、同様の計上替えを施した遡及データを公表しているが、本稿では全て遡及前の計数を用いている。なお、国際収支統計以外の統計データについては、2002年2月末時点で入手可能であったものに基づいている。


  2. 2001年の国際収支の特徴点

    ○ 2001年の特徴点としては、以下の4点が挙げられる。

    (1)貿易・サービス収支黒字の大幅縮小

    ── 貿易・サービス収支の黒字額は85年以降で既往2番目の低水準に縮小した。同大幅縮小の9割方は貿易黒字の縮小によるもの。貿易黒字の縮小は、輸入が、開発輸入拡大といった構造的要因もあって底固いなかで、輸出が、米国景気後退、IT関連最終需要の減少等の循環的要因により大きく落込んだことが主因。

    (2)所得収支黒字の既往ピーク更新

    ―― 所得収支は、直接投資収益および証券投資収益の黒字額が大幅に増加したことから、全体でも大幅な黒字拡大となり、既往ピークを更新した。この結果、所得収支の黒字額が経常収支黒字額の約8割を占めるに至った(初めて貿易収支黒字額を上回った)。これは、本邦企業海外子会社の好収益や対外証券投資残高の積み上がり、為替円安に伴う円ベース受取額の嵩上げによるもの。

    (3)米国同時多発テロ勃発後のサービス収支赤字の大幅な縮小

    ―― 2001年9月11日に米国で同時多発テロが勃発した結果、航空機テロに対する不安が高まり、日本からの出国者数は大幅に減少した。そのため、輸送収支(航空旅客運賃)、旅行収支の赤字は同年9月以降大幅に縮小し、サービス収支全体の赤字幅も縮小した。

    (4)高水準の対外直接投資

    ―― 2001年中の本邦からの対外直接投資は、通信・自動車等の欧米向けを中心に△4.7兆円の流出超となり、90年(△7.4兆円)以来の高水準となった。一方、海外投資家による対内直接投資は、99・2000年にみられた自動車、金融・保険等への大口投資案件の剥落から、5,993億円の流入超と2年連続の減少となった。


  3. 各項目の動向

    (1)経常収支

    (a) 経常収支は、黒字縮小(前年比△12.0%)に転じた。これは、貿易黒字幅の大幅な縮小、サービス収支の赤字拡大が原因。

    (b) 輸出は、アジア向けのIT・エレクトロニクス関連の資本財・部品などを中心に減少し、前年比マイナス(△5.9%)に転じた。

     輸入も、米国やNIESを中心にIT関連製品の需要減から減少したが、為替円安の影響もあって、アジアからの輸入品を中心に2年連続の前年比プラス(+3.0%)となり、既往ピークを更新した。この結果、貿易収支は3年連続で縮小した。

    (c) サービス収支は、「その他サービス収支」の赤字拡大から、5年振りの赤字拡大となった。

    (d) 所得収支は、(a)「直接投資収益」の黒字拡大(本邦企業の海外現法収益改善、円安)、(b)「証券投資収益」の黒字拡大(金利スワップ等収支の黒字転化、円安)などから、全体では2年連続の黒字拡大となった(黒字水準は既往ピークを更新)。所得収支黒字は、経常黒字の8割弱を占めたほか、初めて貿易黒字を上回った。

    (e) 経常移転収支は、「公的部門」において国際機関向けの拠出金・分担金の支払が減少したこと、「民間部門」でも罰金・和解金等の支払が減少したことから、2年連続の赤字縮小となった。

     現行ベース(IMFマニュアル第5版)の国際収支統計は85/1月分まで遡及改定値(原計数)と季調値が公表されている。

    (2)資本収支

    (a) 対外直接投資は、世界的な業界再編の動きなどを背景に、高水準の流出超となった。一方、対内直接投資は、大口投資案件の剥落から、2年連続の減少となった。

    (b) 本邦投資家による対外中長期債投資は、生保・銀行が積極的に欧米債に投資したことから、取得(流出)超幅を拡大した。一方、対外株式投資は、世界的な株価下落等を背景に、取得(流出)超幅を縮小した。

    (c) 海外投資家による対内中長期債投資は、金利低下余地の縮小等を受けて国債購入を手控える動きがみられたことから、取得(流入)超幅を大幅に縮小した。一方、対内株式投資は、年前半に景気回復や小泉政権への期待を受けて積極的な投資がみられたことから、取得(流入)超に転化した。

    (d) その他投資は、邦銀が海外市場での強い円資金余剰感から、他行向け預け金を期落ち回収(流入)したほか、外銀が円転コストがマイナス化した局面で海外から資金を調達(流入)する動きがみられたことなどから、大幅な流入超に転化した。


以  上


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