日本銀行本店

2002年の国際収支(速報)動向

2003年 3月 6日
日本銀行国際局


(日本銀行から)

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (ron0303a.pdf 682KB) から入手できます。



(要旨)


1.概要

○ 2002年(速報)の国際収支は、経常収支が14.2兆円(前年10.7兆円)の黒字となり黒字幅が拡大した一方、資本収支は投資収支の動きを主因に△8.0兆円(同△6.2兆円)と流出超幅を拡大させた。なお、外貨準備の増加額(△=増加を指す)は、△5.8兆円と前年(同△4.9兆円)を上回った。


2.2002年の国際収支の特徴点


○ 2002年の特徴点としては、以下の4点が挙げられる。

(1)構造要因(海外生産移管、海外生産の拡大)による経常黒字の拡大  2002年の経常黒字の拡大には、アジア、とりわけ中国を中心とする、わが国企業の海外生産拠点の本格的な立ち上がりに伴う資本財・部品の輸出急増といった構造変化も相当寄与している。

──  まず貿易収支は、輸出の拡大を主因に98年以来4年振りに黒字が拡大した。この背景としては、世界的な日本車販売の好調のほか、年前半についてはIT関連財の在庫復元の動きなどが挙げられるが、年の後半については、わが国製造業の海外生産拠点が本格的な稼動ないし増産を開始する下で、設備機械、素材、部品への需要が急速に拡大しつつあることも大きく寄与した。

──  なお、中国からの製品輸入の拡大に伴い、年間ベースでみると中国はわが国にとって最大の輸入相手国となった(2001年までは米国)が、輸入が増加した以上に上記の分野での輸出が増加したことから、対中貿易赤字幅は大幅に縮小した(なお、香港を含めたベース1でみると、若干の黒字となっている)。


1  貿易統計では、輸入は原産国、輸出では仕向国を貿易相手国と認識する。このため、日本から香港経由で中国に輸出した場合には、日本では香港向け輸出として計上する一方、中国では日本からの輸入として計上される。


──  また、サービス収支も、輸送収支とその他サービス収支の赤字が縮小したことから収支全体で赤字縮小(経常黒字の拡大に寄与)となった。輸送収支の赤字縮小の背景としては、年後半は、電気機械メーカーの海外生産拠点の本格稼動が半導体等電子部品の需要拡大の一因となり、航空貨物運賃収支が黒字に転じたことが指摘できる。

 その他サービス収支についても、自動車メーカー等の海外生産の拡大によりロイヤリティ収入が増加し、特許等使用料の赤字幅が6年連続で縮小した(赤字額は既往最低)ことが、収支全体の赤字縮小の一因となっている。


(2)高水準の対内外直接投資

──  2002年中の本邦からの対外直接投資は、前年にみられた通信の大口案件が剥落したにもかかわらず、自動車・電機等の欧米向けを中心に、高水準の流出超が続いた。一方、海外投資家による対内直接投資も、医薬・化学や自動車等への活発な投資から、既往第2位となる高水準の流入超となった。


(3)対外株式投資の既往ピーク更新

──  対外株式投資は、信託(信託勘定)による買い入れ増から、既往ピークの取得超となった。公的年金等による新規資金の配分を受けた欧米株式の買い入れが大幅増となったほか、春先には、米国景気の早期回復期待から、企業年金でも、株価上昇を見込んで外国株式へ資金を振り向ける動きが目立った。


(4)一部大手投資家による海外リミテッド・パートナーシップ(LPS)を通じた資金運用スキームの解消

──  国内の一部大手投資家が、従来から取り組んできた海外LPSを通じた資金運用スキームを解消した。これに伴って、同LPS(非居住者)が保有していた証券を本邦信託銀行(居住者)へと移管したことが、同月の資本収支(対内・対外証券投資、その他投資)計数に大きな影響を与えた(もっとも、実際に資金フローが発生した訳ではない)。

──  すなわち、同LPSが保有する本邦株式・債券等の居住者発行証券については、非居住者の処分として対内証券投資の処分(流出)に計上したほか、海外株式・債券等の非居住者発行証券については、居住者の取得として対外証券投資の取得(流出)に計上。一方、LPSへの出資金の戻り分については、その他投資の雑投資の回収(流入)として計上した(流出入はバランス)。

──  以下、2002年、同年下期、同年第4四半期の国際収支統計は全て速報値。


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