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日本銀行の当座預金取引について

取引の相手方の範囲を中心に

2003年 4月25日
日本銀行信用機構室

日本銀行から

 以下には、(はじめに)を掲載しています。全文は、こちら (ron0304c.pdf 65KB) から入手できます。

はじめに

 日本銀行は、銀行などの金融機関との間で当座預金、貸出、オペレーション(債券売買等)、国庫金取扱い等、多岐にわたる取引を行っています。その中でも、当座預金取引は、日本銀行と金融機関との間の最も基礎的な取引といえ、貸出など日本銀行の他の取引の資金決済は、当座預金の受払等を通じて行われています。

 日本銀行の当座預金取引の機能自体を形式的にみれば、金融機関が企業や個人の顧客との間で行う当座預金取引と基本的に同様です。しかし、日本銀行の当座預金(日銀当預)は、以下のような点で、一般的な銀行等の当座預金とは異なる機能を果たしています。

 第一に、様々な経済主体によって行われる各種の取引の資金決済が、銀行等を通じて最終的には、日銀当預の入金、引落し、振替によって行われているという点です。日銀当預は、金融機関間の決済を支えることによって間接的に、個人や企業間の資金決済の安全性・効率性確保に役立っています。

 第二に、日銀当預は、金融政策を行う日本銀行と、金融機関との直接の資金授受経路であって、日本銀行券とともにベース・マネー1を構成しているという点です。

 日銀当預は、個々の金融機関の資金の受払と直接的に、かつ多面的に絡み合っているため、日銀当預の受払が滞る等の問題が生じた場合には、決済システム、ひいては金融システム全体の機能に多大な影響を及ぼす可能性があります。例えば、ある金融機関がコンピューターの故障や経営破綻によって資金の支払が突然できなくなった場合、その受取資金によって支払を予定していた別の金融機関も支払ができなくなり、決済不能の連鎖が起こるおそれがあります。そうした事態になると、経済活動に必要な資金を各経済主体に行き渡らせ、信用やリスクを適切に配分するという金融システムの機能自体が損なわれることも考えられます。

 このため日本銀行は、決済システム全体、あるいは金融システムの機能を損なうようなリスク(システミック・リスク)が、日銀当預における受払において顕現化することを防ぐ観点から、当座預金取引等の相手方に一定の要件を満たすことを求め、その経営の健全性や事務処理体制を確認してきています。また、日銀当預を用いた決済の仕組みについても、その安全性・効率性の向上を図るため、当座預金決済および国債決済のRTGS化など様々な対応を行ってきています。

 以下では、当座預金取引等の相手方の選定要件、具体的には「日本銀行の当座預金取引または貸出取引の相手方に関する選定基準」および「同細目」2について解説します。

 なお、海外主要国の中央銀行の当座預金の口座開設基準をみると、法律上の根拠の有無を含め国により様々となっています。実際、当座預金取引等の相手方の範囲は、個人、金融機関、国などを外延として、国によりかなり異なっているといえます。

  1. ベースマネーとは、中央銀行および政府の通貨性負債をいい、我が国では日本銀行券発行高、貨幣流通高および日銀当座預金の合計額と定義されています。
  2. 「日本銀行の当座預金取引または貸出取引の相手方に関する選定基準」および「同細目」は、こちらに掲載しています。