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2003年の国際収支(速報)動向

2004年 3月 5日
日本銀行国際局


(日本銀行から)

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (ron0403a.pdf 799KB) から入手できます。


(要旨)


1.概要

 2003年の国際収支(速報)は、経常収支が15.8兆円(前年14.1兆円)の黒字となり黒字幅が拡大。また資本収支は、投資収支の動きを主因に8.1兆円(同△8.5兆円)の黒字に転化した。外貨準備の増加額(△=増加を指す)は、△21.5兆円と前年(同△5.8兆円)を大幅に上回った。なお、誤差脱漏は△2.4兆円となった。


2.2003年の国際収支の特徴点

(1)貿易収支は黒字幅が拡大

 貿易収支は、好調なアジア向け輸出を中心に、黒字幅が拡大した。この背景としては、(1)アジア経済がSARSの一時期を除き、中国を中心に総じて堅調に推移したこと、(2)年後半には、米国の景気回復のほか世界的なデジタル家電の需要拡大などが、アジア地域での生産を押し上げたこと、が挙げられる。品目別にみると、IT関連部品や工作機械のほか、北京オリンピックや上海万博を控えたインフラ需要の増大もあって、建設用機械、荷役機械など、幅広い分野で輸出増加がみられた。なお、米国向け輸出については、本邦自動車メーカーなど、現地工場稼動の影響から減少している。

(2)サービス収支は全項目で赤字幅が縮小

 サービス収支は、輸送収支、旅行収支、その他サービス収支といずれも赤字が縮小したことから、全体でも赤字幅が縮小した。このうち、旅行収支と航空旅客収支(輸送収支の内訳)では、SARSの影響等による出国日本人数の減少を背景に、大幅な赤字縮小となった。また、その他サービス収支の内訳項目である特許等使用料収支では、自動車など本邦メーカーの海外現法からのロイヤリティー収入増を主因に、統計開始以来、初めて黒字となった。

(3)対外中長期債投資の既往ピーク更新

 対外中長期債投資は△18.4兆円と、既往ピーク(2001年の△11.3兆円)を更新する大幅な取得(流出)超となった。銀行部門の取得(流出)超幅は前年並みに止まったが、(1)生保による為替ヘッジ付きを中心とした外債の積み増し、(2)証券会社によるリテール販売向け外債の引受け、(3)投信による毎月分配型の外債ファンドへの資金流入に伴う買い入れなど、主として円投筋による外債投資の活発化が全体を押し上げた。

(4)非居住者による対内株式投資は大幅な取得超

 対内株式投資は、欧米の年金・投信等が、本邦景気の回復への期待等から、株価インデックス組み入れ比率の高い銘柄を中心に積極的に買い入れたほか、主にヘッジファンドが、銀行保有株式の価格上昇や、米国の半導体関連銘柄の価格上昇等を背景に、銀行・ハイテク関連銘柄を買い入れたことなどから、前年の処分(流出超)から一転して9.8兆円と、既往ピークの1999年(11.4兆円)に迫る大幅な取得(流入)超に転じた。

(5)資本収支の黒字転化

 資本収支は、外貨準備の増加に対応した非居住者の余資が本邦に対するその他投資や証券投資として流入したことなどから、現行公表項目での統計が存在する1985年以降で、初の黒字(ネット流入超)となった。

―― IMF国際収支マニュアル第5版の標準構成項目である「Capital and Financial Account」(資本・財務勘定)は、外貨準備を含む概念であり、以下の恒等式が成り立っている。

「経常勘定(Current Account)+資本・財務勘定+誤差脱漏(errors and omissions)≡0」…(1)

 わが国の資本収支は、国際収支マニュアルの資本・財務勘定から、外貨準備を切り離したわが国独自の概念。したがって、わが国の国際収支表に当てはめると、上記(1)式は以下のように読み替えることができる。

「経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏≡0」…(2)

 当然ながら、わが国の2003年の国際収支についても、(1)式における資本・財務勘定は(経常収支+誤差脱漏)と同額の赤字であり、(1)の恒等式が成立している。


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