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海外における協同組織金融機関の現状

2004年10月
日本銀行信用機構局

日本銀行から

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら(ron0410c.pdf 143KB)から入手できます。

要旨

 協同組織金融機関は、各国金融システムにおいて、銀行と並ぶ預金取扱金融機関として、特に、個人・中小企業向けのリテール分野において重要な役割を担ってきている。

 近年における海外の協同組織金融機関の動向をみると、経営効率の向上を企図した業態内合併の進展や経営破綻の多発などを背景に、その数は減少してきているが、資産規模などの面では、各国金融システムにおいて、なお相応のシェアを占めている。

 ただ、社会・産業構造の変化を背景として、協同組織金融機関のもともとの組織基盤である「人的な繋がり」が希薄化する傾向がみられるほか、会員ないし顧客の金融ニーズが多様化・高度化するなど、協同組織金融機関の経営を巡る環境は大きく変わりつつある。また、ホールセール分野における競争激化やIT化の進展に伴う金融取引コストの大幅な低下などを背景として、多くの銀行がリテール業務への取り組みを積極化させており、協同組織金融機関と銀行の競合は高まる方向にある。

 こうした中で各国は、業務範囲の拡充や監督上の取り扱いなどの面で、総じてみれば銀行との同質化を図る方向での制度改革を進めてきている。協同組織金融機関としても、業態内合併の推進や株式会社への転換のほか、系統中央機関・個別の協同組織金融機関・専門子会社などのグループが一体となって金融サービスの充実やリスク管理体制の強化を図るなど、それぞれの実情に応じて経営改革に取り組んでいる。

 わが国には、中小企業、農林水産業者、勤労者を会員とする多様な協同組織金融機関が存在している。海外の協同組織金融機関を巡る環境変化は、わが国においても同様にみられるものであり、本稿で紹介した海外の事例が、今後、わが国の金融システムのあり方を考える際の参考になることを期待したい。