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2004年の国際収支(速報)動向

2005年 3月
日本銀行国際局


(日本銀行から)

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら(ron0503a.pdf 1,064KB)から入手できます。


(要旨)


1.概要

 2004年の国際収支(速報)は、経常収支が18.6兆円(前年15.8兆円)の黒字となり2年連続で過去最大を記録。また資本収支は、1.5兆円(同7.7兆円)の黒字(流入超)となった。外貨準備の増加額(△=増加を指す)は、△17.3兆円(同△21.5兆円)となった。なお、誤差脱漏は△2.8兆円となった。
――  以下、2004年、同年下期、同年第4四半期の国際収支統計は全て速報値。


2.2004年の国際収支の特徴点

(1)貿易収支は黒字幅が大幅に拡大

 貿易収支は、輸出の増加幅が輸入の増加幅を上回ったことから、2年連続で過去最大の黒字幅を記録した。輸出は、アジア向けが広範な品目で好調だったほか、米国向けが一般機械類、EUが自動車関連を中心に増加するなど、前年比2桁増加となった。一方、輸入も、市況高騰を受けた鉱物性燃料(石油・石炭等)の増加が顕著だったほか、機械類などアジアからの製品輸入も増加したため、こちらも前年比2桁増加となった。
 もっとも、年後半には、輸入が高水準を持続する一方で、輸出が鈍化したため、前年比プラス幅は縮小に転じた。


▽ 2004年中の四半期別貿易収支の推移(季調済年率換算値)

表

(2)その他サービス収支は赤字幅が大幅に縮小したが、サービス収支全体の赤字幅は拡大

 その他サービス収支は、仲介貿易・その他貿易関連サービスにおいて、映像機器・精密機械・ゲーム機器等の仲介貿易手数料の受取が増加したほか、特許等使用料において、自動車関連を中心に工業所有権等使用料の受取が引続き増加したことから、全体の赤字幅は大幅に縮小した。もっとも、出国日本人数の増加や国境を越えた荷動きの活発化を映じて、旅行収支および輸送収支の赤字幅が拡大した。

(3)所得収支は黒字幅が拡大

 所得収支は、1)直接投資収益において、海外日系子会社の業績好調等を背景に受取が増加したことや、2)証券投資収益において、対外投資残高の累増を背景に受取が増加したこと、を主因に黒字幅が拡大し、過去最大を記録した。この間、直接投資収益および証券投資収益の支払も本邦企業の業績好調等を背景に増加した。

(4)対内証券投資が拡大

 対内中長期債投資は、海外投資家による日本国債の裁定取引(現物買い・先物売り)やアウトライトの買い入れが嵩んだことから、大幅な取得超に転じた。また、対内株式投資も、本邦企業の相対的に良好な業績や、日本株出遅れ感に伴う価格上昇期待などに着目した海外投資家が、日本株を選好したことから、前年に続き高水準な取得超となった。
――  前年高水準な取得超を記録した対外中長期債投資は、内外金利差の縮小や、米国短期金利上昇に伴うヘッジコストの上昇等から、生保、その他部門による取得額が縮小、全体でも取得超幅がやや縮小した。一方、対外株式投資は、海外の株式相場上昇を受けた外国株の取得や、海外ファンド(ファンド・オブ・ファンズ、不動産投信<REIT>)の人気を映じた投資拡大から、取得超幅が大幅に拡大した。

(5)資本収支の黒字(流入超)が継続

 資本収支は、株式・債券といった証券投資やその他投資の形で非居住者の資金が流入したことから、2年連続の黒字となった。2年連続の黒字は、1963、64年以来40年振り。なお、これを四半期別にみると、1−3月期のみが黒字となっており、4−6月期以降は様変わりとなった。

(単位 億円)

1−3月期 4−6月期 7−9月期 P10−12月期
資本収支の推移 114,262 △38,235 △40,355 △20,757


<資本収支の概念>

IMF国際収支マニュアル第5版の標準構成項目である「Capital and Financial Account」(資本・財務勘定)は、外貨準備を含む概念であり、以下の恒等式が成り立っている。

「経常勘定(Current Account)+資本・財務勘定+誤差脱漏(errors and omissions)≡0」…(1)

わが国の資本収支は、国際収支マニュアルの資本・財務勘定から、外貨準備を切り離したわが国独自の概念。したがって、わが国の国際収支表に当てはめると、上記(1)式は以下のように読み替えることができる。

「経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏≡0」…(2)
当然ながら、わが国の2004年の国際収支についても、(1)式における資本・財務勘定は(経常収支+誤差脱漏)と同額の赤字であり、(1)の恒等式が成立している。


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