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2006年度の金融市場調節

2007年5月31日
日本銀行金融市場局

概観

 日本銀行は、2006年度を通じて、無担保コールレート(オーバーナイト物)(以下「無担O/N コールレート」)を操作目標とする枠組みの下で金融市場調節を行った。日本銀行では、2001年3月から2006年3月までの間、日銀当座預金残高を主たる操作目標とするいわゆる「量的緩和政策」を採用していたことから、無担O/Nコールレートを操作目標とする枠組みの下での金融市場調節運営は、約5年ぶりとなった。

 無担O/Nコールレートの誘導目標は、2006年7月13、14日の政策委員会・金融政策決定会合(以下「決定会合」)において、「概ねゼロ%」から「0.25%前後」に引上げられた。その後、誘導目標は、2007年2月20、21日の決定会合において、「0.5%前後」に引上げられた。

 こうした無担O/Nコールレートの誘導目標の引上げとともに、補完貸付に適用される基準貸付利率も、2006年7月の決定会合で0.1%から0.4%に引上げられ、さらに2007年2月の決定会合で0.4%から0.75%に引上げられた。この結果、基準貸付利率と誘導目標の差は、0.1%ポイントから0.15%ポイント、0.25%ポイントへと順次拡大した。

 こうした変化の下で、無担O/Nコールレートは、期末日や、無担O/Nコールレート誘導目標の引上げ観測が高まった場合などに強含む動きがみられたものの、2006年度を通じて誘導目標水準で推移した。また、短期金融市場の機能は着実に回復した。この間、日銀当座預金残高は、量的緩和政策の終了後間もない2006年4月初めには約30兆円であったが、残高を削減するプロセスを経て、6月半ばに10兆円程度まで減少し、7月の決定会合における無担O/Nコールレート誘導目標の引上げ後は、6〜13兆円程度で推移した。

 2006年度中の金融市場調節手段にかかる変更としては、2006年6月、手形買入オペに代えて共通担保資金供給オペを導入し、金融調節実務の効率化を一層進めた。また、毎営業日の準備預金残高見込みを当日朝に公表するなど、金融市場調節の運営手法にも改善を加えた。

 以下、本稿では、金融市場調節運営の前提となる日銀当座預金増減要因の動向をみたのち、金融市場調節運営の推移と、その下での無担O/Nコールレートの動きなど短期金融市場の動向等を述べる。また、金融市場調節手段別の動向、金融市場調節運営に関する主な変更についても説明する。

日本銀行から

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