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東日本大震災におけるわが国決済システム・金融機関の対応

金融・決済機能の維持に向けて

2011年6月24日
日本銀行決済機構局

はじめに

2011年3月11日(金)、三陸沖を震源とする巨大な地震が発生した。地震の規模は、わが国の観測史上最大となるマグニチュード9.0を記録した。地震と津波による被害は、広範かつ甚大なものとなった。多くの方が犠牲になられた。建物、設備の損壊、流失も多数にのぼった。原子力発電所の事故発生等から、広範な地域で電力供給面の制約も強まった。

東日本大震災は、わが国決済システムや金融機関にも大きな直接的な被害と間接的な影響をもたらした。それにもかかわらず、日本銀行を含め、わが国決済システム、金融機関は、震災発生後も全体として安定的に業務を継続し、金融インフラとしての正常な機能を維持してきた。これには、とくに被災地に所在する金融機関が店舗の復旧と業務の再開に尽力し、預金者や企業のニーズに懸命に応えてきたことが大きい。また、わが国決済システムと金融機関が日頃から業務継続体制の整備に地道に取り組んできたことも寄与している。

金融は、電力、水道、ガス、通信、鉄道、道路などと並ぶライフラインの一つであり、国民生活や経済活動を支える重要なインフラである。仮に決済システムや金融機関が十分な機能を提供できなくなるような場合には、預金の受払いや資金の決済に支障が生じ、国民の不安を増幅しかねない。決済システム、金融機関、あるいは金融・資本市場は、国民経済を支える金融インフラとして、緊急事態にあっても極力通常どおりの金融・決済機能が維持されるよう、日頃から業務継続体制の強化に尽力していくことが重要である。

本稿は、今回の震災において、日本銀行を含め、わが国決済システムや金融機関がどのような初期対応をとり、どのように金融・決済機能を維持したかを解説するものである。本稿は、主として決済にかかる金融機能維持の面に焦点を当て、決済システムや金融機関の対応を記録することに主眼を置く。あわせて、業務継続体制に関する今後の課題についても言及する。

今回の震災では、日本銀行も、現金の円滑な供給から決済システム(日銀ネット)の安定的な運行に至るまで、様々な面で中央銀行としての機能の維持に万全を尽くしてきた。日本銀行としては、今後とも業務継続体制の一層の整備に注力していく方針である。また、日常のモニタリングやオーバーサイト、考査などの場を通じて、民間決済システムや金融機関の体制整備を促すとともに、その主体的な取組みを積極的に支援していく考えである。

日本銀行から

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